“ダメージはゼロだ”追放された最強タンクによる勇者育成記

あけちともあき

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ノウザーム大陸戦乱編

第72話 なるほど戦ってる

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 ノウザーム大陸は戦争をしている地域だと聞いて来たが、なるほど戦っているじゃないか。

 片方は金属製の武器と鎧に身を固めた集団。
 やはり金属製の弓を使って射掛けている。

 もう片方は革の装備で軽快に戦場を駆け回る集団。
 やはり弓を射掛けているが、こちらは木製。

「どっちがどっちなんだ」

「盾に紋章があるな。あちらの金属製がタクサス共和国であろう」

「そもそも共和国ってなんなんだ?」

「うむ、それはわしが知ってるのじゃ!」

 ディアボラの千年の知識が火を吹く!

「王を頭上に頂かず、国民たちの意見で選ばれた代表が政治を行う形態なのじゃ! 大昔に流行ったのじゃー」

「ほう、大昔のやり方なのか」

「うむ。こやつらは意思決定が遅いゆえ、真の魔王様は迅速に攻めて容易く陥落させておったのじゃ。そもそも代表からして一般市民じゃし、貴族とかもおらぬから、最後はみんな責任から逃れるためにのらりくらりするようになるのじゃ」

「そりゃあいかんなあ」

「なので見てみよ。明らかに金属鎧の連中の装備は強いが、皆腰が引けていて前に出ておらぬ」

 なーるほど。
 重装備なんだから、最前線で敵と打ち合えばいいものを、彼らはずっと弓を射掛けるだけでそこから動こうとしない。
 そして腰が引けた者の弓など当たるわけがないのである。

 俺たちはこの戦争みたいな光景を眺めながら、弁当を食った。
 そして日暮れが近づくと、争いはここで一旦終わりとなったようである。
 両軍が引き上げていく。

「夜襲とかしないのか」

「拙者が見た所、ナラティブ自治連合側は散発的にはやっているであろうな。だが頭数が少ないためにあまり効果を発揮していない。タクサスは夜間攻撃を進言して実行する者がそもそもおらぬのではないか? あまりにも撤退の動きが本気過ぎる。皆戦争をやりたくないのだな」

 そりゃあみんなそうだろう。

「ほえー、戦争って初めて見ました! なんだかのんびりしてるんですねえ……」

 エクセレンもそんな感想を抱くのは当然なのだ。

「さて、では俺たちがどうするかだが……。タクサス共和国か、ナラティブ自治連合か、どっちに顔を出す?」

「組織として大きいのはタクサスであろうな。情報力も高かろう。利用できるなら、彼奴らを利用するべきだと拙者は考える」

「確かに」

「俺も同意見だ。意思決定力は無いのかも知れないが、頭数がいるということは強い武器だ。タクサス共和国に協力を仰ごう」

「わしはどっちでもいいのじゃー」

「エクセレンはどうだ?」

「んー、ボクはよく分かんないです。でも、みんながタクサスだって言うなら、まずはタクサス行きましょう! ダメならすぐナラティブ行きましょう!」

「確かに、両方行けばいいもんな!」

 エクセレンの意見に、全員納得した。
 ということで、タクサス共和国へ向かうのである。

 タクサス駐屯地に来た。
 すると、やる気の無さそうな兵士が俺たちを見て慌てだした。

「てっ、敵襲! 敵襲ーっ!!」

「いきなり敵扱いされたぞ」

「そりゃあ、マイティはフル武装であるし、エクセレンはハリネズミみたいに武装しているからな」

 ジュウザが笑う。
 バタバタと、中途半端な装備の兵士たちが駆けつけてきた。

「動くな!」

 攻撃はしてこない。
 威嚇してくるだけだ。

「俺たちは敵じゃないぞ」

「それを判断するのは我々ではない! 閣下! 閣下ー!」

 兵士の中の偉そうなのが、誰かを呼んだ。
 すると、ふうふう言いながらお腹の出たヒゲの男が登場する。

「な、なんだ貴様らは!」

「俺たちは勇者の一行だ」

 そろそろ慣れてきたやり取りである。
 だが、タクサスの連中は見たことがない反応を示した。

 勇者と聞いてきょとんとし、すぐにプッと吹き出したり、くすくす笑い始めたのである。
 お腹の出たヒゲも、呆れ顔になる。

「勇者あ……? 何を言っているのだ貴様ら、いい年をして。ここは戦場だぞ? そんなお伽噺を語っているような者たちがいていい場所ではない! 立ち去れ立ち去れ!」

「おお、なんかかなり話にならない感じがするな」

「うむ、他の王国は兵士たちですら拙者らを認めて中に入れてくれたものだったがな」

「伝承が生きていない。彼らの中には歴史が存在しないのだ」

 ウインドがムッとしている。
 ディアボラなんか、ドヤ顔だ。

「な?」

 なるほど。
 固定観念に凝り固まっている感じがする連中だ。

 それでも、エクセレンは行動できるだけ行動してみるつもりらしい。
 ゴソゴソと棍棒を取り出した。

「はい! 勇者の証です!」

 それは光り輝く三つのトゲを生やしている。
 これが出現したことで、あちこちから笑いが漏れていたタクサス側は、一斉に押し黙った。
 全員目を見開いて、トゲを凝視している。

 あ、思考停止してるぞ。

「な……なんだこれは」

 腹の出たヒゲが呻いた。
 だから勇者だって言ってるだろ。

「いいだろう。タクサス共和国へ来るがいい! 我が国の叡智がそのトゲの謎を見事に解明してみせよう!!」

 解明する必要はないだろ。
 神様の力だって分かってるんだから。

 なんとも、ズレた連中なのだ。
 騒動が起こる予感を覚えつつ、俺たちエクセレントマイティはタクサス共和国へ向かうのである。
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