“ダメージはゼロだ”追放された最強タンクによる勇者育成記

あけちともあき

文字の大きさ
82 / 108
ノウザーム大陸戦乱編

第82話 個が物を言う戦場だぞ

しおりを挟む
 次々に共和国の指揮官を正気に戻していく。
 だが、一度勢いがついた軍隊というものは止まらない。

 ワーッと押し寄せて、連合が作ったバリケードと衝突している。
 わあわあと声が聞こえているが、あれは激しくやり合っているのだろう。

 やる気が無い連中でも、一度熱気みたいなものに炙られると、なんとなくその気になるものだ。
 こりゃあなかなか性質が悪いな。
 今回の作戦を指揮した魔将がいるとしたら、恐ろしく頭が切れるやつだぞ。今までのは大概おバカだったのに。

「いやはや、忙しい! とても被害は抑えきれぬぞ!」

「あたいの体は一つしかないから、戦場をくまなくなんて無理無理!!」

 カッサンドラがもう泣き言を口にしている。
 まあ気持ちは分からないでもない。

 広範囲攻撃系でもないと、この数の兵士は止まらないものな。
 それに、兵士たちを殺してしまってはこれはこれで問題になる。
 一人ひとりは仕事をサボりたい普通の人間だからだ。

 悪いのは魔将。
 だからそっちを叩くことに注力したいものである。

「わしの魔法陣じゃと、こやつらを全員正気に戻すのはちょっと難しいのじゃ! むしろそんな平和的な魔法はない」

 ディアボラもお手上げだ。
 こりゃあ困った。
 困った困ったとエクセレンを見る。

 横で、ウインドがポンと手を打った。

「秩序のトゲなのだろう? ならばそれを使ってみてはどうだろう。もしかすると、戦場に秩序をもたらしてくれるかも知れない」

「どうであろうな……」

 ジュウザが懐疑的だ。

「トゲだもんな」

 俺も頷く。

「トゲじゃからなあ」

 ディアボラが笑った。
 ウインドはわけが分からず、首を傾げている。

「まあいいじゃないかい! エクセレン、使っちまいな!」

「うん! 秩序のトゲ、いっきまーす!!」

 戦場の真っ只中、エクセレンが地面に向けて青いトゲを振り下ろした。
 すると……!

 戦場の四方八方を目掛けて、地面を走る亀裂。
 そこから溢れ出す青い光。

「な、なんだこれはー!!」

「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」「ウグワー!!」

 光を浴びた兵士たちが、のけぞりながら叫んだ。
 しばらく、戦場はウグワーに支配される。

 そしてすぐに後。
 みんなスンッと冷静な顔になっていた。

「よく考えたら俺は何をしているんだ」

「何か意味あるのかこれ?」

「冷静になってみると戦うなんてバカバカしい……」

 みんな武器をポイ捨てし、動くのをやめた。

「どういうことだ? みんな冷静になっちまったな。これがエクセレンの秩序のトゲの力なのか」

「みたいですねー。兵士の人たちの頭が冷えたみたいです」

 盛り上がっているところに冷水をぶっかけて正気に無理やり戻す。
 これが秩序のトゲの威力だったらしい。

 荒療治も良いところだと思うが、威力は絶大だ。
 なるほど、こりゃあ洗脳されてない人間を戦闘不能にするにはうってつけだな。

「あたいはこんなところで何をしていたんだい……。家に帰って寝よ……」

「いかん、カッサンドラまでスンッとなってしまっている」

「まだ神様がパーティー認定してなかったんですね! 神様ー!! カッサンドラはパーティーですよー!! 対象から外してー!!」

 エクセレンが空に向かって呼びかけると、すぐにカッサンドラがハッとした。

「あ、あたいは一体何を!? 今、頭の中がすごくクリアになって、同時に何もかもが無駄なので日常生活をきちんと丁寧にやって一生を過ごさなきゃって気持ちになったんだけど」

「とんだ秩序であるな」

「神もちょいちょい頭がおかしいのじゃ」

「君たちと行動するようになってから、神がどういう性格なのがよく分かってきた。かなりアバンギャルドな御仁なんだな」

 神の評判が下がっている。
 だが、特に神はそういうのを気にしていないらしい。

「神様は寛大ですからねー」

「うむ。世の中への解像度がちょっと曲がってる気がするが、寛大だというのは同感だな」

 すっかり静かになった戦場。
 あとはディアボラの狂気探知によって、ギャアギャアと暴れている隊長格を正気に戻していくだけとなった。

 一日がかりの仕事であったが、日暮れには兵士たちがぞろぞろと国に戻っていく光景を見ることができた。
 いや、いい仕事をした。

「ふいー! もう動けないよ! 戦場ってのは本来、あたいらみたいな個人でどうにかできるものじゃないんだ! なのにあんたらはなんなんだい。個人の力でどうにかしちまう!」

「俺はどうにかできないが」

「あんたはイケメンだから無罪だよ!」

 理不尽な理由でウインドが許された。
 確かに、ウインドを除くメンバーは、どれもが個人で戦場を支配したりできるな。

「大丈夫ですよ! カッサンドラもできるようになります!」

「いやいや、できるようになりたいって話じゃないからね!? っていうか、あたいもあんたらのメンバーにもう加えられてるのかい……?」

「はい。秩序のトゲの効果の範囲外になったんで、神様が認めたみたいです」

 神公認。
 これは強い。
 曲がりなりにも聖職者であるカッサンドラ。がっくりと肩を落とした。

「神様には逆らえないねえ……」

 こう見えても、敬虔な神の信者なのだった。

パーティー名『エクセレントマイティ』
ランク:A
構成員:六名

名前:エクセレン
職業:エクセレントファイター
Lv:39→41
HP:405→430
MP:300→321
技 :魔技ミサイルスピン クイックドロー バックスタブ パイルバンカーブロウ
エンタングルブロウ
魔法:マジックミサイル(中級):派生ドリルマジックミサイル(中級) ヒール(中級) ライト(中級)
覚醒:シャイニング棍棒4 グランド棍棒インパクト4 グレート棍棒スーンッ4 シャイニング斬 シャイニングアロー シャイニングボム シャイニングカノンナックル
武器:聖なる棍棒(第四段階) 星のショートソード 鋼のトマホーク
 ガイストサーベル 帝国の弓矢 魔王星の欠片 カノンナックル
 スタッフスリング+炸裂弾
防具:チェインメイルアーマー(上質) ドラゴニアンのウェポンラック


名前:マイティ
職業:タンク
Lv:87
HP:1250
MP:0
技 :ガード強化(特級) カバーガード(特級) エリアガード(特級)
   マジックガード(特級) マインドガード(特級) パリィ(特級)
   ガードムーブ(特級) ヘイトコントロール(特級) マッチング(中級)
   ベクトルガード(初級)
魔法:なし
覚醒:フェイタルガード ディザスターガード2
武器:なし
防具:熟練のプレートアーマー、??のビッグシールド、星のマント


名前:ジュウザ・オーンガワラ
職業:ニンジャ(オーンガワラ流アークニンジャ)
Lv:84(レベルアップ間近)
HP:680
MP:535
技 :クリティカルヒット(特級) デックスアーマークラス(特級) ラビットムーブ(特級) フェイタルヒット(中級)
   シュリケンスロー(特級) ハイド&シーク(特級)
魔法:カトン(特級) スイトン(特級) ドトン(特級)
覚醒:クリティカルヒット(極)
武器:投擲用ダガー、星のダガー
防具:なし


名前:ディアボラ
職業:アークメイジ
Lv:154
HP:490
MP:2600
技 :テレポート
魔法:(一部のみ記載)ヒーリングサークル ウォーブレス ステイシスサークル
 メテオフォール ライジングメテオ ボルカニックゲイザー 
 ツイスター メイルシュトローム ランドスライダー
 サンドプリズン コールクア
覚醒:魔法儀式行使
武器:儀式用ダガー
防具:魔将のローブ(サイズSS)、星の帽子


名前:ウインド
職業:アルケミスト・レンジャー
Lv:44→45
HP:269→278
MP:0
技 :調合
魔法:なし
覚醒:なし
武器:弓矢 ダガー 小型ハンマー くさび
防具:レザーアーマー
道具:採集道具 調合道具 ウインドの記録帳
 加工道具

名前:カッサンドラ
職業:エクソシスト
Lv:35
HP:195
MP:130
技 :ウィップスキル ホーリーアロー
魔法:ヒーリング ポイズンイレイザー リムーブカース
 ブレス ホーリーシャイン フォースナックル
覚醒:浄化
武器:聖なるウィップ 聖なるクロスボウ
防具:聖なる帽子 聖なるポンチョ
道具:聖印 聖書 女の七つ道具





しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

「クビにされた俺、幸運スキルでスローライフ満喫中」

チャチャ
ファンタジー
突然、蒼牙の刃から追放された冒険者・ハルト。 だが、彼にはS級スキル【幸運】があった――。 魔物がレアアイテムを落とすのも、偶然宝箱が見つかるのも、すべて彼のスキルのおかげ。 だが、仲間は誰一人そのことに気づかず、無能呼ばわりしていた。 追放されたハルトは、肩の荷が下りたとばかりに、自分のためだけの旅を始める。 訪れる村で出会う人々。偶然拾う伝説級の装備。 そして助けた少女は、実は王国の姫!? 「もう面倒ごとはごめんだ」 そう思っていたハルトだったが、幸運のスキルが運命を引き寄せていく――。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...