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スパイス完全復活編
第87話 嵐の朝に異世界渡り
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「うおおおおお電車が全部止まってるーっ!! 前泊推奨だったかーっ!!」
明け方に起床した俺は電車の発射状況を確認し、絶叫していた。
防音処理がしっかり施されたこの部屋は、騒いでも問題ない。
だから頭を抱えてのたうち回っても平気なのだ!
前泊ってのは、前日宿泊ってことね。
状況的には全然平気ではない。
「外は……台風か!? 凄まじい嵐だ! こりゃあ電車止まるよなあ。……迷宮省からの広報は……大魔将の東京湾到達により、本日は関東圏の交通網を封鎖……!! なるほどーっ! ここで配信者たちが大魔将を片付けられなかったら関東圏終了、片付けられたら封鎖解除かあ! だが、俺はなんとしても配信者の集合地点に向かわねばならないのだ!」
『うおー! 行くしかないですよ主様ーっ!!』
『んだがぁ! 交通機関が無い状態でどう移動するのだあ! フロータのフライトはまだ無いだろうがぁ』
『おかしいですねー。フライトってそんなに高度な魔法でしたっけ? ……あ、歴代の継承者でも三人くらいしか使えないレベルの魔法でしたねー! かなり高度です!』
「この状況で役に立たない自慢はしないでよろしい! うーん、どうしたものか、どうしたものか」
『お兄様、ここはお兄様が助言されるといいのではないでしょうか』
『おっ!? フロッピーちゃん、あっしをお兄様と!? うへへ、仕方ないでやんすねえ……。主ぃ、実はあっしにいい考えが……』
「メンタリス!」
そうだ、うちには新しい魔導書がいたのだった。
現在、他に色々考えてくれそうなシノは、嵐が呼んだ低気圧によってぶっ倒れている。
気圧がダメな人だ。
ここはメンタリスだけが頼みの綱だぞ。
俺は配信の準備をしながら、彼の提案に耳を傾ける。
『簡単でやんすよ。要は、異世界を伝ってそこまで行けばいいでやんす。降りる場所が不確定? 全然そんなことはないでやんす。センスマジックを持ってるでやんすよね? これで移動可能な箇所の決定ができるでやんす!』
「なんとーっ!? それは凄い。シノ! シノさん!! ちょっと長官に連絡を……」
「ううう……こないな低気圧の中でも仕事しなければいかんのやねえ……。つらい~。何もしないで暮らしたい~。いや、それはそれでタイクツやけど……」
シノがスマホを使って、長官に連絡をしてくれる。
快諾してもらえたようだ。
現地に向かっているであろう大京長官が、迷宮省の設定した魔法陣から到着できる場所を、現地に設定してくれることになった。
俺はツブヤキックスで、例の140人に連絡した。
『これから! スパイスは復活しまあす!!』
※『うおおおおおお!!』『いけいけいけいけいけ』『応援してるーっ!』『今日一日スパイスちゃんの配信に張り付きだ!!』
みんな起きてきた。
「それじゃあ、行くか!! メタモルフォーゼ・スパイス! ……心機一転スタートするなら、外ではバーチャライズって言っとく方がいいな」
一旦、同接を回復するまでは魔法の力をことさらにひけらかすのもよろしくはない。
他の配信者に近い存在であるように見せかけて、しばらくは擬態する……!
白黒の螺旋が足元から湧き起こり、それに包まれた俺の姿が変わった。
黒胡椒スパイス、登場!
ここから配信スタートだ。
「どーも! こんちゃー! スパイスだよ!」
※『こんちゃあああああああああ』『スパイスちゃんだああああああ』『元気だった?!』『声は聞いてたけど、姿を見ると安心するー!!』
「うんうん、スパイスもね、みんながいてくれてほんっとーに助かった!! ありがとー!! 愛してるー! ぶちゅぶちゅー!」
※『きゃー投げキッス!』『どけおれのキッスだぞ』『おじさんだぞ』『おじさんでもいい! おじさんでもいいんだ!!』
「ってことで、みんなの前で本邦初公開! 新たなスパイスの力をお見せするぞー。メンタリス!」
『へい! ここでやんす!!』
※『三下魔導書きたー!!』『新顔の力、見せてもらおうか』
『だーれが三下じゃああああああ!?』
『お兄様、落ち着いて下さい』
『うんうん、あっしは落ち着いてるよぉ』
メンタリス、初めてできた妹分らしく、フロッピーにメロメロじゃないか。
『そんじゃあ行きますぜマスター! モードチェンジでやんすよー!』
「おっけー! モードチェンジ・マインド・スパイス!!」
灰色の光が降り注ぎ、スパイスの体を包み込む!
それが晴れて出現したのは、タイトスカートでビジネススーツっぽいスパイスの衣装だ!
メガネが出現してる?
ボリューム感が落ちる分は、スパイスの回りにたくさん浮かんだミニミニなメンタリスが六つあるから、補えてるね!
ちなみにワイシャツっぽい襟元には、大きな白黒柄の蝶ネクタイがついてる。
※『かわいいー!!』『ちびっこスーツだ!』『スパイスちゃんのタイトスカートいいねー』『メガネ! メガネだ!!』『あれっ!? スパイスちゃん、何気に太ももむちむちでは?』
お肉どもめー!!
140人しかいないはずなのになんだこのコメントの流れる速度は!
「おちつけー!! じゃあ行ってみよう! 異世界から現地に向けて移動するよー!! あー、なんか超長い時間いた気がする異世界よ、再び!」
例の異世界と繋がった窓を潜っていく。
まずは向こうの世界に降り立って……。
『主ぃ! 空を飛んで移動でやんす! モンスターの類はこっちで注意しておくでやんすよー!!』
「おっけー!」
『おかしい……。ずっとヘコヘコしてるばかりだったメンタリスがやる気だ……』
『やつめぇ、人が……いや本が変わったかのぉようだあ……!』
『やればできる方だったのです』
フロッピーは先入観なしでメンタリスを応援したもんな!
ということで、レビテーションでふわりと飛び上がったスパイス。
アクセルを掛けて飛翔する。
移動目的の方向は……。
『まずは一発、センスマジックを使うでやんす! こっちの世界に人間たちが魔法陣を敷いたでやんすよね? あれを探すんでやんす。ドラゴン? 出てきたらヤバいでやんすが、マスターに二回もひどい目に遭わされた形になったんで、多分今回は無視してくるでやんす!!』
「なるほどー! 思えばあのグリーンドラゴンとも縁が深いよねえ。今度会ったら名前聞いとこ」
センスマジックで、虹色の波紋が空間に広がっていく。
その中にある、魔力あるものたちを感知する。
そしてちょっと離れたところ……。
森を超えて、沼地を超えた場所にある廃墟に、迷宮省が設置した魔法陣の気配!
「いってみよー!!」
びゅんと加速した。
途中、空を飛ぶハーピーみたいなモンスターの群れに遭遇するけど……。
「ねーむれねむれー! マインドチル!」
チル状態になる魔法を飛ばしたら、みんなスンッとなって地上に降りていってしまった。
「すげー! 魔力もあんまり使ってないのに効果が絶大だあ」
※『魔法の平和利用!』『精神の魔法って邪悪な感じがしたけどぜんぜん違う』『使い手次第なんだねー』マルチョウ『まさに使い手によって用途が変化する、魔法の真骨頂』特上ロース『うちの旦那にも使ってチルらせてあげたい』
「うんうん、精神支配一本やりだった精神の魔女はもったいないやり方してたんだねえ」
『そうでやんすねえ。精神の魔法を使うなら、誰よりもクールでいなければいけないでやんすからねー。格上に通じないのは支配系の魔法だけで、精神を揺さぶる手段は幾らでもあるでやんすし』
「初耳なんだけどー!?」
『歴代のマスターは調子に乗って強い魔法しか使わなかったでやんすからね! 実は強い魔法は効果が分かりやすくて派手で魔力消費が大きいだけで、必ずしも効果的ではないでやんす……! マスターだからこそ特別に教えちゃうでやんすよー!』
「うひょー、大サービスじゃーん! フロッピー様々だなあ」
『なぜ私が……?』
『妹ちゃんは謙虚でやんすねえ……。どこかの武闘派な浮遊の魔導書とは大違い……』
『ゴラァ!! だーれのことですかぁーっ!! 締めたろかーい!!』
『ん落ち着けぇフロータぁ!』
賑やかに騒ぎながら、スパイスたちは現地へ向けて突き進むのだ!
明け方に起床した俺は電車の発射状況を確認し、絶叫していた。
防音処理がしっかり施されたこの部屋は、騒いでも問題ない。
だから頭を抱えてのたうち回っても平気なのだ!
前泊ってのは、前日宿泊ってことね。
状況的には全然平気ではない。
「外は……台風か!? 凄まじい嵐だ! こりゃあ電車止まるよなあ。……迷宮省からの広報は……大魔将の東京湾到達により、本日は関東圏の交通網を封鎖……!! なるほどーっ! ここで配信者たちが大魔将を片付けられなかったら関東圏終了、片付けられたら封鎖解除かあ! だが、俺はなんとしても配信者の集合地点に向かわねばならないのだ!」
『うおー! 行くしかないですよ主様ーっ!!』
『んだがぁ! 交通機関が無い状態でどう移動するのだあ! フロータのフライトはまだ無いだろうがぁ』
『おかしいですねー。フライトってそんなに高度な魔法でしたっけ? ……あ、歴代の継承者でも三人くらいしか使えないレベルの魔法でしたねー! かなり高度です!』
「この状況で役に立たない自慢はしないでよろしい! うーん、どうしたものか、どうしたものか」
『お兄様、ここはお兄様が助言されるといいのではないでしょうか』
『おっ!? フロッピーちゃん、あっしをお兄様と!? うへへ、仕方ないでやんすねえ……。主ぃ、実はあっしにいい考えが……』
「メンタリス!」
そうだ、うちには新しい魔導書がいたのだった。
現在、他に色々考えてくれそうなシノは、嵐が呼んだ低気圧によってぶっ倒れている。
気圧がダメな人だ。
ここはメンタリスだけが頼みの綱だぞ。
俺は配信の準備をしながら、彼の提案に耳を傾ける。
『簡単でやんすよ。要は、異世界を伝ってそこまで行けばいいでやんす。降りる場所が不確定? 全然そんなことはないでやんす。センスマジックを持ってるでやんすよね? これで移動可能な箇所の決定ができるでやんす!』
「なんとーっ!? それは凄い。シノ! シノさん!! ちょっと長官に連絡を……」
「ううう……こないな低気圧の中でも仕事しなければいかんのやねえ……。つらい~。何もしないで暮らしたい~。いや、それはそれでタイクツやけど……」
シノがスマホを使って、長官に連絡をしてくれる。
快諾してもらえたようだ。
現地に向かっているであろう大京長官が、迷宮省の設定した魔法陣から到着できる場所を、現地に設定してくれることになった。
俺はツブヤキックスで、例の140人に連絡した。
『これから! スパイスは復活しまあす!!』
※『うおおおおおお!!』『いけいけいけいけいけ』『応援してるーっ!』『今日一日スパイスちゃんの配信に張り付きだ!!』
みんな起きてきた。
「それじゃあ、行くか!! メタモルフォーゼ・スパイス! ……心機一転スタートするなら、外ではバーチャライズって言っとく方がいいな」
一旦、同接を回復するまでは魔法の力をことさらにひけらかすのもよろしくはない。
他の配信者に近い存在であるように見せかけて、しばらくは擬態する……!
白黒の螺旋が足元から湧き起こり、それに包まれた俺の姿が変わった。
黒胡椒スパイス、登場!
ここから配信スタートだ。
「どーも! こんちゃー! スパイスだよ!」
※『こんちゃあああああああああ』『スパイスちゃんだああああああ』『元気だった?!』『声は聞いてたけど、姿を見ると安心するー!!』
「うんうん、スパイスもね、みんながいてくれてほんっとーに助かった!! ありがとー!! 愛してるー! ぶちゅぶちゅー!」
※『きゃー投げキッス!』『どけおれのキッスだぞ』『おじさんだぞ』『おじさんでもいい! おじさんでもいいんだ!!』
「ってことで、みんなの前で本邦初公開! 新たなスパイスの力をお見せするぞー。メンタリス!」
『へい! ここでやんす!!』
※『三下魔導書きたー!!』『新顔の力、見せてもらおうか』
『だーれが三下じゃああああああ!?』
『お兄様、落ち着いて下さい』
『うんうん、あっしは落ち着いてるよぉ』
メンタリス、初めてできた妹分らしく、フロッピーにメロメロじゃないか。
『そんじゃあ行きますぜマスター! モードチェンジでやんすよー!』
「おっけー! モードチェンジ・マインド・スパイス!!」
灰色の光が降り注ぎ、スパイスの体を包み込む!
それが晴れて出現したのは、タイトスカートでビジネススーツっぽいスパイスの衣装だ!
メガネが出現してる?
ボリューム感が落ちる分は、スパイスの回りにたくさん浮かんだミニミニなメンタリスが六つあるから、補えてるね!
ちなみにワイシャツっぽい襟元には、大きな白黒柄の蝶ネクタイがついてる。
※『かわいいー!!』『ちびっこスーツだ!』『スパイスちゃんのタイトスカートいいねー』『メガネ! メガネだ!!』『あれっ!? スパイスちゃん、何気に太ももむちむちでは?』
お肉どもめー!!
140人しかいないはずなのになんだこのコメントの流れる速度は!
「おちつけー!! じゃあ行ってみよう! 異世界から現地に向けて移動するよー!! あー、なんか超長い時間いた気がする異世界よ、再び!」
例の異世界と繋がった窓を潜っていく。
まずは向こうの世界に降り立って……。
『主ぃ! 空を飛んで移動でやんす! モンスターの類はこっちで注意しておくでやんすよー!!』
「おっけー!」
『おかしい……。ずっとヘコヘコしてるばかりだったメンタリスがやる気だ……』
『やつめぇ、人が……いや本が変わったかのぉようだあ……!』
『やればできる方だったのです』
フロッピーは先入観なしでメンタリスを応援したもんな!
ということで、レビテーションでふわりと飛び上がったスパイス。
アクセルを掛けて飛翔する。
移動目的の方向は……。
『まずは一発、センスマジックを使うでやんす! こっちの世界に人間たちが魔法陣を敷いたでやんすよね? あれを探すんでやんす。ドラゴン? 出てきたらヤバいでやんすが、マスターに二回もひどい目に遭わされた形になったんで、多分今回は無視してくるでやんす!!』
「なるほどー! 思えばあのグリーンドラゴンとも縁が深いよねえ。今度会ったら名前聞いとこ」
センスマジックで、虹色の波紋が空間に広がっていく。
その中にある、魔力あるものたちを感知する。
そしてちょっと離れたところ……。
森を超えて、沼地を超えた場所にある廃墟に、迷宮省が設置した魔法陣の気配!
「いってみよー!!」
びゅんと加速した。
途中、空を飛ぶハーピーみたいなモンスターの群れに遭遇するけど……。
「ねーむれねむれー! マインドチル!」
チル状態になる魔法を飛ばしたら、みんなスンッとなって地上に降りていってしまった。
「すげー! 魔力もあんまり使ってないのに効果が絶大だあ」
※『魔法の平和利用!』『精神の魔法って邪悪な感じがしたけどぜんぜん違う』『使い手次第なんだねー』マルチョウ『まさに使い手によって用途が変化する、魔法の真骨頂』特上ロース『うちの旦那にも使ってチルらせてあげたい』
「うんうん、精神支配一本やりだった精神の魔女はもったいないやり方してたんだねえ」
『そうでやんすねえ。精神の魔法を使うなら、誰よりもクールでいなければいけないでやんすからねー。格上に通じないのは支配系の魔法だけで、精神を揺さぶる手段は幾らでもあるでやんすし』
「初耳なんだけどー!?」
『歴代のマスターは調子に乗って強い魔法しか使わなかったでやんすからね! 実は強い魔法は効果が分かりやすくて派手で魔力消費が大きいだけで、必ずしも効果的ではないでやんす……! マスターだからこそ特別に教えちゃうでやんすよー!』
「うひょー、大サービスじゃーん! フロッピー様々だなあ」
『なぜ私が……?』
『妹ちゃんは謙虚でやんすねえ……。どこかの武闘派な浮遊の魔導書とは大違い……』
『ゴラァ!! だーれのことですかぁーっ!! 締めたろかーい!!』
『ん落ち着けぇフロータぁ!』
賑やかに騒ぎながら、スパイスたちは現地へ向けて突き進むのだ!
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