TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~

あけちともあき

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コラボレーション・きら星はづき編

第102話 パワーアップしたスパイス! 身も蓋もないきら星はづき

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 おっと、お喋りしていたら最初のモンスターが登場!
 これはお約束、勝手に歩き回る人体模型だね。
 しかもそれが……なんだか巨人サイズに大きくなっている。

『主様、相手が魔法生物系のやつならフロートじゃなく、もっと勝手のいいレビテーションが通じますよ! あとは、地味ーに魔法全般がパワーアップしたのと、フォールっていう魔法が増えててですね。詳しい内容は頭の中に直接文面を送ります!』

「助かる~。っていうかフロータずっと無口だったじゃん?」

『こんなとんでもないヤツの隣にいるんですよー! 恐ろしい恐ろしい! ずーっと気配を消してるんですから! 念話するだけでギリギリですからね! ささ、主様、ゴー!』

 フロータに急かされて、前に出るスパイスなのだ。

「じゃあここはスパイスがやってみますね!」

「おおー」

 はづきっちが感心してるような、気の抜けた感じの声を出した。
 配信を見てると、彼女はこういう声を発する時、何も考えてないことが多い。
 ダンジョンで頭からっぽでいられるのは強者の証過ぎる。

「魔導書展開! フロータ!」

 スパイスのカバンから飛び出す、水色の魔導書フロータ。
 それが空をくるくる周りながら、頭上で魔法陣を描き出す。

 スパイスも空に向かって空中に素早く魔法陣を描くと……それが一つになる。
 迫ってくる人体模型に、魔法陣がギュンと飛んでいって炸裂した。

『ウゴ……! ウゴゴゴゴゴゴ!!』

「ラピッド・レビテーション!! 他の相手にもレビテーションできるようになったんだねえ。便利~!」

 人体模型が床から引っ剥がされる!
 猛烈な勢いで浮かび上がったモンスターは、天井に叩きつけられ……。

「アクセルフォール!!」

 そこから床めがけて、音速で落下した。
 衝撃波がバビュンと来たけど、隣りにいるはづきっちが、無造作に手刀で衝撃波を叩き割ったねえ……。
 何やってるんだこの人。
 本人は無意識みたいだ。

『ウグワーッ!!』

 人体模型は粉々!!

「浮かべて落とすだけでこの破壊力になるとは……。凄いことになってしまった」

『主様、魔女二人を倒して魔導書三冊を手に入れてますからね! それに、同接とやらが今とんでもないことになってますから』

 あー、はづきっちの同接パワーのおかげか!

※『すげー!』『魔女じゃん』『魔法少女だ!』『魔法少女おじさんだ!』

 はづきっちのリスナー、お前らも大いに沸いている。
 これはそろそろ、現代魔法ではごまかせないかな……?

「前はこの力が狙われたらどうしよう……とか考えてたんだけど、はづきちゃんを見てたら、強さで突き抜けちゃえばいいんだ! って気付いたんだー」

 ここはやっぱり、背中で手を組みながらもじもじする仕草で、可愛さをアピール!

※『かわいい』『なんたるかわいさだ』『あざとかわいい』

 はづきっちはうんうんと頷き、

「うんうん。力こそ全てだからね」

 これが現役女子高生配信者の返答か……!?

※『はづきっち、変な応答をするなw』『あながち嘘じゃないがはづきっちが言うと洒落にならんw』『あー、見本を見せるために今度ははづきっちが出てきたぞw』

「えー、階段が波打ってて、乗った人を飲み込んじゃうモンスターっぽいので、今度は私が……」

 コメントに向かって、解説しながら伝家の宝刀を抜くはづきっち。
 ゴボウだ。
 あ、いや、配信用のイミテーション、バーチャルゴボウだ。

 あの野菜を武器に、世界の頂点まで上り詰めたきら星はづき。
 その実力をリアルで見せてもらおう!

「あちょ! あちょちょー!」

 間の抜けた気合の声が発された。
 ぺちぺち振り回されるバーチャルゴボウ。
 その一撃一撃が、波打つ階段をまるで豆腐のように砕く!

「一見して腰が入ってないペチペチアタック! なのに効果音がなんかバキィーン!とかドゴォーン!とか聞こえるんだけど!?」

※『おっ、スパイスちゃん、はづきっちは初めてか?』『それがはづきっちだ』『あのペチペチの一回一回が致命的打撃だからなw』

『ウグワーッ!!』

 階段が砕け散り、段数が一つ減った。
 あー、なるほど、このモンスターは……。

「魔の十三階段ってやつだねー」

「スパイスちゃん詳しい!」

「そりゃあおじさんですから! 学校の七不思議とか詳しいよー。さっきの人体模型もそうだねー」

 スパイスが解説すると、はづきっちは目を細めてうんうん頷いた。
 おやあ?
 なんだかお姉さんぶった雰囲気を感じるぞ。

 彼女が近づいてきて、スパイスの頭をなでなでした。
 女性としては背が高めの彼女と、小さいスパイスなので、まさに姉妹みたいな感じになる。

※『現役JKがバ美肉おじさんの頭を撫でる光景』『ハッ、俺もバ美肉したらワンチャン……いや、配信したら死ぬ自信がある』『配信者は実力とセンスと、人並み外れた時の運が必要になるからな。毎年デビューした新人の大半は引退するし、一割は配信中に亡くなってる』

 彼女のリスナーにも、お肉どもみたいなセンシティブ勢や考察に詳しい勢がいるな。
 どこも似たようなものかも知れない。
 頭をナデナデされながら、スパイスはそんなことを考えたのだった!

 さて、ここからは一階の探索!
 ゲストとしては強い配信者としてのはづきっちを大いにもり立てるべきでしょう。
 スパイスは女の子らしい仕草をしてみるのだ。

 はづきっちの後ろから、覗き込む感じで、恐る恐る辺りを見回したりとか。

※『けしからんレベルのかわいさ』『さすがおじさん、外見の良さにおもねらず、仕草でかわいさを演出する技にも長けている』『俺たちのツボを一番心得てるもんな。かわいい』『おじさんなんだよなーと分かっててもかわいい……』

「これは現役女子配信者としての私も危機を覚えねば……」

※『ハハハ現役女子高生配信者、抜かしおる』『はづきっちはかわいいというか、猛女だから対極にいるようなもんだもんなw』『まあ覇王とかそういうキャラだよな』

「な、な、なんだとー!」

※『草』『一瞬で怒ってて草』『図星かw』

 そして到着したのは、一階最終ステージらしき体育館。
 バスケットボールをつく音がしている。

 そこには……。
 ボールをぽんぽんバウンドさせている女の子の姿があった。

 明らかに昭和初期とかそう言う時代の、古い格好。
 全体的に色褪せていて、モノクロに近い。

『主様、上位のデーモンです! かなり強力なやつですよ!』

 フロータが警戒の声を出した。
 だがスパイスはそこまで警戒しないよ!

 例えこっちを向いた女の子の顔が、口しか無いのっぺらぼうでも……。
 いや、ちょっと怖いです!

「ひゃあー」

 思わず悲鳴が出てしまった。
 じっとりしたホラーみたいなのは得意ではないかも知れない!

 で、はづきっちがスパイスを見てニコニコした後、おもむろにデーモンめがけて歩き出した。
 バトルで決着をつけるのかと思ったら……。

※『なんか怪異と1on1のバスケット勝負が始まったんだが?』『この展開は読めなかったな……w』『ちょっと楽しそうだな……w』『どっちも笑ってるw』『怖い怖いw』

 トップクラス配信者は何を考えているか良く分からない!
 とりあえず、体育座りして見学するスパイス。

 何故かこの姿に、コメント欄が大いに沸いた。
 バスケットの試合よりもこっちが注目されてる!
 みんな、センシティブが好きだなあー。

 その後、試合中にはづきっちがパーソナルファウルでデーモンにガツーン!とぶつかったら、向こうが『ウグワーッ!!』と粉砕されてしまった。
 なんてことだ、身も蓋もない。
 世界トップ配信者は全身凶器か?
 パーソナルファウルじゃなくて鉄山靠だったか?

「すごーい! はづきちゃん、体当たりでモンスターをふっ飛ばしたよー! すげー! お相撲さんのぶちかましみたい!」

 はづきっちがなんだか微妙そうな顔をするのだった。
 確かに女子を褒める言葉じゃなかったね……!!
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