ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき

文字の大きさ
161 / 517
年末! 私の色々挑戦編

第161話 事務所でもお試しVR伝説

しおりを挟む
 私は無言で、買ってきた超甘いミルクティを人数分並べた。
 イカルガエンターテイメント事務所のスタジオだ。

 そこには、事務所にいる配信者が全員集められていた……!

「あの、私配信者は引退してるんだけど」

 何か言う受付さんに、ミルクティを飲ませた。

「あまぁい」

 よしよし、反論を忘れたな。

「えー、今から私が体験したVRをみんなでやってみます。ここは割りと新しい活躍の舞台になりそうなので。というのも電車代掛からないのと移動が0時間でできるので」

「なるほどー。それはうちは嬉しいかも……」

「ゲームでしょう? 物足りないわ。私は少し前にちょっとやったけど」

 シカコ氏とビクトリアがそれぞれ違う意見を出してきた。
 
「まあまあ。割りと凄い臨場感だからやってみて。それに私もダンジョン化したゲームに挑んだら、思ったよりやりやすかったんだから」

「なるほど……。で、私たちにも体験させようっていうわけね。主導権を握ってるから、今日のはづきちゃんは堂々としてるわね」

 受付さん理解が早い。

「そうです! これはさっき買ったゲームが入ってるんで、やってみましょうー」

 インキュベーター666は、被っている本人以外にその映像を外部に出力できる。
 まずは私がやってみて、それをみんなに見てもらおうという事になっているのだ。

 VR世界にもダンジョン化の波がやって来てるんだもんなあ。
 ある程度はあそこでも活動しないと、何人も犠牲が出そう。

 私はそう思いながらゲームを起動した。
 これは、この間のダンジョンの舞台になったゲーム、ゾンビハザード6。
 色々なゾンビが出てくるやつだ。

「これねー、現実のダンジョンよりも規則的だし、全然怖くないの。ほら、このフロアとかいかにもーって感じでしょ? ……あれ? う、動きがぎこちない……」

 思ったように動けないぞ……!
 そして武器を取り出そうとしたら、色々操作しなくてはならない。
 ええと、銃? ナイフ? ひい、そんな小さいものでどうやって戦うんだ……。

『ウボアー』

「あっあっモンスター出た! ゾンビ? あひー、なんだこの動きぃ」

「はづき先輩がゲームに翻弄されてる」

「ゲームでリーダーの動きを再現するの無理でしょ」

「分かるわあ。現実よりゲームの方が怖かったりするよねえ。そしていつものはづきちゃんに戻った」

「あひーっ、おたすけ~っ」

 私はゾンビにパクパクっとされてゲームオーバーになってしまった。

「こ、こ、怖かった……。ダンジョンより怖い……」

「現時点で世界トップクラスの配信者がとんでもないこと言ってるわね……。もみじちゃんやってみる?」

「あっはい! じゃあうちも……」

 しばらくして、もみじちゃんが「はひー」と悲鳴をあげてゲームオーバーになった。
 これを見るビクトリアの目が真剣になる。

「難しいみたいね。私に任せて。こう言うゲームはたくさんやってきたの」

 ビクトリアがインキュベーター666をかぶる。
 そして、

「リーダーともみじの匂いがする」

「かがないで~」

「はひー」

 ゲームスタートだ。
 ビクトリアは手慣れた動きで周囲を警戒し、最初のゾンビをハンドガンでクリア。
 ゾンビの体から新しい弾倉を回収し、フロアを攻略していく。

 う、上手い……。
 彼女はアサルトライフルを発見し、軽快にゾンビを処理していく。

 ゾンビの叫び声や足音に反応して素早く振り向き、対応。

「クリア」

 パスコードを発見し、閉ざされた病室をオープン。

「クリア」

 隠し武器ロケットランチャーを発見し、ついにボスと対決……!
 ボスごと、病院が炎に包まれて朽ちていく。
 主人公は囚われていたヒロインとともに病院を脱出する……。

 chapter1 end と表示が出た。

「おほー」
「はひー」

 すっかり観客になっていた私たちは、やんややんやと拍手した。
 照れくさそうにVRマシンを外すビクトリア。

「お約束があるのよ。ゲームだもの。それに、やってる人を怖がらせるように作ってあるのよ。自由に動けないのもその一つだから」

「な、なるほどー。だから自由自在に動ける現実だと怖くなかったんだ……」

「リーダーの場合、出力を1%以下に落とされた状態になるからね……」

「はづきちゃんは常にチートモードで戦ってるもんねえ」

 受付さんがうんうん頷いた。

「でもさ、VRのゲームを基準にしてくる世界なわけじゃない? だったら敵がこういう縛りみたいなのを利用して、はづきちゃんの力を削ごうとしてくるかも。そうなったらマズいでしょ」

「な、なるほどー」

 ありうる……。

「はづき先輩ならそういうの全部踏み潰しそうですけど」

「うん、私も踏み潰すとは思うけどね。だけどもし、ダンジョンに人質がいたら? ゲームを遊んでるプレイヤーの人たちを人質にして、向こうのルールで戦わされたらちょっと厳しくない?」

 ありうる……。

「はづき先輩が心配そうな顔になってる!」

「そのためのビクトリアちゃんでしょ。配信しながら向こうのルールに乗った上で、十分に戦える腕前がある人! 彼女が切り札になるかも。そういう意味でこの集まりは意味があったんじゃない?」

「「「おおー」」」

 受付さんの言葉に、私たち三人が感嘆した。
 この人、やっぱり元配信者だけあって凄いなあ!

 先のことまで考えられてる。
 兄とのガチ恋関連はその先読みが全く働かなくて引退したわけだけど。

 しかし我が家とすごく仲良くなってて、兄は完全に包囲された状態だから、やっぱり先読みしてたのではないか。

「じゃあ受付さんもやってみましょう」

「やってやって」

「えっ? わ、私はほら、ホラーゲーム苦手で……いや、ゲームは得意だけどね? ジャンル的に……うひぃぃぃぃぃぃ」

 その後、インキュベーター666を被った受付さんの絶叫がスタジオに響くのだった。
しおりを挟む
感想 189

あなたにおすすめの小説

マンションのオーナーは十六歳の不思議な青年 〜マンションの特別室は何故か女性で埋まってしまう〜

美鈴
ファンタジー
ホットランキング上位ありがとうございます😊  ストーカーの被害に遭うアイドル歌羽根天音。彼女は警察に真っ先に相談する事にしたのだが…結果を言えば解決には至っていない。途方にくれる天音。久しぶりに会った親友の美樹子に「──なんかあった?」と、聞かれてその件を伝える事に…。すると彼女から「なんでもっと早く言ってくれなかったの!?」と、そんな言葉とともに彼女は誰かに電話を掛け始め… ※カクヨム様にも投稿しています ※イラストはAIイラストを使用しています

昔義妹だった女の子が通い妻になって矯正してくる件

マサタカ
青春
 俺には昔、義妹がいた。仲が良くて、目に入れても痛くないくらいのかわいい女の子だった。 あれから数年経って大学生になった俺は友人・先輩と楽しく過ごし、それなりに充実した日々を送ってる。   そんなある日、偶然元義妹と再会してしまう。 「久しぶりですね、兄さん」 義妹は見た目や性格、何より俺への態度。全てが変わってしまっていた。そして、俺の生活が爛れてるって言って押しかけて来るようになってしまい・・・・・・。  ただでさえ再会したことと変わってしまったこと、そして過去にあったことで接し方に困っているのに成長した元義妹にドギマギさせられてるのに。 「矯正します」 「それがなにか関係あります? 今のあなたと」  冷たい視線は俺の過去を思い出させて、罪悪感を募らせていく。それでも、義妹とまた会えて嬉しくて。    今の俺たちの関係って義兄弟? それとも元家族? 赤の他人? ノベルアッププラスでも公開。

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

処理中です...