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年末! 私の色々挑戦編
第161話 事務所でもお試しVR伝説
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私は無言で、買ってきた超甘いミルクティを人数分並べた。
イカルガエンターテイメント事務所のスタジオだ。
そこには、事務所にいる配信者が全員集められていた……!
「あの、私配信者は引退してるんだけど」
何か言う受付さんに、ミルクティを飲ませた。
「あまぁい」
よしよし、反論を忘れたな。
「えー、今から私が体験したVRをみんなでやってみます。ここは割りと新しい活躍の舞台になりそうなので。というのも電車代掛からないのと移動が0時間でできるので」
「なるほどー。それはうちは嬉しいかも……」
「ゲームでしょう? 物足りないわ。私は少し前にちょっとやったけど」
シカコ氏とビクトリアがそれぞれ違う意見を出してきた。
「まあまあ。割りと凄い臨場感だからやってみて。それに私もダンジョン化したゲームに挑んだら、思ったよりやりやすかったんだから」
「なるほど……。で、私たちにも体験させようっていうわけね。主導権を握ってるから、今日のはづきちゃんは堂々としてるわね」
受付さん理解が早い。
「そうです! これはさっき買ったゲームが入ってるんで、やってみましょうー」
インキュベーター666は、被っている本人以外にその映像を外部に出力できる。
まずは私がやってみて、それをみんなに見てもらおうという事になっているのだ。
VR世界にもダンジョン化の波がやって来てるんだもんなあ。
ある程度はあそこでも活動しないと、何人も犠牲が出そう。
私はそう思いながらゲームを起動した。
これは、この間のダンジョンの舞台になったゲーム、ゾンビハザード6。
色々なゾンビが出てくるやつだ。
「これねー、現実のダンジョンよりも規則的だし、全然怖くないの。ほら、このフロアとかいかにもーって感じでしょ? ……あれ? う、動きがぎこちない……」
思ったように動けないぞ……!
そして武器を取り出そうとしたら、色々操作しなくてはならない。
ええと、銃? ナイフ? ひい、そんな小さいものでどうやって戦うんだ……。
『ウボアー』
「あっあっモンスター出た! ゾンビ? あひー、なんだこの動きぃ」
「はづき先輩がゲームに翻弄されてる」
「ゲームでリーダーの動きを再現するの無理でしょ」
「分かるわあ。現実よりゲームの方が怖かったりするよねえ。そしていつものはづきちゃんに戻った」
「あひーっ、おたすけ~っ」
私はゾンビにパクパクっとされてゲームオーバーになってしまった。
「こ、こ、怖かった……。ダンジョンより怖い……」
「現時点で世界トップクラスの配信者がとんでもないこと言ってるわね……。もみじちゃんやってみる?」
「あっはい! じゃあうちも……」
しばらくして、もみじちゃんが「はひー」と悲鳴をあげてゲームオーバーになった。
これを見るビクトリアの目が真剣になる。
「難しいみたいね。私に任せて。こう言うゲームはたくさんやってきたの」
ビクトリアがインキュベーター666をかぶる。
そして、
「リーダーともみじの匂いがする」
「かがないで~」
「はひー」
ゲームスタートだ。
ビクトリアは手慣れた動きで周囲を警戒し、最初のゾンビをハンドガンでクリア。
ゾンビの体から新しい弾倉を回収し、フロアを攻略していく。
う、上手い……。
彼女はアサルトライフルを発見し、軽快にゾンビを処理していく。
ゾンビの叫び声や足音に反応して素早く振り向き、対応。
「クリア」
パスコードを発見し、閉ざされた病室をオープン。
「クリア」
隠し武器ロケットランチャーを発見し、ついにボスと対決……!
ボスごと、病院が炎に包まれて朽ちていく。
主人公は囚われていたヒロインとともに病院を脱出する……。
chapter1 end と表示が出た。
「おほー」
「はひー」
すっかり観客になっていた私たちは、やんややんやと拍手した。
照れくさそうにVRマシンを外すビクトリア。
「お約束があるのよ。ゲームだもの。それに、やってる人を怖がらせるように作ってあるのよ。自由に動けないのもその一つだから」
「な、なるほどー。だから自由自在に動ける現実だと怖くなかったんだ……」
「リーダーの場合、出力を1%以下に落とされた状態になるからね……」
「はづきちゃんは常にチートモードで戦ってるもんねえ」
受付さんがうんうん頷いた。
「でもさ、VRのゲームを基準にしてくる世界なわけじゃない? だったら敵がこういう縛りみたいなのを利用して、はづきちゃんの力を削ごうとしてくるかも。そうなったらマズいでしょ」
「な、なるほどー」
ありうる……。
「はづき先輩ならそういうの全部踏み潰しそうですけど」
「うん、私も踏み潰すとは思うけどね。だけどもし、ダンジョンに人質がいたら? ゲームを遊んでるプレイヤーの人たちを人質にして、向こうのルールで戦わされたらちょっと厳しくない?」
ありうる……。
「はづき先輩が心配そうな顔になってる!」
「そのためのビクトリアちゃんでしょ。配信しながら向こうのルールに乗った上で、十分に戦える腕前がある人! 彼女が切り札になるかも。そういう意味でこの集まりは意味があったんじゃない?」
「「「おおー」」」
受付さんの言葉に、私たち三人が感嘆した。
この人、やっぱり元配信者だけあって凄いなあ!
先のことまで考えられてる。
兄とのガチ恋関連はその先読みが全く働かなくて引退したわけだけど。
しかし我が家とすごく仲良くなってて、兄は完全に包囲された状態だから、やっぱり先読みしてたのではないか。
「じゃあ受付さんもやってみましょう」
「やってやって」
「えっ? わ、私はほら、ホラーゲーム苦手で……いや、ゲームは得意だけどね? ジャンル的に……うひぃぃぃぃぃぃ」
その後、インキュベーター666を被った受付さんの絶叫がスタジオに響くのだった。
イカルガエンターテイメント事務所のスタジオだ。
そこには、事務所にいる配信者が全員集められていた……!
「あの、私配信者は引退してるんだけど」
何か言う受付さんに、ミルクティを飲ませた。
「あまぁい」
よしよし、反論を忘れたな。
「えー、今から私が体験したVRをみんなでやってみます。ここは割りと新しい活躍の舞台になりそうなので。というのも電車代掛からないのと移動が0時間でできるので」
「なるほどー。それはうちは嬉しいかも……」
「ゲームでしょう? 物足りないわ。私は少し前にちょっとやったけど」
シカコ氏とビクトリアがそれぞれ違う意見を出してきた。
「まあまあ。割りと凄い臨場感だからやってみて。それに私もダンジョン化したゲームに挑んだら、思ったよりやりやすかったんだから」
「なるほど……。で、私たちにも体験させようっていうわけね。主導権を握ってるから、今日のはづきちゃんは堂々としてるわね」
受付さん理解が早い。
「そうです! これはさっき買ったゲームが入ってるんで、やってみましょうー」
インキュベーター666は、被っている本人以外にその映像を外部に出力できる。
まずは私がやってみて、それをみんなに見てもらおうという事になっているのだ。
VR世界にもダンジョン化の波がやって来てるんだもんなあ。
ある程度はあそこでも活動しないと、何人も犠牲が出そう。
私はそう思いながらゲームを起動した。
これは、この間のダンジョンの舞台になったゲーム、ゾンビハザード6。
色々なゾンビが出てくるやつだ。
「これねー、現実のダンジョンよりも規則的だし、全然怖くないの。ほら、このフロアとかいかにもーって感じでしょ? ……あれ? う、動きがぎこちない……」
思ったように動けないぞ……!
そして武器を取り出そうとしたら、色々操作しなくてはならない。
ええと、銃? ナイフ? ひい、そんな小さいものでどうやって戦うんだ……。
『ウボアー』
「あっあっモンスター出た! ゾンビ? あひー、なんだこの動きぃ」
「はづき先輩がゲームに翻弄されてる」
「ゲームでリーダーの動きを再現するの無理でしょ」
「分かるわあ。現実よりゲームの方が怖かったりするよねえ。そしていつものはづきちゃんに戻った」
「あひーっ、おたすけ~っ」
私はゾンビにパクパクっとされてゲームオーバーになってしまった。
「こ、こ、怖かった……。ダンジョンより怖い……」
「現時点で世界トップクラスの配信者がとんでもないこと言ってるわね……。もみじちゃんやってみる?」
「あっはい! じゃあうちも……」
しばらくして、もみじちゃんが「はひー」と悲鳴をあげてゲームオーバーになった。
これを見るビクトリアの目が真剣になる。
「難しいみたいね。私に任せて。こう言うゲームはたくさんやってきたの」
ビクトリアがインキュベーター666をかぶる。
そして、
「リーダーともみじの匂いがする」
「かがないで~」
「はひー」
ゲームスタートだ。
ビクトリアは手慣れた動きで周囲を警戒し、最初のゾンビをハンドガンでクリア。
ゾンビの体から新しい弾倉を回収し、フロアを攻略していく。
う、上手い……。
彼女はアサルトライフルを発見し、軽快にゾンビを処理していく。
ゾンビの叫び声や足音に反応して素早く振り向き、対応。
「クリア」
パスコードを発見し、閉ざされた病室をオープン。
「クリア」
隠し武器ロケットランチャーを発見し、ついにボスと対決……!
ボスごと、病院が炎に包まれて朽ちていく。
主人公は囚われていたヒロインとともに病院を脱出する……。
chapter1 end と表示が出た。
「おほー」
「はひー」
すっかり観客になっていた私たちは、やんややんやと拍手した。
照れくさそうにVRマシンを外すビクトリア。
「お約束があるのよ。ゲームだもの。それに、やってる人を怖がらせるように作ってあるのよ。自由に動けないのもその一つだから」
「な、なるほどー。だから自由自在に動ける現実だと怖くなかったんだ……」
「リーダーの場合、出力を1%以下に落とされた状態になるからね……」
「はづきちゃんは常にチートモードで戦ってるもんねえ」
受付さんがうんうん頷いた。
「でもさ、VRのゲームを基準にしてくる世界なわけじゃない? だったら敵がこういう縛りみたいなのを利用して、はづきちゃんの力を削ごうとしてくるかも。そうなったらマズいでしょ」
「な、なるほどー」
ありうる……。
「はづき先輩ならそういうの全部踏み潰しそうですけど」
「うん、私も踏み潰すとは思うけどね。だけどもし、ダンジョンに人質がいたら? ゲームを遊んでるプレイヤーの人たちを人質にして、向こうのルールで戦わされたらちょっと厳しくない?」
ありうる……。
「はづき先輩が心配そうな顔になってる!」
「そのためのビクトリアちゃんでしょ。配信しながら向こうのルールに乗った上で、十分に戦える腕前がある人! 彼女が切り札になるかも。そういう意味でこの集まりは意味があったんじゃない?」
「「「おおー」」」
受付さんの言葉に、私たち三人が感嘆した。
この人、やっぱり元配信者だけあって凄いなあ!
先のことまで考えられてる。
兄とのガチ恋関連はその先読みが全く働かなくて引退したわけだけど。
しかし我が家とすごく仲良くなってて、兄は完全に包囲された状態だから、やっぱり先読みしてたのではないか。
「じゃあ受付さんもやってみましょう」
「やってやって」
「えっ? わ、私はほら、ホラーゲーム苦手で……いや、ゲームは得意だけどね? ジャンル的に……うひぃぃぃぃぃぃ」
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