199 / 517
フォローアップ! 私の春休み編
第199話 広がる!イカルガエンターテイメント伝説
しおりを挟む
春休みになった。
私たち高校生は、追試や補習がないならば、普通はまったりモードで次の学年への進級を待つばかりなんだけど……。
イカルガエンターテイメント所属になった研修生たちは大忙しだった!!
「ぐわあああああきつい」
イノッチ氏が転がっている。
連日のハードスケジュールで疲れ果てているのだ。
「大丈夫? イノッチ氏。私がもみじちゃんに習って焼いてきたマントウがここにある……。ミルクの甘みを生かしていて美味しいよ」
「た、食べるぅ」
よろよろ起き上がるイノッチ氏。
バーチャライズアバターとのマッチングとか、デビュー時に発表する楽曲の練習とかで大変なことになっている彼女なのだった。
普通に暮らしてたら、絶対に経験しなさそうなことばかりだもんねえ。
……おや?
私はどっちも経験していないが……?
ちなみに既に、イノッチ氏とチョーコ氏のマネージャーが新たに雇われている。
この人は精悍な感じの男性で、女子のマネージャーに男がつくはいかがなものかという説があるのだが、ちゃんと彼は旦那さんがいるので問題ない……。
「自分、今の夫と出会ってなかったら斑鳩さんに夢中になってたと思うんですよね」
「あー、わかりますー。斑鳩様はやっぱりかっこいいですよねー。陰の中にある美しさみたいなー」
男性マネージャーさんがもみじちゃんと、斑鳩論を語り合っている。
ヘビーな斑鳩ファンらしい。
兄はどういう伝手でこういう人たちを見つけてくるんだろう……。
他に、たこやきの知り合いと、イカルガの採用試験をくぐり抜けた人で、プログラム担当が五人くらい集まってきている。
楽曲は外部に依頼をかけて、歌とダンスのレッスンも専門のコーチにお願いして……。
がらんどうだったイカルガエンターテイメントビルが、めちゃくちゃ賑やかになってきているのだ!
一階はサーバーとかが作られて、プログラムをバリバリやってる部屋。レクリーエーション用にエアホッケーと卓球が常備されてる。あとゲーム機多種。
二階が事務所で、社長室も兼ねてる。さらに、レッスンのスタジオもある。
三階が企画室。ここはこれから大きくなっていくらしい。
「あひー、人が増えてるー」
行くたびに設備と人が充実していくので、私は目が回りそうだ!
だけど、一年前ほど人が怖くないので、今はフヒヒと卑屈な笑みを浮かべてペコペコ挨拶するだけで大丈夫。
だが、行き交うみんなは誰もが目に尊敬の色を浮かべて、私に凄くしっかりした会釈とか握手を求めたりしてくるのだ!
なんだなんだ……!?
「憧れのはづきっちと同じ職場で働けるなんて……。最高です!!」
「はづきっちのアバター、改良任せて下さい! シームレスで様々な形態に変化できるようにしますよ!」
「はづきさん! 楽曲を提供したいってアーティストからのアポが……」
「あひー!?」
大変だ。
大変なことになっとる。
私がスタジオを一歩出ると、そんな感じでめちゃくちゃ話を振られる。
慌てて事務所に逃げ込んだ。
「お兄ちゃん! なんでいきなりあんなに人が増えたの……」
「お前の活躍で、イカルガエンターテイメントはビルがもう2つ買えるくらいの収益を得てしまった……」
「あひー」
渋い顔で兄が凄いことを言っている。
「規模も拡大していることだし、人を雇わねばならないだろう。ということで、求人をかけた。俺とマネージャーと受付で試験をし、昨日採用したのが今のメンバーということだ」
「めちゃくちゃ増えてない……?」
「プログラマー五人、男性マネージャー一人、受付補佐二人、営業二人、管理一人。合計十一名増えたな。我が社の規模から考えるとそこまで多くない方だぞ」
「多い~」
見知らぬ人がたくさん働いている環境になってしまっているではないか。
いや、それはそれで、みんな生き生き仕事をしてくれているからいいかなーとは思うんだけど。
ちなみに、求人の応募は凄く多くて、採用倍率は500倍くらいだったらしい。
兄は最後はたくさん集めて、ガラガラポンとビンゴとブラックジャック大会で決めたと言っていた。
たこやきが連れてきたコネの人も、このギャンブル試験は受けて、きちんと合格したらしい。さすが。
「一番運が良かったやつを集めた。これは重要だぞ。配信者をサポートすると同時に、我が社は世界を侵略する異世界との戦いの最前線にいる。運の良さが高いことは重要だ。三度の運任せの採用試験をトップでくぐりぬけた十一名、よりすぐりの運を持っていると言えるだろう」
イカルガエンターテイメントの、全て運任せな採用試験は話題になったらしい。
完全な運なので、極めてフェア。
理由まで説明されて、割りとみんな納得してたとか。
今後、会社の規模が拡大したら二次、三次の募集もあるという話だった。
まだ増えるのかあ!
「それよりもだ。ビクトリアの登録者数が50万人に届きそうだ。記念イベントの企画が進んでいるが、お前の出演がだな」
「あの子いつのまに……」
しれっとイカルガナンバー2の地位にいるじゃないか。
「それから、チョーコさんだがな。彼女の資質は高い。王道の配信者として俺が直々に指導していく予定だ。イノッチはお前の仲間みたいなものだな。デビュー前はしばらく連れ回して指導してやってくれ。別にバレても構わないぞ」
「はーい。もみじちゃんの時と一緒ね」
「そうなる。頼むぞ」
「頼まれた」
ということで、春休みの仕事は忙しくなりそうなのだった。
後日、チョーコ氏がなんか物凄く悔しがってたらしい。
なんでだ。
私たち高校生は、追試や補習がないならば、普通はまったりモードで次の学年への進級を待つばかりなんだけど……。
イカルガエンターテイメント所属になった研修生たちは大忙しだった!!
「ぐわあああああきつい」
イノッチ氏が転がっている。
連日のハードスケジュールで疲れ果てているのだ。
「大丈夫? イノッチ氏。私がもみじちゃんに習って焼いてきたマントウがここにある……。ミルクの甘みを生かしていて美味しいよ」
「た、食べるぅ」
よろよろ起き上がるイノッチ氏。
バーチャライズアバターとのマッチングとか、デビュー時に発表する楽曲の練習とかで大変なことになっている彼女なのだった。
普通に暮らしてたら、絶対に経験しなさそうなことばかりだもんねえ。
……おや?
私はどっちも経験していないが……?
ちなみに既に、イノッチ氏とチョーコ氏のマネージャーが新たに雇われている。
この人は精悍な感じの男性で、女子のマネージャーに男がつくはいかがなものかという説があるのだが、ちゃんと彼は旦那さんがいるので問題ない……。
「自分、今の夫と出会ってなかったら斑鳩さんに夢中になってたと思うんですよね」
「あー、わかりますー。斑鳩様はやっぱりかっこいいですよねー。陰の中にある美しさみたいなー」
男性マネージャーさんがもみじちゃんと、斑鳩論を語り合っている。
ヘビーな斑鳩ファンらしい。
兄はどういう伝手でこういう人たちを見つけてくるんだろう……。
他に、たこやきの知り合いと、イカルガの採用試験をくぐり抜けた人で、プログラム担当が五人くらい集まってきている。
楽曲は外部に依頼をかけて、歌とダンスのレッスンも専門のコーチにお願いして……。
がらんどうだったイカルガエンターテイメントビルが、めちゃくちゃ賑やかになってきているのだ!
一階はサーバーとかが作られて、プログラムをバリバリやってる部屋。レクリーエーション用にエアホッケーと卓球が常備されてる。あとゲーム機多種。
二階が事務所で、社長室も兼ねてる。さらに、レッスンのスタジオもある。
三階が企画室。ここはこれから大きくなっていくらしい。
「あひー、人が増えてるー」
行くたびに設備と人が充実していくので、私は目が回りそうだ!
だけど、一年前ほど人が怖くないので、今はフヒヒと卑屈な笑みを浮かべてペコペコ挨拶するだけで大丈夫。
だが、行き交うみんなは誰もが目に尊敬の色を浮かべて、私に凄くしっかりした会釈とか握手を求めたりしてくるのだ!
なんだなんだ……!?
「憧れのはづきっちと同じ職場で働けるなんて……。最高です!!」
「はづきっちのアバター、改良任せて下さい! シームレスで様々な形態に変化できるようにしますよ!」
「はづきさん! 楽曲を提供したいってアーティストからのアポが……」
「あひー!?」
大変だ。
大変なことになっとる。
私がスタジオを一歩出ると、そんな感じでめちゃくちゃ話を振られる。
慌てて事務所に逃げ込んだ。
「お兄ちゃん! なんでいきなりあんなに人が増えたの……」
「お前の活躍で、イカルガエンターテイメントはビルがもう2つ買えるくらいの収益を得てしまった……」
「あひー」
渋い顔で兄が凄いことを言っている。
「規模も拡大していることだし、人を雇わねばならないだろう。ということで、求人をかけた。俺とマネージャーと受付で試験をし、昨日採用したのが今のメンバーということだ」
「めちゃくちゃ増えてない……?」
「プログラマー五人、男性マネージャー一人、受付補佐二人、営業二人、管理一人。合計十一名増えたな。我が社の規模から考えるとそこまで多くない方だぞ」
「多い~」
見知らぬ人がたくさん働いている環境になってしまっているではないか。
いや、それはそれで、みんな生き生き仕事をしてくれているからいいかなーとは思うんだけど。
ちなみに、求人の応募は凄く多くて、採用倍率は500倍くらいだったらしい。
兄は最後はたくさん集めて、ガラガラポンとビンゴとブラックジャック大会で決めたと言っていた。
たこやきが連れてきたコネの人も、このギャンブル試験は受けて、きちんと合格したらしい。さすが。
「一番運が良かったやつを集めた。これは重要だぞ。配信者をサポートすると同時に、我が社は世界を侵略する異世界との戦いの最前線にいる。運の良さが高いことは重要だ。三度の運任せの採用試験をトップでくぐりぬけた十一名、よりすぐりの運を持っていると言えるだろう」
イカルガエンターテイメントの、全て運任せな採用試験は話題になったらしい。
完全な運なので、極めてフェア。
理由まで説明されて、割りとみんな納得してたとか。
今後、会社の規模が拡大したら二次、三次の募集もあるという話だった。
まだ増えるのかあ!
「それよりもだ。ビクトリアの登録者数が50万人に届きそうだ。記念イベントの企画が進んでいるが、お前の出演がだな」
「あの子いつのまに……」
しれっとイカルガナンバー2の地位にいるじゃないか。
「それから、チョーコさんだがな。彼女の資質は高い。王道の配信者として俺が直々に指導していく予定だ。イノッチはお前の仲間みたいなものだな。デビュー前はしばらく連れ回して指導してやってくれ。別にバレても構わないぞ」
「はーい。もみじちゃんの時と一緒ね」
「そうなる。頼むぞ」
「頼まれた」
ということで、春休みの仕事は忙しくなりそうなのだった。
後日、チョーコ氏がなんか物凄く悔しがってたらしい。
なんでだ。
20
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる