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ワンザブロー帝国編
第25話 解放の達人とは音ゲーな
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今回はいつもとちょっと違う、そんなチュートリアル空間にやって来た。
目の前には、走ってこようとする奴隷たちが時間停止されて並んでいる。
隣にはルミイがいて、きょろきょろしていた。
「うわー! 今度のところはきれいですねえ!」
「ああ。ルミイには初めてだろうな」
背景は黒く染められ、星空のように小さな光源が無数に瞬いている。
奴隷が走ってくる道だけが青く光り、道の外縁は蛍光ピンクのラインが引かれていた。
「これは……あれだな。リズムゲー……。音ゲー……。そうか、つまり、スレイブリングを破壊する作業は音ゲーなのか!」
俺、天啓を得たり!
手にしていた魔法使いの装備を地面に落とし、その中から細い棒みたいなのを二刀流で構えた。
「マジックワンドですね! 特殊機能はないですけど、魔法の発動体として使われるみたいです!」
「ほうほう。特殊機能が無いからこんなに小さいんだな。だが、それが今はありがたい。じゃあ、スタート!」
俺が声を発すると、奴隷たちが動き出した。
彼らは必死な形相で流れていく。
スレイブリングが、緑色に輝いているではないか。
これをワンドでコツンと叩いた。
『Good!』
「おー、音ゲーだ」
不思議な感慨にふけりながら、俺は棒を使っていく。
『Poor!』
おっと、失敗した奴隷が爆発した。
こりゃあリスクと隣合わせだ。
しっかり練習していかないとな。
「ほええええ! 今回はわたしは無理ですよう!!」
ルミイが最初からギブアップして、俺の後ろで見学モードになった。
音ゲーは特殊な訓練を積んでいないとコンプリートできないからな……!
その特殊訓練とは、今回のパターンなら、流れてくるバーを覚えること。
そして素早く反応し、適切なタイミングで叩くこと。
『Excellent!』
「このタイミングか!」
掴んだぞ!
何度もチュートリアルを繰り返し、素早くExcellentを叩き出せるようにしていく。
体に覚え込ませるのだ。
そして後半戦。
俺が最も多くPoorを叩き出したゾーンだ。
ここで、疲れてぶっ倒れる奴隷が増えてくる。
つまり、俺が駆け寄りながらスレイブリングを叩く必要があるわけだ。
自分の動きと、変化するステージと、体勢の異なる奴隷と、時間制限!
なるほど、ハードモードだ!
だが、練習さえできればいける!
駆け寄った俺が、スレイブリングを素早く叩いた。
緑色から赤色の点滅に変わりつつあったリングが、それで解除される。
俺に叩かれたリングは全て、機能を失って地面に落ちていた。
Goodだと機能の一時停止のみ。
Excellentなら、完全な破壊が可能だ。
ヘルプ機能曰く、スレイブリングを構成するある種の魔力が、特定のタイミングで打ち込まれるショックと特定の周波数によって無効化されるのだそうだ。
魔法もまた、物理法則みたいなのがあるんだなあ。
原理は分からんが、解除はできる。
そういうものなんだろう。
ちなみにルミイは、単純作業の見学に飽きて寝てしまっていた。
なんたる豪胆さ。
やはりバーバリアンの血が流れている。
チュートリアルは自分がやってこそだな。
他人の練習風景など、見ていても面白いものでは無いだろう。
さて……。
最後に一通りやってみるとするか。
「最初からスタート」
チュートリアルの時間が再び戻っていく。
そして頭から、奴隷の突進が始まった。
都市の支配者グユーンからすると、見世物になる死の突進というわけか。
いやあ、実に悪趣味だ。
相手を人間だとは考えてもいないのだな。
例え人間では無かろうと、俺は戯れで生き物を殺すのは好かない。
可能なら美味しく頂いて供養したい。
何事にも例外はあるが……っと!
意識を他に割いている場合ではない。
流れてくる奴隷の波の中を、二本のワンドでダンスする俺。
Excellent! Excellent! Excellent! Excellent! Excellent! Excellent! Excellent!
解除されたスレイブリングが、次々地面に落ちていく。
そして突入する後半戦だ。
自分が動き出すタイミングまで、バッチリ覚えた。
前進しながら、倒れていく奴隷たちのスレイブリングを無駄なく叩く。
Excellent! Excellent!
ここからは子どもゾーン。
子どもの奴隷は体が小さく、リングのサイズも小さい。
体力の無い彼らは、走ってくる列の最後になり、しかも倒れ込んでいく。
ありとあらゆる、難しい要素が詰まっている。
最後の難関というわけだ。
だが!
Excellent!
このチュートリアルをマスターした俺には!
Excellent!
イージーな課題なのだ!
Excellent!
というか、子どもにまでこういうのを付けて走らせるとは。
魔法使い連中の性格は本当に腐りきってやがるな!
『Perfect!!』
チュートリアルモードのシステム音声が鳴り響いた。
暗かった背景が明るく輝き、太陽が登ってくる演出が行われる。
祝福の音楽が聞こえてきたので、寝ていたルミイがビクッとして起きた。
キョロキョロしている。
「な、なんですか! 何があったんですか!」
「俺がマスターしたんだ。あと何回か繰り返して、ちょっと休憩したら行くぞ」
「ま、まだやるんですかあ!? あのう、わたし、もうちょっと寝てていいですか?」
「いいよ!」
うーむ、豪胆!
まあ、今回はルミイができることはないしな。
そして俺は、満足行くまで自分の技量を鍛え上げた。
「よし、チュートリアル完了! 戻るぞ! 魔法使い諸君には、俺の美技に酔いしれてもらうことにしよう!」
目の前には、走ってこようとする奴隷たちが時間停止されて並んでいる。
隣にはルミイがいて、きょろきょろしていた。
「うわー! 今度のところはきれいですねえ!」
「ああ。ルミイには初めてだろうな」
背景は黒く染められ、星空のように小さな光源が無数に瞬いている。
奴隷が走ってくる道だけが青く光り、道の外縁は蛍光ピンクのラインが引かれていた。
「これは……あれだな。リズムゲー……。音ゲー……。そうか、つまり、スレイブリングを破壊する作業は音ゲーなのか!」
俺、天啓を得たり!
手にしていた魔法使いの装備を地面に落とし、その中から細い棒みたいなのを二刀流で構えた。
「マジックワンドですね! 特殊機能はないですけど、魔法の発動体として使われるみたいです!」
「ほうほう。特殊機能が無いからこんなに小さいんだな。だが、それが今はありがたい。じゃあ、スタート!」
俺が声を発すると、奴隷たちが動き出した。
彼らは必死な形相で流れていく。
スレイブリングが、緑色に輝いているではないか。
これをワンドでコツンと叩いた。
『Good!』
「おー、音ゲーだ」
不思議な感慨にふけりながら、俺は棒を使っていく。
『Poor!』
おっと、失敗した奴隷が爆発した。
こりゃあリスクと隣合わせだ。
しっかり練習していかないとな。
「ほええええ! 今回はわたしは無理ですよう!!」
ルミイが最初からギブアップして、俺の後ろで見学モードになった。
音ゲーは特殊な訓練を積んでいないとコンプリートできないからな……!
その特殊訓練とは、今回のパターンなら、流れてくるバーを覚えること。
そして素早く反応し、適切なタイミングで叩くこと。
『Excellent!』
「このタイミングか!」
掴んだぞ!
何度もチュートリアルを繰り返し、素早くExcellentを叩き出せるようにしていく。
体に覚え込ませるのだ。
そして後半戦。
俺が最も多くPoorを叩き出したゾーンだ。
ここで、疲れてぶっ倒れる奴隷が増えてくる。
つまり、俺が駆け寄りながらスレイブリングを叩く必要があるわけだ。
自分の動きと、変化するステージと、体勢の異なる奴隷と、時間制限!
なるほど、ハードモードだ!
だが、練習さえできればいける!
駆け寄った俺が、スレイブリングを素早く叩いた。
緑色から赤色の点滅に変わりつつあったリングが、それで解除される。
俺に叩かれたリングは全て、機能を失って地面に落ちていた。
Goodだと機能の一時停止のみ。
Excellentなら、完全な破壊が可能だ。
ヘルプ機能曰く、スレイブリングを構成するある種の魔力が、特定のタイミングで打ち込まれるショックと特定の周波数によって無効化されるのだそうだ。
魔法もまた、物理法則みたいなのがあるんだなあ。
原理は分からんが、解除はできる。
そういうものなんだろう。
ちなみにルミイは、単純作業の見学に飽きて寝てしまっていた。
なんたる豪胆さ。
やはりバーバリアンの血が流れている。
チュートリアルは自分がやってこそだな。
他人の練習風景など、見ていても面白いものでは無いだろう。
さて……。
最後に一通りやってみるとするか。
「最初からスタート」
チュートリアルの時間が再び戻っていく。
そして頭から、奴隷の突進が始まった。
都市の支配者グユーンからすると、見世物になる死の突進というわけか。
いやあ、実に悪趣味だ。
相手を人間だとは考えてもいないのだな。
例え人間では無かろうと、俺は戯れで生き物を殺すのは好かない。
可能なら美味しく頂いて供養したい。
何事にも例外はあるが……っと!
意識を他に割いている場合ではない。
流れてくる奴隷の波の中を、二本のワンドでダンスする俺。
Excellent! Excellent! Excellent! Excellent! Excellent! Excellent! Excellent!
解除されたスレイブリングが、次々地面に落ちていく。
そして突入する後半戦だ。
自分が動き出すタイミングまで、バッチリ覚えた。
前進しながら、倒れていく奴隷たちのスレイブリングを無駄なく叩く。
Excellent! Excellent!
ここからは子どもゾーン。
子どもの奴隷は体が小さく、リングのサイズも小さい。
体力の無い彼らは、走ってくる列の最後になり、しかも倒れ込んでいく。
ありとあらゆる、難しい要素が詰まっている。
最後の難関というわけだ。
だが!
Excellent!
このチュートリアルをマスターした俺には!
Excellent!
イージーな課題なのだ!
Excellent!
というか、子どもにまでこういうのを付けて走らせるとは。
魔法使い連中の性格は本当に腐りきってやがるな!
『Perfect!!』
チュートリアルモードのシステム音声が鳴り響いた。
暗かった背景が明るく輝き、太陽が登ってくる演出が行われる。
祝福の音楽が聞こえてきたので、寝ていたルミイがビクッとして起きた。
キョロキョロしている。
「な、なんですか! 何があったんですか!」
「俺がマスターしたんだ。あと何回か繰り返して、ちょっと休憩したら行くぞ」
「ま、まだやるんですかあ!? あのう、わたし、もうちょっと寝てていいですか?」
「いいよ!」
うーむ、豪胆!
まあ、今回はルミイができることはないしな。
そして俺は、満足行くまで自分の技量を鍛え上げた。
「よし、チュートリアル完了! 戻るぞ! 魔法使い諸君には、俺の美技に酔いしれてもらうことにしよう!」
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