召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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スリッピー帝国編

第53話 道案内は女性部隊から

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 スリッピー帝国の荒野を疾走する魔導バギー。
 俺たちが乗ってた魔導カーよりデカくてパワフル。
 速度は変わらないけどな。

 運転席は金属製の天井と窓に覆われているが、俺たちが座る兵員輸送用的な場所は、幌だ。
 で、幌に半透明なところがあり、そこがペリッとめくれる。

 マジックテープでくっついてるじゃん……。
 魔法の世界なのに、地球みたいな技術が存在していて驚きである。

 そうか、魔法じゃなくて工学的な感じで作っていたから、スリーズシティは公害を垂れ流していたんだな。
 全部都市の外に放り出すので、今のところは都市内が臭いだけで済んでいる。
 対策はこれからということだろう。

 おお、窓から入ってくる風は普通だな。
 臭くない。

「マナビ氏は、軍にまで手を伸ばしていた強力なスパイを倒しましたが」

「お、おう」

 いきなり兵士から話しかけられてビクッとした。
 やめてくれ。
 俺は予想外のことに弱いんだ。

「マナビ氏は異世界召喚者だと聞きます。我々はあなたに対する警戒を完全には解いていないが……。それでも、異世界召喚者が本気を出せば並の兵士など相手ではないでしょう」

「お、おう」

 この話どういう展開になるの?

「チュートリア」

「マナビさん、人との会話でそれは意味ないですよ!」

「そうだった……」

 チュートリアルモードはコミュニケーションには使えないのだ。
 俺の弱点、露呈!!

「だが、今は感謝をしたい。ありがとう」

 兵士代表がこう告げ、続く兵士たちが皆うなずいた。

「お、おう」

「どんなに危機的な状況でもうろたえないマナビがうろたえてるのだー」

「俺はこういう普通の状況の方が困るんだ」

「あー、マナビさんっぽいですよねえ」

 俺っぽいって何だ。
 すると、話を聞いていた教授とおっさんがこっちの話に加わってくる。

「マナビくん、何を言われているか分からないだろうが、それは間違いないぞ。すぐに分かる。君は正しくこの帝国を救ったのだ」

「おうおう、女を支配しちまう能力者だったんだろ? それじゃあ、救国の英雄じゃねえか。ほんと、スリーズシティで事が片付いて良かったぜ」

「お、おう」

「マナビがうろたえているのだ! どこにうろたえる要素があるのだ? お礼を言われているだけなのだ」

「こうやってまともにお礼を言われたりしないから困ってるんですよ。人の善意がマナビさんの弱点なんですよー。正体を現しちゃいますからね」

 人をそういう妖怪みたいに言うんじゃない。
 で、教授たちが話した事がどういう意味なのか、すぐに分かってしまった。

 魔導バギーを迎えるように、魔導カーの部隊が走ってきたのだ。
 車っぽいのとバイクっぽいのが揃っている。

 で、乗員がみんな、教授よりも小さい。
 いや、教授がでかいだけなんだが。
 それでも、比較的小柄な兵士ばかりいる。

 そいつらがゴーグルを外すと、女であったことが明らかになる。
 なんと、これは女性ばかりの部隊だったのだ。

「ユニコーン部隊、お迎えに上がりました」

「お疲れ様」

 教授が鷹揚に返事をする。
 おや?
 この教授、軍でも偉い人なのではないか?

「分かったかね?」

「今のやり取りで何が分かったと言うんだ。俺は危機的な状況の察しと理解だけは非常に早く正確で予知とまで言われるレベルでやれるが、日常では何も分からないんだぞ」

 ルミイが嬉しそうに頷いた。
 どうやら俺についてのイメージが、俺の自己紹介と解釈一致だったらしい。

「つまりだな。皇帝直轄の部隊であるユニコーン部隊は、女性兵士で構成されているということだ。ここにかの能力者が接触したらどうなっていたかね?」

「全滅だな。で、皇帝まで直で届く」

「うむ。そうなれば帝国は終わりだ。相手の意志を保ったまま、思考の方向性を操る恐るべき能力者にとって、スリッピー帝国は実に与し易い相手であったろう。そして君があの男を倒した翌々日、彼女たちはスリーズシティを訪れる予定だったんだ」

「ははあ、ギリギリで帝国の終わりを免れたと。運がいいじゃない」

「ああ、全くだな」

「あんたが来なかったらどうなっていたことか!」

 教授とおっさんが笑った。
 ちなみに、ユニコーン部隊の女性兵士は、俺を胡散臭そうに見ている。

「この魔力を全く持たない男が、スリッピー帝国の救い主だと言うのですか? にわかには信じられません……」

「ですよねー」

 ルミイが嬉しそうにうんうんうなずいた。
 またも解釈一致か。

 この娘さん、俺に対する解像度が高すぎない?
 まだ俺と会って日が浅いカオルンは、話についていけずに首を傾げるばかり。

「魔力の有無って意味があるのだ? どんな凄い相手でも首を落としたり凄い攻撃を仕掛けたら死ぬのだ。最期は能力は関係なくなるのだ」

 血なまぐさい話をする人だ。
 だがそれは真実だよな。

 戦う時は、相手を侮ったやつから死ぬのだ。
 今まで全部これだったから間違いない。
 俺はずっと侮られてたし。

「彼はワンザブロー帝国を崩壊させた男だぞ」

「えっ、そ、そうなんですか!? 一体どうやって!?」

 女性兵士が、信じられない……という目を向けてくる。
 うむうむ、そうやって侮ってくれるのはありがたい。

 何かあった時、楽に勝てるからな。

 こうして魔導バギーは皇帝直轄部隊という護衛を得つつ、帝都に到着するのだった。
 なるほど、彼女たちがいれば楽に入国できるわけだな。

 合理的……!
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