召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

文字の大きさ
136 / 196
フィフスエレ帝国跡編

第136話 地図とフラグと目覚めのチュー

しおりを挟む
 バーバリアンと合流し、膨れ上がった俺たち。
 この集まりをなんと呼べばいいのか。

「君の能力にちなんでチュートリアル連合とか名付ければいいんじゃないかな」

「頭いいな義兄」

 双子にナイスな提案をされたので、これを採用する。
 我らチュートリアル連合は、並み居る魔獣を粉砕しつつ、フィフスエレ帝国をひたすら横断。
 この国はそこそこな広さがあるのだが、ちょうど国土がくびれている部分があるのだ。

「上空から見るとこのような光景に。俺たちは既に半ばを過ぎており、この速度なら明後日にはシクスゼクスに抜ける」

 ヘルプ機能から展開した地図を空に浮かべ、チュートリアル連合の首脳陣に見せるのである。
 時間はドミニクに合わせて夜。

 空の地図を見て、みんなが「オー」とどよめくのだった。

「どういう魔法なのかは知りませんが、これは分かりやすい。残り日数も明確ならば、信徒たちの士気も保てましょう」

 うんうん頷くドミニク司祭。

「なーるほどな。お前はちょうど、この通りやすいところを狙ってたってわけか。頭が切れる男だ」

 バルクもまた、感心して唸った。
 この地図が正確であることは、双子が風の精霊を纏って舞い上がり、上空から確認済みだ。

 うちの義兄たちはなんでもできるな。
 なんて便利なんだ。

「わたしも色々できますよう!」

 ルミイが横でぷんすか怒っている。
 君は色々できるかもしれないが、全面的に仕事を任せるのはどうも不安でな……!

「夜なのだー! カオルンのお仕事タイムなのだー!」

 昼寝をしていたカオルンが目覚めて動き出す。
 ドミニク司祭、アンデッドたちが活躍するのは、夜間の警備だ。

 彼らとカオルンが合わされば百人力である。

「ドラゴンでも出て来ない限りは大丈夫だな。こっちの戦力がとても強い。だがこういうことを言ってるとドラゴンが出てくるんだ」

 地図を見る集まりが終わった後、一人でフラグについてぶつぶつ言う俺である。
 そうしていると、横にアカネルがやってきて腰掛けた。

「マスター、当機能は思い出したのですが」

「なんだなんだ」

「フィフスエレにはルミイのお姉さんがいるはずでは」

「あっ、そうだったっけ」

 その名はエリイ。
 恋を求めて、単身フィフスエレに乗り込んだ女豪傑。
 凍土の王国で聞いたような……。

 兄弟の順番的に、双子の王子が一番目と二番目。
 エリイがルミイの一個年上の姉……ということは、外見年齢はアカネルと同い年くらいか。
 末っ子のルミイが続くと。

 凄い兄妹である。
 近々全員揃いそうな予感もする。

 バルクもきっと、エリイを探していたのだろうが、今のところは見つけられていない。

 双子の義兄曰く、

「エリイは魔法はからっきしだけど、何故か精霊と仲が良くってね。お願いで言う事を聞かせられるんだ」

「身体能力は父のそれに近いね。女性としては凍土の王国最強じゃないかな」

「兄妹にまだ恐ろしい逸材が残ってたんだな……。ルミイはルリファレラ似で、エリイがバルク似か」

「そうなるね」

 両親のいいところを全部受け継いだ双子がそう言って笑うのだ。
 ちなみに夜間は馬車は止まり、バーバリアンたちは地面で雑魚寝である。

 襲撃があれば起きてきて戦う。
 なければずっと寝ている。

 双子も例外ではない。
 バルクだけはドミニク司祭の馬車に寝泊まりしているが、これは司祭からの好意であると同時に、彼が外に出ているときの棺の守りを任せる意味もある。

 そろそろ、周りのバーバリアンもぐうぐうと寝始めた。
 俺も寝る頃合いである。

「よしアカネル、寝よう寝よう」

「寝ましょうか。これが淫靡な意味合いの寝るだったら当機能の胸もときめくのですが、ロマンチックではない場所での初体験を望みませんので」

「さいですか」

 なんかぺちゃくちゃ言っているアカネルを連れて馬車に入ると、ルミイは完全に爆睡している。
 よく食べ、よく寝る子だ。

 俺とアカネルも横になり、夢の世界に落ちていくところで、遠くから剣戟が聞こえてきたのだった。
 おお、やっとるやっとる。
 だが、真・カオルンが活躍している。何も心配することはあるまい。

 明け方頃に目が覚めると、御者台で寝ていたナルカがごそごそと起き出すところである。

 ルミイも目覚め、なんだか二人で連れ立って木々の間に移動していく。
 あれは朝に出すものを出すやつだな。
 女子は仲良く一緒に行動するのかもしれん。

 というか、いつの間に仲良くなったのだ。

 二人がいない間に、アカネルを起こすなどする。
 そうしている間に、ひと仕事終えたカオルンが戻ってきて、俺を発見した。

「マナビー! 頑張ったのだ! 魔獣が割りとたくさん出てきたのだ! でも、ちょっとずつ襲撃は減ってるのだなー」

「あっちも痛い目に遭い続けて覚えたんだろう。おつかれおつかれ。ゆっくり寝るといい」

「ウンウン、朝ごはん食べたら寝るのだー。あと、先にお休みのキスをしとくのだ!」

 ということで、大変濃厚なチューをされてしまった。
 キス魔だ!

 あまりにキスの時間が長いので、横で寝ていたアカネルがカッと目を見開いてこれを見ているではないか。

「な、なな、なんということですか! 当機能の目覚めに脳を破壊してくるようなシーンを見せつけるなんて! 当機能は猛烈に抗議します! そしてマスターとのキスを要求します! えいやー!!」

「ウグワー!」

 アカネルに押し倒されて、猛然とチューをされる俺である。
 そうすると、今度はルミイが戻ってきて。

「あっ、みんなでマナビさんにキスしてるんですか? じゃあわたしもやります! マナビさーん。あなたー。おはようのチューですよー」

「ウグワー!」

 ということで大変なことになってしまったのだった。

 これを、ナルカが呆れ顔で眺めているのである。

「モテる男は大変だねえ……。体を壊さないようにがんばんなよ……」

 その体を壊さないように、には複数の意味が込められているよな?
 こうして、旅はフィフスエレ横断最終日へ。

 お約束と言うかなんというか。

 ここで俺たちは、ドラゴンと邂逅することになるのだ。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました

御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。 でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ! これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...