148 / 196
フィフスエレ帝国跡編
第148話 眷属と戦闘と超必殺技
しおりを挟む
黒竜は、なんらかの手段で状況が変化していると察知したんだろう。
突然、黒い瘴気のカタマリみたいなのが三つ、こっちに飛んできた。
「ドラゴニュートだ!」
「気をつけろ!」
双子が叫ぶ。
彼らの言う通り、瘴気のカタマリは地面に落ちると同時に形を成した。
人型のドラゴン、みたいなのが三体現れる。
こいつらが、ルインマスターの眷属というわけだ。
形を成したドラゴニュートは、俺しか見ない。
『主が命じた。邪魔者を倒せと』
『仲間が巻き込まれることを恐れ、力を振るわぬ者を倒せと』
『あの者が力を発揮できぬうちに倒せと』
「ほう、よく覚えていたなあ」
俺がルインマスターと相対した時、勝てるが、仲間が全滅するという結果をチュートリアルで導き出した。
これを黒竜が覚えていたんだろう。
で、俺が良からぬ企みを進め、ルインマスターを追い出そうとしている事を察知した。
アカシックレコードを知るドラゴンだ。
それくらいの事、分かってもおかしくはない。
そこで派遣してきたドラゴニュート三体。
これで俺を仕留められると踏んだか。
「何言ってやがる! うりゃあ!!」「うおおー!!」「死にさらせー!!」
空気を読まず、飛びかかってくるバーバリアンたち!
こいつらもかなり強いんだがなあ。
しかし、ドラゴニュートには勝てないのでは?
『笑止』「ウグワーッ!!」
あっ、一人が腹を貫かれた!
マンガとかでよく見るやられ方だ。
『その程度の力で』「ウグワーッ!!」
おっ、今度は迎撃の踵落としで、地面にめり込んでいる。
『我らに抗おうなど』「ウグワーッ!!」
最後の一人は頭を掴まれて、ぎゅっと握りつぶされ……そうなところで、俺はそのドラゴニュートをネクタイブレードでペイっと斬った。
『ウグワーッ!?』
縦に真っ二つになって死ぬドラゴニュート。
『は?』『は?』
愕然としながら、残る二体のドラゴニュートが振り返った。
「不思議か?」
俺は彼らに向かって不敵に笑ってみせた。
「お前らドラゴニュートは、喉のこのあたりに逆鱗があってな。そこを中心にした線をこうやって切ると一撃で死ぬ」
俺は丁寧に解説してやった。
あからさまに動揺するドラゴニュート。
『バカな』
『そんな事実はない。でたらめだ』
「おう、さっきまでは無かった。だが、今はある」
俺はチートモードを使ったのだ。
世界は改変された。
ぶっ倒されたバーバリアンは、既にエルフチームが助けに向かっている。
ドラゴニュートに背中を向けて、彼らを癒やす形になるが……。
黒竜の眷属たちは、俺から目を逸らすことなどできないのだ。
『話が違う』
『主は、この男が何なのかを把握できていない』
そりゃあ、手の内を晒さなかったからな。
『作戦行動を行う。殲滅を開始……』
そこに、真・カオルンが飛び込んできた。
「カオルンもいるのだ! それそれ!」
回転しながら、銀色の竜巻みたいになったカオルン。
真っ向からドラゴニュートを弾き飛ばす。
『ウグワーッ!? な、なんだこれは……!!』
「ルインマスターからすると誤差くらいの強さだったんだろうが、ドラゴニュートにはちょっと荷が重いだろ、うちの最強の嫁は」
カオルンとドラゴニュートは飛び上がり、空中戦を開始する。
だがまあ、カオルンの方が速く、鋭い。
徐々にドラゴニュートは押し負けて、ついにカオルン優勢に。
そうなれば決着は一瞬だ。
『ウ……ウグワーッ!!』
断末魔が響き、ドラゴニュートがバラバラになって落下してきた。
それと同時に、静かに進行していた戦いがある。
禍々しい形のナイフを構えたナルカと、ドラゴニュートの戦いである。
当たれば必殺のドラゴニュート。
だが、その動きを、ナルカは死の魔眼で見切る。
「あたいの目は、致命的な攻撃ってのも見えるんでね。つまり、あたいの死を回避するように動けばいいってことさ」
鮮やかに回避しながら、ナルカはナイフでドラゴニュートを切り刻む。
本来ならば、黒竜の眷属の鱗を貫くはずがない素材だ。
だが、ナルカに見えるのは、相手を殺せるポイント。
そこを突けば、どんなものであろうと相手を殺すことが出来る。
『話が違う……!! こんなことが……。偉大なる黒竜の眷属たる我らが、このように……』
「相性っつってな。単体のスペックのみならお前らのほうが強いだろうが、タイマンだったり、今みたいに精神のバランスを崩してると、お前らでも人間に負けるのよ。あと、カオルンは普通にお前らより強い」
『そんな……』
ドラゴニュートが絶望したような顔をした。
その首がスポーンと飛んだ。
ナルカが決めたのだ。
「ふうーっ……。とんでもない相手だったねえ……。一発もらったら死ぬとか、そんなの勘弁してほしいよ。あたいはまだ生身だってのに」
「当たらなければどうということはないだろう」
「知ったふうに言うねえマナビ。というかあんたが一番おかしいよ。なんで一撃で倒してるんだい?」
「俺に背を向けたのでサラッと一発で」
チートモードで軽く練習したけどな。
黒竜ならともかく、その眷属は相手にならないでしょ。
さて、ここで、アカネルとルミイから声が上がった。
「コンボの達人、ルインマスターとの交戦を開始しました!」
「精霊さんが言ってますよ! なんか凄い力みたいなのがあの人間から溢れてくるって!」
「おっ、来るぞ、超必殺技(スーパーコンボ)!」
突然、黒い瘴気のカタマリみたいなのが三つ、こっちに飛んできた。
「ドラゴニュートだ!」
「気をつけろ!」
双子が叫ぶ。
彼らの言う通り、瘴気のカタマリは地面に落ちると同時に形を成した。
人型のドラゴン、みたいなのが三体現れる。
こいつらが、ルインマスターの眷属というわけだ。
形を成したドラゴニュートは、俺しか見ない。
『主が命じた。邪魔者を倒せと』
『仲間が巻き込まれることを恐れ、力を振るわぬ者を倒せと』
『あの者が力を発揮できぬうちに倒せと』
「ほう、よく覚えていたなあ」
俺がルインマスターと相対した時、勝てるが、仲間が全滅するという結果をチュートリアルで導き出した。
これを黒竜が覚えていたんだろう。
で、俺が良からぬ企みを進め、ルインマスターを追い出そうとしている事を察知した。
アカシックレコードを知るドラゴンだ。
それくらいの事、分かってもおかしくはない。
そこで派遣してきたドラゴニュート三体。
これで俺を仕留められると踏んだか。
「何言ってやがる! うりゃあ!!」「うおおー!!」「死にさらせー!!」
空気を読まず、飛びかかってくるバーバリアンたち!
こいつらもかなり強いんだがなあ。
しかし、ドラゴニュートには勝てないのでは?
『笑止』「ウグワーッ!!」
あっ、一人が腹を貫かれた!
マンガとかでよく見るやられ方だ。
『その程度の力で』「ウグワーッ!!」
おっ、今度は迎撃の踵落としで、地面にめり込んでいる。
『我らに抗おうなど』「ウグワーッ!!」
最後の一人は頭を掴まれて、ぎゅっと握りつぶされ……そうなところで、俺はそのドラゴニュートをネクタイブレードでペイっと斬った。
『ウグワーッ!?』
縦に真っ二つになって死ぬドラゴニュート。
『は?』『は?』
愕然としながら、残る二体のドラゴニュートが振り返った。
「不思議か?」
俺は彼らに向かって不敵に笑ってみせた。
「お前らドラゴニュートは、喉のこのあたりに逆鱗があってな。そこを中心にした線をこうやって切ると一撃で死ぬ」
俺は丁寧に解説してやった。
あからさまに動揺するドラゴニュート。
『バカな』
『そんな事実はない。でたらめだ』
「おう、さっきまでは無かった。だが、今はある」
俺はチートモードを使ったのだ。
世界は改変された。
ぶっ倒されたバーバリアンは、既にエルフチームが助けに向かっている。
ドラゴニュートに背中を向けて、彼らを癒やす形になるが……。
黒竜の眷属たちは、俺から目を逸らすことなどできないのだ。
『話が違う』
『主は、この男が何なのかを把握できていない』
そりゃあ、手の内を晒さなかったからな。
『作戦行動を行う。殲滅を開始……』
そこに、真・カオルンが飛び込んできた。
「カオルンもいるのだ! それそれ!」
回転しながら、銀色の竜巻みたいになったカオルン。
真っ向からドラゴニュートを弾き飛ばす。
『ウグワーッ!? な、なんだこれは……!!』
「ルインマスターからすると誤差くらいの強さだったんだろうが、ドラゴニュートにはちょっと荷が重いだろ、うちの最強の嫁は」
カオルンとドラゴニュートは飛び上がり、空中戦を開始する。
だがまあ、カオルンの方が速く、鋭い。
徐々にドラゴニュートは押し負けて、ついにカオルン優勢に。
そうなれば決着は一瞬だ。
『ウ……ウグワーッ!!』
断末魔が響き、ドラゴニュートがバラバラになって落下してきた。
それと同時に、静かに進行していた戦いがある。
禍々しい形のナイフを構えたナルカと、ドラゴニュートの戦いである。
当たれば必殺のドラゴニュート。
だが、その動きを、ナルカは死の魔眼で見切る。
「あたいの目は、致命的な攻撃ってのも見えるんでね。つまり、あたいの死を回避するように動けばいいってことさ」
鮮やかに回避しながら、ナルカはナイフでドラゴニュートを切り刻む。
本来ならば、黒竜の眷属の鱗を貫くはずがない素材だ。
だが、ナルカに見えるのは、相手を殺せるポイント。
そこを突けば、どんなものであろうと相手を殺すことが出来る。
『話が違う……!! こんなことが……。偉大なる黒竜の眷属たる我らが、このように……』
「相性っつってな。単体のスペックのみならお前らのほうが強いだろうが、タイマンだったり、今みたいに精神のバランスを崩してると、お前らでも人間に負けるのよ。あと、カオルンは普通にお前らより強い」
『そんな……』
ドラゴニュートが絶望したような顔をした。
その首がスポーンと飛んだ。
ナルカが決めたのだ。
「ふうーっ……。とんでもない相手だったねえ……。一発もらったら死ぬとか、そんなの勘弁してほしいよ。あたいはまだ生身だってのに」
「当たらなければどうということはないだろう」
「知ったふうに言うねえマナビ。というかあんたが一番おかしいよ。なんで一撃で倒してるんだい?」
「俺に背を向けたのでサラッと一発で」
チートモードで軽く練習したけどな。
黒竜ならともかく、その眷属は相手にならないでしょ。
さて、ここで、アカネルとルミイから声が上がった。
「コンボの達人、ルインマスターとの交戦を開始しました!」
「精霊さんが言ってますよ! なんか凄い力みたいなのがあの人間から溢れてくるって!」
「おっ、来るぞ、超必殺技(スーパーコンボ)!」
0
あなたにおすすめの小説
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!
月芝
ファンタジー
国の端っこのきわきわにある辺境の里にて。
不自由なりにも快適にすみっこ暮らしをしていたチヨコ。
いずれは都会に出て……なんてことはまるで考えておらず、
実家の畑と趣味の園芸の二刀流で、第一次産業の星を目指す所存。
父母妹、クセの強い里の仲間たち、その他いろいろ。
ちょっぴり変わった環境に囲まれて、すくすく育ち迎えた十一歳。
森で行き倒れの老人を助けたら、なぜだか剣の母に任命されちゃった!!
って、剣の母って何?
世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。
それを産み出す母体に選ばれてしまった少女。
役に立ちそうで微妙なチカラを授かるも、使命を果たさないと恐ろしい呪いが……。
うかうかしていたら、あっという間に灰色の青春が過ぎて、
孤高の人生の果てに、寂しい老後が待っている。
なんてこったい!
チヨコの明日はどっちだ!
【完結】腹ペコ貴族のスキルは「種」でした
シマセイ
ファンタジー
スキルが全てを決める世界。
下級貴族の少年アレンが授かったのは、植物の種しか生み出せない、役立たずの『種』スキルだった。
『種クズ』と周りから嘲笑されても、超がつくほど呑気で食いしん坊なアレンはどこ吹く風。
今日もスキルで出した木の実をおやつに、マイペースな学院生活を送る。
これは、誰もがクズスキルと笑うその力に、世界の常識を覆すほどの秘密が隠されているとは露ほども知らない、一人の少年が繰り広げる面白おかしい学院ファンタジー!
ざまぁされた馬鹿勇者様に転生してしまいましたが、国外追放後、ある事情を抱える女性たちの救世主となっていました。
越路遼介
ファンタジー
65歳で消防士を定年退職した高野健司、彼は『ざまぁ』系のネット小説を好み、特に『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』と云う作品を愛読していた。主人公アランの痛快な逆転劇、哀れ『ざまぁ』された元勇者のグレンは絶望のあまり…。そして、85歳で天寿を全うした健司は…死後知らない世界へと。やがて自身が、あのグレンとなっていることに気付いた。国外追放を受けている彼は名を変えて、違う大陸を目指して旅立ち、最初に寄った国の冒険者ギルドにて女性職員から「貴方に、ある事情を抱えている女性たちの救世主になってもらいたいのです」という依頼を受けるのであった。そして、そのある事情こそ、消防士である高野健司が唯一現場で泣いた事案そのものだったのである。
長女は家族を養いたい! ~凍死から始まるお仕事冒険記~
灰色サレナ
ファンタジー
とある片田舎で貧困の末に殺された3きょうだい。
その3人が目覚めた先は日本語が通じてしまうのに魔物はいるわ魔法はあるわのファンタジー世界……そこで出会った首が取れるおねーさん事、アンドロイドのエキドナ・アルカーノと共に大陸で一番大きい鍛冶国家ウェイランドへ向かう。
魔物が生息する世界で生き抜こうと弥生は真司と文香を護るためギルドへと就職、エキドナもまた家族を探すという目的のために弥生と生活を共にしていた。
首尾よく仕事と家、仲間を得た弥生は別世界での生活に慣れていく、そんな中ウェイランド王城での見学イベントで不思議な男性に狙われてしまう。
訳も分からぬまま再び死ぬかと思われた時、新たな来訪者『神楽洞爺』に命を救われた。
そしてひょんなことからこの世界に実の両親が生存していることを知り、弥生は妹と弟を守りつつ、生活向上に全力で遊んでみたり、合流するために路銀稼ぎや体力づくり、なし崩し的に侵略者の撃退に奮闘する。
座敷童や女郎蜘蛛、古代の優しき竜。
全ての家族と仲間が集まる時、物語の始まりである弥生が選んだ道がこの世界の始まりでもあった。
ほのぼののんびり、時たまハードな弥生の家族探しの物語
能力『ゴミ箱』と言われ追放された僕はゴミ捨て町から自由に暮らすことにしました
御峰。
ファンタジー
十歳の時、貰えるギフトで能力『ゴミ箱』を授かったので、名門ハイリンス家から追放された僕は、ゴミの集まる町、ヴァレンに捨てられる。
でも本当に良かった!毎日勉強ばっかだった家より、このヴァレン町で僕は自由に生きるんだ!
これは、ゴミ扱いされる能力を授かった僕が、ゴミ捨て町から幸せを掴む為、成り上がる物語だ――――。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアーティアは、継母に冷酷無慈悲と噂されるフレイグ・メーカム辺境伯の元に嫁ぐように言い渡された。
継母は、アーティアが苦しい生活を送ると思い、そんな辺境伯の元に嫁がせることに決めたようだ。
しかし、そんな彼女の意図とは裏腹にアーティアは楽しい毎日を送っていた。辺境伯のフレイグは、噂のような人物ではなかったのである。
彼は、多少無口で不愛想な所はあるが優しい人物だった。そんな彼とアーティアは不思議と気が合い、やがてお互いに惹かれるようになっていく。
2022/03/04 改題しました。(旧題:不器用な辺境伯の不器用な愛し方 ~継母の嫌がらせで冷酷無慈悲な辺境伯の元に嫁がされましたが、溺愛されています~)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる