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終末の王編
第152話 解析からの飢餓の騎士
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フォーホース帝国のちゃんとした街が見えてきた。
なかなかでかいではないか。
そして意外なことに、俺たちの旅を邪魔するものはいなかった。
噂の四騎士も出て来ない。
「あのバーバリアンが襲われたのはなんでなんだろうな。よし、ヘルプで調べちゃおう。アカネル頼む」
「はい。四騎士はもっとも最初に現れた異世界召喚者……でしたが、この全てが魔導王に敗れて死んでいます」
「あっ、死んでた」
「魔導王が五人目の召喚者だったそうです。それで、フォーホース帝国は四騎士の力を解析して、これを再現する装置を作ったとか。装置は魔導石によって動いています。あ、バーバリアンは大騒ぎしながら敵意と闘気を撒き散らして来たので即座にやられたそうです」
「わかりやすい!」
「相変わらず、身も蓋も無いねえ!」
喜ぶ俺と、唖然とするナルカなのだ。
ヘルプ機能のいいところは、秘められた謎が速攻で明かされるところだな。
つまり、四騎士は異世界召喚者として存在してはいない。
フォーホース帝国の防衛装置として存在してるわけだ。
で、バーバリアンはあからさまに敵だったからやられた。
コンボの達人はおそらく、防衛装置より強かった。
そして俺たちだが……。
「マナビが鞍を手に入れるまで、カオルンが独り占めするのだー! ちゅっちゅっ」
「うおーカオルンが首筋にキスしてくる! 猛烈にハグしてくる!」
「むきー! アカネルもマナビさんに頼られてて、わたしは運転しかしてないじゃないですかー! このままでは差をつけられてしまいます!!」
「ふふふ、当機能はオンリーワンな役割を果たせますから……。あっ、そろそろ体を鍛える時間……」
「アカネル運動するのだ? カオルンが手伝うのだー!」
おお、後ろからぬくもりが離れていった。
カオルンは運動する人を応援する性格らしく、アカネルが体を鍛えるのによく付き合っている。
二人の仲がかなり良くなって来ているのを感じるな。
ルミイは基本的に人当たりがよく、そしてうちの奥さんたちのリーダーなので人間関係は問題なし。
そもそも、差なんかつかないと思うんだが……。
「あれはああやって自分の闘争心を煽ってるんだね。さすがバーバリアンの血が流れた女だよ」
「なるほど、そういう……。それで夜は燃え上がる……」
感心してしまう俺なのだった。
なんという完璧なマインドセットであろうか。
……という、俺たちは和気あいあいとしながらまったり移動しているので、敵対行動だと思われていなかったらしい。
どう見ても旅人である。
そして外見からはあまり脅威が感じられない。
強そうじゃないってのはお得だなあ!
なんて考えていたのだが。
一応防衛装置は発動したようだ。
「ぶるる」
「どうしたラバー」
「ウグワー」
「あっ、ルミイが運転席に突っ伏した! ナルカ、ブレーキ踏めブレーキ」
「あいよ!」
キキーッと止まるバギー。
ルミイはしおしおになって動けない様子だ。
これは……。
「飢餓の罠だな。腹ペコキャラのルミイが動けなくなるなら決定だ。そういう攻撃が仕掛けられてきたと見るべきだ」
アカネルとカオルンは人間ではないので、これは平気。
ナルカは防衛装置の発動を死の魔眼で見切ったようで、回避済みだ。
なお、俺だが。
「チートモード。ほあーっ!」
ゾーンに入った後、攻略法を探す。
さて、飢餓の防衛装置はどういう構造になっているのか。
ゲーム画面風になった視界の中、上に矢印がある。
見上げてみると、滑空する鳥のようなものがあった。
よく見ると、翼が生えた黒い馬であり、その上に天秤を持った騎士が乗っているではないか。
多分魔導機械の類だと思うんだが、良く出来てるなあ。
「よし、チートモードにカオルンを入れる」
「おっ!? 世界が変わったのだ! あ、マナビ、やるのだな!」
「おう、やるぞやるぞ。上空を翼のある馬が飛んでるだろ。あれが元凶だ」
「おおー。カオルンたちに喧嘩をふっかけて来たのだな! 行くのだ!」
カオルンがビューンと行ってしまった。
そして、途中でヘロヘロ落ちてくる。
「ち、近づいたらお腹が減って動けなくなったのだー」
「やはり。有効範囲内で相手にそういう錯覚を起こさせる力を持っているのだな。離れたらどうなった?」
「あれ? 平気になったのだ!」
「うむ。相手を飢餓状態にするってのは色々無理があるからな。そもそも、精霊に守られているルミイを一発であの状態にするっていうのは、魔法攻撃云々ではない。暗示みたいなもんだろう。しかも強烈なやつだ」
つまり、この飢餓っぽい感じは、生命の危険には直結しないというわけだ。
相手を行動不能にした後、別働隊やらがとどめを刺しに来るのではないか。
しばらく様子を見ていたら、周りからフォーホース帝国の兵士が現れた。
彼らは魔導弩弓を使って、こちらを狙撃してくる……。
というところでチートモード終了。
「カオルン、ナルカを連れて範囲外の上空へ行くんだ。ナルカ、飛んでるやつがいるだろ。あいつを仕留めろ。近づいたらやられるぞ」
「分かったのだ!」
「なるほど、あれを使ったんだね? 了解だよ」
ナルカの理解が早い。
カオルンが彼女に抱きつき、翼を広げて飛翔していく。
ナルカが取り出したのは、銃のような形をしたアイテムだ。
初登場の武器だなあ。
あれは……。
「マスター、あれはダーツガンです。ダーツをバネの仕掛けで射出するものですね。ナルカが持つ最長射程の武器です」
「なるほど、射程に合わせて使い分けるんだな」
普段使わないのは、かさばるからだろう。
飢餓の能力の範囲外から、ナルカは射撃する。
死の魔眼によって、飢餓の騎士が機能停止する箇所は判明している。
そこに向けて、数発。
一つのダーツが見事に突き刺さり、飢餓の騎士はガクガクと震えた。
全身を構成していた魔導パーツみたいなのがバラバラとこぼれ落ち、哀れ飢餓の騎士は空中分解である。
「やっぱり本体はそれほど強くないんだな。だが、あいつを認識し、能力の外から狙撃して倒さないといけないから、まあまあ強い」
俺は分析しつつ、ラバーの首をペチペチ叩いた。
「ぶるる?」
「周りに潜んでるからな。そいつらを蹴散らすぞラバー」
「ぶるるー!」
ルサルカラバーが走り出す。
彼が本気になると、アンデッドホースとしての姿になる。
そうすると、他の防衛装置を呼びそうだったので、俺は手加減モードで行くことにした。
ネクタイブレードを最長に伸ばす。
すると、ネクタイスピアとでも言うような姿になるのだ。
迫ってくる俺に向かって、魔導弩弓が矢を放ってくる。
「チュートリアル……戻った」
矢が当たらない移動行程を、ラバーと共有してきた。
なので、俺たちは無防備な感じでトコトコ走る。
で、矢が俺たちを避けていく。
「ぶるるー」
「わっはっは、楽だろう。どう飛び道具がくるか分かってれば、全然怖くないからな」
これに対して、潜んでいたフォーホース兵士たちは大慌てである。
俺がかなり近づいたところで、一斉に逃げ出した。
全力疾走している。
「ありゃー。あいつらは出来る兵士だな。立ち向かってこない」
勝ち目の有無の判断が早い。
多分、俺が何か能力を使ってるっていうのをすぐに察知したな?
フォーホース帝国、なかなかやる。
一筋縄ではいかないかもな。
なかなかでかいではないか。
そして意外なことに、俺たちの旅を邪魔するものはいなかった。
噂の四騎士も出て来ない。
「あのバーバリアンが襲われたのはなんでなんだろうな。よし、ヘルプで調べちゃおう。アカネル頼む」
「はい。四騎士はもっとも最初に現れた異世界召喚者……でしたが、この全てが魔導王に敗れて死んでいます」
「あっ、死んでた」
「魔導王が五人目の召喚者だったそうです。それで、フォーホース帝国は四騎士の力を解析して、これを再現する装置を作ったとか。装置は魔導石によって動いています。あ、バーバリアンは大騒ぎしながら敵意と闘気を撒き散らして来たので即座にやられたそうです」
「わかりやすい!」
「相変わらず、身も蓋も無いねえ!」
喜ぶ俺と、唖然とするナルカなのだ。
ヘルプ機能のいいところは、秘められた謎が速攻で明かされるところだな。
つまり、四騎士は異世界召喚者として存在してはいない。
フォーホース帝国の防衛装置として存在してるわけだ。
で、バーバリアンはあからさまに敵だったからやられた。
コンボの達人はおそらく、防衛装置より強かった。
そして俺たちだが……。
「マナビが鞍を手に入れるまで、カオルンが独り占めするのだー! ちゅっちゅっ」
「うおーカオルンが首筋にキスしてくる! 猛烈にハグしてくる!」
「むきー! アカネルもマナビさんに頼られてて、わたしは運転しかしてないじゃないですかー! このままでは差をつけられてしまいます!!」
「ふふふ、当機能はオンリーワンな役割を果たせますから……。あっ、そろそろ体を鍛える時間……」
「アカネル運動するのだ? カオルンが手伝うのだー!」
おお、後ろからぬくもりが離れていった。
カオルンは運動する人を応援する性格らしく、アカネルが体を鍛えるのによく付き合っている。
二人の仲がかなり良くなって来ているのを感じるな。
ルミイは基本的に人当たりがよく、そしてうちの奥さんたちのリーダーなので人間関係は問題なし。
そもそも、差なんかつかないと思うんだが……。
「あれはああやって自分の闘争心を煽ってるんだね。さすがバーバリアンの血が流れた女だよ」
「なるほど、そういう……。それで夜は燃え上がる……」
感心してしまう俺なのだった。
なんという完璧なマインドセットであろうか。
……という、俺たちは和気あいあいとしながらまったり移動しているので、敵対行動だと思われていなかったらしい。
どう見ても旅人である。
そして外見からはあまり脅威が感じられない。
強そうじゃないってのはお得だなあ!
なんて考えていたのだが。
一応防衛装置は発動したようだ。
「ぶるる」
「どうしたラバー」
「ウグワー」
「あっ、ルミイが運転席に突っ伏した! ナルカ、ブレーキ踏めブレーキ」
「あいよ!」
キキーッと止まるバギー。
ルミイはしおしおになって動けない様子だ。
これは……。
「飢餓の罠だな。腹ペコキャラのルミイが動けなくなるなら決定だ。そういう攻撃が仕掛けられてきたと見るべきだ」
アカネルとカオルンは人間ではないので、これは平気。
ナルカは防衛装置の発動を死の魔眼で見切ったようで、回避済みだ。
なお、俺だが。
「チートモード。ほあーっ!」
ゾーンに入った後、攻略法を探す。
さて、飢餓の防衛装置はどういう構造になっているのか。
ゲーム画面風になった視界の中、上に矢印がある。
見上げてみると、滑空する鳥のようなものがあった。
よく見ると、翼が生えた黒い馬であり、その上に天秤を持った騎士が乗っているではないか。
多分魔導機械の類だと思うんだが、良く出来てるなあ。
「よし、チートモードにカオルンを入れる」
「おっ!? 世界が変わったのだ! あ、マナビ、やるのだな!」
「おう、やるぞやるぞ。上空を翼のある馬が飛んでるだろ。あれが元凶だ」
「おおー。カオルンたちに喧嘩をふっかけて来たのだな! 行くのだ!」
カオルンがビューンと行ってしまった。
そして、途中でヘロヘロ落ちてくる。
「ち、近づいたらお腹が減って動けなくなったのだー」
「やはり。有効範囲内で相手にそういう錯覚を起こさせる力を持っているのだな。離れたらどうなった?」
「あれ? 平気になったのだ!」
「うむ。相手を飢餓状態にするってのは色々無理があるからな。そもそも、精霊に守られているルミイを一発であの状態にするっていうのは、魔法攻撃云々ではない。暗示みたいなもんだろう。しかも強烈なやつだ」
つまり、この飢餓っぽい感じは、生命の危険には直結しないというわけだ。
相手を行動不能にした後、別働隊やらがとどめを刺しに来るのではないか。
しばらく様子を見ていたら、周りからフォーホース帝国の兵士が現れた。
彼らは魔導弩弓を使って、こちらを狙撃してくる……。
というところでチートモード終了。
「カオルン、ナルカを連れて範囲外の上空へ行くんだ。ナルカ、飛んでるやつがいるだろ。あいつを仕留めろ。近づいたらやられるぞ」
「分かったのだ!」
「なるほど、あれを使ったんだね? 了解だよ」
ナルカの理解が早い。
カオルンが彼女に抱きつき、翼を広げて飛翔していく。
ナルカが取り出したのは、銃のような形をしたアイテムだ。
初登場の武器だなあ。
あれは……。
「マスター、あれはダーツガンです。ダーツをバネの仕掛けで射出するものですね。ナルカが持つ最長射程の武器です」
「なるほど、射程に合わせて使い分けるんだな」
普段使わないのは、かさばるからだろう。
飢餓の能力の範囲外から、ナルカは射撃する。
死の魔眼によって、飢餓の騎士が機能停止する箇所は判明している。
そこに向けて、数発。
一つのダーツが見事に突き刺さり、飢餓の騎士はガクガクと震えた。
全身を構成していた魔導パーツみたいなのがバラバラとこぼれ落ち、哀れ飢餓の騎士は空中分解である。
「やっぱり本体はそれほど強くないんだな。だが、あいつを認識し、能力の外から狙撃して倒さないといけないから、まあまあ強い」
俺は分析しつつ、ラバーの首をペチペチ叩いた。
「ぶるる?」
「周りに潜んでるからな。そいつらを蹴散らすぞラバー」
「ぶるるー!」
ルサルカラバーが走り出す。
彼が本気になると、アンデッドホースとしての姿になる。
そうすると、他の防衛装置を呼びそうだったので、俺は手加減モードで行くことにした。
ネクタイブレードを最長に伸ばす。
すると、ネクタイスピアとでも言うような姿になるのだ。
迫ってくる俺に向かって、魔導弩弓が矢を放ってくる。
「チュートリアル……戻った」
矢が当たらない移動行程を、ラバーと共有してきた。
なので、俺たちは無防備な感じでトコトコ走る。
で、矢が俺たちを避けていく。
「ぶるるー」
「わっはっは、楽だろう。どう飛び道具がくるか分かってれば、全然怖くないからな」
これに対して、潜んでいたフォーホース兵士たちは大慌てである。
俺がかなり近づいたところで、一斉に逃げ出した。
全力疾走している。
「ありゃー。あいつらは出来る兵士だな。立ち向かってこない」
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多分、俺が何か能力を使ってるっていうのをすぐに察知したな?
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