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終末の王編
第161話 フォローからの七大帝国コンプリート
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帝都の中心に大きな鏡がせり上がってきて、そこにユーリンがアップで映し出される。
『力と記憶を取り戻したか、我が同胞よ!』
「取り戻しました!」
「思い……出した……!」
「分かる、全てが分かるぞ! すみません言い過ぎました」
素直なのがいる。
わいわいと集まってきた帝都の民たちは、誰もが背筋をしゃんと伸ばし、目つきまで変わっているではないか。
テンションが上がったからか、魔法がピュンピュンあちこちに飛んでいる。
魔法使えるのか!!
『この時のために、彼らには魔力の星の魔力を使って魔法を使わないように暗示をかけていたのだ』
「ほうほう……。って、それってまるで、こいつらが千年前から生きてるみたいな物言いじゃないか」
『その通りだ。フォーホース地方の中は時間の流れを変えてある。この土地にいる限り、彼らは年をとらず、死ぬこともない。死んだとしてもすぐ元通りになる』
「うわあチートじゃん」
「マスターがそれ言うんですか?」
俺だってチートだくらい言うぞ。
『それ故に、君が破壊した飢餓の騎士も今頃は元通りになっている。死の騎士の馬が壊れたからとわざわざ連れてきたのは、君の善性故であろう。そこが信頼できるところだと私は考えた』
「うわあ照れくさいな」
「マナビさんが褒められてめちゃくちゃかゆそうにしてますよ」
「マナビ、あんまり褒められないからなのだなー」
「そうなのかい!? それで褒められて照れてるんだねえ。可愛いところあるじゃないかい」
やめろやめろ、俺を品評するな。
その後、ユーリンの演説が始まった。
これを聞きながら、俺たちはお茶など飲むことにする。
つまりこれは、魔導王との開戦を表しているんだな。
もともと徹底抗戦予定だったが、周囲の魔法使い全てが魔導王に寝返ったので、ユーリン率いる魔法使いたちはフォーホース帝国を作り上げて立てこもったのだ。
異世界召喚はそれ以前から行われていた技術だったが、魔導王の召喚で何もかも世界が変わってしまい、これは危険な技術だということで封印。
だが、魔導王が魔力の星を作り上げて打ち上げたところで、ユーリンはまずいと思って異世界召喚技術を全ての国に提供した。
これ、めちゃくちゃに魔力を食う儀式であり、召喚された異世界召喚者も、魔力をバカスカ消費しながら能力を使う。
結果、魔力の星の寿命は早く尽きるというわけだ。
そして異世界召喚者は魔法以外のよく分からない力を行使する存在であり、この中から魔導王に対抗できる者が現れる事に賭けたのだそうだ。
今はほとんどの魔法使いが、魔力の星がなければ魔法を使えないほどに退化してしまった。
それでもフォーホースの魔法使いたちは魔力の星に侵食されず、能力を保ったまま今の今まで生き残れたというわけだ。
「平行世界の結界が消えたのはどういうわけだったんだろうな?」
『あれは、他国に、我々も魔力の星の力を使っていると見せかけるためのブラフだ。実際に魔力の星から供給される魔力を使用してはいたが、あんなものに頼らなくてもこの土地の守りは万全だ』
コンボの達人に突破されたけどな。
「じゃあこれからワンザブロー帝国に攻め込むわけ?」
『様子を見る。他国やバーバリアンが仕掛けて、魔導王が少しでも魔力を消費してくれればよし』
「石橋を叩いて渡る方針だなあ! だが、一大事だということは俺も理解したぞ。コンボの達人とオクタゴンに声かけてくるわ」
『ほう、それらは……』
ユーリン、何やら調べ始めたようだ。
彼の知覚は、フォーホース帝国全土に渡るのだ。
だが、所詮は鎖国していた国の内側のことでしか無いので、あまりよく分からなかったらしい。
ちょっとしょんぼりしたユーリンが戻ってきた。
『教えてもらえないだろうか』
「素直だなあ……。アカネル、頼む」
「はい。コンボの達人とオクタゴンについてのデータをお送りします。あっ」
「どうしたアカネル!」
「コンボの達人が必死の形相で逃げています! 後ろからエリイさんが追いかけています!!」
「天敵に出会ってしまったか」
だが、二人とも元気なようだ。
「これがコンボの達人、あらゆる状況をタイマンに持ち込んで、どんな強大な相手ともいい勝負する能力者な」
『うむ、異常な能力だ』
次に、オクタゴンが表示された。
うおーっ!
ルサルカとお互いにあーんさせ合ったりしてやがる!
バカップルぶりは健在だなあ。
しかもまだまだ清い関係のようだ。
こいつらはあと千年くらいバカップルやりそうだ。
「こっちの男の方がオクタゴン。世界を自分の領域で侵食し、そこから眷属を生み出す。こいつ自身が領域なんで、世界そのものが殴りつけてくるような強さを持っている」
『うむ、異常な能力だ』
ユーリンが納得したようだ。
『この二人を本当に連れてこれるのか?』
「連れてこれるぞ。三人がかりで魔導王をぶっ叩く」
『本当か……!? それじゃあ私、同胞たちをここまで手間暇掛けて保存して、満を持してあれに挑む覚悟をキメなくても良かったのではないのか……?』
「ユーリンさんの画像がぐにゃあーって乱れてますよー!!」
「マスター、彼がアイデンティティクライシスの危機に見舞われています!」
「落ち着けユーリン! 俺たちが間に合わないかも知れないだろ。そうしたらあんたの出番だから。な? な?」
『そ、そうか……。言われてみればそうかも……』
落ち着いたな。
「いいか。俺たちは偶然同じ時代に現れた、バグというか歩く異常事態みたいなもんだ。偶然だ偶然。だからあんたが備えてたは間違いじゃないからな! じゃあ俺は行くからな! あまりこの事について考えるなよ!」
『ああ、分かった。気をつけてな!』
こうしてユーリンと別れ、俺たちはまず、コンボの達人を回収に行くのである。
「いやあ、大変でしたねえ。そろそろフォーホース帝国のご飯も美味しく感じるようになってきたんですが」
「長い間生き続けてきた魔法使いも、心根は弱かったりするんだねえ……」
女子たちの感想を聞きながら、バギーとラバーが走る。
ちなみに本日、俺の後ろに載っているのはアカネルだ。
「アカネル、ちなみに今、コンボの達人がいるところを聞きたいんだけど」
「はい。これは……ツーブロッカー帝国の跡地ですね」
「めっちゃ遠くまで移動してるじゃん!」
こうして、向かうはツーブロッカー帝国。
これで七大帝国コンプリートなのである。
『力と記憶を取り戻したか、我が同胞よ!』
「取り戻しました!」
「思い……出した……!」
「分かる、全てが分かるぞ! すみません言い過ぎました」
素直なのがいる。
わいわいと集まってきた帝都の民たちは、誰もが背筋をしゃんと伸ばし、目つきまで変わっているではないか。
テンションが上がったからか、魔法がピュンピュンあちこちに飛んでいる。
魔法使えるのか!!
『この時のために、彼らには魔力の星の魔力を使って魔法を使わないように暗示をかけていたのだ』
「ほうほう……。って、それってまるで、こいつらが千年前から生きてるみたいな物言いじゃないか」
『その通りだ。フォーホース地方の中は時間の流れを変えてある。この土地にいる限り、彼らは年をとらず、死ぬこともない。死んだとしてもすぐ元通りになる』
「うわあチートじゃん」
「マスターがそれ言うんですか?」
俺だってチートだくらい言うぞ。
『それ故に、君が破壊した飢餓の騎士も今頃は元通りになっている。死の騎士の馬が壊れたからとわざわざ連れてきたのは、君の善性故であろう。そこが信頼できるところだと私は考えた』
「うわあ照れくさいな」
「マナビさんが褒められてめちゃくちゃかゆそうにしてますよ」
「マナビ、あんまり褒められないからなのだなー」
「そうなのかい!? それで褒められて照れてるんだねえ。可愛いところあるじゃないかい」
やめろやめろ、俺を品評するな。
その後、ユーリンの演説が始まった。
これを聞きながら、俺たちはお茶など飲むことにする。
つまりこれは、魔導王との開戦を表しているんだな。
もともと徹底抗戦予定だったが、周囲の魔法使い全てが魔導王に寝返ったので、ユーリン率いる魔法使いたちはフォーホース帝国を作り上げて立てこもったのだ。
異世界召喚はそれ以前から行われていた技術だったが、魔導王の召喚で何もかも世界が変わってしまい、これは危険な技術だということで封印。
だが、魔導王が魔力の星を作り上げて打ち上げたところで、ユーリンはまずいと思って異世界召喚技術を全ての国に提供した。
これ、めちゃくちゃに魔力を食う儀式であり、召喚された異世界召喚者も、魔力をバカスカ消費しながら能力を使う。
結果、魔力の星の寿命は早く尽きるというわけだ。
そして異世界召喚者は魔法以外のよく分からない力を行使する存在であり、この中から魔導王に対抗できる者が現れる事に賭けたのだそうだ。
今はほとんどの魔法使いが、魔力の星がなければ魔法を使えないほどに退化してしまった。
それでもフォーホースの魔法使いたちは魔力の星に侵食されず、能力を保ったまま今の今まで生き残れたというわけだ。
「平行世界の結界が消えたのはどういうわけだったんだろうな?」
『あれは、他国に、我々も魔力の星の力を使っていると見せかけるためのブラフだ。実際に魔力の星から供給される魔力を使用してはいたが、あんなものに頼らなくてもこの土地の守りは万全だ』
コンボの達人に突破されたけどな。
「じゃあこれからワンザブロー帝国に攻め込むわけ?」
『様子を見る。他国やバーバリアンが仕掛けて、魔導王が少しでも魔力を消費してくれればよし』
「石橋を叩いて渡る方針だなあ! だが、一大事だということは俺も理解したぞ。コンボの達人とオクタゴンに声かけてくるわ」
『ほう、それらは……』
ユーリン、何やら調べ始めたようだ。
彼の知覚は、フォーホース帝国全土に渡るのだ。
だが、所詮は鎖国していた国の内側のことでしか無いので、あまりよく分からなかったらしい。
ちょっとしょんぼりしたユーリンが戻ってきた。
『教えてもらえないだろうか』
「素直だなあ……。アカネル、頼む」
「はい。コンボの達人とオクタゴンについてのデータをお送りします。あっ」
「どうしたアカネル!」
「コンボの達人が必死の形相で逃げています! 後ろからエリイさんが追いかけています!!」
「天敵に出会ってしまったか」
だが、二人とも元気なようだ。
「これがコンボの達人、あらゆる状況をタイマンに持ち込んで、どんな強大な相手ともいい勝負する能力者な」
『うむ、異常な能力だ』
次に、オクタゴンが表示された。
うおーっ!
ルサルカとお互いにあーんさせ合ったりしてやがる!
バカップルぶりは健在だなあ。
しかもまだまだ清い関係のようだ。
こいつらはあと千年くらいバカップルやりそうだ。
「こっちの男の方がオクタゴン。世界を自分の領域で侵食し、そこから眷属を生み出す。こいつ自身が領域なんで、世界そのものが殴りつけてくるような強さを持っている」
『うむ、異常な能力だ』
ユーリンが納得したようだ。
『この二人を本当に連れてこれるのか?』
「連れてこれるぞ。三人がかりで魔導王をぶっ叩く」
『本当か……!? それじゃあ私、同胞たちをここまで手間暇掛けて保存して、満を持してあれに挑む覚悟をキメなくても良かったのではないのか……?』
「ユーリンさんの画像がぐにゃあーって乱れてますよー!!」
「マスター、彼がアイデンティティクライシスの危機に見舞われています!」
「落ち着けユーリン! 俺たちが間に合わないかも知れないだろ。そうしたらあんたの出番だから。な? な?」
『そ、そうか……。言われてみればそうかも……』
落ち着いたな。
「いいか。俺たちは偶然同じ時代に現れた、バグというか歩く異常事態みたいなもんだ。偶然だ偶然。だからあんたが備えてたは間違いじゃないからな! じゃあ俺は行くからな! あまりこの事について考えるなよ!」
『ああ、分かった。気をつけてな!』
こうしてユーリンと別れ、俺たちはまず、コンボの達人を回収に行くのである。
「いやあ、大変でしたねえ。そろそろフォーホース帝国のご飯も美味しく感じるようになってきたんですが」
「長い間生き続けてきた魔法使いも、心根は弱かったりするんだねえ……」
女子たちの感想を聞きながら、バギーとラバーが走る。
ちなみに本日、俺の後ろに載っているのはアカネルだ。
「アカネル、ちなみに今、コンボの達人がいるところを聞きたいんだけど」
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