召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

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終末の王編

第183話 一気呵成からの、俺の趣味だ

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 俺たちがハチャメチャに快進撃をしている。
 魔導王が用意したのであろう、壁や床に擬態した人食いモンスターとか、カオルンに匹敵する速度で飛翔する超強化ガーゴイル軍団とか、建造物そのものが魔法生物として動き出し、全身から魔法をぶっ放してくるやつとか……。
 色々いたが、全て正面突破していく。

 達人がコンボでぶち破り、オクタゴンが領域で制圧し、俺は隙間をスルッと抜ける。
 後に続いて、女子チームが追いかけてくるわけだ。

 ルミイの精霊魔法がモンスターたちを圧倒する。
 カオルンが飛び回り、ガーゴイルを撃破する。
 アカネルはポケットサイズになり、ナルカの懐へ。
 ナルカは魔導ガンを連射しながら、的確に相手の命を断っていく。

 エリイは卓越した体術任せに、攻撃を回避したり殴り返したり。
 フリズドライが氷のブレスを吐き出して、モンスターたちを凍結させる。

 うーむ、強い!
 俺たちは非常に強い。

 なお、魔導王は押されっぱなしにみえているのだが、全く弱いというわけではない。
 現に、俺たち以外は魔導王の大攻勢を突破できていない。

 フォーホース魔法師団とイースマス連合、スリッピー魔導兵団、セブンセンス戦士団がようやく全力を使って拮抗できているところだ。
 これは、対策本部も想定外だったらしい。
 思った以上に強力な魔導王の軍勢に、あちこちから悲鳴が上がっている。

「いやあ、雑魚を引き受けてくれるから進撃が実に楽だ。こちらは最短ルートで行けるしな」

「マナビ、アカネルが何か言っているよ!」

 バギーが上がってきて、ラバーと並走する。
 ナルカが身を乗り出して、胸をはだけてみせた。
 おっ!! と思うが、その豊かな膨らみの間にはアカネルが収まっているのである。

「当機能、大変羨ましくもあり複雑な気分ですが、素晴らしいクッションになっていて収まりがいいです。マスター、近道は最も魔導王の守りが厚い場所になります。ご注意ください!」

 ヘルプ機能でマップが展開される。
 遠回りすれば、魔導王の守りをかいくぐれる。
 その代わり、十倍くらい長いルートを通ることになる。

 最短ルートは、守りのためのモンスターで埋まっている。
 しかし近い!

「のんびりしてると連合軍に被害が出るだろ。そうしたらモンスターは地上に溢れていって周辺に被害が出る。めちゃくちゃ強力な奴らだぞ。スススス連合以外の軍が相手できるもんかい」

「ではマスター、最短距離を……!?」

「もちろん。おい兄弟、達人、ギアを最大にしていくぞ」

『いいだろう! ふんっ!!』

 オクタゴンの巨体がさらに膨れ上がった。
 もう、実体はなく、領域そのものが膨れ上がりながら魔導王の城を飲み込んでいくような状況になる。

「俺は常に全力だ! あっ、ゲージ溜まった。覇ぁっ!」

 達人、露骨に今までより強力な波動のウェーブめいた飛び道具をぶっ放し、立ちふさがるモンスターたちを「ウグワーッ!?」っと粉砕した。

「きゃーっ! ダーリン素敵! ほんと、こういう非常事態で頼れる男って最高だわーっ!!」

「姉さんこれべた惚れしてますねー。達人のひとはもう逃れられませんねー」

 姉妹が何か言っている。

 そして、フリズドライが空へ駆け上がり、カオルンとともに空で螺旋を描きつつ、超強化ガーゴイルどもを叩き落としていく。
 なんとも絵的にきれいである。

 俺はこの光景を眺めつつ、ラバーを駆って相手の攻撃をするすると回避する。
 チュートリアルを挟みながら、チートモードも発動しつつ。
 魔導王の防衛戦は鉄壁の守りのように見えて、弱点があるのだ! いや、弱点を今作ったのだ。

「俺に続け。ここが今から、猛烈に守りが薄くなる」

『よし! 全員、俺様の領域で運ぶぞ。集まれ!!』

 オクタゴンが吠えた。
 カオルンとフリズドライが高度を下げる。
 バギーが寄せてきて、俺と達人以外はオクタゴンの間近である。

 領域化したオクタゴンが、仲間たちを包み込んだ。
 細長い蛇のような姿になる。

『行け、兄弟。全員まとめて俺様が連れていく。道を切り開け』

「ほいほい! 邪魔してくるやつは達人頼むな」

「任せろ! ちぇいさー!!」

 返事と同時に、襲いかかってきた輝く鎧の怪物を、ジャンプキックからの連続コンボで仕留めていく達人である。

「空中ガードを実装していないとは、旧式め! システムを練り上げてから出直すがいい!」

 イキってるイキってる!

「じゃあ、突破する。1,2の……3!」

 俺が数えた瞬間、眼の前の守りが突然消えた。
 魔導王をガードするモンスターたちが、偶然一致した挙動を行ったのである。

 誰もが仲間とぶつからぬよう、横に移動したのだ。
 起こり得ない偶然。
 もちろん、チートモードがこの状況を引き起こした。

 時間は一秒ほど。
 致命的なくらい長い。

「突撃!」

「うおおおおおお!!」

『ははははは、貧弱貧弱貧弱!』

 俺たち三人が、この隙間を高速で駆け抜けていく。
 もう誰も追いつけない。

 追いつけるはずのガーゴイルは、既にカオルンとフリズドライによって壊滅させられている。

「オクタゴン! 俺を撃ち出せ!」

『何か企んでいるな達人? まあいいけどな。それっ!』

 オクタゴンの体から触手が出現し、達人の背中を押す。
 達人はこの力に逆らわず、飛び上がって蹴りのポーズになった。

「ゲージ消費! 名付けて、天空無双脚!!」

 触手に押し出されて、達人が飛翔した。
 途中から、達人自体が謎のパワーで加速し始める。
 なんかピカピカ光ってるな。

 そして、一見して何もないところを達人が蹴った。

 バリーンっという音。
 何もないはずのところが砕け散り、周辺の光景までが粉砕され、ガラスの破片のように崩れていく。

 残ったのは、ウユニ塩湖のような空間だ。
 そこに、魔導王が立っている。

「ウユニ塩湖だ」

「アニメで見たことある」

『ふーん幻想的じゃん』

 俺、達人、オクタゴンで召喚されてきた時代が違うので、ネタの理解度が異なるな。
 ここでオクタゴンが女子たちを解放するのだ。

 魔導王が凄い目で俺たちを睨んでいる。

「何もかも、台無しだ! 僕の大事な作業を邪魔しやがって!!」

 魔導王が叫んだ。
 激おこである。
 俺は笑みを浮かべながら返した。

「嫌いなやつのやることを、徹底的に邪魔するんだ。一番いいところで出鼻をくじいたり、ここだけはやめてくれというタイミングで殴りつける。そうすると……最高に気持ちいい。俺の趣味だ」

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