召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき

文字の大きさ
185 / 196
終末の王編

第185話 ダブル魔導王からのクライマックス

しおりを挟む
「ならば僕は、お前が守ろうとしている全世界を破壊する! 趣が無いななんて思って後回しにするんじゃなかった! この大陸ごと圧縮し、次なる魔力の星に変えてやる!」

 魔導王の全身が光り出す。
 こいつ、一つの大陸を浮かべて破壊できるくらいの魔法が使えるんだよな。
 そういう意味ではドラゴン級の化け物なのだ。

 俺と達人だけなら、魔導王はボコれてもこの魔法を止めるのは難しかったかも知れない。
 だが、今回はオクタゴンも来ているのだ。

『それは俺様の能力とかち合うなあ。俺様は全世界に領域を広げ、そいつを深く沈めるように動くぞ』

「な、なにぃーっ!?」

 魔導王が驚愕に叫ぶ。
 彼が放った凄まじい魔力は、なんだかヌメヌメした気持ち悪い領域とぶつかり合ったのである。
 そして、互いに相殺を始める。

 大陸はびくともしない。
 そもそも魔力が届いていないのだから当然だ。

『これは、俺様とお前の力のどちらかが強いかの勝負だな。もっとも、相殺され過ぎて残った力では、大陸をどうこうできないだろうが』

 ニヤニヤ笑うオクタゴン。
 こと、領域を使う力に関してはこいつが世界最強なのである。

 ヘルプ機能でこの様子を観察していた俺は、すぐにオクタゴンが魔導王の魔力を押し切ったのを確認した。
 残る領域が、大陸をちょっぴりだけ沈めた。

「あっ」

『あっ』

 俺とオクタゴンが同時に声を発する。

『済まんな兄弟。俺様はちょっと大陸を持ち上げねばならん。だが、大陸に降りかかる魔力は俺様がはねのけるぞ。任せろ。だが、俺様に頼りすぎると大陸全土がイースマスになり、人間どもが狂気に陥るからあまり俺様の力を使わせ過ぎるなよ』

「あまりにも諸刃の刃である。まあいいや。たのんだぞ兄弟」

 オクタゴンは外へ飛び出していった。
 あいつは縁の下の力持ちって感じだな。

 さて、魔導王をどうするかだが。
 既に、至近距離で達人が魔導王とやり合っている。

 俺たちが会話している間、場を繋いでくれたんだなあ。
 いや、何も考えていないのかも知れないが。

「マナビ! 達人と魔導王がやり合ってるところに、とても加勢できないよ!」

 ナルカが悲鳴をあげている。
 全く死の線が見えないそうだ。

 彼女の能力、本当の格上相手には通用しないのな。
 カオルンもフリズドライも、あの戦場に飛び込む隙を見つけられないでいる。

 バトルが高度過ぎるのだろう。

 高速で瞬間移動を繰り返しながら、至近距離の魔法に打撃を混ぜる魔導王。
 それに対して、前転と牽制の弱攻撃を交えて的確に対処していく達人。

 明らかに達人の動きが地味なのだが、間違いなく魔導王との近接戦闘では最適解だ。
 魔導王が瞬間移動で消えると、達人はあちこちをくるくる振り向きながらジャブを繰り返す。
 達人に死角なし!

 背後に現れた魔導王が魔法を放っても、すぐ振り返ってジャブで相殺してくる。

「ええい! なんだこいつ! なんだこいつ! 僕の魔法が全く通らない!! 僕がたかだか千年眠っている間に、どうしてこんな奴らが三人も出てきたんだ!!」

「そりゃあお前、千年前に魔導王打倒を誓った魔法使いユーリンってのがいてな」

「ユーリン……!? 僕を召喚したあの男か! まだ生きていたのか!? そして、僕を倒すために異世界召喚を続けてたとでも?」

「そのまさかだ。いやあ、虚仮の一念岩をも通すよな。それで、俺と達人がやって来た。オクタゴンだけじゃあんたを止めるのは無理だっただろうなー」

 魔導王、とにかく手数が多い。
 陰謀に、手下の召喚に、現地施設を使っての尖兵生産、自ら動いての暗殺、いざとなれば大陸ごと破壊。
 取ってくる戦法の数が多いのだ。

 領域展開特化のオクタゴンでは、とても対応しきれない。
 だが。
 これらは俺のヘルプ機能で事前にチェックし、対抗できた。

 アカネルがちょこちょこ対策本部に顔を出し、魔導王の動きを逐一連絡していたためである。
 そして、いざ魔導王が近場に現れても、達人がいれば対処できる。
 この精神的余裕よ。

「俺たち三人が揃い、現地戦力とも共闘できるようになった時点で、あんたは詰んでいたのだよ。残念だったなあーかわいそう」

「貴様ーっ!!」

 かわいそう呼ばわりされて、魔導王が激高する。
 だがまあ、達人を相手にしながら何かする余裕はあるまい。

 なので俺は一つ予測を立てる。

「あいつ、これから代償を払って最後の手段みたいなことして、こっちに攻撃を仕掛けてくるぞ。もう俺らをどうにかするためなら死んでもいいくらいの勢いで来る」

 俺が呟くと、ナルカの胸元に収まっていたミニアカネルが頷いた。

「はい。ヘルプ機能が時空魔法の使用を感知しました。魔導王が過去と接続しています。その代わり達人に押され始めてますが」

「達人が魔導王をぶっ倒すか、魔導王が魔法を行使するかの勝負だが……さすが腐っても魔導王だなあ。やりやがった」

 魔導王の背後の風景が歪む。
 ……と思ったら、この巨大な浮遊城の後ろ半分が消し飛んだ。

 空にポッカリ、真っ黒な穴が空いているように見える。
 そこに、もう一人の魔導王が浮かんでいた。

「もう一人呼んできた。とんでもない代償を払ったけど、仕方ない。僕はムカつく奴らを放っておくのが何より嫌いなんだ……!!」

 魔導王が凄い笑みを浮かべた。
 だが、俺はそれをヘルプ機能経由でしか見てないぞ。

 なぜなら……。

「ふん、未来の僕が情けない。だが、僕がこうして二人いれば勝てないものなど……なにぃーっ!?」

 過去の魔導王が絶叫する。
 なぜなら!

 俺が既にジャンプしてそこにいて、チョップを振り下ろしきったところだったからだ!

「ウグワーッ!!」

 あらゆる魔法的防御を突き抜けて、叩き込まれる俺のチョップ。
 絶妙な角度で放てば、魔法防御を全て誤認させてすり抜けられる……!
 俺が今作った弱点である。

 出現して早々に脳天唐竹割りを食らった魔導王が、のたうち回りながら落下した。

 俺も落下するが、カオルンが飛んできてキャッチした。

「まっ、マナビがいきなり飛び出したからびっくりしたのだ!」

「悪い悪い。だけど、味方も知らない動きってことは、魔導王には予想も出来なかっただろう。見ろよあの顔!」

「「貴様貴様貴様貴様貴様ーっ!!」」

 二人になった魔導王が、すっごい形相で俺を睨みつける。
 だが、現代の魔導王は気を散らしたせいで、達人のダッシュ中パンチを食らってしまった。

 オイオイオイ、終わったわあいつ。

「ウグワーッ!」

 地面に叩きつけられ、バウンドした魔導王に達人のコンボが炸裂し始める。

「お、おいやめろ貴様!! くそっ、こうなれば」

 達人を邪魔しようとする過去の魔導王に、俺が投げた石があらゆる魔法的防御を突き抜けて当たるのである。

「ウグワーッ!?」

「おいおいおい、終わるのはあいつだけじゃない。お前も今ここで終わるんだぞ」

 決着をつけようではないか。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

剣の母は十一歳。求む英傑。うちの子(剣)いりませんか?ただいまお相手募集中です!

月芝
ファンタジー
国の端っこのきわきわにある辺境の里にて。 不自由なりにも快適にすみっこ暮らしをしていたチヨコ。 いずれは都会に出て……なんてことはまるで考えておらず、 実家の畑と趣味の園芸の二刀流で、第一次産業の星を目指す所存。 父母妹、クセの強い里の仲間たち、その他いろいろ。 ちょっぴり変わった環境に囲まれて、すくすく育ち迎えた十一歳。 森で行き倒れの老人を助けたら、なぜだか剣の母に任命されちゃった!! って、剣の母って何? 世に邪悪があふれ災いがはびこるとき、地上へと神がつかわす天剣(アマノツルギ)。 それを産み出す母体に選ばれてしまった少女。 役に立ちそうで微妙なチカラを授かるも、使命を果たさないと恐ろしい呪いが……。 うかうかしていたら、あっという間に灰色の青春が過ぎて、 孤高の人生の果てに、寂しい老後が待っている。 なんてこったい! チヨコの明日はどっちだ!

鍵の王~才能を奪うスキルを持って生まれた僕は才能を与える王族の王子だったので、裏から国を支配しようと思います~

真心糸
ファンタジー
【あらすじ】  ジュナリュシア・キーブレスは、キーブレス王国の第十七王子として生を受けた。  キーブレス王国は、スキル至上主義を掲げており、高ランクのスキルを持つ者が権力を持ち、低ランクの者はゴミのように虐げられる国だった。そして、ジュナの一族であるキーブレス王家は、魔法などのスキルを他人に授与することができる特殊能力者の一族で、ジュナも同様の能力が発現することが期待された。  しかし、スキル鑑定式の日、ジュナが鑑定士に言い渡された能力は《スキル無し》。これと同じ日に第五王女ピアーチェスに言い渡された能力は《Eランクのギフトキー》。  つまり、スキル至上主義のキーブレス王国では、死刑宣告にも等しい鑑定結果であった。他の王子たちは、Cランク以上のギフトキーを所持していることもあり、ジュナとピアーチェスはひどい差別を受けることになる。  お互いに近い境遇ということもあり、身を寄せ合うようになる2人。すぐに仲良くなった2人だったが、ある日、別の兄弟から命を狙われる事件が起き、窮地に立たされたジュナは、隠された能力《他人からスキルを奪う能力》が覚醒する。  この事件をきっかけに、ジュナは考えを改めた。この国で自分と姉が生きていくには、クズな王族たちからスキルを奪って裏から国を支配するしかない、と。  これは、スキル至上主義の王国で、自分たちが生き延びるために闇組織を結成し、裏から王国を支配していく物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様、ノベルアップ+様でも掲載しています。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

処理中です...