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72・見せてもらおうか、伝説のハーブの力
第214話 マサラガラムを料理に使うとして
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手に入れた、伝説のハーブ、マサラガラム。
伝承から完全に忘れられているくらいには伝説のハーブだ。
見た目は茶色と緑の間くらいの色をしている、粗めの粉。
袋は密閉されており、香りはわからないが……。
「ガラムマサラってどんな味だったかなあ」
「分からん……」
僕とシズマがうーむ、と唸る。
これを聞いて、アーシェが突っ込んできた。
「マサラガラムでしょ?」
「そうでした」
いかんいかん、異世界地球出身の僕ら二人の素性が明らかになるところだった。
いや、このドリームチームパーティの面々なら、明らかになっても別にいいか。
ということで僕らは、とある場所に向かった。
料理を試すといえば……?
遺跡都市アーランにおいて、最も先進的な食堂。
調理器具と専任スタッフの数ならば、デュオス殿下の厨房だろうが、ここはたった一人でその全員をぶっちぎる。
このドリームチームに匹敵……いや、凌駕するかも知れないすごい男の店である!
「いようギルボウ!!」
「おう、ナザルか! なんだなんだ、今日は客をたくさん連れてきたなあ」
昼飯時間が終わる辺りを狙ったので、ほどよく空いている。
「ここがナザル御用達の店か。俺も知っているが、ただの食堂じゃないのか?」
これを聞いて、シズマがふふんと笑った。
「アーガイル、ここはヤバいぜ……。恐らく世界で一番ヤバい食堂だ」
「なん……だと……?」
ギルボウが妙な表情をした。
「おいナザル。また変な物を料理に持ち込んできたんじゃねえだろうな」
「実はそのまさかだ。これを見てくれ、ギルボウ!」
「こいつは……。乾燥させたハーブか。表が緑、裏が茶色。葉を刻んだやつだな。よく乾燥されてる。シンプルな処理だな……」
ギルボウは躊躇なく、マサラガラムの詰まった袋をナイフで切り開いた。
「不思議な袋だな。透明だが、ガラスと違って柔らかい。そして密封されてる。切り開いたら、何とも言えぬ香りが溢れ出してきたぞ。香りまで閉じ込めていたのか、この薄く透き通った袋が!」
「ビニール袋だな」
「高性能ビニールだよな」
僕とシズマだけ訳知り顔。
しかし、マサラガラムの香りがすごいなあ!
ちょっと薬っぽいか?
「ふむ、ハーブの中には薬として使うものがある。それに似た匂いだな」
「ですねえ~。神殿でもこういう香りのものを煎じたりします。でも~……こんなに奥深くて複雑な香りは初めてですねえ~」
アーガイルさんとルリア、漢方薬みたいなのに詳しい!
回復魔法では対処の難しいタイプの病気や、衰弱した体で回復させると体力を消費しきって死んでしまうような状況で、漢方薬っぽいハーブが用いられるそうな。
なーるほどなあ。
「こりゃあ……なかなか面白いな」
ニヤッとギルボウが笑った。
「何か思いついたか、ギルボウ?」
「当然よ。ちゃんと料理の金は払っていけよ」
そう告げるなり、ギルボウは料理を始めた。
いや、焼いて置いてあった鳥肉をスライスし、マサラガラムをまぶしたものを出してきた。
こりゃまた、シンプルだなあ!
「どれどれ……? 塩だけしか振られていない鳥肉にマサラガラムだけで味付けをするのか」
「俺はさっき味見したぜ。こりゃあなかなかおもしれえ」
「ギルボウがそう言うならば間違いないんだろう。どーれ」
パクっと食べる僕なのだった。
アーガイルさんがこれを見て、「あっ! 毒かも知れないだろうが!」と発する。
僕はギルボウの舌を信頼しているのだ。
「おっ! こりゃあ面白い味……。香りは薬臭いのに、口に入れた瞬間にすごい香りが口から鼻に抜けていく……! うむ、うむ……。こりゃあ美味いぞ。辛くて、しょっぱくて、ほろ苦くて、ほんのり甘い。複雑な味だ……!」
「堪らねえ! 俺も食うぜ!」
「あたしもー!!」
シズマとアーシェも鳥肉に踊りかかった!
「うおお、クセがあるけどうめえ!!」
「あー、これあたし好きだわー! 絶対エールに合う~!」
「そんなに? どれどれ……」
「私もいただきます~」
「俺もちょっとだけ……」
ツインとルリアとアーガイルさんがパクっと食べる。
そして三人とも、「んん~っ!!」と声をあげる。
食べたこと無いよなあ、こんな複雑な香り!
「お、おい! 俺達にも食わせてくれよ!」「ひゃーっ! なんだこの香り! おもしれー!」「いや、面白いんだがうめえぞ!!」
店に残って酒を飲んでいた客も加わり、わあわあ騒ぐ。
僕らがマサラガラムを掛けただけの鳥肉に舌鼓を打っていると、何とも言えぬ複雑ないい香りが漂ってきた。
これは……煮物……!?
いわゆる肉野菜スープにマサラガラムを……?
「この料理の主役はこのハーブだ。味わいを強く感じるように、水は少なめにしてあるぜ」
おお、出されたスープが!
緑色に染まっている!
さらさらしているのに香ってくるのは……。
「カレーだ」
「カレーの匂いだ! いや、ちょっと違うぜこれ。タイカレーだ!!」
僕とシズマがどよめく。
ガラムマサラみたいに動いたと思えば、水に溶くとスープカレーみたいな味になる。
カレーの味の八割はカレーコだと聞いて、だったらマサラガラムなんか手に入れる意味があるのかと思っていたが。
これは言うなれば、カレーの味の複雑さを担保するハーブだ!
必要不可欠じゃねえか!!
だとしたらこのスープも、とんでもないぞ、こりゃあ……!
伝承から完全に忘れられているくらいには伝説のハーブだ。
見た目は茶色と緑の間くらいの色をしている、粗めの粉。
袋は密閉されており、香りはわからないが……。
「ガラムマサラってどんな味だったかなあ」
「分からん……」
僕とシズマがうーむ、と唸る。
これを聞いて、アーシェが突っ込んできた。
「マサラガラムでしょ?」
「そうでした」
いかんいかん、異世界地球出身の僕ら二人の素性が明らかになるところだった。
いや、このドリームチームパーティの面々なら、明らかになっても別にいいか。
ということで僕らは、とある場所に向かった。
料理を試すといえば……?
遺跡都市アーランにおいて、最も先進的な食堂。
調理器具と専任スタッフの数ならば、デュオス殿下の厨房だろうが、ここはたった一人でその全員をぶっちぎる。
このドリームチームに匹敵……いや、凌駕するかも知れないすごい男の店である!
「いようギルボウ!!」
「おう、ナザルか! なんだなんだ、今日は客をたくさん連れてきたなあ」
昼飯時間が終わる辺りを狙ったので、ほどよく空いている。
「ここがナザル御用達の店か。俺も知っているが、ただの食堂じゃないのか?」
これを聞いて、シズマがふふんと笑った。
「アーガイル、ここはヤバいぜ……。恐らく世界で一番ヤバい食堂だ」
「なん……だと……?」
ギルボウが妙な表情をした。
「おいナザル。また変な物を料理に持ち込んできたんじゃねえだろうな」
「実はそのまさかだ。これを見てくれ、ギルボウ!」
「こいつは……。乾燥させたハーブか。表が緑、裏が茶色。葉を刻んだやつだな。よく乾燥されてる。シンプルな処理だな……」
ギルボウは躊躇なく、マサラガラムの詰まった袋をナイフで切り開いた。
「不思議な袋だな。透明だが、ガラスと違って柔らかい。そして密封されてる。切り開いたら、何とも言えぬ香りが溢れ出してきたぞ。香りまで閉じ込めていたのか、この薄く透き通った袋が!」
「ビニール袋だな」
「高性能ビニールだよな」
僕とシズマだけ訳知り顔。
しかし、マサラガラムの香りがすごいなあ!
ちょっと薬っぽいか?
「ふむ、ハーブの中には薬として使うものがある。それに似た匂いだな」
「ですねえ~。神殿でもこういう香りのものを煎じたりします。でも~……こんなに奥深くて複雑な香りは初めてですねえ~」
アーガイルさんとルリア、漢方薬みたいなのに詳しい!
回復魔法では対処の難しいタイプの病気や、衰弱した体で回復させると体力を消費しきって死んでしまうような状況で、漢方薬っぽいハーブが用いられるそうな。
なーるほどなあ。
「こりゃあ……なかなか面白いな」
ニヤッとギルボウが笑った。
「何か思いついたか、ギルボウ?」
「当然よ。ちゃんと料理の金は払っていけよ」
そう告げるなり、ギルボウは料理を始めた。
いや、焼いて置いてあった鳥肉をスライスし、マサラガラムをまぶしたものを出してきた。
こりゃまた、シンプルだなあ!
「どれどれ……? 塩だけしか振られていない鳥肉にマサラガラムだけで味付けをするのか」
「俺はさっき味見したぜ。こりゃあなかなかおもしれえ」
「ギルボウがそう言うならば間違いないんだろう。どーれ」
パクっと食べる僕なのだった。
アーガイルさんがこれを見て、「あっ! 毒かも知れないだろうが!」と発する。
僕はギルボウの舌を信頼しているのだ。
「おっ! こりゃあ面白い味……。香りは薬臭いのに、口に入れた瞬間にすごい香りが口から鼻に抜けていく……! うむ、うむ……。こりゃあ美味いぞ。辛くて、しょっぱくて、ほろ苦くて、ほんのり甘い。複雑な味だ……!」
「堪らねえ! 俺も食うぜ!」
「あたしもー!!」
シズマとアーシェも鳥肉に踊りかかった!
「うおお、クセがあるけどうめえ!!」
「あー、これあたし好きだわー! 絶対エールに合う~!」
「そんなに? どれどれ……」
「私もいただきます~」
「俺もちょっとだけ……」
ツインとルリアとアーガイルさんがパクっと食べる。
そして三人とも、「んん~っ!!」と声をあげる。
食べたこと無いよなあ、こんな複雑な香り!
「お、おい! 俺達にも食わせてくれよ!」「ひゃーっ! なんだこの香り! おもしれー!」「いや、面白いんだがうめえぞ!!」
店に残って酒を飲んでいた客も加わり、わあわあ騒ぐ。
僕らがマサラガラムを掛けただけの鳥肉に舌鼓を打っていると、何とも言えぬ複雑ないい香りが漂ってきた。
これは……煮物……!?
いわゆる肉野菜スープにマサラガラムを……?
「この料理の主役はこのハーブだ。味わいを強く感じるように、水は少なめにしてあるぜ」
おお、出されたスープが!
緑色に染まっている!
さらさらしているのに香ってくるのは……。
「カレーだ」
「カレーの匂いだ! いや、ちょっと違うぜこれ。タイカレーだ!!」
僕とシズマがどよめく。
ガラムマサラみたいに動いたと思えば、水に溶くとスープカレーみたいな味になる。
カレーの味の八割はカレーコだと聞いて、だったらマサラガラムなんか手に入れる意味があるのかと思っていたが。
これは言うなれば、カレーの味の複雑さを担保するハーブだ!
必要不可欠じゃねえか!!
だとしたらこのスープも、とんでもないぞ、こりゃあ……!
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