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74・カレーである!!!!
第223話 カレー実食!
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「ゾル状のカレースープに炒めたラクダ肉を入れてだな……」
「な、なんてことだ! スープだけでも美味いのに!」
「刻んだ炒めた野菜なども入れておくぞ。本来はくたくたになるまで煮込むんだが、今回はあえて未完成の状態で食べる。他はあんたが発見してくれ」
「お、俺が……!? 責任重大だ……」
お前が砂漠の王国の美食の伝道師になるんだよ!
任せたぞ。
アブダビにはとりあえずパスタを茹でてもらった。
オアシスが近いから、水は割と潤沢なんだよなあ、この国。
「ぐるぐるパスタ茹で上がったぞ! なるほど、このグルグルならカレーを多く巻き込める……。よく考えられているなあ」
大量のカレーが完成した。
そして、パスタは別皿にして持って行く。
食堂では、なんと砂漠の王国の王と執政官たちがずらりと待っていた。
こいつら、僕のカレーに一番に箸をつけようってのか!
食い意地が張ってていいぞー。
素晴らしいカレーの香りに、王がむおおおおっと唸った。
なお、なんか王の右側に執政官たち。
左側に女性と子供がずらーっと並んでるんだが?
「あれは陛下のお妃様と王子殿下、王女殿下たちだ」
「一夫多妻~!!」
で、大鍋に作ってきたカレーをよそい、次々にサーブするのである。
王子、王女たちはもう待ち切れない様子だ。
執政官たちもそわそわしている。
カレーは新しい料理なのに、この香りは絶対に美味しいものだと確信させてくれる。
それが、食に対して保守的な砂漠の王国の民を惹きつけるのだろうな。
「こちらのパスタに絡めて召し上がってください。スープだけでも結構です」
「うむ」
王は重々しく頷いた。
そして、執政官の筆頭っぽい老人に目配せする。
老人が声を張り上げた。
「では食事をしよう! これは美食の伝道師、ナザル殿が我々の国にもたらしてくれた新たなる味!! 我らの王国の繁栄を約束する味ですぞ!」
それが合図となったようで、みんな一斉に食べ始めた。
あちこちから「むほー!」という声が聞こえてくる。
美味かろう。
「アブダビ、ここでパンを投入だ」
「ええっ、このタイミングでか!? そんな! スープを残らず吸わせてとんでもなく美味しくなってしまうぞ!!」
アブダビは声が大きい。
なので、この会話は食堂の隅々まで聞こえたことだろう。
「パンを持てい!! 構わぬ! 余が許す!!」
王が直接叫んだ!
辛抱たまらなくなったな。
こうしてパンが運ばれてきて、よく焼かれたパンはカレーを実に吸う。
不味いわけがない。
またあちこちから、「むほー!」という声が聞こえてきた。
これ、砂漠の国の感嘆の言葉なの?
でも喜んでもらえているようだ。
ガツガツ食べてらっしゃる。
たーんとお食べ。
僕はお代わりの要請が来る度に、お椀にカレーをよそってサーブしてあげた。
うおおおん、僕は今配膳のおじさんだ。
ついにカレーが尽き、山程茹でたパスタと、買い集めてあったパンがなくなった。
王宮の人たちがお腹いっぱいになり、「ウー苦しい」「でも幸せ」とか言っている。
この世界、王族でも美味しいもの食べられるとは限らないからな。
その点、このカレーは現代日本の味を覚えている僕の舌でも、結構ウマいと太鼓判を押せる出来だ。
「ナザルよ」
「はっ」
「この素晴らしきメニューを我が国にもたらしたこと、礼を言う」
「いえ、元は砂漠の王国に眠っていた真の資源が明らかになっただけの話。これは言うなれば、この国の勝利なのです……!!」
オオーッとどよめく執政官。
そしてお妃様方がワーッと拍手してくれた。
陛下もニコニコしながら頷いているぞ。
「なお、この料理のレシピはこちらのアブダビに全て託してあります」
オオーッとどよめく一同。
「カレーには様々な可能性が眠っています。これを市井(しせい)にも広めて、民たちの創意工夫を呼び覚まし、無数のバリエーションのカレーを生み出してください。そして僕は王家のみに、このマサラガラムを一袋置いていきます……。カレーにちょっと掛けると劇的な味変」
ざわめく一同。
陛下に手渡す僕なのだった。
「アーランから輸出されるでしょうが、どうしても高価になるものなので王家で管理して販売してください」
そのようなお願いをしつつ、今回のカレー実食は終わったのだった。
砂漠の王国でカレーが流行るのは確定。
今後、民間でどれだけの多彩なカレーが生まれてくるのか楽しみだ。
美食が流行ると、食べ飽きるという概念が産まれる。
そうなると、人気の味のカレーだろうと食べ続けると飽きるので、味変カレーが流行りだすのだ。
いやあ、楽しみ楽しみ……。
ただ、あまりにもカレーが流行ると、その香りに釣られてベヒーモスが遊びにきたりするんじゃないかなと思ったりもする……。
まあいいか!
僕は仲間の分のカレーも作ると、食堂を出た。
ここは王家が貸し切りにした、王国最大の食堂。
その外の屋根付きテラスで、ツイン、ルリア、コゲタが待っていた。
ツインとルリアにはやや甘口、コゲタはあまーい甘口で作ってきたぞ。
辛いのは訓練して食べれるようになっていこうな。
あ、コゲタは訓練しなくていいか。
「ああ、これは美味いな……! マサラガラムは刺激が強かったけれど、これならば美味しさが分かる!」
「本当ですねえ~。グルグルパスタとも絡んで、ああ、美味しい~」
「おいしーねー! コゲタこれすきー!」
うんうん、喜んでもらえて何よりだ!
「な、なんてことだ! スープだけでも美味いのに!」
「刻んだ炒めた野菜なども入れておくぞ。本来はくたくたになるまで煮込むんだが、今回はあえて未完成の状態で食べる。他はあんたが発見してくれ」
「お、俺が……!? 責任重大だ……」
お前が砂漠の王国の美食の伝道師になるんだよ!
任せたぞ。
アブダビにはとりあえずパスタを茹でてもらった。
オアシスが近いから、水は割と潤沢なんだよなあ、この国。
「ぐるぐるパスタ茹で上がったぞ! なるほど、このグルグルならカレーを多く巻き込める……。よく考えられているなあ」
大量のカレーが完成した。
そして、パスタは別皿にして持って行く。
食堂では、なんと砂漠の王国の王と執政官たちがずらりと待っていた。
こいつら、僕のカレーに一番に箸をつけようってのか!
食い意地が張ってていいぞー。
素晴らしいカレーの香りに、王がむおおおおっと唸った。
なお、なんか王の右側に執政官たち。
左側に女性と子供がずらーっと並んでるんだが?
「あれは陛下のお妃様と王子殿下、王女殿下たちだ」
「一夫多妻~!!」
で、大鍋に作ってきたカレーをよそい、次々にサーブするのである。
王子、王女たちはもう待ち切れない様子だ。
執政官たちもそわそわしている。
カレーは新しい料理なのに、この香りは絶対に美味しいものだと確信させてくれる。
それが、食に対して保守的な砂漠の王国の民を惹きつけるのだろうな。
「こちらのパスタに絡めて召し上がってください。スープだけでも結構です」
「うむ」
王は重々しく頷いた。
そして、執政官の筆頭っぽい老人に目配せする。
老人が声を張り上げた。
「では食事をしよう! これは美食の伝道師、ナザル殿が我々の国にもたらしてくれた新たなる味!! 我らの王国の繁栄を約束する味ですぞ!」
それが合図となったようで、みんな一斉に食べ始めた。
あちこちから「むほー!」という声が聞こえてくる。
美味かろう。
「アブダビ、ここでパンを投入だ」
「ええっ、このタイミングでか!? そんな! スープを残らず吸わせてとんでもなく美味しくなってしまうぞ!!」
アブダビは声が大きい。
なので、この会話は食堂の隅々まで聞こえたことだろう。
「パンを持てい!! 構わぬ! 余が許す!!」
王が直接叫んだ!
辛抱たまらなくなったな。
こうしてパンが運ばれてきて、よく焼かれたパンはカレーを実に吸う。
不味いわけがない。
またあちこちから、「むほー!」という声が聞こえてきた。
これ、砂漠の国の感嘆の言葉なの?
でも喜んでもらえているようだ。
ガツガツ食べてらっしゃる。
たーんとお食べ。
僕はお代わりの要請が来る度に、お椀にカレーをよそってサーブしてあげた。
うおおおん、僕は今配膳のおじさんだ。
ついにカレーが尽き、山程茹でたパスタと、買い集めてあったパンがなくなった。
王宮の人たちがお腹いっぱいになり、「ウー苦しい」「でも幸せ」とか言っている。
この世界、王族でも美味しいもの食べられるとは限らないからな。
その点、このカレーは現代日本の味を覚えている僕の舌でも、結構ウマいと太鼓判を押せる出来だ。
「ナザルよ」
「はっ」
「この素晴らしきメニューを我が国にもたらしたこと、礼を言う」
「いえ、元は砂漠の王国に眠っていた真の資源が明らかになっただけの話。これは言うなれば、この国の勝利なのです……!!」
オオーッとどよめく執政官。
そしてお妃様方がワーッと拍手してくれた。
陛下もニコニコしながら頷いているぞ。
「なお、この料理のレシピはこちらのアブダビに全て託してあります」
オオーッとどよめく一同。
「カレーには様々な可能性が眠っています。これを市井(しせい)にも広めて、民たちの創意工夫を呼び覚まし、無数のバリエーションのカレーを生み出してください。そして僕は王家のみに、このマサラガラムを一袋置いていきます……。カレーにちょっと掛けると劇的な味変」
ざわめく一同。
陛下に手渡す僕なのだった。
「アーランから輸出されるでしょうが、どうしても高価になるものなので王家で管理して販売してください」
そのようなお願いをしつつ、今回のカレー実食は終わったのだった。
砂漠の王国でカレーが流行るのは確定。
今後、民間でどれだけの多彩なカレーが生まれてくるのか楽しみだ。
美食が流行ると、食べ飽きるという概念が産まれる。
そうなると、人気の味のカレーだろうと食べ続けると飽きるので、味変カレーが流行りだすのだ。
いやあ、楽しみ楽しみ……。
ただ、あまりにもカレーが流行ると、その香りに釣られてベヒーモスが遊びにきたりするんじゃないかなと思ったりもする……。
まあいいか!
僕は仲間の分のカレーも作ると、食堂を出た。
ここは王家が貸し切りにした、王国最大の食堂。
その外の屋根付きテラスで、ツイン、ルリア、コゲタが待っていた。
ツインとルリアにはやや甘口、コゲタはあまーい甘口で作ってきたぞ。
辛いのは訓練して食べれるようになっていこうな。
あ、コゲタは訓練しなくていいか。
「ああ、これは美味いな……! マサラガラムは刺激が強かったけれど、これならば美味しさが分かる!」
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