俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
243 / 337
80・それは白米と言う名の信仰

第243話 食うぞ白米!

しおりを挟む
 炊きあがった白米は、つやつやのピッカピカ。
 既にここに飯の友を用意してある。

 釣った魚を焼いて、塩を振っただけのやつだ。
 十分ではないか!

 食器がフォークしか無いのが不満だが仕方ない。
 チョップスティックはアーランに戻ってから調達しよう。
 確か似たようなの開発されて使われていたし。

 器に盛られた米をフォークでそっと掬う。
 この粘り気!!
 米だ。
 ジャポニカ米である!

 焼き魚はちょっと表面が焦げているが、そこが美味いのだ。

「いただきます」

「いただきまあす!」

 コゲタは魚をもうご飯の上に載せている。
 焼き魚丼というわけか。
 いきなりレベルが高いな……!

 さてさて、まずは米飯を口に入れて味わうのだ。

 おお、米……!
 日本にいた頃は気付かなかったが、米とはこれほど香りの高いものだったのか。
 やや硬めに炊いた米だが、幸いなことに芯は無い。

 白米の風味が涙が出るほど懐かしい。
 噛むほどに、甘みが出てくる。

 あー、美味い。
 しみじみ美味い。

「ふむふむ! 淡白な味だから焼き魚を支えて、その味を強調してくれているね。これはなかなか……」

 もりもり食べるリップル。
 米に抵抗がないらしい。

 僕は色々聞きたいところはあったが、まずは自分の米を食べきらねば口を開くのが惜しい。
 指とフォークで魚をほぐし、米と一緒に食べた。
 うんうん。
 美味い美味い。

 これだよこれ。
 素朴な味だが、これが食べたかったんだ。

 僕はうんうん頷きながら、皿に盛った米を食べきった。
 そしてお代わりをし、魚もちょうど食べきる。

「いやあ、満足満足……」

 横ではコゲタも焼き魚丼を食べきって、満足げである。
 マキシフはコゲタの真似をしてみたらしい。

「炊いたお米というのは、柔らかすぎなくて食べやすいですね。コゲタのやり方も、一度に米と魚が食べられてとてもいい。美味しかったです」

「うん! おいしかったー!」

 コボルドたちは素直でいいねえ!
 一前食べ終えてそれなりに満足したらしいリップル。
 彼女が僕に聞いてきた。

「それにしても、確かに今まで食べたことがない種類の穀物だったけれど、君がこの米に対して、そこまで強い情熱を燃やすのはなぜだい? 麦の方がわかりやすく、いろいろな活用ができるだろう?」

「そう、それは間違いない。だが、米の本当の持ち味というのはアーランに持ち帰ってから発揮されるものなんだ」

「ほう? それはつまり……食材が多ければ多いほど生きる穀物ということかい? だとすると……この淡白な味の穀物に、様々な料理を合わせて食べていけるということか……!」

「察しがいい! つまり、今までの料理は今までの料理のまま、この米と一緒に食べることでさらに美味しさが引き立つようになるんだ。味がちょっと濃すぎる料理もあっただろ? あれは米に乗せたりして食べるとちょうどよくなる」

「なるほどなあ。他と合わせること前提の主食ということか。アーランでも昔は蕎麦のガレットや麦そのものを茹でて食べたりもしていたが、それはこれほど食べやすく、滋味豊かではなかった。ただ水で炊くだけで柔らかく美味しくなる穀物……。これは革命かもしれない」

 伊達に安楽椅子冒険者をやっていないな!
 全て言う通りだ!
 いやあ、リップルを連れてきて本当に良かった。

 僕がジーンとしていると、ダイフク氏が「はい!」と挙手した。

「わしもそろそろ食べたいのですがな」

「忘れてた!」

「そんなー」

 ちょっと冷めてきた米を、僕はおにぎりにしてやった。
 残りがこれで片付く。

 ダイフク氏は塩を軽く振ったおにぎりを、ペロリと飲み込んだ。

「おほー! こりゃあちょうどいいですな! 柔らかい! そしてこの滑りすぎず、張り付きすぎず、乾いてもいない喉越し! 美味いですなー」

「喉越し判定でも高得点だったか」

「かなり高得点ですぞ。これほど安定した食べ物はなかなかありませんな。アーランで食べたうどん玉に匹敵します」

「うどんを丸めたやつか! 確かにおにぎりにかなり近い」

「うどん玉はちょっと水気が多いのですが、このおにぎりという食べ物は水気もちょうどいい! ベスト・オブ喉越しと言えましょう」

「褒められているのだろうが複雑な気分だな……」

 さて、これで食べてもいいお米は食べ尽くした。
 いやあ満足した。
 居並ぶみんなからも好評だった。

「私としては、米の可能性に興味があるな。確か、垂れ耳コボルドたちも米を主食にしているんだろう?」

「スケアクロウのモリブ氏によるとそうらしい。米の食べ方なら彼らを訪ねろって言ってた」

「だったら、行ってみようじゃないか。ここからなら数時間で、垂れ耳コボルドの集落につくらしいから」

「そうなの!?」

 そんな情報は聞いてなかった。

「簡単な推理だよ。スケアクロウの住処には建物が米を貯蔵する倉以外に存在しない。なのに、コボルドたちは米を受け取りにやって来るんだろう? 話を聞いたけど、この島には馬も牛もいない。つまり、物を運ぶために使役される動物が存在しないんだ。コボルドたちは自らの足で米を担いで帰っていく」

「ふんふん……つまり、日帰りで米を持って帰れるくらいの距離に彼らは住んでいると?」

「そうなるね。やって来る時間はたいてい昼過ぎということだ。朝に彼らの住処を出て、昼に到着し、持ち帰ると夕方になると見たよ」

「なるほどなあ」

 なお、スケアクロウは田んぼから絶対に離れないため、ちょっと離れた場所のこともよく分からないんだそうだ。
 水田に入れる水を管理する時のみ、川まで移動したりする。
 だから、あくまで彼らの話は事実の陳列になるのだ。

 そこからリップルが推理したわけだが……。

「だったら、訪ねるしかないな」

「そうだねえ。行くかい?」

「行こう!」

「コゲタもいく!」

 ということで。
 僕らは昼過ぎにスケアクロウの里を発つことを決めるのだった。

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~

志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。 そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!? 個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!? これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥ 小説家になろうでも掲載しております。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました

夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。 スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。 ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。 驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。 ※カクヨムで先行配信をしています。

処理中です...