244 / 337
81・突撃、垂れ耳コボルドの集落!
第244話 森を抜けると、そこはコボルドの住処だった
しおりを挟む
昼にスケアクロウの里を発った僕らである。
水田地帯からちょっと先に行ったところに、森が広がっている。
なんと熱帯雨林だ。
虫が寄り付かないように、周囲を油の霧で覆いながら移動しよう。
「ひえーっ、蒸し暑い蒸し暑い」
リップルが早くも音を上げ始めた!
まあこの人の場合、弱音を吐くのが早いだけで体力はかなりある方だと思う。
伊達に過去の英雄ではない。
コゲタは鼻歌混じりにトコトコ歩く。
ちょっと暑そうだが、若いコボルドはそんなものには負けない体力があるのだ。
おっ、近づいてきていた蚊みたいなのが僕の油の霧に絡まれて落ちていくぞ。
ははは、近寄れまい。
害虫対策は完璧なのだ。
僕らが歩くのはいわゆる獣道。
とは言っても、コボルドたちがそこを頻繁に利用しているらしい。
しっかり踏み固められており、歩きやすい。
茂みや枝葉を切り払う必要だってない。
これは、米俵を運ぶ高さまでの枝をあらかじめ切ってあるのだろうな。
よく出来ている。
あちこちから獣や鳥の鳴き声が聞こえてくる。
実に熱帯雨林という感じだ!
茂みからは、こちらをじっと見つめる肉食獣の姿がある。
ジャガーとかそういう感じかしら。
だが相手が悪い。
僕がいるからな。
一番小さいコゲタを狙っているのかも知れないが、そこは僕のまもりが最も厚い場所だぞ。
あとリップルもいる。
我々に死角なし!
結局、ジャガーは油のにおいが苦手なようで、遠巻きに眺めるだけで近寄ってこなかった。
その他、獣道の近くで求愛のダンスをする鳥などを見た。
獣道、なにげに動物たちの安全地帯になっていたりする?
コボルドの群れがお米を運んでいくんだもんな。
熱帯雨林で暮らす彼らが、無防備で肉食獣に弱い存在だとは思えない。
恐らく、生き残れるほどの戦闘力を持っているのだろう。
これは、コボルドたちに会う際、気を引き締めて行かねばな……。
「ご主人ー! こっちのこぼるどのひとたち、たのしみねー!」
「そうだなー楽しみだなー!」
コゲタがウキウキしているから、ま、いいか!!
僕は考えるのをやめたぞ。
「ナザルはちょっと脳天気なくらいでいいんじゃないかな? そろそろ君を脅かすものはあまりいなくなってるだろう」
それもそうかも知れない……。
この間も、海の上でシーサーペントやらに襲撃されても心穏やかだったからなあ。
やはり遠巻きにしているジャガー以下、ニシキヘビみたいなのや大猿みたいなのやらを眺めながら、僕はニコニコと道を行くことにした。
誰も襲ってこない。
おっと、大猿がそーっと木から下ってきて、油の霧に手を伸ばした。
手が油でネットリしたので、「ムキャーッ!?」とか驚いて体で手を拭こうとした。
伸びる油。
おお、パニックになってるパニックになっている。
これを見て、熱帯雨林の捕食者たちは流石に諦めたようだ。
次々に姿を消す。
「ヒエラルキーが決まったようだな……」
「ナザル、なにげに楽しんでる?」
「……実は。しかしこんなに緑に満ち溢れている場所なのに、全く食べられそうなものがないな」
「ああ。森は本来、人が生きることのできない環境だからね」
緑の砂漠とはよく言ったものだ。
砂漠にはカレーコがあるから、あっちのほうが生き延びられるかもしれない。
ということで、現地の捕食者を威嚇しながら突き進んだら、何も起こらなかったのだった。
よしよし、熱帯雨林を分からせてやったぞ。
こうして森を抜けると……。
いや、森の中ほどに集落があるのか。
木々が切り開かれており、その丸太で家を建てているようだ。
小さい人たちがワイワイと歩き回ったり昼寝をしたりしており……。
先程までの、生死をかけた感じのひりひりした熱帯雨林とは全く別物の環境なのだ。
間違いない!
垂れ耳コボルドの里だ!!
僕とリップルが姿を表すと、小さい垂れ耳コボルドたちが「キャーッ」とびっくりして各々の家に飛び込んでいく。
なお、お昼寝をしているコボルドたちはそのままお昼寝を続行しており、全く気付いていない。
なんという呑気さだろう。
で、戦闘向けのコボルドらしき人々が出てきた。
ブルドッグとかダルメシアンのコボルドだ。
おお、垂れ耳だ垂れ耳だ!
垂れ耳のコボルドがたくさんいる!
「こんにちはー!!」
コゲタが元気に声を張り上げる。
すると、飛び出してきた戦闘向けコボルドたちはハッとして立ち止まった。
「こんにちは!」
おお、挨拶が返ってきた!
僕とリップルも「こんにちは」と挨拶。
そうしたら、隠れていた小さいコボルドたちもわあわあと家から飛び出してきた。
挨拶の威力は凄まじいな……!
あとは、コゲタの存在がコボルドたちの緊張を解いたらしい。
「みみがとがってる!」「みみとがりコボルド!」「ふしぎー!」
こっちから見ると、コボルドは垂れ耳が普通なんだな。
「えー。僕らは海の向こうから来ました! 僕はナザルです!」
「リップルだよ」
「コゲタです!」
自己紹介したら、コボルドたちがオーとどよめいた。
なんというか実に純朴な人々だな……!
「なにをしにきたの?」
真っ直ぐな質問が投げかけられた。
答えは一つ。
「ここのコボルドたちが、お米をどうやって食べるのか見せてもらいに来たんだ」
水田地帯からちょっと先に行ったところに、森が広がっている。
なんと熱帯雨林だ。
虫が寄り付かないように、周囲を油の霧で覆いながら移動しよう。
「ひえーっ、蒸し暑い蒸し暑い」
リップルが早くも音を上げ始めた!
まあこの人の場合、弱音を吐くのが早いだけで体力はかなりある方だと思う。
伊達に過去の英雄ではない。
コゲタは鼻歌混じりにトコトコ歩く。
ちょっと暑そうだが、若いコボルドはそんなものには負けない体力があるのだ。
おっ、近づいてきていた蚊みたいなのが僕の油の霧に絡まれて落ちていくぞ。
ははは、近寄れまい。
害虫対策は完璧なのだ。
僕らが歩くのはいわゆる獣道。
とは言っても、コボルドたちがそこを頻繁に利用しているらしい。
しっかり踏み固められており、歩きやすい。
茂みや枝葉を切り払う必要だってない。
これは、米俵を運ぶ高さまでの枝をあらかじめ切ってあるのだろうな。
よく出来ている。
あちこちから獣や鳥の鳴き声が聞こえてくる。
実に熱帯雨林という感じだ!
茂みからは、こちらをじっと見つめる肉食獣の姿がある。
ジャガーとかそういう感じかしら。
だが相手が悪い。
僕がいるからな。
一番小さいコゲタを狙っているのかも知れないが、そこは僕のまもりが最も厚い場所だぞ。
あとリップルもいる。
我々に死角なし!
結局、ジャガーは油のにおいが苦手なようで、遠巻きに眺めるだけで近寄ってこなかった。
その他、獣道の近くで求愛のダンスをする鳥などを見た。
獣道、なにげに動物たちの安全地帯になっていたりする?
コボルドの群れがお米を運んでいくんだもんな。
熱帯雨林で暮らす彼らが、無防備で肉食獣に弱い存在だとは思えない。
恐らく、生き残れるほどの戦闘力を持っているのだろう。
これは、コボルドたちに会う際、気を引き締めて行かねばな……。
「ご主人ー! こっちのこぼるどのひとたち、たのしみねー!」
「そうだなー楽しみだなー!」
コゲタがウキウキしているから、ま、いいか!!
僕は考えるのをやめたぞ。
「ナザルはちょっと脳天気なくらいでいいんじゃないかな? そろそろ君を脅かすものはあまりいなくなってるだろう」
それもそうかも知れない……。
この間も、海の上でシーサーペントやらに襲撃されても心穏やかだったからなあ。
やはり遠巻きにしているジャガー以下、ニシキヘビみたいなのや大猿みたいなのやらを眺めながら、僕はニコニコと道を行くことにした。
誰も襲ってこない。
おっと、大猿がそーっと木から下ってきて、油の霧に手を伸ばした。
手が油でネットリしたので、「ムキャーッ!?」とか驚いて体で手を拭こうとした。
伸びる油。
おお、パニックになってるパニックになっている。
これを見て、熱帯雨林の捕食者たちは流石に諦めたようだ。
次々に姿を消す。
「ヒエラルキーが決まったようだな……」
「ナザル、なにげに楽しんでる?」
「……実は。しかしこんなに緑に満ち溢れている場所なのに、全く食べられそうなものがないな」
「ああ。森は本来、人が生きることのできない環境だからね」
緑の砂漠とはよく言ったものだ。
砂漠にはカレーコがあるから、あっちのほうが生き延びられるかもしれない。
ということで、現地の捕食者を威嚇しながら突き進んだら、何も起こらなかったのだった。
よしよし、熱帯雨林を分からせてやったぞ。
こうして森を抜けると……。
いや、森の中ほどに集落があるのか。
木々が切り開かれており、その丸太で家を建てているようだ。
小さい人たちがワイワイと歩き回ったり昼寝をしたりしており……。
先程までの、生死をかけた感じのひりひりした熱帯雨林とは全く別物の環境なのだ。
間違いない!
垂れ耳コボルドの里だ!!
僕とリップルが姿を表すと、小さい垂れ耳コボルドたちが「キャーッ」とびっくりして各々の家に飛び込んでいく。
なお、お昼寝をしているコボルドたちはそのままお昼寝を続行しており、全く気付いていない。
なんという呑気さだろう。
で、戦闘向けのコボルドらしき人々が出てきた。
ブルドッグとかダルメシアンのコボルドだ。
おお、垂れ耳だ垂れ耳だ!
垂れ耳のコボルドがたくさんいる!
「こんにちはー!!」
コゲタが元気に声を張り上げる。
すると、飛び出してきた戦闘向けコボルドたちはハッとして立ち止まった。
「こんにちは!」
おお、挨拶が返ってきた!
僕とリップルも「こんにちは」と挨拶。
そうしたら、隠れていた小さいコボルドたちもわあわあと家から飛び出してきた。
挨拶の威力は凄まじいな……!
あとは、コゲタの存在がコボルドたちの緊張を解いたらしい。
「みみがとがってる!」「みみとがりコボルド!」「ふしぎー!」
こっちから見ると、コボルドは垂れ耳が普通なんだな。
「えー。僕らは海の向こうから来ました! 僕はナザルです!」
「リップルだよ」
「コゲタです!」
自己紹介したら、コボルドたちがオーとどよめいた。
なんというか実に純朴な人々だな……!
「なにをしにきたの?」
真っ直ぐな質問が投げかけられた。
答えは一つ。
「ここのコボルドたちが、お米をどうやって食べるのか見せてもらいに来たんだ」
22
あなたにおすすめの小説
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
憧れの召喚士になれました!! ~でも、なんか違うような~
志位斗 茂家波
ファンタジー
小さい時から、様々な召喚獣を扱う召喚士というものに、憧れてはいた。
そして、遂になれるかどうかという試験で召喚獣を手に入れたは良い物の‥‥‥なんじゃこりゃ!?
個人的にはドラゴンとか、そう言ったカッコイイ系を望んでいたのにどうしてこうなった!?
これは、憧れの召喚士になれたのは良いのだが、呼び出した者たちが色々とやらかし、思わぬことへ巻き添えにされまくる、哀れな者の物語でもある…‥‥
小説家になろうでも掲載しております。
レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~
喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。
おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。
ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。
落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。
機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。
覚悟を決めてボスに挑む無二。
通販能力でからくも勝利する。
そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。
アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。
霧のモンスターには掃除機が大活躍。
異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。
カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【完結】不遇スキル『動物親和EX』で手に入れたのは、最強もふもふ聖霊獣とのほっこり異世界スローライフでした
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
ブラック企業で過労死した俺が異世界エルドラで授かったのは『動物親和EX』という一見地味なスキルだった。
日銭を稼ぐので精一杯の不遇な日々を送っていたある日、森で傷ついた謎の白い生き物「フェン」と出会う。
フェンは言葉を話し、実は強力な力を持つ聖霊獣だったのだ!
フェンの驚異的な素材発見能力や戦闘補助のおかげで、俺の生活は一変。
美味しいものを食べ、新しい家に住み、絆を深めていく二人。
しかし、フェンの力を悪用しようとする者たちも現れる。フェンを守り、より深い絆を結ぶため、二人は聖霊獣との正式な『契約の儀式』を行うことができるという「守り人の一族」を探す旅に出る。
最強もふもふとの心温まる異世界冒険譚、ここに開幕!
外れスキルは、レベル1!~異世界転生したのに、外れスキルでした!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生したユウトは、十三歳になり成人の儀式を受け神様からスキルを授かった。
しかし、授かったスキルは『レベル1』という聞いたこともないスキルだった。
『ハズレスキルだ!』
同世代の仲間からバカにされるが、ユウトが冒険者として活動を始めると『レベル1』はとんでもないチートスキルだった。ユウトは仲間と一緒にダンジョンを探索し成り上がっていく。
そんなユウトたちに一人の少女た頼み事をする。『お父さんを助けて!』
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる