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84・カズテスの遺跡
第258話 知識神、枕に立つ
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船はカズテスの島を発つ。
もりもりと遠ざかっていくのだ。
船員たちのテンションが高い。
「うおおおおまたアーランで遊ぶぞおおおおお」「一ヶ月も娯楽がない島で死ぬかと思ったぜ!!」「あの島、いいところなんだけどお姉ちゃんのいるお店もないし」「飯も質素なものしかないからなあ」「外で寝転がってても風邪引かないくらい温かいのはいいけどよお」
まだ若い船員たちには退屈なことでしょう。
あの島、老後に住もうと思ったら理想郷なんだよな。
消化に良いものしかないし。
「いいところだったねえ」
ほら、リップルが懐かしんでる!
ハーフエルフとしての寿命を考えるとまだ折り返し地点のはずだが、ずっと人間社会で生きてきたので精神年齢はおばあちゃんなのではないだろうか。
その足元で、マルチーズのハムソンがトテトテと走り回っていた。
元気元気。
「うおーっ! うおーっ! うおーっ! これがおふね! えいぞうでみたことしかなかった! おふね! みずのうえをすすんでる! おふねーっ!」
「こらーっ! あぶないでしょー!」
コゲタがハムソンを追いかける。
年長者ムーブをするコゲタ、初めて見たな!
そんな二人のコボルドを、船員たちがほっこりしながら眺めているのだ。
「可愛いが二倍になっちまったな」「癒やされる~」「マキシフは可愛いと言うよりは頼れる仲間だからなあ」
そうだったな。
船にはコボルドの船員もいたんだった。
ということで、再びの船旅だ。
お米は俵に詰めて、幾つも船底に積んである。
それから苗にするための米も。
ジャポニカ米とインディカ米が揃っているぞ。
いやあ、これを育てるのが楽しみだなあ……。
「ご主人、にこにこしてる?」
「うわーはなせー」
コゲタがハムソンをヘッドロックしながらやって来た。
既に先輩として若輩者を分からせているのか。
「うんうん、アーランでお米を育てられるのが今から楽しみでね……!!」
「あー、コゲタもたのしみ! ご主人のごはんおいしいもんねー!」
コゲタにっこにこだ。
うんうん、コゲタのためにも、美味しい食事を作らなきゃな。
では、帰ったらまず何を作る?
知れたことである。
カレーライスだ。
カレールーがあるのに、ライスだけが無かったのだ。
ギルボウの店でカレーライスを作ろう。
それから殿下にご馳走しよう。
資金を潤沢に注ぎ込んで、第四層を水田にしよう。
大々的に米を育てるのだ。
作業員も募集しないとな……。
ここで僕はハッと気づく。
「米の育成方法!! 聞き忘れたーっ!! しまったな。こうなれば……困った時の知識神だ」
「ナザル、君は最近ちょっと短絡的になっているのではないかな……? 試行錯誤こそ知識神が望むものだったりしない?」
「うんうん言うことは最もなんだが、僕は生き急いでいるんだ。一刻も早くみんながカレーライスを食えるようにしたい!! そのためなら神にやり方を聞くというチート行為にも喜んで手を染めよう!!」
ということで昼寝だ。
早速客室まで急ぎ、ハンモックにスポーンと入って寝た。
どうやら旅で体が疲れていたようで、すぐに眠ってしまったのだった。
船の揺れとハンモックの揺れが、僕を深く深く眠りの世界へと誘ってくれる……。
おお、もう夢の中だ。
星空がどこまでも広がる世界。
宇宙か?
そこをふわふわと浮かんでいく。
その先に、光り輝くものがあった。
とんでもない大きさの樹だ。
いや、光が樹の輪郭をかたどっていると言うべきか。
この樹が見えたということは……。
『そう! 私だ! いかんぞナザル、気軽に私に頼っては。神は基本的に、みだりに人前に姿を現さないし助言をしたりも謎めいた感じで分かりづらくやるものなのだ』
「お、おまいう~」
『私は自由に助言をしたり地上に降臨したりしてもいいのだ。だって神だから』
「自由過ぎませんか知識神様。自由神のお株を奪っている」
『私がこうして自由に振る舞うことで、フリーダスが中途半端な自由を行使できなくしているのだよ。自由を司る神ならば、私よりももっと自由に振る舞うのだろう? さあ見せてくれ、どれくらい自由なんだ? というね』
「自由のハードルを上げていた!! なるほど、策でしたか」
『策半分、テンション上がってやらかし半分というところだ……。神々の集会が今度あるのだが、私に対して自重するように決議が出る予定らしい』
「あっ、やりすぎた……! 今このタイミングで夢枕をお願いしたのは正解でしたね」
『悔しいことに大正解だ。この機会を逃せば、私はまた百年ばかり神々の世界に行って降臨しないからな』
「やっぱりまずかったんですよあれは。宿の一角に神殿作ってそこに常駐する神様なんか聞いたこと無い」
『正直反省している。それで私に聞きたいこととはなんだ? 今、集会での答弁を考えていてお前の内心に注目できていないのだ』
神様も大変だ。
いや、身から出たサビなんだが。
「実はですね、ついに米を手に入れましたので」
『おお、つまり栽培の方法だな! いいだろう。お前の脳に直接流し込んでもいいのだが、こういうものはやはりレシピになっているのがいいだろう。ちょうどカズテスの遺跡でデータが集まっていたから、スケアクロウたちに書き写させているぞ。お前がアーランについた頃には製本して届けよう』
「ありがとうございます。思った以上に凄く至れり尽くせりだった……」
そう言えば、知識神はカズテスと繋がりがあったりするんだろうか?
聞いてみようと思ったら、神は忙しそうに遠ざかっていくところだったのである。
相変わらず嵐のようなお方だ。
もりもりと遠ざかっていくのだ。
船員たちのテンションが高い。
「うおおおおまたアーランで遊ぶぞおおおおお」「一ヶ月も娯楽がない島で死ぬかと思ったぜ!!」「あの島、いいところなんだけどお姉ちゃんのいるお店もないし」「飯も質素なものしかないからなあ」「外で寝転がってても風邪引かないくらい温かいのはいいけどよお」
まだ若い船員たちには退屈なことでしょう。
あの島、老後に住もうと思ったら理想郷なんだよな。
消化に良いものしかないし。
「いいところだったねえ」
ほら、リップルが懐かしんでる!
ハーフエルフとしての寿命を考えるとまだ折り返し地点のはずだが、ずっと人間社会で生きてきたので精神年齢はおばあちゃんなのではないだろうか。
その足元で、マルチーズのハムソンがトテトテと走り回っていた。
元気元気。
「うおーっ! うおーっ! うおーっ! これがおふね! えいぞうでみたことしかなかった! おふね! みずのうえをすすんでる! おふねーっ!」
「こらーっ! あぶないでしょー!」
コゲタがハムソンを追いかける。
年長者ムーブをするコゲタ、初めて見たな!
そんな二人のコボルドを、船員たちがほっこりしながら眺めているのだ。
「可愛いが二倍になっちまったな」「癒やされる~」「マキシフは可愛いと言うよりは頼れる仲間だからなあ」
そうだったな。
船にはコボルドの船員もいたんだった。
ということで、再びの船旅だ。
お米は俵に詰めて、幾つも船底に積んである。
それから苗にするための米も。
ジャポニカ米とインディカ米が揃っているぞ。
いやあ、これを育てるのが楽しみだなあ……。
「ご主人、にこにこしてる?」
「うわーはなせー」
コゲタがハムソンをヘッドロックしながらやって来た。
既に先輩として若輩者を分からせているのか。
「うんうん、アーランでお米を育てられるのが今から楽しみでね……!!」
「あー、コゲタもたのしみ! ご主人のごはんおいしいもんねー!」
コゲタにっこにこだ。
うんうん、コゲタのためにも、美味しい食事を作らなきゃな。
では、帰ったらまず何を作る?
知れたことである。
カレーライスだ。
カレールーがあるのに、ライスだけが無かったのだ。
ギルボウの店でカレーライスを作ろう。
それから殿下にご馳走しよう。
資金を潤沢に注ぎ込んで、第四層を水田にしよう。
大々的に米を育てるのだ。
作業員も募集しないとな……。
ここで僕はハッと気づく。
「米の育成方法!! 聞き忘れたーっ!! しまったな。こうなれば……困った時の知識神だ」
「ナザル、君は最近ちょっと短絡的になっているのではないかな……? 試行錯誤こそ知識神が望むものだったりしない?」
「うんうん言うことは最もなんだが、僕は生き急いでいるんだ。一刻も早くみんながカレーライスを食えるようにしたい!! そのためなら神にやり方を聞くというチート行為にも喜んで手を染めよう!!」
ということで昼寝だ。
早速客室まで急ぎ、ハンモックにスポーンと入って寝た。
どうやら旅で体が疲れていたようで、すぐに眠ってしまったのだった。
船の揺れとハンモックの揺れが、僕を深く深く眠りの世界へと誘ってくれる……。
おお、もう夢の中だ。
星空がどこまでも広がる世界。
宇宙か?
そこをふわふわと浮かんでいく。
その先に、光り輝くものがあった。
とんでもない大きさの樹だ。
いや、光が樹の輪郭をかたどっていると言うべきか。
この樹が見えたということは……。
『そう! 私だ! いかんぞナザル、気軽に私に頼っては。神は基本的に、みだりに人前に姿を現さないし助言をしたりも謎めいた感じで分かりづらくやるものなのだ』
「お、おまいう~」
『私は自由に助言をしたり地上に降臨したりしてもいいのだ。だって神だから』
「自由過ぎませんか知識神様。自由神のお株を奪っている」
『私がこうして自由に振る舞うことで、フリーダスが中途半端な自由を行使できなくしているのだよ。自由を司る神ならば、私よりももっと自由に振る舞うのだろう? さあ見せてくれ、どれくらい自由なんだ? というね』
「自由のハードルを上げていた!! なるほど、策でしたか」
『策半分、テンション上がってやらかし半分というところだ……。神々の集会が今度あるのだが、私に対して自重するように決議が出る予定らしい』
「あっ、やりすぎた……! 今このタイミングで夢枕をお願いしたのは正解でしたね」
『悔しいことに大正解だ。この機会を逃せば、私はまた百年ばかり神々の世界に行って降臨しないからな』
「やっぱりまずかったんですよあれは。宿の一角に神殿作ってそこに常駐する神様なんか聞いたこと無い」
『正直反省している。それで私に聞きたいこととはなんだ? 今、集会での答弁を考えていてお前の内心に注目できていないのだ』
神様も大変だ。
いや、身から出たサビなんだが。
「実はですね、ついに米を手に入れましたので」
『おお、つまり栽培の方法だな! いいだろう。お前の脳に直接流し込んでもいいのだが、こういうものはやはりレシピになっているのがいいだろう。ちょうどカズテスの遺跡でデータが集まっていたから、スケアクロウたちに書き写させているぞ。お前がアーランについた頃には製本して届けよう』
「ありがとうございます。思った以上に凄く至れり尽くせりだった……」
そう言えば、知識神はカズテスと繋がりがあったりするんだろうか?
聞いてみようと思ったら、神は忙しそうに遠ざかっていくところだったのである。
相変わらず嵐のようなお方だ。
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