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101・コゲタ周りのドタバタ
第307話 カッパー級のお誘い
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「うーんうーん」
コゲタが悩んでいる。
いつも明るく、元気いっぱいのコゲタが珍しい。
専用の背が高い椅子の上で、頭を抱えて左右に揺れていた。
「どうしたんだコゲタ? お腹へってないのか?」
カルを抱っこしながら聞いてみると、コゲタはパッと顔をあげた。
「おなかへってる! でもね、むずかしいの! むずかしいからかんがえてるの!」
「おおーっ! コゲタが何か個人的な悩みというものを持つようになったとは!!」
「だうあー?」
僕が感激してると、腕の中でカルが赤ちゃん語を話した。
「そうだなー。コゲタお姉ちゃんは今大人への階段を登っているんだ。悩むことは大人へ通じる道だからなー」
「うーんうーん、むずかしいー。ご主人~。そうだんしていいー?」
「もちろん! 子どもの相談に乗るのは親の役目だからな」
「あびゃぶ」
カルもそうだそうだと言っております。
最近、全身のむちむち具合に磨きがかかり、そろそろ寝返りをうちそうになっているカル。
同年代の赤ちゃんと比べても早いようだ。
リップルの母乳パワーか。
……待てよ。
あの自在に魔法を作り出すトンデモギフト持ちの母乳で体が構成されているのだ。
カルもなんかとんでもない力が宿ったりしないか?
後天的なギフトというやつだ。
「あぶあばばー」
「心当たりはないか。そうか」
赤ちゃん語なんだが、なんとなく理解できる気がする。
この意思疎通能力がギフトだったりしてな!
わっはっは、親バカか!
ということでコゲタの相談に乗ることにした。
「あのねー、ぼうけんしゃギルドでね、たくさんがんばってしごとしてたの」
「うんうん、コゲタと仲間たちが頑張って、腐らずにアイアン級の仕事をこなし続けていたのは知っているぞ」
リップルも目撃しているしな。
彼女は今日、珍しく安楽椅子冒険者の仕事がやって来たので、泊まり込みだ。
人妻が外泊……となると良からぬ想像を掻き立てられるが、その内実は犯罪の予告状が来た大商人の家で、泊まり込んで犯人を迎え撃つのだそうだ。
リップル曰く、
「どう考えても予告状が内部犯としか思えない置き方をされていたんだよ。これは安楽椅子冒険者に対する挑戦状に違いない。燃えてきたぞ!!」
凄いやる気だった。
色気もへったくれもない。
なので、今日はお手伝いさんのご飯を、僕とコゲタで食べるわけだ。
カルの飲むおっぱいは、もう少ししたら哺乳瓶に転送されてくるからな。
「あのねー、コゲタはカッパーきゅうにならないかって。たくさんがんばってるからしけんうけるかってゆわれた」
「ほうほう、ふーん……なにっ、カッパー級への昇級試験のお誘いだって!?」
僕は椅子から飛び上がるほど驚いた。
このオーバーアクションが面白かったらしく、カルがきゃっきゃっと喜ぶ。
赤ちゃんはオーバーアクションが好きね。
「そうか、それでコゲタは悩んでたのか。仲間はどうなんだ? みんな受けるって?」
「うん! みんなよろこんでた! コゲタもうけなよーってゆわれた! だからどうしようかなって」
「そうかー。コゲタはどうしたいんだ?」
「うーん」
コゲタが首を傾げる。
「わかんない」
「分かんないかー。多分、コゲタとしては今のアイアン級の仕事で満足してるんだよな。カッパー級となると危険な仕事がドカンと増えるし、アーランを離れて旅をすることも出てくる。全然違う暮らしになるんだ」
「あー。ご主人とばいばい、やーよ」
「そうだなー。僕もコゲタが危ないことをするのは怖い。だが……」
僕はちょっと溜めた。
子どもは永遠に手元にとどめておいて、愛でていたいものだ。
だが、いつかは巣立つ必要が出てくる。
コゲタは今がその時かも知れない!
「世界が広がるぞ。知らなかった光景や、知らない人たちと会える。たくさん怖いことがあって、たくさん面白いこともある。昔の僕と出会ったばかりの頃のコゲタは小さくて弱かったかも知れないが、今のコゲタはちょっと大きくなって、しかも強い」
「おー」
たくさんの事を言われて、コゲタの目がぐるぐるした。
「ほわわわ」
おっと、カルが欠伸をした。
横に持ってきた赤ちゃんベッドに寝かせると、もぞもぞ動いた後、ぷうぷうと寝てしまった。
寝る子は育つ。
「ご主人は、コゲタがいなくなったらや?」
「そりゃ嫌だ。だが、大事なのはコゲタが何をしたいかだな。今の仲間たちと一緒に、新しい世界に踏み出してもいい。僕はここでコゲタが帰ってこれる家をずっと維持してるからな」
「おー」
コゲタはまた目をぐるぐるさせた。
考えてる考えてる。
そこで、お手伝いさんが今日の夕食を用意してくれた。
野菜とお肉たっぷりの焼きうどんである。
こりゃあ精が付きそうだ。
「細かいことは食べてから考えよう!」
「うん! いただきまあす!」
そういうことになった。
お手伝いさんも加わって、三人でもりもりと食べる。
油で炒めた所に醤油味をつけているから、どんどん食が進む。
うまいうまい。
さらに爽やか系ハーブで香りをつけた水がついてくる。
口の中をリフレッシュしてまた焼きうどんである。
お腹いっぱいになったところで、コゲタの決意は決まったようだった。
うんうん、空腹でものを考えてもいいことないからね。
「ご主人! コゲタがんばってみる!」
「よっしゃ! ダメだったらいつでも帰ってきていいんだからな!」
「うん!」
そういうことになったのだった。
僕はこう……人の親になって、感覚が変わったのかも知れないなあ。
コゲタが悩んでいる。
いつも明るく、元気いっぱいのコゲタが珍しい。
専用の背が高い椅子の上で、頭を抱えて左右に揺れていた。
「どうしたんだコゲタ? お腹へってないのか?」
カルを抱っこしながら聞いてみると、コゲタはパッと顔をあげた。
「おなかへってる! でもね、むずかしいの! むずかしいからかんがえてるの!」
「おおーっ! コゲタが何か個人的な悩みというものを持つようになったとは!!」
「だうあー?」
僕が感激してると、腕の中でカルが赤ちゃん語を話した。
「そうだなー。コゲタお姉ちゃんは今大人への階段を登っているんだ。悩むことは大人へ通じる道だからなー」
「うーんうーん、むずかしいー。ご主人~。そうだんしていいー?」
「もちろん! 子どもの相談に乗るのは親の役目だからな」
「あびゃぶ」
カルもそうだそうだと言っております。
最近、全身のむちむち具合に磨きがかかり、そろそろ寝返りをうちそうになっているカル。
同年代の赤ちゃんと比べても早いようだ。
リップルの母乳パワーか。
……待てよ。
あの自在に魔法を作り出すトンデモギフト持ちの母乳で体が構成されているのだ。
カルもなんかとんでもない力が宿ったりしないか?
後天的なギフトというやつだ。
「あぶあばばー」
「心当たりはないか。そうか」
赤ちゃん語なんだが、なんとなく理解できる気がする。
この意思疎通能力がギフトだったりしてな!
わっはっは、親バカか!
ということでコゲタの相談に乗ることにした。
「あのねー、ぼうけんしゃギルドでね、たくさんがんばってしごとしてたの」
「うんうん、コゲタと仲間たちが頑張って、腐らずにアイアン級の仕事をこなし続けていたのは知っているぞ」
リップルも目撃しているしな。
彼女は今日、珍しく安楽椅子冒険者の仕事がやって来たので、泊まり込みだ。
人妻が外泊……となると良からぬ想像を掻き立てられるが、その内実は犯罪の予告状が来た大商人の家で、泊まり込んで犯人を迎え撃つのだそうだ。
リップル曰く、
「どう考えても予告状が内部犯としか思えない置き方をされていたんだよ。これは安楽椅子冒険者に対する挑戦状に違いない。燃えてきたぞ!!」
凄いやる気だった。
色気もへったくれもない。
なので、今日はお手伝いさんのご飯を、僕とコゲタで食べるわけだ。
カルの飲むおっぱいは、もう少ししたら哺乳瓶に転送されてくるからな。
「あのねー、コゲタはカッパーきゅうにならないかって。たくさんがんばってるからしけんうけるかってゆわれた」
「ほうほう、ふーん……なにっ、カッパー級への昇級試験のお誘いだって!?」
僕は椅子から飛び上がるほど驚いた。
このオーバーアクションが面白かったらしく、カルがきゃっきゃっと喜ぶ。
赤ちゃんはオーバーアクションが好きね。
「そうか、それでコゲタは悩んでたのか。仲間はどうなんだ? みんな受けるって?」
「うん! みんなよろこんでた! コゲタもうけなよーってゆわれた! だからどうしようかなって」
「そうかー。コゲタはどうしたいんだ?」
「うーん」
コゲタが首を傾げる。
「わかんない」
「分かんないかー。多分、コゲタとしては今のアイアン級の仕事で満足してるんだよな。カッパー級となると危険な仕事がドカンと増えるし、アーランを離れて旅をすることも出てくる。全然違う暮らしになるんだ」
「あー。ご主人とばいばい、やーよ」
「そうだなー。僕もコゲタが危ないことをするのは怖い。だが……」
僕はちょっと溜めた。
子どもは永遠に手元にとどめておいて、愛でていたいものだ。
だが、いつかは巣立つ必要が出てくる。
コゲタは今がその時かも知れない!
「世界が広がるぞ。知らなかった光景や、知らない人たちと会える。たくさん怖いことがあって、たくさん面白いこともある。昔の僕と出会ったばかりの頃のコゲタは小さくて弱かったかも知れないが、今のコゲタはちょっと大きくなって、しかも強い」
「おー」
たくさんの事を言われて、コゲタの目がぐるぐるした。
「ほわわわ」
おっと、カルが欠伸をした。
横に持ってきた赤ちゃんベッドに寝かせると、もぞもぞ動いた後、ぷうぷうと寝てしまった。
寝る子は育つ。
「ご主人は、コゲタがいなくなったらや?」
「そりゃ嫌だ。だが、大事なのはコゲタが何をしたいかだな。今の仲間たちと一緒に、新しい世界に踏み出してもいい。僕はここでコゲタが帰ってこれる家をずっと維持してるからな」
「おー」
コゲタはまた目をぐるぐるさせた。
考えてる考えてる。
そこで、お手伝いさんが今日の夕食を用意してくれた。
野菜とお肉たっぷりの焼きうどんである。
こりゃあ精が付きそうだ。
「細かいことは食べてから考えよう!」
「うん! いただきまあす!」
そういうことになった。
お手伝いさんも加わって、三人でもりもりと食べる。
油で炒めた所に醤油味をつけているから、どんどん食が進む。
うまいうまい。
さらに爽やか系ハーブで香りをつけた水がついてくる。
口の中をリフレッシュしてまた焼きうどんである。
お腹いっぱいになったところで、コゲタの決意は決まったようだった。
うんうん、空腹でものを考えてもいいことないからね。
「ご主人! コゲタがんばってみる!」
「よっしゃ! ダメだったらいつでも帰ってきていいんだからな!」
「うん!」
そういうことになったのだった。
僕はこう……人の親になって、感覚が変わったのかも知れないなあ。
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