俺は異世界の潤滑油!~油使いに転生した俺は、冒険者ギルドの人間関係だってヌルッヌルに改善しちゃいます~

あけちともあき

文字の大きさ
311 / 337
102・婿修行だ!

第311話 馬小屋ぐらしからスタートせよ

しおりを挟む
 アゲパンが家についてきたぞ!
 いや、知識神の神殿に居候するしか無かった状態らしいから、他に居場所が無いんだろう。

「アゲパンよ。僕はお前がコゲタに相応しいかを見極めるつもりだ」

「はっ! りかいしています、おとうさん!」

「お義父さんと呼ぶにはまだ早い! いいか? お前が少しでもコゲタを預けるに足らぬと思ったら容赦なく追い出す……! いや、あんまりコゲタを厳重に守りすぎて結婚できなかったらかわいそうなので、ちょっとは甘めに見る……」

「ありがたや。それで、われはどこにしゅくはくすればいいのでしょう」

「馬小屋を使うがいい……。そろそろ春だから、そんなに寒くないし、うちに居候していた吟遊詩人なんか冬に馬小屋で平気で寝てたからな……」

「なるほど! われらコボルドはやねとかべさえあれば、もんだいなくいきていけます! ありがたきしあわせ!」

「前向きだなー」

 ちょっと感心してしまった。

「じゃあコゲタがあんないしてあげるね! こっちよー!」

「あっ、まってください、コゲタさーん!」

「ええい、青春真っ只中の男女のようなやり取りを! いや、間違ってはいないか」

 僕も後を追った。

「ポーター! こっちはアゲパンだよ。よろしくね」

「ぶるるー」

「おおーっ、われのりんじんはこのうまか! よろしくたのむ、ポーター!」

「ぶるるー」

 ポーターが近づいてきて、アゲパンをくんくんした。
 そして、鼻先をぺちゃっとくっつけた。
 ほうほう、いきなり舐めるまでには行かないが、まずは合格というところか。

 ポーターは人懐こいが、人格をちょっと見抜く感じなところがある。
 やっぱりこのアゲパン、悪いやつじゃないんだよなあ……。
 心を鬼にせねば、くるりん尻尾のアゲパンに絆されそうになる。

「ポーターとは仲良くやれそうだな。では、住まいの準備をしているのだ。夕食時になったら呼びに来るから」

「えっ!? われもなかで、いっしょにしょくじをしていいので!?」

「なにい! 食事はな! みんなで一緒に食べるのが美味しいんだよ! ひとり飯も美味いが、現状は家族で飯を食ってるんだから、誰かを仲間外れにするわけないだろうが! 楽しみにしていろ、僕が作るからな!」

「ありがたきしあわせ~!」

 ぴょんぴょん跳ねて喜ぶアゲパンなのだった。
 コゲタはうんうん頷き、

「よかったねー!」

 とアゲパンと一緒にぴょんぴょんした。

「な、な、なんといううつくしきこころ……!! おすがただけでなく、こころまでうつくしい……」

「コゲタは人の悲しみを分かち合い、人の喜びをともに喜ぶ娘だ……!! 結婚したいならお前も釣り合う男になるのだ……!!」

「はい!!」

 アゲパンがいいお返事をした。
 くそー、いいやつじゃないか。

 僕は家に入ると、お手伝いさんに告げた。

「今回の夕食は僕が作るので、補助をお願いします」

「あ、はい! 美食伯様が手ずから作られるのですか?」

「無論! 客をもてなす食事は貴族の嗜みだ! うおおおお! 特製ハンバーグだ!! コボルドでも十分に味わえるぞ!!」

 コボルドの苦手ではない野菜だけをチョイスし、みじん切りにしてひき肉と混ぜ込む。
 粉をつなぎに使って、特製ハンバーグを焼き上げるのだ。

「おやナザル。誰がお客が来たのかい?」

 戻ってきたカルを抱き上げつつ、リップルが問う。

「うむ……。語り始めれば長くなるのだが……」

「コゲタねー、ぷろぽーず? ってゆうのされたの!」

「ほほー!!」

「ぐぬぬ」

「ナザル、歯を食いしばりながら作ると料理が美味しくなくなるぞ」

「ぐわーっ」

 そう言われては料理に注力せざるをえない。
 ガーッと人数分のハンバーグを成形した後、油の力を使って素晴らしい香味に焼き上げる。

 お手伝いさんが、その間にソースを作ってくれる。
 これは好みでかければいい。
 コゲタやアゲパンはソースいらずだろう。

「完成! 特製ハンバーグだ! 米の準備は?」

「こちらに」

 さすが夕方担当のお手伝いさん!!
 これをたっぷりと皿に盛り付け食事となった。

「アゲパン!」

 僕が直々に呼びに行く。

「はっ、びしょくはく! ついに……きましたか」

「ああ。夕食だ! ついてくるのだ」

「はい!」

 返事がいいな!
 もともと人間に仕えていただけある。

 コボルド用の椅子は一つしか無かったので、僕はそれっぽい箱を積み上げた後、板と釘で固定した。

「ここに腰掛けるがいい」

「ありがたきしあわせ」

 ぴょんっと座るアゲパン。
 一応コゲタの隣である!

「では食べよう。いただきます」

「いただきます。私のはちゃんとちっちゃめでいいね」

「いただきまあす! コゲタハンバーグすきー!」

「ふむ、ふむ! いただきます!!」

 むっ、我が家の作法についてきたな。
 できる……。
 セルフ待てができるコボルドだ。

 みんなが食べ始めたのを見て、アゲパンもようやくハンバーグに手を付けた。
 腹が減っていたらしく、ガツガツ食べる。
 いい食いっぷりだ!!

 半分くらい一気に食べたところで、

「うまい!! いや、おいしいです!! なんですかこれは!? こんなおいしいにくは、たべたことがない! いや、やさいのあじやかおりもする!! うおお、脳内に知識神様の語彙が流れ込んでくる~!! ひき肉の中に混ぜ込まれた、コボルドの嗅覚を刺激しすぎない塩梅の数々の野菜が素晴らしいアクセントになり……もぐもぐ、歯ごたえにも変化があって楽しく……むしゃむしゃ、あえてひき肉も粗挽きで、飽きさせない工夫が……これは、これは……! うまい! うまいぞーっ!!」

 知識神の食レポが火を吹いた!!
 これは基本的に、本人が思った事を言語化して吐き出す詠唱なので、心にもないことは話せないのだ。
 そうかそうか、美味いか……!
 たんとお食べ!

しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』

チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。 その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。 「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」 そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!? のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~

ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。 玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。 「きゅう、痩せたか?それに元気もない」 ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。 だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。 「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」 この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

処理中です...