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108・王宮にうなぎを収める
第331話 美食伯、お褒めに与る
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「とってもおいしかったです!」「素晴らしいお食事でした!」「暖かいお食事は本当に美味しいです」「美食伯が結婚してなかったらお婿さんにするのに」
四人の王女様が口々にそんなことを仰っている。
いやはや、お喜びいただけて何よりですよ。
でも結婚とかそういうのはね、美味い飯を作るくらいで相手を決めたらいけないからね。
「ふむ」
先王陛下が唸った。
ちょっと場が静かになる。
主に大人たちが、黙って先王の口が開くのを待つ。
「まあ……いつも通り、美味であった。ご苦労、美食伯」
「はっ、ありがたき幸せ」
リップルを取られて複雑な気持ちだろうが、美味しいものには正直なんだよなこの人。
「それでだ、ナザルよ。お前、その、あのな」
「はっ」
ここで察する僕である。
もしかしてこの人……。
あらゆる事に対して異常に素直じゃないから。
「そうだ。カルがそろそろはいはいしそうなのですが、リップルによく似て利発な子で」
「ほう」
食いついた!
「陛下、抱っこしてみますか」
「おお、おうおう! 仕方がないやつだ。先王とは言え、忙しいのだが……仕方ないなあ。連れて来るが良い。余がそなたの息子を抱っこしてやろう……」
ちょっとウキウキし始めたぞ。
ソロス陛下は、仕方ないなあという顔で苦笑している。
先王陛下も、こいういうので生きる張り合いが出てくるなら悪くないんじゃないか。
なお、デュオス公爵と奥方、そしてお嬢さんは大満足の表情だった。
「これはまた明らかに栄養価の高いものが出てきてしまったな」
「体をしっかり動かしていかないと。でも、うなぎを食べたら幾らでもダンスの練習ができそうだわ!」
「私は今すぐ乗馬で早駆けしたい気分かも!」
大いに元気になっている。
公爵と公爵夫人はまあ良いお年なので、さすがにカッとなることはない……と思う。
ひょっとすると年の離れた弟か妹か、ツインとお嬢さんの下に出来てしまうかもしれないが……!
「ナザル、実にご苦労であった。素晴らしい食事をありがとう。そなた以外に、これほどの食を我らの元に届けてくれる者はいない。これからも……期待しているぞ」
「はっ!」
ということで、美食伯はこれからも、様々な美食を届ける事を期待されているのだった。
お任せ願いたい。
まだまだ再現できる食事はたくさんあるのだ。
ちょっと懸念しているのは……。
種類ばかり増やしすぎると、アーランでは広まらずに消えていってしまうのではないかということなのだが。
その後、ギルボウも陛下直々のお褒めの言葉を賜った。
もう金は幾らでもある男なので、名誉を与えられるのが一番ということで、陛下の王笏についていた飾りの一つをバッジとして打ち直し、ギルボウに届けるということになったのだった。
良かったなあ。
完全に箔が付いたぞ。
シャザクもまた、陛下と公爵からねぎらいの言葉があった。
子爵としては、破格のポジションにいる男だ。
貴族の爵位が上に詰まっている以上、現状は子爵より上には行けまい。
だが、公爵家の覚えめでたき執事みたいなポジションにいるので唯一無二だ。
シャザクとエリィの栄達はまだまだ続くな。
次の子が男子なら、家と家のつながりを継ぐことになるだろう。
ということで。
「「「乾杯!!」」」
三人で祝杯を挙げることにした。
エリィのところには、後日王家から美味しいものが届くことだろう。
一足早く、僕ら三人で今回の会食の成功を祝うのだ。
よく冷えたビールをごくごく飲む。
美味い!!
疲れた体に染み込んでいく!
「この店はな、料理はまあまあいけるんだ。俺が作ったほうが美味いが、祝いの時までてめえで作りたくはねえからな」
「いやあギルボウさん勘弁してくださいよ」
店の主人が笑いながら料理を運んできてくれる。
ギルボウがまあまあいけるということは、相当美味いという意味である。
一見すると普通のスペアリブだが……。
「あっ、うめえ!! 下味がすごい」
「あー、これは美味しい。酒が進む」
カパカパビールを飲む、僕とシャザクである。
「しかし、無事に終わって良かったな。王族が全員集まって食事をするなんて初めてだろう?」
「そうだなあ。以前集まったときは第二王妃はいなかったし、王女四人もいなかった。ぶっちゃけ今日が初対面だ。しかもその以前というのはな、第二王子が謀反を疑われて国内で動乱が発生した時で」
「ああ、油革命!」
「えっ、そんな風に呼ばれてるの!?」
シャザクの言葉に目を剥く僕である。
なんだよ、油革命って!!
「油使いが国内の動乱を収めた事件だから、巷では油革命と呼ばれてるんだ。美食伯の伝説みたいな戯曲にも歌われているぞ」
「知らなかった」
「ナザルは世の中のことにあまりにも興味なさすぎだなあ」
「ま、だからこそこいつは空気を読まず、世の中をガンガン動かしていくわけだ。俺やあんたにはとても無理なことだろう?」
「全くだ」
笑いながら、ギルボウとシャザクが乾杯した。
僕が世の中の流れに疎いのを肴に盛り上がるとは何事だ。
ぷりぷりと怒る僕だったが、運ばれてきた次の料理であるポテトグラタンがべらぼうに美味かったので、不機嫌などどこかに飛んでいってしまうのだった。
四人の王女様が口々にそんなことを仰っている。
いやはや、お喜びいただけて何よりですよ。
でも結婚とかそういうのはね、美味い飯を作るくらいで相手を決めたらいけないからね。
「ふむ」
先王陛下が唸った。
ちょっと場が静かになる。
主に大人たちが、黙って先王の口が開くのを待つ。
「まあ……いつも通り、美味であった。ご苦労、美食伯」
「はっ、ありがたき幸せ」
リップルを取られて複雑な気持ちだろうが、美味しいものには正直なんだよなこの人。
「それでだ、ナザルよ。お前、その、あのな」
「はっ」
ここで察する僕である。
もしかしてこの人……。
あらゆる事に対して異常に素直じゃないから。
「そうだ。カルがそろそろはいはいしそうなのですが、リップルによく似て利発な子で」
「ほう」
食いついた!
「陛下、抱っこしてみますか」
「おお、おうおう! 仕方がないやつだ。先王とは言え、忙しいのだが……仕方ないなあ。連れて来るが良い。余がそなたの息子を抱っこしてやろう……」
ちょっとウキウキし始めたぞ。
ソロス陛下は、仕方ないなあという顔で苦笑している。
先王陛下も、こいういうので生きる張り合いが出てくるなら悪くないんじゃないか。
なお、デュオス公爵と奥方、そしてお嬢さんは大満足の表情だった。
「これはまた明らかに栄養価の高いものが出てきてしまったな」
「体をしっかり動かしていかないと。でも、うなぎを食べたら幾らでもダンスの練習ができそうだわ!」
「私は今すぐ乗馬で早駆けしたい気分かも!」
大いに元気になっている。
公爵と公爵夫人はまあ良いお年なので、さすがにカッとなることはない……と思う。
ひょっとすると年の離れた弟か妹か、ツインとお嬢さんの下に出来てしまうかもしれないが……!
「ナザル、実にご苦労であった。素晴らしい食事をありがとう。そなた以外に、これほどの食を我らの元に届けてくれる者はいない。これからも……期待しているぞ」
「はっ!」
ということで、美食伯はこれからも、様々な美食を届ける事を期待されているのだった。
お任せ願いたい。
まだまだ再現できる食事はたくさんあるのだ。
ちょっと懸念しているのは……。
種類ばかり増やしすぎると、アーランでは広まらずに消えていってしまうのではないかということなのだが。
その後、ギルボウも陛下直々のお褒めの言葉を賜った。
もう金は幾らでもある男なので、名誉を与えられるのが一番ということで、陛下の王笏についていた飾りの一つをバッジとして打ち直し、ギルボウに届けるということになったのだった。
良かったなあ。
完全に箔が付いたぞ。
シャザクもまた、陛下と公爵からねぎらいの言葉があった。
子爵としては、破格のポジションにいる男だ。
貴族の爵位が上に詰まっている以上、現状は子爵より上には行けまい。
だが、公爵家の覚えめでたき執事みたいなポジションにいるので唯一無二だ。
シャザクとエリィの栄達はまだまだ続くな。
次の子が男子なら、家と家のつながりを継ぐことになるだろう。
ということで。
「「「乾杯!!」」」
三人で祝杯を挙げることにした。
エリィのところには、後日王家から美味しいものが届くことだろう。
一足早く、僕ら三人で今回の会食の成功を祝うのだ。
よく冷えたビールをごくごく飲む。
美味い!!
疲れた体に染み込んでいく!
「この店はな、料理はまあまあいけるんだ。俺が作ったほうが美味いが、祝いの時までてめえで作りたくはねえからな」
「いやあギルボウさん勘弁してくださいよ」
店の主人が笑いながら料理を運んできてくれる。
ギルボウがまあまあいけるということは、相当美味いという意味である。
一見すると普通のスペアリブだが……。
「あっ、うめえ!! 下味がすごい」
「あー、これは美味しい。酒が進む」
カパカパビールを飲む、僕とシャザクである。
「しかし、無事に終わって良かったな。王族が全員集まって食事をするなんて初めてだろう?」
「そうだなあ。以前集まったときは第二王妃はいなかったし、王女四人もいなかった。ぶっちゃけ今日が初対面だ。しかもその以前というのはな、第二王子が謀反を疑われて国内で動乱が発生した時で」
「ああ、油革命!」
「えっ、そんな風に呼ばれてるの!?」
シャザクの言葉に目を剥く僕である。
なんだよ、油革命って!!
「油使いが国内の動乱を収めた事件だから、巷では油革命と呼ばれてるんだ。美食伯の伝説みたいな戯曲にも歌われているぞ」
「知らなかった」
「ナザルは世の中のことにあまりにも興味なさすぎだなあ」
「ま、だからこそこいつは空気を読まず、世の中をガンガン動かしていくわけだ。俺やあんたにはとても無理なことだろう?」
「全くだ」
笑いながら、ギルボウとシャザクが乾杯した。
僕が世の中の流れに疎いのを肴に盛り上がるとは何事だ。
ぷりぷりと怒る僕だったが、運ばれてきた次の料理であるポテトグラタンがべらぼうに美味かったので、不機嫌などどこかに飛んでいってしまうのだった。
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