「スキル:くさい息で敵ごと全滅するところだった!」と追放された俺は理解ある女騎士と出会って真の力に覚醒する~ラーニング能力で楽々冒険ライフ~

あけちともあき

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第四章

第68話 ラーニング! またまた過去の世界へ

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「タイムリープ!」

 俺が叫ぶと、周囲の風景がぐにゃっとうねった。

「ウワーッ」

 ゴメスが船べりにしがみついて叫ぶ。
 うむ。
 普通の人間の感性だとそうなるんだな。

 うちの仲間達は平然とこれについてくるから、そっちが当たり前なんだと思っていた。

「もう慣れてきたでござるなー」

「おい。いきなり俺をどこに連れて行く気だ」

「次は飛竜だな! 楽しみだ!」

 ほら、フォンテインナイツはキャッキャはしゃいでる。
 この反応しか見てなかったから、ゴメスのは新鮮だなあ。

「お助けえ」

 おっさんが悲鳴をあげている。
 味わい深い。

 そう思っていたら、過去の世界に到着だ。
 眼下に、行軍していくフォンテイン義勇騎士団。

 つまりは、トニーだ。

「おーい、トニー!」

「あっ、ドルマか!? うわ、なんだその大きな飛空艇は!」

 俺はドワーフに指示して、飛空艇の高度を下げさせた。
 ……ドワーフも一緒についてきてるじゃん。

「タリホー……。自分も焦りましたわ。タイムリープ半端ないです、タリホー」

「だよねー。でも俺達の頼みの綱は君らなので、なんとか踏ん張って。元の時代に戻してあげるから」

「タリホー!」

 彼らをねぎらった後、トニーとレーナと再会を喜び合うのだ。
 いや、俺達からすると、五日ぶりくらいの再会な気がするんだが。

「半年ぶりだな!」

「そんなに経過してたか」

「今回はアベルもいるのか! 心強い……! 邪悪な召喚士退治も成功の目がでてきたぞ!」

 トニーが不思議なことを言った。
 召喚士?

「召喚士というのはね」

 若い頃のレーナが、説明を始めた。

「強大なモンスターを召喚することができる、それ専用の魔法使いなのよ。たった一人で一国を滅ぼすとすら言われているんだけど、それが風車の騎士と手を組んだの」

「あちゃー」

 なんだかとんでもない話を聞いてしまった。
 風車の騎士が、着実に暗躍しているじゃないか。

「既に国が幾つも滅ぼされたわ。ついに各国は、フォンテイン義勇騎士団を再結成して召喚士討伐の命を出したの。幸い、今は召喚士はゴブリン王国と戦っているみたいだけど」

「ゴブリン王国とか。それは良くないな」

「良くない?」

 レーナがきょとんとした。

 そうだな。
 一般的な価値観だと、ゴブリンはモンスターだ。
 人間とはしょっちゅう争っているし、彼らがひどい目に遭う分には人間は困らない。

 だが、俺はゴブリンもまた文化を持つ存在だと知っている。
 何より、俺の弟子の一人はゴブリンだ。

 敵対したら人間だろうとゴブリンだろうと殲滅するが、敵対してないなら可能な限り助けてやろうじゃないか。

「ゴブリン王国に行こうぜ。それで、暴れてる召喚士を仕留めるんだ」

「よし、行こう! 飛竜じゃないのが残念だけど、行きがけの駄賃だ!」

 エリカもやる気だ。
 これでフォンテインナイツの方針は揺るがないことになったぞ。

「まあ、ドルマほどの男がそう言うなら……」

 トニーも頷いた。
 フォンテイン義勇騎士団も、俺達フォンテインナイツの方針には逆らわない。
 どうやら俺達の活躍が知れ渡っているみたいだ。

 義勇騎士団はゴブリン王国へ方向転換。
 向こう側からの迎撃を想定したが、そんな事は全然無かった。

 その理由はすぐに判明する。
 なんと、ゴブリン王国が大炎上していたのだ。
 文字通りの炎上。

 街を炎が舐め尽くさんとしている。

「ご、ゴブリンがこんな大都市を作っている……!?」

 義勇騎士団の面々は驚いたようだった。
 王国からあぶれて、人間を襲うゴブリンはこいつらのうちのあぶれ者みたいなやつだ。
 野蛮なモンスターと思われても仕方ないな。

 そう言えば、俺は砦を一つ壊滅させた気がする。
 今ならやらないな。
 でも昔は昔、今は今である。

 お陰で現在に繋がっているから、そういう過去もよしとするのだ。

『ギギイ! おたすけえー!』

 ゴブリンの子どもが走ってきた。
 その背後から、三つ首の巨大な犬が襲いかかってくる。

「おっ」

『地形:ファイアストーム』

『ぎゃおおおおっ!!』

 巨大な犬は、突然薪起こった炎の嵐に巻き込まれて後退した。
 降り立つのは、マントを纏ったゴブリン。
 若き風水士だ。

「おう、久しぶり」

 俺は彼に声を掛けた。
 ついでに、逃げてきたゴブリンの子どもを助け起こす。
 ゴブリンの子どもが、きょとんとして俺を見上げた。

『へ、変な顔』

「ゴブリンから見たら人間は変な顔だろう。俺は青魔道士だ。今からお前らの国を助けてやろう」

『青魔道士だと!?』

 風水士が振り返り、驚きの表情を作った。
 うむうむ、こいつ、ちゃんと研鑽を積んでたんだな。
 さっきの地形攻撃はかなり強い感じだった。

 俺は旧交を温めようと、彼に近づき……。

『ぐおおおおーんっ!!』

 そんな俺を、三つ首の犬が放った質量を持った咆哮が、横殴りに襲った。

「ウグワーッ!?」

 ごろごろ転がる俺。

「あぶなーい!!」

 俺をキャッチするエリカ。

『ラーニング!』

 久々に響き渡る音声。
 そしてジャンプするアベル。
 何か投げ始めるホムラ。
 ヒイヒイ言いながら弓を構えるゴメス。

 うむ、大混乱だ。

名前:ドルマ・アオーマーホウ
職業:青魔道士
所有能力:
・バッドステータスブレス
・渦潮カッター act2
・ゴブリンパンチ
・ジャンプ
・バックスタブ
・ミサイル
・バルーンシードショット
・ワールウインド
・ランドシャーク
・タイムリープ
・イリュージョンアタック
・カウンターメテオ
・ハウリングブラスト NEW!

 なんか増えたな。

「ありがとうエリカ。これが鎧越しでなければ色々柔らかかったのに……」

「よ、鎧越しじゃないと抱きしめるみたいになっちゃうだろ!」

「それはそれで凄くいい!」

「むむっ! そ、そういうのは、じゃあ、後で……」

「なんでござるとーっ!?」

 いかん、恋バナ大好き忍者に聞かれた!

「気を取り直して、召喚士退治と行こう!」

 俺は立ち上がるのだ。
 新しい技も試してやらねばな。
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