最強の能力師は世界平和の為には頑張らない

秋桜

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一学期

6,入学式当日③ *〜更なる出会いと蘭花の特技〜

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颯が扉を開けて教室に入ると既に他の人は揃っていて私達で最後だった。

Aクラスは全員で29人。
教室には縦6×横5で計30セットのパネルの埋め込まれた机と椅子が並んでいた。

「おっ颯、やっと来た!入学式終わってかなり時間経ってるけど…両手に花で何してたんだか…。」

紫の髪と紫色の目をした、制服を着くずしたチャラい格好のイケメンがニヤニヤ笑いながら颯に近づくと背中をバシバシと叩き颯をからってきた。

(この人…せっかく爽やか系の顔してるのに格好が…いや、似合ってはいるけど…。)

蘭花が成人の外見の評価をしていると颯が成人から逃げるように離れた。

「うるさいなる、お前と一緒にすんな。そもそも…はぁ……いいや、言っても無駄だ。そうそう、神代さん。さっきの話だけどな、全てはこいつに昨日校門前に連れ出されたせいだから。」

(なっ!……まだ面倒事がこっちに来るの?もういい…お腹いっぱい…。)

自分はもう関係ないと外野を決め込んで、自分の席を確認しに行こうとしていた蘭花は突然話を振られた上にその内容も衝撃の事実で今日何度目かわからないため息が出た。

ため息をついた後、目の前の紫髪のチャラそうなイケメンを見た。

(あぁ、そう言えば…なるほど…そっか…この人があのたかむら家の有名な…。)

「へぇー…。」

次から次に降ってくる出来事にめんどくさくなってきている蘭花は投げやりな返事をした。

「へぇーって神代さん…相変わらず他人事みたいに…。」

颯が呆れ顔で突っ込んできた。

そのやり取りを見ていた成人は蘭花の方に近寄ってきた。

(うわこっちに来た…悪霊退散。)

「しかめっ面も可愛いねー、新入生代表だった神代さんだよね?あの神代家のご令嬢が高等部から入って来るって聞いてたけど成績優秀でその上こんなに可愛いなんて…ねぇ僕と付き合わない?」

(うん。噂通りの性格。)

私はあらかじめ決めていた断り文句を言う。

「申し訳ありませんが丁重にお断りさせていただきます。…私、名前も知らない人と付き合う気ないの!」

私は一応素に近い声のトーンでふざけずに丁寧に礼をして断り、その後に、にぱっと笑って言外に失礼な人と文句を言った。
そして返事を待たずにチャラ男さんに背を向けて座席表を確認して席に着いた。

だが、チャラ男さんが私の横に座ってきた。

(席順自由じゃないのによりにもよって隣の席…。
私が神代かみしろで相手はたかむら…サ行の人もうちょっと頑張ってよ…)

蘭花は自分の後方の人と成人の前方の人に理不尽な怒りを向けて顔を顰めた。

「手厳しいねー…ますます気に入ったなー僕。」

(まだ言うかこの人…2人と同じくらい要注意かも。)

「あんまりしつこいと家に抗議しますよぉー。」

もちろんほんとにこんな事で抗議する気はさらさらないが、こういうタイプはちょっとでも好意を見せるとアウトなので突っぱねることにした。

「えー、それは困るなー。でも、名前知らないのにどうやって抗議する気?」

その言葉に、めんどくささの我慢の限界を超えた蘭花はにぱっと笑って返事をする。

「あなたはたかむら成人なるひとくん、たかむら家のご令息。さっき廊下で私の秘密をいろいろと暴いたのはあの7大名家の1つ六十里ついひじ家のご令息六十里ついひじはやてくん。その人と一緒にいた、私にカマかけたそこの美人さんはゆずりは家のご令嬢、ゆずりは葵依あおいちゃん。それで私の後ろでさっきからこっちに視線で探りを入れているのが名内なうち家のご令じょ――「「「「ちょっとストーープッ!!」」」」…なんで止めたの?まだ居たのに…。」

チャラ男くん改め成人、颯、葵依、あと後ろで急に自分の名前が上がりそうになってビックリしている名内七凪ななから途中でストップがかかる。

4人の大声で、また成人なるひとが女子に絡んでいるだけだと思っていた他のクラスメイト達も蘭花達の話に聞き耳を立て始める。

「どうしたの?そんな血相変えて…。」

キョトンと聞き返すとみんなが私を見ていた。

「いや…神代さん…どうしたのって…名前…知っていたの?」

そう言って葵依が4人を代表して気になっていたことを聞き返した。

「なんでそんな当たり前聞くの?クラスメイトになるかもしれない人の名前は皆の頭に入ってるよ?」

(何を今更…。)

少しイライラしていた蘭花はさっき自分で知らないフリをすると決めた事をすっかり忘れていたので、質問の意味がわからなかった。

「私達が言いたいのはそんなことじゃないんだけれど、そんな事よりもっと聞き捨てならない事を言わなかった…?
クラスメイトになるかもしれない人って言ったわよね!?…まさか…全員!?」

「いやいやいや、神代さんって本当に何者!?俺、あの事バラしてなくて本当に良かった…。」

驚く葵依に心の底から安堵している様子の颯。

事情の分からない成人や七凪、他のクラスメイト達が驚く2人を不思議そうに見ていた。
そして何故か、当の本人である蘭花も2人の言ってる事の意味がよく分かってないようで首をかしげていた。

そんな蘭花に恐る恐る確認する葵依。

「………神代さんなんでキョトンとしてるのよ……さっき成績優秀者がAクラスに優先で振り分けられるの知らなかった…わよ…ね?」

事情を知らない成人やほかのクラスメイトも葵依の言葉で葵依達の言いたいことをある程度察した様で顔色がみるみる変わっていき、信じられないと言った様子で蘭花を見つめる。

「うん?…うん。もしそうなら学年全員覚えなくて済んだのに……まぁ、大した時間はかからなかったからいいけど。」

蘭花はそう言った後に『無駄な事をしてしまった』とボヤいた。

さして労力はかからなかったと言う蘭花に教室が静まり返った。

「はぁ?一学年何百人いると思ってんだ…全員覚えてるとか…ありえねー。」

どこからかつっこみが入ったが、それにクラスメイト全員が同意した。

「凄い記憶力だね、神代さん。流石、新入生総代。冗談抜きで付き合わない?」

「いや、私心に決めた人がいるの。ごめんね。」

こんな状況で普通に口説ける成人も自分の言ったことの有り得なさに気づかない蘭花も2人とも大物だと颯は思った。

「それは残念。」

一方、蘭花は成人が肩をすくめて残念がった様子を見て、目の前のこの人間が自分と同種の人間の様だと、先ほどの懸念を確信に変え、この人も別の意味で警戒しておこうと決めた。
 
そして釘を指しておこうと口を開きかけた所で30代後半位の男性が入ってきた。
さっき入学式の時に紹介されていたAクラスの担任だ。

「待たせたなー、席につけー。」

先生の声で立っていた生徒が我に返ってぞろぞろと席に着いた。

「よし、全員いるな。では改めて、さっき入学式でも名前は軽く説明があったがこのクラスの担任の弓場ゆば功治こうじだ。まずは1年間よろしく頼む。このAクラスは中等部からほとんどメンバーが変わってないらしいが高等部からやつもいるので一応一人ずつ簡単に自己紹介をして欲しい。じゃあ1番前の…えっと…雨宮。お前から自己紹介して言ってくれ…先生ちょっとプリント配ってるから。プリント来たら1枚とって残りを後ろのやつに回してなー。」

弓場は名簿を見ながら廊下側の列の1番前の生徒に自己紹介を促した後、各列の最前席の人にプリントを配り始めた。

蘭花はその様子を見て、今どき紙なんて珍しいなと思った。

そして、1-A、特別優秀特殊能力クラス(通称、特能クラス)の自己紹介が始まった。
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