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一学期
16, 班対抗戦 ② ~カミングアウト~ *
しおりを挟むそこから試合が始まるまでの数分間私はみんなに私の能力について少しだけ説明した。
「この班対抗戦で私の能力について情報をあたえていいのは転移だけにしろと私の家から指示が来た。だから、今まで何度か使ってきてるこの結界について聞かれたら私以外の能力って事にして欲しい。」
「家から指示?神代家って7大名家でもその分家でもないよね?今時そこまで秘密にさせるって珍しいね。ボク、名内家の当主様からむしろ目立ってこいってよく言われるよ。」
「七凪さんの能力は派手に目立った方が家の力を示せるからそういう方針なんだろう。俺の家は7大名家だから比較にはならないかもしれないが、俺も蘭花さん程ではないが六十里家から自分の能力の情報に関して全てを明かすなと指示を受けている。」
「そうね。私も杠の家からいつくか言われてる事があるわよ?」
「家からの指示は僕も篁家から受けてるけど、颯の家も葵依ちゃんの家も由緒ある名家で有名なせいでバレてるから実質指示なんてあってないようなものじゃない?中等部からのやつはみんな知ってるし。」
「それもそうだが本当の機密事項は親しい信頼のおけるものしか知らないぞ?」
「そういうのはどこの家もあるわ。」
「そういうのならボクの家もあるね。」
「みんなと比べると私の家は普段から秘密主義。神代の家は昔からの名家だけどその頃からある家と繋がりがあって秘密主義はそのせい。」
そこまで言った所で七凪が呟いた。
「ある家?…繋がり?……ねえ、蘭花。ある家って……まさか……」
入学式の日の夕方蘭花の部屋で蘭花が見せた写真の人物の正体に唯一気づいていた七凪がある家がどの家なのかに気づいて驚いた後に固まってしまう。
「七凪?まさかって何かあるの?」
葵依が七凪の普通じゃない反応を見て聞くが七凪は首を振って無言で否定すると蘭花に向き直って行った。
「ねえ蘭花。本当に大丈夫?こんなのバラして……その…"ある家"から怒られない?ボクさすがにこれはまずいんじゃないかと思うんだけど……。」
「大丈夫。どうせ近いうちにバラす予定だし………………………………(それにそろそろお兄様が限界で学校に突撃してくる頃合いだし)」
「大丈夫ならいいけど…」
「ねえ、二人ともなんの話?そういう話とても気になるんだけど。また僕らに内緒で秘密の話?」
「成、お前また首突っ込んで…。」
「だって気にならない?神代家が昔からある家と繋がりがあったとかどこの家も知らない情報だし。」
「いや、まぁ俺も気にはなるが…。 」
「蘭花、みんなにも話していい?」
七凪はほかの3人の話を聞いて自分だけ知ってる事に耐えかねたのかバラしてもいいか恐る恐るきいてきた。
「いいよ。ちょっとまってて…………はい、もういいよ。」
「……その間、ボクものすごく嫌な予感がする。」
「七凪ちゃん、私もよ。ねえ颯?」
「みんな気をつけろよ、今の会話マイクを通して学園中に聞こえてる。」
「「………。」」
「まさかみんなに話していいか聞いたのを学園のみんなだと勘違いした?」
七凪がまさかと思い聞く。
「えっ?違うの?だって七凪があまりにもビクビクしながら聞いてくるから、私てっきりそういう事だと…。」
「いやいやいや、蘭花待って!?ボク流石にそんなこと出来ないよ!班のみんなって意味だったんだけど!?」
「そうなんだ。私てっきりみんなって学園のかと思っちゃって。……………………っあ。」
「なにその"あ"って…嫌な予感がするんだけど……ら、蘭花?このままでいいの?」
七凪は辺りをチラッと見ながら聞いてきた。
結界をはりなおさなくていいのかと言いたいのだろう。
だが先程の蘭花の家からの指示を思い出してここにいる人にしか分からないような言い方で聞いてきたようだ。
「ついでだからこのまま話すね。こっちの方が後々の面倒がなさそうだしいいよね。」
「このまま!?ちょっと待って!?」
蘭花は七凪の静止をスルーして話した。
「さっき私が言った神代家が昔から繋がっている"ある家"って言うのは、神代家がその家の分家だってことなんだけど、最近決まった次期当主の人が秘密が多すぎてやりにくいって言っててね。
ずっと家の人たちを…………説得?……うーん?……うん!……説得してたの。」
「絶対それ説得という名の実力行使してるやつだよね。」
「あの人が……ボクちょっと以外。」
七凪が諦めきった表情で呟いた。
「あら?七凪は止めなくていいの?」
「うん。蘭花を止められる気がしないし諦める事にした。みんなちょっと覚悟しといた方がいいよ。ボクの想像通りならだけど、たぶん合ってるから。」
そこまで言うと七凪は乾いた笑いを零した。
それを聞いた颯、成人、葵依の3人はバスでの出来事を思い出し嫌な予感がした。
「続けるね。ある家で入学式の次の日その次期当主の人にやっと全員説得し終わったって連絡が来たの。『やっと全員からいい返事が貰えた』って。
だから私が勝手に話して怒られる事はないの。お兄様私に甘いし面白そうな事は好きな人だから。」
そこまで言うと私はお兄様の反応を想像して悪い笑みを浮かべた。
(本当の事を言うとこんな所でカミングアウトすればきっとお兄様は後処理で大騒ぎ&大忙しだろうけど。
私のトレーニングウェアをこんな動きにくい服にした仕返し。せいぜい困るがいい。)
「蘭花が悪い顔で笑ってる。」
「次期当主の人何したか知らないがご愁傷様だな。」
「あ、颯も気づいた?」
「薄々な。俺"も"って事は成も気づいたんだな。」
「まあね。」
「俺も七凪さんと同じタイミングで気づけてたら、一緒に止められたんだが…あの様子じゃもう無理だな。」
颯が悪い顔をして笑う蘭花を見て後悔の交じった声音で言った。
「悪巧みしてる時の色でよく見る色、あとは怒りがほんのりと混ざってるわね。私も自信はないけど分かっちゃったわ。」
葵依が蘭花のオーラを見てぼそっと呟いた。
それを見ていた蘭花が透明化しているカメラを見つけ微笑むとまた話し出した。
「四童子奏翔お兄様~、お兄様の事だからこれ見てるよね!デザインをお兄様に丸投げした自分のせいだけど、こんなに動きにくくて戦いにくい可愛いだけのトレーニングウェアをどうもありがとうございます。後処理よろしくね~。」
私はそれだけ言うとみんなの方を見てからすぐさま防音の結界をはった。
「その巫女服ウェア奏翔さんがデザインしてたのか。」
「颯、第一声そこ?僕のセリフとられた。」
「あっそっか颯君はお兄様と会ったことあるんだったよね。」
「前に7大名家の集まりで少しな。」
「二人とも1番に突っ込むところはそこじゃないでしょ!トレーニングウェアを気に入らないデザインにされた仕返しだけでこんな事する蘭花の思考回路について突っ込まないといけないでしょ!」
「いや、葵依のそれでもなくて神代家が四童子家の分家だって所だよ!」
「ああ、そうだったわ。というか元々、蘭花の結界の能力をバレないようにするために協力して欲しいって事だったわね。」
「そんな話してたな。」
「それなら僕の能力って事にしといていいよ。僕も防音なら使えるから。」
「ありがとう。」
「いいよ。その代わり今度四童子奏翔さんに会わせて欲しいな。」
「ん?そんなことでいいの?」
「そんなこと……ねぇ。」
「?」
蘭花が首を傾げるとほかの4人が呆れ顔でため息をついた。
「さてと、そろそろ時間じゃない?」
「うん、そうね。よく分からないけど、防音解除しておくね。」
能力を解除するとちょうどアナウンスが流れた。
「―まもなく試合開始時刻です。全チーム全能力を解除し、試合開始に備えてください。―」
「タイミングピッタリだね。」
と成人。
「なんかボク緊張してきた。」
と七凪。
「大丈夫よ。蘭花がリーダーで負ける所想像出来る?」
と葵依。
「そう言えばそうだった。」
葵依の言葉に緊張の抜けた様子で七凪が呟いた。
そんな七凪に颯が『まぁ、ああいうアナウンス聞くと緊張するのはわかる気がするがな。』と言ったのを聞いて、私が前世でのテストを思い出し颯の言葉に同意した。
「ああいうのって聞くと突然緊張してくるよね。」
「…………………ボク、蘭花に同意して貰えるとは思って無かった。」
「俺もだ。」
「えっ、なんで?私も緊張してるのに……。」
「―まもなく試合開始30秒前。カウントダウンを開始します。29、28、27―」
「あら…30秒前ね。」
カウントダウンのアナウンスを聞いて葵依が呟く。
「そうだね。じゃあまずは僕と葵依だったね。」
「そうね。成君ボディガードは任せたわよ?」
「了解。任せといて。」
「で、そのあとはボクが全部吹っ飛ばせばいんだよね。」
「――15秒前――」
「吹っ飛ばすのは賛成出来ないが攻撃は任せたぞ。」
「任せといて!そっちも蘭花の護衛任せたからね!」
「俺は蘭花さんに護衛がいるとは思えないんだがな。『――……6、5、4――』……っと、そろそろか。」
「――……1、0。(ビーーーーーー)班対抗戦開始――」
試合開始のブザー音が鳴る。
「それはボクも同意だけどここは『任せとけっ!』って自信満々に言う所だよ!試合始まっちゃったから今はこれくらいにしといてあげるけどさ!」
七凪がそういったのを最後に5人は無言で2手に別れた。
成人、葵依、七凪の攻撃組と蘭花、颯の防御迎撃組だ。
蘭花はその場で颯も囲って結界を張った。
それと同時に成人が能力を発動させ、広範囲を探知する。
「……………………見つけた。今僕が向いてる方向にいる班が1番近そう。とりあえずそこから行ってみる?」
「任せるわ。」
「ボクも異議なし!」
「よし!じゃあ行こうか。「あっ、成君待って…。」」
その場を離れようとした成人達に蘭花が待ったをかけた。
「何?蘭花ちゃん。」
「離れる前に少しお願いがあるんだけどいい?すぐ終わるから。」
蘭花が攻撃組三人に向き直って口を開いた。
「もしも、なんだけどね――」
******
次回は一旦他者視点を入れる予定。
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