13 / 31
第2章〜星の記憶と手紙と決意〜
12.謎空間再び
しおりを挟む******
陛下やジークフリートの前で周りがぐるぐると回り始め気を失ったのはぼんやりと覚えていたアリシアナ。
気がつくとまた、宇宙空間のような、謎空間にいた。
足元には地球によく似た別の惑星。
地面はないのにしっかりと立っている感覚がある。
今回は呪文(?)も唱えてないのに、なぜかまた例の謎空間にいた。
(なんでこんな所にいるんだろう…?また、起きたら1ヶ月後ですとか言われないよね?…)
アリシアナはここ数日の出来事に混乱し、現実逃避気味にそう考えていた。
すると、後ろから声がかかり、かなりびっくりして慌てて振り返る。
「シア?」
振り返ると何故かジーク様がいた。
「えっ…ジーク…様?…なんで?」
「それは僕がシアに聞きたいかな?」
クスクスと楽しそうに笑いながら言うジークフリート。
(なんでそんなに楽しそうなんだろう…。)
「巻き込んでしまい申し訳ありません…でも、なぜここに居るのか私にもさっぱり…あの呪文みたいなの言ってないのに。」
「呪文?」
「はい。前は、『我、ステラ・アステールの名において権限を行使する者なり。我、過―――」
私が呪文の文を話していると言い終わる前に、突然目の前が光って1冊の本が出てきた。
「あっ…。」
(本を出そうなんて思ってなかったのに勝手に出てきた…。)
「シア、その本は?」
「私にもまだ良く分かってないんです…本来なら色々試してみて、発動条件とかを調べたいんですが…なんだかちょっと何かするだけで大変な事になりそうで」
「あぁ、なるほど…確かに不用意に試したりはしない方が良さそうだ。」
「せめて、発動条件だけでも分かればこんなことにならずに済むん…です…が……あっ。」
アリシアナは忘れていた今1番大事な事に気づく。
「ジーク様…ごめんなさい……その…。」
「なに?」
私が言いにくそうにしていると相変わらずのニコニコ笑顔で私の次の言葉を促してくれるジーク様。
(なんでこの人ずっとニコニコ笑顔なんだろう …ゲームのジークフリート様ってこんなキャラだっけ?……って、そんな事考えてる場合じゃなかった!)
アリシアナは1度深呼吸をして気持ちを整え、覚悟を決めて言った。
「ここってどうやったら出られるんでしょう?」
私が言った瞬間笑顔のまま硬直するジーク様。
「…………………。」
笑顔まま固まったジークフリートは、ふとある方からの助言を思い出して、我にかえった。
我に返ってすぐ、思い出した内容に思わずにやけてしまい慌てて表情を引き締める。
そんな様子のジークフリートの態度がアリシアナからは、笑顔のまま硬直した後に何かを企んでそうな黒い笑顔に変わったように見え、本能的に身の危険を感じて思わず後ずさりしてしまう。
(そうよね…普通こんなことに巻き込まれたらいくらジーク様でも怒るわよね…。………ん?待って?…怒る?)
アリシアナはジークフリートを怒らせてしまったと思い、ゲームのハッピーエンドの時の自分の末路を思い出す。
(確か…確か…ジークフリートルートのハッピーエンドで…アリシアナがジークフリートを怒らせて………)
思い出して、思わず涙が出てきた。
それを見てギョッとするジークフリート。
「あぁ、泣かないで怒ってなんていないから。ちょっと思い出したことがあってね?シアが嫌な気分になることじゃないから安心して…ね?」
そういいながらジークフリートはそっと抱きしめた。
(えっ…?…抱きしめられた?…………いやだ…いやだ…いやだ…いやだ…私まだ死にたくないっ…やだやだやだやだやだやだやだやだ――)
抱きしめられた事で、さらに混乱したアリシアナは恐怖からパニくって暴れる。
「いやっ、いやだっ、離してっ死にたくない、いやだ殺さないでっ!」
アリシアナは頭が真っ白になってすっかり泣き叫んでいた。
ジークフリートはアリシアナの様子にショックと違和感を覚えつつも、慌ててなだめる。
「大丈夫っ、大丈夫だからっ、これ以上何もしないから落ち着いて…。」
「いやだ死にたくないっ離してぇぇっ!」
パニクったアリシアナに声を届ける為に大きな声を出すジークフリート。
「落ち着いて!!!!」
「ひっ。」
アリシアナはその声にびくっとして動きを止めた。
恐がられたことにショックを受けつつも暴れるのをやめたアリシアナを見てほっとしたジークフリートは言葉を続けた。
「……恐がらせてごめんね…大丈夫、何もしないから。」
そう言ってアリシアナの頭をそっと撫でる。
「………何もしない?…本当に?」
撫でられていると気持ちが落ち着いてきて、今ならこの状況を脱するための対応策を冷静に考えらる気がした。
「ジーク様、ありがとうございます。おかげで少し落ち着きました。ちょっと出る方法を考えてみます。」
それを聞いた、ジークフリートはほっと一息ついた。
「じゃあ、僕も外の人達と考えてみるね。少しの間反応遅れるかもしてないけど許してね。」
アリシアナは考えに必死になっていて"外の人達と"と言ったジークフリートの言葉に気づいてなかった。
5
あなたにおすすめの小説
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
1歳児天使の異世界生活!
春爛漫
ファンタジー
夫に先立たれ、女手一つで子供を育て上げた皇 幸子。病気にかかり死んでしまうが、天使が迎えに来てくれて天界へ行くも、最高神の創造神様が一方的にまくしたてて、サチ・スメラギとして異世界アラタカラに創造神の使徒(天使)として送られてしまう。1歳の子供の身体になり、それなりに人に溶け込もうと頑張るお話。
※心は大人のなんちゃって幼児なので、あたたかい目で見守っていてください。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる