悪役令嬢ですが、自分のスキルの代償がきつくて泣きそうです(仮)

秋桜

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第2章〜星の記憶と手紙と決意〜

14.脱出(アリシアナ視点)

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*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*


ここから出たいという雑念を込めまくりつつ本のページをめくっていると、本のページがパラパラと勝手にめくれ、あるページでピタっととまる。

そのページのタイトルを見ると内乱の犠牲者の欄だった。
ちなみに気になったので前後の他のページを見てみたが真っ白だった。

(このページが出てきたって事は、あの子が内乱で死なないようにすればここから出られるのかな?…でも、ゲームで言ってなかったし私あの子のフルネーム知らない…どうしよう…。)

アリシアナは見れば分かるかなと思いリストを見てみた。


エルシー・マクガレン (腹部を撃たれ出血多量で死亡)

リナリー・ガーランド(頭部を撃たれて死亡)

リック・ウォルシュー(右足、左肩を撃たれ出血多量で死亡)



知らない名前に目が滑りつつも、そのリストを目で追ったその時。

知らない人の死ぬ殺される瞬間が次々と頭に流れ込んできた。

「なに、これ。」

前世でもグロいアニメや映画を見たこともあったがそれとは全然違っていた。

映像だけでなく血の臭いや銃や魔法の攻撃音。

痛みで泣き叫ぶ声。

それらがいくつもいくつもいくつもいくつも流れ込んでくる。


恋人をかばってお腹を撃たれ死んでいく女の人。

頭を撃ち抜かれて死ぬ女の子。

子供を守って敵兵の魔法で燃やされる母親。


その痛みまでもが流れこもうとしかけた時。



私の心が限界を超えた。


「いやぁぁぁー!」


「痛い、怖い、痛い…いやぁぁぁぁぁー!!」

アリシアナの叫び声を聞いて、少し離れた所で考え込んでいたジークフリートが慌てて駆け寄った。

「シア!!シア!?」



「しっかりして!!」


ジークフリートは焦点の合わない瞳で倒れたアリシアナを慌てて抱きとめた。




********




正気を失っていたアリシアナはジークフリートの声で少し意識を取り戻した。



(ジーク様の…声、が…聞こえる、気が、する…。)




(私…何…してたん、だっけ…?)





(そ、うだ…あの子、を助け、ない、と。)




(さ、っきよ、り、痛くな、いし、怖くもな、い。だ、れかがは、んぶん、わた、しに、入ってく、る前に、止めて、くれて、る、みた、い…。)




アリシアナはその誰かの為にも早くなんとかしようと痛みでいっぱいいっぱいの頭でその痛みを消せる方法を考えた。

そうだ…"死亡"って書いてある所を消せばこの痛みも消えないかな。
流れ込んでくる痛みや膨大な量の感情に自分を流されないようにしながら、さっき魔法の本と一緒に出てきていたペンで名前の横の死因欄を横線で片っ端から消していく。

1つ消す度に一人分の痛みが消えていく。
そして、それに比例して体が重くだるくなっていく。

疲労でガクガクする手を無理やり動かして横線を引いて文字を消していると誰かが支えてくれた。
 平常時であれば今この場にいるのは、先ほど倒れたアリシアナをこれ幸いと抱きかかえているジークフリートしか居ないのでジークフリートが支えてくれている事にすぐに気づき本気の拒絶と共に突き放していただろうが今のアリシアナはそれに気づけるだけの余裕も突き放す力もなかった。

1人を消す度、痛みやそれに伴う感情と一緒に自分からごっそりと力が抜けていくのを感じた。


何百人分もの記録を書き換えて最後にページの冒頭、タイトルのというところを今度は消しゴムで消しする。
全て終わる頃には疲労困憊でアリシアナはそのまま眠るように意識を失った。


(やばい…これはまた1ヶ月後コース…か…も…。)

アリシアナは自分がジークフリートと謎空間に居る事も忘れ、そんな呑気な事を思いながら気を失った。



*****





目が覚めて時計を見ると丸1日しか経っていなくて次の日の朝だった。

場所は変わらず、ジークフリートの産みの母の部屋のベットで
前に目覚めた時と同じ様にジークフリートに片手を握られて魔力循環されていた。

だが、全く同じ訳では無かった。ふたつ大きな違いがある。

アリシアナが魔力をもらっていたわけではなくただ魔力を循環させていただけなのとジークフリートがという点だ。

ジークフリートはアリシアナが目覚めたことに気づくとにっこりと微笑んだ。

「おはよう。僕の眠り姫。今度は早かったね。」

綺麗な顔でにっこりと微笑むジーク様は昨日より少し元気がない気がして昨日の記憶を思い返す。

「ジ、ジーク…様…。」

色々と思い出したアリシアナは、『ごめんなさい』とか『ありがとう』とか『なんで同じベッドで寝てるんですか』とか色々な言葉が出かかって何から言えばいいか分からなくなる。

「……………お…おはようございます?」

アリシアナがなんとか捻り出した言葉はそんな言葉だった。




*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*

※アリシアナもジークフリートもどっちも10歳()です。

次の話から王子視点の脱出が始まります。
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