悪役令嬢ですが、自分のスキルの代償がきつくて泣きそうです(仮)

秋桜

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第3章〜内乱の激化と流行病の発症〜

26.仏の顔も三度まで、4度目はない。

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「お嬢様、このままずっと考えていても仕方ないですし次に行ってもいいですか?」

思念伝達魔法を解いたマリアのその声でここにはジーク様達もいるのだと思い出した。悩むのは後にしようと頭を切り替える。

「そうね、そうだったわ。ジーク様の目がキラキラしてたのってなんでなのか解決してなかったわ·····。」

「そういやそんな事も言ってたね。なんだっけ…そう、確か僕だけキラキラしてるとかって――」

「言ってましたね。私はもう少し詳しく説明して欲しいのですが?」

説明と言われてもそのままなんだけど。

「ジーク様の目だけよく見るとキラキラした金色の光が見えるので、なんだろうと気になったのです。」

「それだけ?」

「?、それだけですよ?」

キョトンとするとジーク様は少し残念そうに肩を落とした。
そして少し考えた後「鏡ある?」と聞いたジーク様に手鏡を渡すマリア。

「あぁ…瞳の奥の金色のキラキラって…これの事か。これは1ヶ月と少し前だったかな…突然こうなってたんだよね。理由は気にしたことないからわからないけどね。」

ジークフリートは興味無さそうに呟いた。

「そうですか。変な事を聞いてしまってごめんなさい。」

「えっ!?いや、いいよ。これくらいで謝らないで‥‥ね?」

そう言って美しい顔を楽しそうに緩ませると私に微笑むジーク様。

「っ、はいぃ。」

キラキラをこっちに向けないで欲しいわっ。
アリシアナはともかく私にはあなたの笑顔に耐性がないのよっ!

「ところでシア気づいてる?」

「な、なにをですか?」

そんなんどうでもいいからこっち見んなっ!

「瞳の奥のキラキラだけど、シアにもあるよ?」





「……………………………………は?」

前言撤回。どうでもいいくないわ。
私にも、もうあの金色のキラキラがあるの?正直めっちゃ嫌なんだけど…。
あの神様何考えてるんだろう…まぁ、ゲームでも変なキャラだったけ―――

「金色の僕と違ってシアは銀色だね。シアの目もキラキラしてて…(いや、僕とは少し違う?)…とにかく、とっても綺麗だよ?」


(……???)

えーっとぉ…はい?


今、なんて言った…?

なんか重要な事言ってたような。


「ジーク様?申し訳ありませんが…今なんと?」

「うん?シアの目も銀色が入ってて綺麗だよって。」

「ごめんなさい、何色とおっしゃいました?」

「銀色?」

突然顔色の変わったアリシアナを不可解な面持ちでみるジークフリート。アリシアナはそのジークフリートが言った言葉の意味を理解する事が出来ないでいた。と言うより理解する事を頭が拒否した。

ギンイロ…

ギン…イロ…

ぎん…いろ…

銀…色…

銀色…?

銀色って何だっけ…?

……いや待てっ、落ち着け、私!

『銀色って何だっけ』も何も銀色は銀色だわ!

そうじゃないっ、そうじゃ…ない。

銀色はっ…。

そう、銀色だけはダメだっ!

あの神だけはダメだっ!

「銀色なんて嫌よっ!」

「はい!?なんで!?」

あれ、私声に出してた?

「バッチリ声に出てたよ。」

「出てましたね。」

あれ?私また声に出してた?

「今回は声には出てないけど、顔に全部書いてあるからね。」

「そうですね。というか綺麗でいいじゃないですか。私は好きですよ、銀色。」

「そうだね。」

事情を知らない2人はなだめるように私に言うけど別に私は銀色という色が嫌でこんな事を言っている訳では無いのよ。
今の所はまだ2人とも私を好いてくれてはいるみたいだけど…いまいちポイントがズレてる気がする。

「そうじゃない…そうじゃないの…」

アリシアナは2人にそう返しつつ最悪の未来を想定する。

銀色は虚無の神。
どの神より強大なその神は何も無い空っぽの存在。
ゲームのラスボスであり、本来、銀色の加護はヒロインが貰うべき証。
ゲームではその虚無の神の加護がヒロインを苦しめる事となる。
ヒロインが神にのまれそうになるすんでの所を攻略キャラに助けられる。

最強で最凶で最悪な死の神。

関わってはいけない存在。

「もう…嫌だ…なんなの?次から次に…。」

目から涙がじわりと滲んでくる。

突然、ゲームとよく似た異世界で目が覚めて
気がついたら死亡フラグてんこ盛りのアリシアナになってた。
それなのにフラグ回避に必要なゲームの知識は全然思い出せなくて
それどころか1日前の事すらあやふや。
それでも何とかしようとしてみたけどスキルに振り回されて周りを巻き込み、大騒ぎ。グロい記憶を見させられたり、痛い思いをしたり。
今朝、アリシアナの母からだとかいう謎の手紙のおかげで多少は自分の現状がわかったと思ったら、ゲームでは終盤にしか手に入らない神の加護をジーク様が既に持ってたり、前世で作ったペンダントがこの世界で神器になってたり、極めつけはあの神からの銀色の加護だ。

こっちに来てからずっとだ。
未来を変えるために行動を起こそうと考えるとその度に明後日の方向から思わぬ攻撃を受けて邪魔されているそんな感じだ。
ただの偶然なのかもしれないけどこっちに来てからずっとこうだとめげてしまいそうになる。

数分前に、逃げずに現状をちゃんと認めて死なないために頑張るって決めたばっかりで…。
しかも、お城で目が覚めて今日でまだ3日目だけど…。

平和な日本で生きていた、ごく普通の一般人でしかなかった私は既にもう限界よ。

しばらく何もせず何も考えずにただ引きこもりたい。

朝起きて、ご飯食べて、のんびりと1日過ごす、夜になれば何も考えずにただ眠る。

魔法のある世界だしいろいろ試してみるのもいいかもしれない。
好きだった料理や刺繍、編み物もこの世界独特の見た事ないものがあるかもしれない。

「そうだわ、それがいい。とっても素敵な考えだわ。ふふふふふふっ…。」

涙の溜まった虚ろな目は虚空を見つめ不気味な薄笑いをうかべる。
そんなアリシアナに気づいてジークフリート達は今度はなんだと構える。

「シ、シアさん…だ、大丈夫デスカ?」

ジークフリートのらしくない戸惑い声を聞いて、虚空を見つめていた虚ろな目がジークフリートの方を向く。

「ふふふっ…ジーク様が敬語なんておかしいっ…ふふっ…私は大丈夫。ふふふふふふふふっ…。」

あぁおかしい。
あのジークフリートが私に敬語なんてっ…ふふふふふふっ。

「あぁ…これは…。」

急に笑いだしたアリシアナの様子を見てリオンが顔を手でおおった。

「『これは』って?今度は一体何!?」

「王子殿下、とりあえずは大丈夫です。お嬢様は怒って…いえ、キレてしまわれただけですから。」

「は?キレた?なんで?というかそれのどこが大丈夫だって!?」

ジークフリートは思わず叫んだ。


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