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第16話
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「って、クラリス嬢ってあの、数あるフランツ様の婚約者でも筆頭と呼ばれるクラリス嬢と会っちゃったんですか!?」
「うん、親切な言い回しありがとうなーロナルド」
なるほど、オレって実はたくさん婚約者がいるのか。
それで、クラリスはその中の一人で、かつ一番有力者ってわけか。具体的に何人いるのか気になるなー。
ゲームの中ではそんな話は出てきてないけど、まぁ、ありがちっちゃ、ありがちだよな。
けど、さすがに5歳にもみたない子供にそんなにたくさん婚約者はいらにいと思うんです。まじで。
そんなことをぼんやり思っている横で、ロナルドがオロオロとしている。
「でも、なんでクラリス嬢と?」
「いやー・・・・・・なんか、落ちたらいて?」
「しかも、フランツ様のせいで倒れたって!?」
「あー、その、血?を見て、びっくりさせちゃったみたいで、ははは」
「ははは、じゃないですよ、殿下!」
呑気に笑ってる場合じゃないとピシャリとロナウドに怒られた。
ロナルドはだいぶ焦っているようだけど、そんなこと言われてもねー過ぎたことだし、しょうがなくない?
てか、お前もオレが血だらけなの見て倒れたじゃん!
「クラリス嬢は王家に次ぐ由緒正しい公爵家の令嬢です。それを、もう・・・・・・フランツ様、あなたって人は」
「いや、一応名乗ってはないから王子ってバレてないと思うんだけどね、オレ」
ヘラりとごまかすように笑うと、そういう問題じゃないと言いたげにロナルドは顔を顰め、アークは対照的ににこりと笑って言った。
「クラリス嬢はここに来てすぐ目覚めましたよ。軽い貧血のようだったけど、明日の準備で忙しいらしくって、気丈にもさっさと出て行かれたさ」
「怪我とかしてないなら良かったけど、明日の準備って何?」
会えなかったのは残念だけど、とりあえず何にもなさそうでよかった。
ホッとしてると、ロナルドはしかめっ面から一転、心配げにオレの顔を覗き込んだ。
「・・・・・・フランツ殿下、ご自身のお誕生日をもうお忘れになったんですか?」
「え、もしかして」
「そうですよ、明日の殿下のお誕生日に舞踏会が開かれます。そこで、クラリス嬢とダンスを踊る段取りになっていますが・・・・・・。
ずいぶん前からあんなに絵姿を見て楽しみにしていたのに・・・・・・兄上、やっぱり殿下は頭を強く打ち過ぎたんじゃ?」
「あ、いやいや!大丈夫だから!ちょっと衝撃が強すぎて、一瞬忘れてただけだから」
あぁ、そうっだった。ほんと、記憶混濁とかそういうの抜きで、すっかり忘れてたわ!
明日は舞踏会じゃん!
しかも、ゲームだとそこでヒロインに会うんだった。
やばいやばい、対策練らないと。ここで失敗するとクラリスとのエンディングが迎えられないかもしれない。
ロナルドはまだ少し心配そうに顔を顰めているので、取り繕うように笑って誤魔化す。
まだ納得してなさそうだったけど、無理矢理丸め込み、納得させ、そうそうに医務室を出よう。
そろそろお暇しようとベッドから降りようとすると、アークにそっと呼び止められてた。
「フランツ殿下」
「なに、アーク?」
アークは相変わらず、笑みを浮かべてる。
不思議に思ってアークの笑みを見つめると、最初に出会った頃のように花が綻ぶように笑った。
「やっぱり、なんでもないよ。あぁ、でも」
「でも?」
「殿下に、神様のご加護がありますように」
そういってほほ笑んだアークは、まるで、全てを見通しているようで、腹の底から冷えるようにゾッとした。
「うん、親切な言い回しありがとうなーロナルド」
なるほど、オレって実はたくさん婚約者がいるのか。
それで、クラリスはその中の一人で、かつ一番有力者ってわけか。具体的に何人いるのか気になるなー。
ゲームの中ではそんな話は出てきてないけど、まぁ、ありがちっちゃ、ありがちだよな。
けど、さすがに5歳にもみたない子供にそんなにたくさん婚約者はいらにいと思うんです。まじで。
そんなことをぼんやり思っている横で、ロナルドがオロオロとしている。
「でも、なんでクラリス嬢と?」
「いやー・・・・・・なんか、落ちたらいて?」
「しかも、フランツ様のせいで倒れたって!?」
「あー、その、血?を見て、びっくりさせちゃったみたいで、ははは」
「ははは、じゃないですよ、殿下!」
呑気に笑ってる場合じゃないとピシャリとロナウドに怒られた。
ロナルドはだいぶ焦っているようだけど、そんなこと言われてもねー過ぎたことだし、しょうがなくない?
てか、お前もオレが血だらけなの見て倒れたじゃん!
「クラリス嬢は王家に次ぐ由緒正しい公爵家の令嬢です。それを、もう・・・・・・フランツ様、あなたって人は」
「いや、一応名乗ってはないから王子ってバレてないと思うんだけどね、オレ」
ヘラりとごまかすように笑うと、そういう問題じゃないと言いたげにロナルドは顔を顰め、アークは対照的ににこりと笑って言った。
「クラリス嬢はここに来てすぐ目覚めましたよ。軽い貧血のようだったけど、明日の準備で忙しいらしくって、気丈にもさっさと出て行かれたさ」
「怪我とかしてないなら良かったけど、明日の準備って何?」
会えなかったのは残念だけど、とりあえず何にもなさそうでよかった。
ホッとしてると、ロナルドはしかめっ面から一転、心配げにオレの顔を覗き込んだ。
「・・・・・・フランツ殿下、ご自身のお誕生日をもうお忘れになったんですか?」
「え、もしかして」
「そうですよ、明日の殿下のお誕生日に舞踏会が開かれます。そこで、クラリス嬢とダンスを踊る段取りになっていますが・・・・・・。
ずいぶん前からあんなに絵姿を見て楽しみにしていたのに・・・・・・兄上、やっぱり殿下は頭を強く打ち過ぎたんじゃ?」
「あ、いやいや!大丈夫だから!ちょっと衝撃が強すぎて、一瞬忘れてただけだから」
あぁ、そうっだった。ほんと、記憶混濁とかそういうの抜きで、すっかり忘れてたわ!
明日は舞踏会じゃん!
しかも、ゲームだとそこでヒロインに会うんだった。
やばいやばい、対策練らないと。ここで失敗するとクラリスとのエンディングが迎えられないかもしれない。
ロナルドはまだ少し心配そうに顔を顰めているので、取り繕うように笑って誤魔化す。
まだ納得してなさそうだったけど、無理矢理丸め込み、納得させ、そうそうに医務室を出よう。
そろそろお暇しようとベッドから降りようとすると、アークにそっと呼び止められてた。
「フランツ殿下」
「なに、アーク?」
アークは相変わらず、笑みを浮かべてる。
不思議に思ってアークの笑みを見つめると、最初に出会った頃のように花が綻ぶように笑った。
「やっぱり、なんでもないよ。あぁ、でも」
「でも?」
「殿下に、神様のご加護がありますように」
そういってほほ笑んだアークは、まるで、全てを見通しているようで、腹の底から冷えるようにゾッとした。
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