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外伝~トモと友~05 行方不明
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♥
トモが去って数カ月後。大公邸では3妃が茶を飲みながら語り合っていた。
「あんなにあっさり出て行くなんて…。さみしい…」
ミナミはため息をついた。初めはどうなるかと思ったが、トモは子供らに沢山の昭和の遊びを教えてくれた。平成生まれのミナミにはできない芸当だ。学園ではたった半年で全単位を履修し、疾風の様に卒業していった。成績もオール優。さすが帝国軍人だ。
「宮様も本心では手放し難いとお思いだったでしょうに。よく行かせましたね」
確かにトモを気に入っていた。あの美貌に魅了されず、品のあるジョークを言って気難しい男をよく笑わせていた。
「ユリウスもエルフの都に行ってしまったし。本当に寂しいわね」
ユリアもほうっと息を吐いた。ミナミは声を潜めて2人に訊いた。
「…それで、付けた?」
リコリスとユリアは頷いた。
「刀の飾り紐に付けました」
「私は指輪に」
3妃は黒い笑みを浮かべた。考える事は同じだ。ミナミはトランクに発信機を付けた。あんな優秀な人間、逃してなるものか。
そこへ夫たる大公が現れた。いつもの影渡りではなく瞬間移動だ。
「ヨッシー?どうしたの?」
「友久の居場所は分かるか?」
ミナミらは顔を見合わせた。まさにその話をしていたところだった。
「今すぐ連れ戻すぞ。あいつは皇族だ。死んでこちらに転生していた」
♠
花鳥宮友久王。それが天宮友久の本当の名だ。傍系宮家の三男として生まれた。母が内親王だった。成人後、臣籍降下して天宮侯爵となった。位階は正四位。太平洋戦争中、南方戦線で戦死した。
「記憶を消し、別世界に転生する予定だった。だが何らかのミスが起こった。記憶を持ったまま、こちらの少女の器に入ってしまった」
ルクスソリアの神たる安徳帝は顔を顰めた。
ここは神界。安徳帝の庵だ。同じく神である菅公が頭を下げる。
「第二次大戦は死者が多すぎて転生ミスもありがちなんだ。許してほしい」
「それを修正する方法は?」
亜神・アスカ大公は2柱に訊いた。少女の身体と友久の魂を分離することはできないのか。安徳帝が答えた。
「もう遅い。魂と肉体が融合してしまった。一度彼を“復活”させたね?拳銃で自決した時だ。あれが原因だ」
「友久が幸せに寿命を全うすれば問題ないのだろう?」
短い間だったが家族の様に過ごした。明るく品があり、魔法の才にも優れた人物だった。自分に合う仕事を探すと、笑顔で去って行ったではないか。
「護良の目には良い子に見えたろう。だが君の屋敷を去ってからの足取りが全くつかめない。それはつまり、魔力を1回も使っていないということだ」
安徳帝は厳しい声で言った。大公は目を見張った。魔法士が魔法を使わない。あり得ないことだ。
「彼はこちらの世界を欠片も受け入れてないってことだ。おそらく帰還方法を探している」
菅公は悲し気に首を振った。更に安徳帝が不吉な予言をする。
「こちらから地球に帰る術は無い。それに気づいた時、彼は怨霊になるかもしれない」
急いで屋敷に戻り、妻たちに訊くと、それぞれ発信器を彼に持たせていた。しかし、全て取り除かれていた。大公は舌打ちした。中身は優秀な軍人だったことを思い出す。直ちに王国中に捜索の網を張った。だが友久の行方は杳として知れなかった。
◆
3年の留学を終え、ユリウスは王国に戻った。魔法学の天才公子は古代魔法の研究論文で博士号を取った。弱冠20歳にして王立魔法学園の教師に内定している。
「ただいま帰りました!」
「おかえりー!兄上ー!」
研究に没頭するあまり、一度も帰国しなかった。大きくなった弟妹を、ユリウスは1人づつ抱き上げて笑いあった。
「トモは?まだ王都に住んでいますか?」
何よりも先にあの異世界人の少女の消息を母に尋ねる。旅に出ているかも。今すぐにでも会いたい。頬を紅潮させた息子に、ユリア大公妃は沈んだ顔で答えた。
「それが…行方不明なの」
「え…?」
この3年間、手を尽くして探したが未だ見つからないと聞かされ、目の前が真っ暗になる。無意識に上着のポケットから小箱を取り出す。エルフの都で作らせた婚約指輪だ。ユリウスの瞳の色の宝石がはめ込んである。
公子は彼女にプロポーズをするつもりだった。
◆
留学先に発つ前夜。ユリウスはトモに告白した。酒の力を借りてだが。
『君が好きだ。僕の妻になってほしい』
陳腐だが他に言いようが分からない。3年待っていて。きっと研究を成し遂げて戻ってくるから。そう言って華奢な身体を抱きしめた。
『今夜だけな』
少女は儚い笑顔でユリウスを受け入れてくれた。だから頑張れた。3年後にまた会えると信じていたから。
♥
息子はあの娘が好きだったのだ。ユリア妃は胸を痛めた。なかなか友達ができない、内気なあの子が初めて親しくなった異世界人の少女。何としても留めておけば良かった。
この3年間、賑やかな大公邸にも微かに影が落ちていた。トモが見つからないからだ。
「母上。私、このお人形にする」
黒髪の娘が人形を選んだ。今日は外商が屋敷に来ている。広間にたくさんの玩具が広げられていた。子供たちは思い思いにそれらを試して、気に入ったものを買う。
「まあ…金髪の女の子ね。かわいいわね」
「母上と似てる。おめめも青いし」
「そうね」
ユリア妃は人形の輝く金髪を撫でた。すると娘は不思議な事を言った。
「ユリウス兄さまの匂いがする。トモの匂いも」
「!? 何ですって?」
衝撃を受ける。夫の血を引くこの子らは魔法感覚が異様に鋭い。人形の毛から魔力波を感じたのだ。ユリア妃は外商にその出所を尋ねた。
トモが去って数カ月後。大公邸では3妃が茶を飲みながら語り合っていた。
「あんなにあっさり出て行くなんて…。さみしい…」
ミナミはため息をついた。初めはどうなるかと思ったが、トモは子供らに沢山の昭和の遊びを教えてくれた。平成生まれのミナミにはできない芸当だ。学園ではたった半年で全単位を履修し、疾風の様に卒業していった。成績もオール優。さすが帝国軍人だ。
「宮様も本心では手放し難いとお思いだったでしょうに。よく行かせましたね」
確かにトモを気に入っていた。あの美貌に魅了されず、品のあるジョークを言って気難しい男をよく笑わせていた。
「ユリウスもエルフの都に行ってしまったし。本当に寂しいわね」
ユリアもほうっと息を吐いた。ミナミは声を潜めて2人に訊いた。
「…それで、付けた?」
リコリスとユリアは頷いた。
「刀の飾り紐に付けました」
「私は指輪に」
3妃は黒い笑みを浮かべた。考える事は同じだ。ミナミはトランクに発信機を付けた。あんな優秀な人間、逃してなるものか。
そこへ夫たる大公が現れた。いつもの影渡りではなく瞬間移動だ。
「ヨッシー?どうしたの?」
「友久の居場所は分かるか?」
ミナミらは顔を見合わせた。まさにその話をしていたところだった。
「今すぐ連れ戻すぞ。あいつは皇族だ。死んでこちらに転生していた」
♠
花鳥宮友久王。それが天宮友久の本当の名だ。傍系宮家の三男として生まれた。母が内親王だった。成人後、臣籍降下して天宮侯爵となった。位階は正四位。太平洋戦争中、南方戦線で戦死した。
「記憶を消し、別世界に転生する予定だった。だが何らかのミスが起こった。記憶を持ったまま、こちらの少女の器に入ってしまった」
ルクスソリアの神たる安徳帝は顔を顰めた。
ここは神界。安徳帝の庵だ。同じく神である菅公が頭を下げる。
「第二次大戦は死者が多すぎて転生ミスもありがちなんだ。許してほしい」
「それを修正する方法は?」
亜神・アスカ大公は2柱に訊いた。少女の身体と友久の魂を分離することはできないのか。安徳帝が答えた。
「もう遅い。魂と肉体が融合してしまった。一度彼を“復活”させたね?拳銃で自決した時だ。あれが原因だ」
「友久が幸せに寿命を全うすれば問題ないのだろう?」
短い間だったが家族の様に過ごした。明るく品があり、魔法の才にも優れた人物だった。自分に合う仕事を探すと、笑顔で去って行ったではないか。
「護良の目には良い子に見えたろう。だが君の屋敷を去ってからの足取りが全くつかめない。それはつまり、魔力を1回も使っていないということだ」
安徳帝は厳しい声で言った。大公は目を見張った。魔法士が魔法を使わない。あり得ないことだ。
「彼はこちらの世界を欠片も受け入れてないってことだ。おそらく帰還方法を探している」
菅公は悲し気に首を振った。更に安徳帝が不吉な予言をする。
「こちらから地球に帰る術は無い。それに気づいた時、彼は怨霊になるかもしれない」
急いで屋敷に戻り、妻たちに訊くと、それぞれ発信器を彼に持たせていた。しかし、全て取り除かれていた。大公は舌打ちした。中身は優秀な軍人だったことを思い出す。直ちに王国中に捜索の網を張った。だが友久の行方は杳として知れなかった。
◆
3年の留学を終え、ユリウスは王国に戻った。魔法学の天才公子は古代魔法の研究論文で博士号を取った。弱冠20歳にして王立魔法学園の教師に内定している。
「ただいま帰りました!」
「おかえりー!兄上ー!」
研究に没頭するあまり、一度も帰国しなかった。大きくなった弟妹を、ユリウスは1人づつ抱き上げて笑いあった。
「トモは?まだ王都に住んでいますか?」
何よりも先にあの異世界人の少女の消息を母に尋ねる。旅に出ているかも。今すぐにでも会いたい。頬を紅潮させた息子に、ユリア大公妃は沈んだ顔で答えた。
「それが…行方不明なの」
「え…?」
この3年間、手を尽くして探したが未だ見つからないと聞かされ、目の前が真っ暗になる。無意識に上着のポケットから小箱を取り出す。エルフの都で作らせた婚約指輪だ。ユリウスの瞳の色の宝石がはめ込んである。
公子は彼女にプロポーズをするつもりだった。
◆
留学先に発つ前夜。ユリウスはトモに告白した。酒の力を借りてだが。
『君が好きだ。僕の妻になってほしい』
陳腐だが他に言いようが分からない。3年待っていて。きっと研究を成し遂げて戻ってくるから。そう言って華奢な身体を抱きしめた。
『今夜だけな』
少女は儚い笑顔でユリウスを受け入れてくれた。だから頑張れた。3年後にまた会えると信じていたから。
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息子はあの娘が好きだったのだ。ユリア妃は胸を痛めた。なかなか友達ができない、内気なあの子が初めて親しくなった異世界人の少女。何としても留めておけば良かった。
この3年間、賑やかな大公邸にも微かに影が落ちていた。トモが見つからないからだ。
「母上。私、このお人形にする」
黒髪の娘が人形を選んだ。今日は外商が屋敷に来ている。広間にたくさんの玩具が広げられていた。子供たちは思い思いにそれらを試して、気に入ったものを買う。
「まあ…金髪の女の子ね。かわいいわね」
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「そうね」
ユリア妃は人形の輝く金髪を撫でた。すると娘は不思議な事を言った。
「ユリウス兄さまの匂いがする。トモの匂いも」
「!? 何ですって?」
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