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一話 異世界転生
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俺の名前は常磐慎吾。何処にでも居る普通の高校生だ。
ピピピピピピ…目覚まし時計の音か…煩いな。俺は目覚まし時計を握ると壁に投げつけた。
ガシャーンと音が響く。これでもう煩く無くなった。
………zzzzzz
おき…ろ!お…きて!バギャッ!起きろ!
「はうあ!いてえ!超いてぇよ!」
俺は何かで殴られたようだ。咄嗟に目を覚ます。
ベッドの側では幼なじみの須藤愛理がフライパンを持って立っていた。あのフライパンで殴り付けてきたのか。
頭の中がグワグワと歪んだり捻れたりしているように感じる。
「愛理!何すんだよ!もっと起こし方が他にもあるだろ。俺を殺す気かよ。」
「だって慎吾全然起きないんだもん。仕方ないじゃん。このままだと私だって遅刻しちゃうし、外国に居るおじ様とおば様に慎吾の事頼まれちゃってるしね。さあご飯を食べて!学校行くよ。」
「はいはい。後ろから抱き付いて匂いかぎかぎー!」
「キャア!何やってんのよ!殺すわよ!変態!」
二発目のフライパンアタックが俺を襲った。クソ!セクハラしただけなのにいてえじゃないか!
俺はセクハラを終えると二階から一階に降りて行った。リビングには既に食事が用意されている。ニュースをテレビでみながらそれを掻きこむ。
何時も通りの味だ。旨い。一応愛理に伝えてやろう。幼なじみのメンタルケアも出来る男子の仕事だ。
「今日も旨いぞ。愛理。また頼むよ。」
「へへへ…そうでしょ。お世辞は良いから早く食べちゃって頂戴。学校遅刻するよ!」
「了解。」
俺は食事を食べ終わると制服に着替えた。そして出かける準備は終わった。愛理に声を掛ける。
「俺は準備オッケーだ。家を出ようぜ。愛理。」
「分かったわ。もう出ちゃいましょうか。遅刻。遅刻!」
俺達は家を出て通学路を歩いていた。住宅街を抜けると大きな十字路がある。信号が青なので渡っているといきなり凄いスピードでトラックが突っ込んできた。ブレーキも掛けていない。このままだと引かれる!
俺は次の瞬間愛理を突き飛ばしていた。しかし俺の居る場所にトラックは突っ込んでくる。あ…あ…
ドグッチャアバキャバキャガッシャーン!
大きな音を立てて俺は引かれた。トラックの暴走は止まらずその後も走って去っていってしまった。
今俺は体の外からグチャグチャに潰れてしまった俺の体を見ている。愛理は無事な様だ。俺の死体に駆け寄り絶叫して号泣している。
泣いてくれる人が居るっていうのは良いことだなぁと他人行儀に感じていた。
この後葬式とかもずっと眺めているのかな。でも結構時間掛かるしそれまで暇だな。
外国から家の両親は帰って来るのだろうか?とか色んな疑問が俺の頭を渦巻いた。いや、頭はグチャグチャに潰れてしまったんだけどな。
とその時目の前の風景が十字路から綺麗な草原に変わった。
そこには金髪緑眼の綺麗なローブを来た女性が立っていた。長い木の棒を持っている。何故木の棒?
「常磐慎吾ですね。待っていました。」
「はい。そうです。貴女は誰ですか?」
「私の名前は女神アイリス。異世界イスワルドの神です。貴方を迎えに来ました。」
「えっ。俺が死ぬのを分かっていたんですか?」
「そう取って貰っても結構です。本来は地獄か天国に案内すべきなのですが、両方とも現在死人が多くなってきてパンパンなのです。」
「へーそうなんですか。知らなかった。ところで俺はどうなるんですか。出来れば天国に行きたいです。」
「それは出来ない相談ですね。貴方は地球と異なる異世界…イスワルドに転生します。言語や文字は心配しなくて良いです。何か仕事をやりながら生きていきなさい。」
「そんな無茶な。死んだと思ったら全然知らない世界で生活を送れなんて…あっこれライトノベルで見たことがあります。異世界転生って奴ですよね。強力な能力とか武器とかを与えて貰えるんですよね。俺は何が貰えるんですか?」
「貴方にはこれを授けましょう。この木の棒がありますね。これが聖剣エクスリボルグです。使い方は敵をひっぱたいて追い払う事ですね。これがあれば大抵の荒事は乗り越えられる筈です。」
「えっただの一メートル位の木の棒ですよね。こんなんじゃモンスターとか冒険者と闘えませんよ!何かもっと別な物を下さいよ!」
「残念ながらそろそろお別れの時間です。エクスリボルグは使い込めば必ず貴方に答えてくれるでしょう。イスワルドでも穏やかに満ち足りた生活を送ってください。それではさらばです。」
目の前の景色が暗転する。俺はエクスリボルグを握りしめた。いきなり戦闘になるかもしれない。
景色が晴れてくるとそこは中世の町中だった。往来の真ん中に転生したようだ。客観的に言っておれは木の棒を持っておかしな格好をしている男だ。
回りから冷たい目線で見られている。
「…畜生。俺を見るなよ。まるで変質者みたいじゃないか。先にこの木の棒を捨てるか」
と、エクスリボルグを捨てようとしたところ…頭に音声が響き渡った。
「エクスリボルグは祝福されたアーティファクトです。それを捨てるなんてとんでもない。装備は絶命するまで解除されません。」
「おいおいおいおい。嘘だろ。鉄の剣も装備できないって事かよ。この先どうしろっていうんだ。お先真っ暗超えてるぞ!」
俺の異世界生活は始まったばかりだが前途多難だ。まずこの木の棒を手放す事が出来ない。背中に差して剣の様に扱う事は出来る様だが…
俺はこの先どうして良いか分からず途方にくれていた。
次の旅に続く
ピピピピピピ…目覚まし時計の音か…煩いな。俺は目覚まし時計を握ると壁に投げつけた。
ガシャーンと音が響く。これでもう煩く無くなった。
………zzzzzz
おき…ろ!お…きて!バギャッ!起きろ!
「はうあ!いてえ!超いてぇよ!」
俺は何かで殴られたようだ。咄嗟に目を覚ます。
ベッドの側では幼なじみの須藤愛理がフライパンを持って立っていた。あのフライパンで殴り付けてきたのか。
頭の中がグワグワと歪んだり捻れたりしているように感じる。
「愛理!何すんだよ!もっと起こし方が他にもあるだろ。俺を殺す気かよ。」
「だって慎吾全然起きないんだもん。仕方ないじゃん。このままだと私だって遅刻しちゃうし、外国に居るおじ様とおば様に慎吾の事頼まれちゃってるしね。さあご飯を食べて!学校行くよ。」
「はいはい。後ろから抱き付いて匂いかぎかぎー!」
「キャア!何やってんのよ!殺すわよ!変態!」
二発目のフライパンアタックが俺を襲った。クソ!セクハラしただけなのにいてえじゃないか!
俺はセクハラを終えると二階から一階に降りて行った。リビングには既に食事が用意されている。ニュースをテレビでみながらそれを掻きこむ。
何時も通りの味だ。旨い。一応愛理に伝えてやろう。幼なじみのメンタルケアも出来る男子の仕事だ。
「今日も旨いぞ。愛理。また頼むよ。」
「へへへ…そうでしょ。お世辞は良いから早く食べちゃって頂戴。学校遅刻するよ!」
「了解。」
俺は食事を食べ終わると制服に着替えた。そして出かける準備は終わった。愛理に声を掛ける。
「俺は準備オッケーだ。家を出ようぜ。愛理。」
「分かったわ。もう出ちゃいましょうか。遅刻。遅刻!」
俺達は家を出て通学路を歩いていた。住宅街を抜けると大きな十字路がある。信号が青なので渡っているといきなり凄いスピードでトラックが突っ込んできた。ブレーキも掛けていない。このままだと引かれる!
俺は次の瞬間愛理を突き飛ばしていた。しかし俺の居る場所にトラックは突っ込んでくる。あ…あ…
ドグッチャアバキャバキャガッシャーン!
大きな音を立てて俺は引かれた。トラックの暴走は止まらずその後も走って去っていってしまった。
今俺は体の外からグチャグチャに潰れてしまった俺の体を見ている。愛理は無事な様だ。俺の死体に駆け寄り絶叫して号泣している。
泣いてくれる人が居るっていうのは良いことだなぁと他人行儀に感じていた。
この後葬式とかもずっと眺めているのかな。でも結構時間掛かるしそれまで暇だな。
外国から家の両親は帰って来るのだろうか?とか色んな疑問が俺の頭を渦巻いた。いや、頭はグチャグチャに潰れてしまったんだけどな。
とその時目の前の風景が十字路から綺麗な草原に変わった。
そこには金髪緑眼の綺麗なローブを来た女性が立っていた。長い木の棒を持っている。何故木の棒?
「常磐慎吾ですね。待っていました。」
「はい。そうです。貴女は誰ですか?」
「私の名前は女神アイリス。異世界イスワルドの神です。貴方を迎えに来ました。」
「えっ。俺が死ぬのを分かっていたんですか?」
「そう取って貰っても結構です。本来は地獄か天国に案内すべきなのですが、両方とも現在死人が多くなってきてパンパンなのです。」
「へーそうなんですか。知らなかった。ところで俺はどうなるんですか。出来れば天国に行きたいです。」
「それは出来ない相談ですね。貴方は地球と異なる異世界…イスワルドに転生します。言語や文字は心配しなくて良いです。何か仕事をやりながら生きていきなさい。」
「そんな無茶な。死んだと思ったら全然知らない世界で生活を送れなんて…あっこれライトノベルで見たことがあります。異世界転生って奴ですよね。強力な能力とか武器とかを与えて貰えるんですよね。俺は何が貰えるんですか?」
「貴方にはこれを授けましょう。この木の棒がありますね。これが聖剣エクスリボルグです。使い方は敵をひっぱたいて追い払う事ですね。これがあれば大抵の荒事は乗り越えられる筈です。」
「えっただの一メートル位の木の棒ですよね。こんなんじゃモンスターとか冒険者と闘えませんよ!何かもっと別な物を下さいよ!」
「残念ながらそろそろお別れの時間です。エクスリボルグは使い込めば必ず貴方に答えてくれるでしょう。イスワルドでも穏やかに満ち足りた生活を送ってください。それではさらばです。」
目の前の景色が暗転する。俺はエクスリボルグを握りしめた。いきなり戦闘になるかもしれない。
景色が晴れてくるとそこは中世の町中だった。往来の真ん中に転生したようだ。客観的に言っておれは木の棒を持っておかしな格好をしている男だ。
回りから冷たい目線で見られている。
「…畜生。俺を見るなよ。まるで変質者みたいじゃないか。先にこの木の棒を捨てるか」
と、エクスリボルグを捨てようとしたところ…頭に音声が響き渡った。
「エクスリボルグは祝福されたアーティファクトです。それを捨てるなんてとんでもない。装備は絶命するまで解除されません。」
「おいおいおいおい。嘘だろ。鉄の剣も装備できないって事かよ。この先どうしろっていうんだ。お先真っ暗超えてるぞ!」
俺の異世界生活は始まったばかりだが前途多難だ。まずこの木の棒を手放す事が出来ない。背中に差して剣の様に扱う事は出来る様だが…
俺はこの先どうして良いか分からず途方にくれていた。
次の旅に続く
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