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九話 探索!遺跡の奥で待つ者!
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俺達はイシュタルの町を離れる事にした。ヴェラクルスの一件から一週間は立ったが事件やめぼしい依頼は出てこなかった。
故郷を離れる事になるリズも動揺はしなかった。
「もう実家とは縁を切ったしさ。冒険の旅に出るって決めたんだ。気を使わなくて良いよ。」
との事だ。
旅をすると言う時点でイシュタルの町から離れるのも必然だからだろう。
俺達は更に東へ旅をする。ここから五日程歩いたところにニューヘブンの町がある。
イシュタルの町にも思い出があるが別れを告げなくてはならない。さようならイシュタルの町よ。また何時かエリーの兄探しの旅が終わったら立ち寄るかもしれない。さらばだ。
俺達はイシュタルを立った。街道を東に進む…二日経った。
途中で古めかしい遺跡を発見した。看板が立ててある。
「ミッドガルド遺跡。危険。モンスター出没。立ち入り禁止。」
そう言われると立ち入りたくなるのが冒険者魂だが…エリーとリズに確認を求めた。
「どうする?エリー、リズ。入ってみるか?」
「今はそんなにお金には困っていないのだけど確かに気になるわね。入ってしまいましょうか?」
「ボクも賛成だ。モンスターが出ても幻想顕現で倒せば良いだけだしね。」
「ヴァジュラとゼオンボルグも有るわよ。どんな敵でも倒せるわ。後一応エクスリボルグも有ったわね。」
「この木の棒については…あまり宛にしない方が良いな。いや当たれば強いんだけどな。はは…。まあ良い。中に入るか。」
俺達は遺跡の中に入った。中は狭い通路が一本道で有るだけのようだ。機械的な壁だ。先史文明の遺跡だろうか?俺達はゆっくりと遺跡を進んでいった。
十分程歩いただろうか?そこそこの広さの部屋に出た。そこにはゴブリンが五匹屯していた。
俺達は戦闘態勢に入る。狭い室内だ。アーティファクトを利用した戦闘はこちらに被害が出る可能性がある。それはエリーもリズも理解している様だった。そこでエクスリボルグの出番だ。俺はエクスリボルグを振りかぶるとゴブリンに突っ込んで行った。
ゴブリンはそれが木の棒だと分かっているのだろうか…癪に障る声で大爆笑していた。
隙を見せたな!その隙頂き!俺はゴブリンの脳天に次々にエクスリボルグを振り下ろした。ゴブリンは気を抜いていたので簡単に攻撃を許してしまう。
バキッバキャグチャバキャドグッチャ!
五匹全員の頭を叩いた。全部失神している。気を抜くからこうなるんだ。
「慎吾。どいて。ゼオンボルグで止めを指すわ。」
「少し可哀想だけど仕方無いな。エクスリボルグを笑う愚かしさを呪うんだな。ゴブリン達。」
ブスッブスッブスッブスッブスッ…
エリーはゼオンボルグで正確に心臓を射抜いていった。ゴブリン達は失神していたため暴れずに殺されていった。これで行く手を阻む敵はいなくなった。先に進もう。
俺達は再び部屋を抜けて狭い通路を進み始めた。途中ギリギリ一人通れるかどうかの道もあったが何とか先に進んでこれている。
「この遺跡…この先には何があるんだろうな?」
「やっぱり金銀財宝じゃないかな?大体相場が決まっているでしょ。強い魔物に護られててさ!何人もの冒険者が死体を貪られてたりして。」
「リズ…止めなさいよ。気持ち悪くなってきたわ。まあお金が有ることを祈るのみね。勿論伝説のアーティファクトでも歓迎だけどね。」
「何もない…既に別の冒険者が持ち去った後かも。わざわざご丁寧に看板まで立ててあったし。」
「慎吾。テンションが下がるような事を言うなよ。こういうのは楽しむ気持ちが大事なんじゃないか。それを最初からお宝が無いと決めつけるなんて粋じゃないねぇ。」
「悪かったな。リズ。俺は現実主義者なんだ。ん…次の部屋が見えてきたぞ。うわっあれを見ろよ。」
「何よ。何があるの?…部屋いっぱいにコボルトが詰まっているわね。三十匹は固いわね。どうしましょうか?」
「ボクの幻想顕現は狭いスペースだと本領発揮出来ない。今回は譲るよ。」
「慎吾も何時もみたいにタコ殴りにするわけにも行かないでしょう?…ここは私の魔法の出番ね。ゼオンボルグとヴァジュラばかり使っていたら強い魔法も弱くなるってもの。ここで全力全開の魔法で体をならしましょう。」
そう言うとエリーは部屋の入口から五メートル程の所に陣取った。その気配を感じたコボルトが外に出てくる。棍棒を掲げながら醜い咆哮を上げていた。
「うぐるるるうぎゃううううぐるるるるうあああ!」
「煩いわね。これで終いよ。天より到れ!全てを打ち砕く神槍よ!天の盃を乱す不貞の輩に天罰を降さん。衛星軌道から転移!汝、グングニル!神話展開!神罰執行!ヘルレイズスパーク!発射と同時に爆砕!行け!」
神代の神槍がイスワルドの衛星軌道上から呼ばれた。何時もはただじっと出番を待っているらしい。レプリカだが真に迫るアーティファクトだ。
それを構え、コボルトの群れに射出した。何体かのコボルトを貫通するグングニル。それだけで五匹は屠った。しかしそれで終わりではない。グングニルその物を爆弾として大爆発を引き起こす。これでこそ必殺の理である。
グングニル、究極霊爆。中に居るコボルトは一匹残らず蒸発した。こちらにまで爆発の余波が伝わってくる。俺の体自身吹き飛ばされそうだ。
これがエリーの全力の魔法か。アーティファクトに匹敵する威力の呪詛だ。彼女の本気は底がしれないな。
「さっ。終わったわ。うーん。良い肩慣らしになったわ。次に行きましょうか。」
「ああ。そうしよう。とんでもない威力だったな。ゼオンボルグやヴァジュラで闘うより魔法を使った方が強いんじゃないか?」
「それはそうだけど、ゼオンボルグは近距離用、ヴァジュラは遠距離用でとても使いやすいのよ。だからついつい魔法じゃなくてアーティファクトを頼ってしまうわ。」
「そう言うもんか。俺はエクスリボルグ一筋だから羨ましいよ。」
「エクスリボルグは取り外しが出来ないんだよね?御愁傷様。アーティファクトを持っていないだけならボクの幻想顕現で武装させる事も出来るんだけど呪いにも等しい加護があるんじゃ仕方無い。しかも闘おうと思えばそれなりに闘えるのがなんとも言えない所だね。完全な役立たずではないけどそんなに強いわけでも無い。まあエクスリボルグを上手く使いなよ。近接戦では役に立つんだからさ。」
「そうだな。近距離の普通の敵なら何とか相手になるんだよ。なんなら機械の敵でも気絶させられるんだ。」
「二人とも!先に進むわよ。」
「「了解!」」
俺達は再び狭い通路を進んでいく事になった。機械の壁は刺が飛び出ており実際よりも圧迫感があった。上手く引っ掛からない様に皆気をつけて先に進んでいた。
また部屋と言うよりは広間に出た。そこには大きな体の猿が居た。身長は五メートルは下らない。俺と目があった。じっとお互いを見つめるが…猿の方が先に動いた。俺を思い切り引っ掻いて来た。
俺は咄嗟にエクスリボルグを構えてそれを身代わりにした。攻撃を何とかいなす。
猿は後ろに飛び去ると第二撃を加えるために再びにじりよってきた。俺以外の事は目に入って居ないようだ。
「サポート行くよ。禁呪!幻想顕現!アイギス!慎吾を守れ!」
神代の盾が俺を守る。猿は石を投げてきたが盾が全て防ぐ。猿は攻撃をしあぐねている様だ。
今度は俺が攻める番だ。俺はエクスリボルグを握ると猿の居る方向に飛び込んだ。突然の事に猿は驚いているようだ。
隙あり!俺はエクスリボルグで猿をボコボコにひっぱたいた。何発目かがクリーンヒットしたようで猿は呆気なく気絶した。
「ありがとう。リズ。助かったよ。エリー…止めか?」
「そうね。こいつも敵だもの。こんな大きい猿に暴れたれたら大変だわ。だからゼオンボルグで止めを刺す。」
ズブリと猿の心臓をゼオンボルグが穿った。これでこの広間の敵は倒した。
「しかし終わりが見えない遺跡だな。何処が終点なんだ?」
「強力なガーディアンに護られている場所が終点の筈よ。私の勘だとそろそろ終点ね。」
「最後くらいは後先考えずにボクの幻想顕現で止めを刺してやるか。体が鈍ると仕方無いからね。」
「遺跡が崩落しそうで怖いぞ。」
「その時は遺跡ごと幻想顕現で吹き飛ばして魅せよう。」
「それは勘弁願いたいわね。終点を目指して頑張りますか。」
「分かったよ。」
「了解だね。」
俺達は通路をひたすら進んでいく…すると機械仕掛けの扉が現れた。パスワードを入力しないと開かない様だ。
どうする?
「そう言う場合はこれ!禁呪!幻想顕現!エクスカリバー!よし。顕現したね。これを扉に突き刺して…と」
ガシュという音を立ててエクスカリバーが扉に突き刺さった。何か嫌な予感がする。俺は後ろに後ずさった。
「皆離れてて!いっくよー!エクスカリバー!爆砕せよ!」
チュドオーン!エクスカリバーは跡形も無く吹き飛んだ。そしてそれは扉も同じである。俺とエリーは恐る恐る近寄って中を覗いて見る。
そこは吹き抜けになっており、地上から丸見えになっていた。
そして十メートルはある機械の巨人の姿があった。こちらを認識すると攻撃を始めてくる。
「メイスールヘイキコウジョウノボウギョヲカイシシマス。シンニュウシャヲハイジョ。シンニュウシャヲハイジョシマス。マシンガンオヨビレイシミサイルハッシャヨウイ。ウテウテウテウテ!」
巨人は機銃とミサイルを掃射してきた。吹き飛ばされるその瞬間…
「だぁっ!間に合え!禁呪!幻想顕現!アイギス、アイアス、アキレウスの鎧!」
ズババババドガドガドガチュドチュドズガガガドバドバドガ…
一瞬の差でリズの防御が間に合った。しかし神代の防具と言えど耐えきれずに四散した。
巨人の攻撃が止まる。俺は後先考えずにその足元に走りよるとエクスリボルグで滅多打ちにした。すると何かにつまづくような動作をして巨人が倒れた。
ズズーンと大きな音がした。えっまさか巨人が気絶しているのか?信じられない。こんなデカブツまで効果があるなんて…でも放っておくとまた再起動するかもしれない。
「エリー、リズ!どっちでも良いから巨人に止めを刺してくれ。まだこいつは死んでいない。気絶しているだけだ。」
「了解!エリー。二人同時に行くよ!」
「分かったわ。熱き炎よ!この身を焦がそうとも!世界の果てまで燃やし尽くせ!原初の太陽!始まりの空!レイジングフレア!」
「禁呪!幻想顕現!我が血潮は幻想に満ちる!この身に集え神域のアーティファクトよ!着弾後爆砕!」
極小の太陽と何十も召喚されたアーティファクトが巨人に襲い掛かる。
巨人は太陽に焼かれどろどろに溶け落ち、またそのコアをアーティファクトに撃ち抜かれ爆発を受け、耐えきれずに吹き飛んだ。
完全に巨人は沈黙した。どろどろに溶けた何かがそこには残っていた。
「やったわね。リズ。」
「流石だ。エリー。」
「二人とも凄かったな。レイジングフレアを本気で使うとここまで威力があるんだな。何度も焼かれているけど本気のレイジングフレアは初めて見たよ。」
「お仕置きに本気を出したら殺してしまいますものね。さあお宝は何かしら?」
「奥にも部屋があるみたいだよ。早く行こう。」
俺達は巨人を横目に奥の部屋に進んだ。そこには既に開けられている宝箱と白骨化した死体の姿があった。
「ちょっとちょっと!ここまで来て宝はありませんって嘘だろ!あんな鉄の巨人が居たのに宝だけ奪われているなんて。ボクの人生でも相当ショックな出来事だよ。」
「信じられないけど本当みたい。現実を受け入れないと…アーティファクトの類いも無し。本当に空っぽの宝箱だけ残っている見たいね。」
「ここまでの苦労、冒険、ワクワク、全てが水泡に帰したな。ん?この死体高級そうな宝飾品を身に付けているな。結構な金額になるんじゃないか?」
「死体から剥ぎ取るのは気が進まないけど、何も収穫が無いよりは良いわね。金とダイヤのネックレスとルビーの指輪か。結構な価値はありそうね。」
「これで良しとするしかないか。こいつがここで死んでなかったらと思うともっと恐ろしいね。本当の収穫ゼロになってしまう所だったよ。」
俺達は死体から宝飾品を剥ぎ取った。そして遺跡の入口まで歩いて戻っていった。
ここからニューヘブンまでは後三日と言うところだった。俺達は雑談をしながらニューヘブンまで歩いていった。
途中で行商人に出会った。
宝飾品の買い取りを依頼してみる。
「このダイヤと金のネックレスとルビーの指輪を売りたいんだが、幾らで買い取ってくれる。」
「そうですね。これは中々良いものだ。一万ゴールドで如何です?」
「駄目だね。ボク達は非常に苦労して手に入れたんだ。五万ゴールドでどうだい?」
「私も商売ですから…三万ゴールドで如何でしょうか?これ以上はお出しできません。」
「…どうするエリー?俺は良いと思うが?」
「…私に振るの?私もそんなもんだと思うけど…じゃあ私が言うわね。」
エリーはコホンと咳払いをすると行商人に答えた。
「三万ゴールドで売りましょう。さあ現金を渡しなさい。」
「ありがとうございます。これが約束の三万ゴールドです。」
こうして俺達の所持金は十一万ゴールドになった。
その後問題もなく新たなる町ニューヘブンに到着した。
次の旅に続く
故郷を離れる事になるリズも動揺はしなかった。
「もう実家とは縁を切ったしさ。冒険の旅に出るって決めたんだ。気を使わなくて良いよ。」
との事だ。
旅をすると言う時点でイシュタルの町から離れるのも必然だからだろう。
俺達は更に東へ旅をする。ここから五日程歩いたところにニューヘブンの町がある。
イシュタルの町にも思い出があるが別れを告げなくてはならない。さようならイシュタルの町よ。また何時かエリーの兄探しの旅が終わったら立ち寄るかもしれない。さらばだ。
俺達はイシュタルを立った。街道を東に進む…二日経った。
途中で古めかしい遺跡を発見した。看板が立ててある。
「ミッドガルド遺跡。危険。モンスター出没。立ち入り禁止。」
そう言われると立ち入りたくなるのが冒険者魂だが…エリーとリズに確認を求めた。
「どうする?エリー、リズ。入ってみるか?」
「今はそんなにお金には困っていないのだけど確かに気になるわね。入ってしまいましょうか?」
「ボクも賛成だ。モンスターが出ても幻想顕現で倒せば良いだけだしね。」
「ヴァジュラとゼオンボルグも有るわよ。どんな敵でも倒せるわ。後一応エクスリボルグも有ったわね。」
「この木の棒については…あまり宛にしない方が良いな。いや当たれば強いんだけどな。はは…。まあ良い。中に入るか。」
俺達は遺跡の中に入った。中は狭い通路が一本道で有るだけのようだ。機械的な壁だ。先史文明の遺跡だろうか?俺達はゆっくりと遺跡を進んでいった。
十分程歩いただろうか?そこそこの広さの部屋に出た。そこにはゴブリンが五匹屯していた。
俺達は戦闘態勢に入る。狭い室内だ。アーティファクトを利用した戦闘はこちらに被害が出る可能性がある。それはエリーもリズも理解している様だった。そこでエクスリボルグの出番だ。俺はエクスリボルグを振りかぶるとゴブリンに突っ込んで行った。
ゴブリンはそれが木の棒だと分かっているのだろうか…癪に障る声で大爆笑していた。
隙を見せたな!その隙頂き!俺はゴブリンの脳天に次々にエクスリボルグを振り下ろした。ゴブリンは気を抜いていたので簡単に攻撃を許してしまう。
バキッバキャグチャバキャドグッチャ!
五匹全員の頭を叩いた。全部失神している。気を抜くからこうなるんだ。
「慎吾。どいて。ゼオンボルグで止めを指すわ。」
「少し可哀想だけど仕方無いな。エクスリボルグを笑う愚かしさを呪うんだな。ゴブリン達。」
ブスッブスッブスッブスッブスッ…
エリーはゼオンボルグで正確に心臓を射抜いていった。ゴブリン達は失神していたため暴れずに殺されていった。これで行く手を阻む敵はいなくなった。先に進もう。
俺達は再び部屋を抜けて狭い通路を進み始めた。途中ギリギリ一人通れるかどうかの道もあったが何とか先に進んでこれている。
「この遺跡…この先には何があるんだろうな?」
「やっぱり金銀財宝じゃないかな?大体相場が決まっているでしょ。強い魔物に護られててさ!何人もの冒険者が死体を貪られてたりして。」
「リズ…止めなさいよ。気持ち悪くなってきたわ。まあお金が有ることを祈るのみね。勿論伝説のアーティファクトでも歓迎だけどね。」
「何もない…既に別の冒険者が持ち去った後かも。わざわざご丁寧に看板まで立ててあったし。」
「慎吾。テンションが下がるような事を言うなよ。こういうのは楽しむ気持ちが大事なんじゃないか。それを最初からお宝が無いと決めつけるなんて粋じゃないねぇ。」
「悪かったな。リズ。俺は現実主義者なんだ。ん…次の部屋が見えてきたぞ。うわっあれを見ろよ。」
「何よ。何があるの?…部屋いっぱいにコボルトが詰まっているわね。三十匹は固いわね。どうしましょうか?」
「ボクの幻想顕現は狭いスペースだと本領発揮出来ない。今回は譲るよ。」
「慎吾も何時もみたいにタコ殴りにするわけにも行かないでしょう?…ここは私の魔法の出番ね。ゼオンボルグとヴァジュラばかり使っていたら強い魔法も弱くなるってもの。ここで全力全開の魔法で体をならしましょう。」
そう言うとエリーは部屋の入口から五メートル程の所に陣取った。その気配を感じたコボルトが外に出てくる。棍棒を掲げながら醜い咆哮を上げていた。
「うぐるるるうぎゃううううぐるるるるうあああ!」
「煩いわね。これで終いよ。天より到れ!全てを打ち砕く神槍よ!天の盃を乱す不貞の輩に天罰を降さん。衛星軌道から転移!汝、グングニル!神話展開!神罰執行!ヘルレイズスパーク!発射と同時に爆砕!行け!」
神代の神槍がイスワルドの衛星軌道上から呼ばれた。何時もはただじっと出番を待っているらしい。レプリカだが真に迫るアーティファクトだ。
それを構え、コボルトの群れに射出した。何体かのコボルトを貫通するグングニル。それだけで五匹は屠った。しかしそれで終わりではない。グングニルその物を爆弾として大爆発を引き起こす。これでこそ必殺の理である。
グングニル、究極霊爆。中に居るコボルトは一匹残らず蒸発した。こちらにまで爆発の余波が伝わってくる。俺の体自身吹き飛ばされそうだ。
これがエリーの全力の魔法か。アーティファクトに匹敵する威力の呪詛だ。彼女の本気は底がしれないな。
「さっ。終わったわ。うーん。良い肩慣らしになったわ。次に行きましょうか。」
「ああ。そうしよう。とんでもない威力だったな。ゼオンボルグやヴァジュラで闘うより魔法を使った方が強いんじゃないか?」
「それはそうだけど、ゼオンボルグは近距離用、ヴァジュラは遠距離用でとても使いやすいのよ。だからついつい魔法じゃなくてアーティファクトを頼ってしまうわ。」
「そう言うもんか。俺はエクスリボルグ一筋だから羨ましいよ。」
「エクスリボルグは取り外しが出来ないんだよね?御愁傷様。アーティファクトを持っていないだけならボクの幻想顕現で武装させる事も出来るんだけど呪いにも等しい加護があるんじゃ仕方無い。しかも闘おうと思えばそれなりに闘えるのがなんとも言えない所だね。完全な役立たずではないけどそんなに強いわけでも無い。まあエクスリボルグを上手く使いなよ。近接戦では役に立つんだからさ。」
「そうだな。近距離の普通の敵なら何とか相手になるんだよ。なんなら機械の敵でも気絶させられるんだ。」
「二人とも!先に進むわよ。」
「「了解!」」
俺達は再び狭い通路を進んでいく事になった。機械の壁は刺が飛び出ており実際よりも圧迫感があった。上手く引っ掛からない様に皆気をつけて先に進んでいた。
また部屋と言うよりは広間に出た。そこには大きな体の猿が居た。身長は五メートルは下らない。俺と目があった。じっとお互いを見つめるが…猿の方が先に動いた。俺を思い切り引っ掻いて来た。
俺は咄嗟にエクスリボルグを構えてそれを身代わりにした。攻撃を何とかいなす。
猿は後ろに飛び去ると第二撃を加えるために再びにじりよってきた。俺以外の事は目に入って居ないようだ。
「サポート行くよ。禁呪!幻想顕現!アイギス!慎吾を守れ!」
神代の盾が俺を守る。猿は石を投げてきたが盾が全て防ぐ。猿は攻撃をしあぐねている様だ。
今度は俺が攻める番だ。俺はエクスリボルグを握ると猿の居る方向に飛び込んだ。突然の事に猿は驚いているようだ。
隙あり!俺はエクスリボルグで猿をボコボコにひっぱたいた。何発目かがクリーンヒットしたようで猿は呆気なく気絶した。
「ありがとう。リズ。助かったよ。エリー…止めか?」
「そうね。こいつも敵だもの。こんな大きい猿に暴れたれたら大変だわ。だからゼオンボルグで止めを刺す。」
ズブリと猿の心臓をゼオンボルグが穿った。これでこの広間の敵は倒した。
「しかし終わりが見えない遺跡だな。何処が終点なんだ?」
「強力なガーディアンに護られている場所が終点の筈よ。私の勘だとそろそろ終点ね。」
「最後くらいは後先考えずにボクの幻想顕現で止めを刺してやるか。体が鈍ると仕方無いからね。」
「遺跡が崩落しそうで怖いぞ。」
「その時は遺跡ごと幻想顕現で吹き飛ばして魅せよう。」
「それは勘弁願いたいわね。終点を目指して頑張りますか。」
「分かったよ。」
「了解だね。」
俺達は通路をひたすら進んでいく…すると機械仕掛けの扉が現れた。パスワードを入力しないと開かない様だ。
どうする?
「そう言う場合はこれ!禁呪!幻想顕現!エクスカリバー!よし。顕現したね。これを扉に突き刺して…と」
ガシュという音を立ててエクスカリバーが扉に突き刺さった。何か嫌な予感がする。俺は後ろに後ずさった。
「皆離れてて!いっくよー!エクスカリバー!爆砕せよ!」
チュドオーン!エクスカリバーは跡形も無く吹き飛んだ。そしてそれは扉も同じである。俺とエリーは恐る恐る近寄って中を覗いて見る。
そこは吹き抜けになっており、地上から丸見えになっていた。
そして十メートルはある機械の巨人の姿があった。こちらを認識すると攻撃を始めてくる。
「メイスールヘイキコウジョウノボウギョヲカイシシマス。シンニュウシャヲハイジョ。シンニュウシャヲハイジョシマス。マシンガンオヨビレイシミサイルハッシャヨウイ。ウテウテウテウテ!」
巨人は機銃とミサイルを掃射してきた。吹き飛ばされるその瞬間…
「だぁっ!間に合え!禁呪!幻想顕現!アイギス、アイアス、アキレウスの鎧!」
ズババババドガドガドガチュドチュドズガガガドバドバドガ…
一瞬の差でリズの防御が間に合った。しかし神代の防具と言えど耐えきれずに四散した。
巨人の攻撃が止まる。俺は後先考えずにその足元に走りよるとエクスリボルグで滅多打ちにした。すると何かにつまづくような動作をして巨人が倒れた。
ズズーンと大きな音がした。えっまさか巨人が気絶しているのか?信じられない。こんなデカブツまで効果があるなんて…でも放っておくとまた再起動するかもしれない。
「エリー、リズ!どっちでも良いから巨人に止めを刺してくれ。まだこいつは死んでいない。気絶しているだけだ。」
「了解!エリー。二人同時に行くよ!」
「分かったわ。熱き炎よ!この身を焦がそうとも!世界の果てまで燃やし尽くせ!原初の太陽!始まりの空!レイジングフレア!」
「禁呪!幻想顕現!我が血潮は幻想に満ちる!この身に集え神域のアーティファクトよ!着弾後爆砕!」
極小の太陽と何十も召喚されたアーティファクトが巨人に襲い掛かる。
巨人は太陽に焼かれどろどろに溶け落ち、またそのコアをアーティファクトに撃ち抜かれ爆発を受け、耐えきれずに吹き飛んだ。
完全に巨人は沈黙した。どろどろに溶けた何かがそこには残っていた。
「やったわね。リズ。」
「流石だ。エリー。」
「二人とも凄かったな。レイジングフレアを本気で使うとここまで威力があるんだな。何度も焼かれているけど本気のレイジングフレアは初めて見たよ。」
「お仕置きに本気を出したら殺してしまいますものね。さあお宝は何かしら?」
「奥にも部屋があるみたいだよ。早く行こう。」
俺達は巨人を横目に奥の部屋に進んだ。そこには既に開けられている宝箱と白骨化した死体の姿があった。
「ちょっとちょっと!ここまで来て宝はありませんって嘘だろ!あんな鉄の巨人が居たのに宝だけ奪われているなんて。ボクの人生でも相当ショックな出来事だよ。」
「信じられないけど本当みたい。現実を受け入れないと…アーティファクトの類いも無し。本当に空っぽの宝箱だけ残っている見たいね。」
「ここまでの苦労、冒険、ワクワク、全てが水泡に帰したな。ん?この死体高級そうな宝飾品を身に付けているな。結構な金額になるんじゃないか?」
「死体から剥ぎ取るのは気が進まないけど、何も収穫が無いよりは良いわね。金とダイヤのネックレスとルビーの指輪か。結構な価値はありそうね。」
「これで良しとするしかないか。こいつがここで死んでなかったらと思うともっと恐ろしいね。本当の収穫ゼロになってしまう所だったよ。」
俺達は死体から宝飾品を剥ぎ取った。そして遺跡の入口まで歩いて戻っていった。
ここからニューヘブンまでは後三日と言うところだった。俺達は雑談をしながらニューヘブンまで歩いていった。
途中で行商人に出会った。
宝飾品の買い取りを依頼してみる。
「このダイヤと金のネックレスとルビーの指輪を売りたいんだが、幾らで買い取ってくれる。」
「そうですね。これは中々良いものだ。一万ゴールドで如何です?」
「駄目だね。ボク達は非常に苦労して手に入れたんだ。五万ゴールドでどうだい?」
「私も商売ですから…三万ゴールドで如何でしょうか?これ以上はお出しできません。」
「…どうするエリー?俺は良いと思うが?」
「…私に振るの?私もそんなもんだと思うけど…じゃあ私が言うわね。」
エリーはコホンと咳払いをすると行商人に答えた。
「三万ゴールドで売りましょう。さあ現金を渡しなさい。」
「ありがとうございます。これが約束の三万ゴールドです。」
こうして俺達の所持金は十一万ゴールドになった。
その後問題もなく新たなる町ニューヘブンに到着した。
次の旅に続く
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普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
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