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八話 捕縛せよ!ヴェラクルス!
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戦闘機の襲撃事件からこれで三日経つ。俺達は休みを取っていた。強敵との闘いで疲労していたと言うこともあるし、まとまった大金が手に入ったと言うこともある。
仕事をせずにブラブラ過ごすと言うのは新鮮だった。エリーにとっても初めての事だったらしい。
「うーん。毎日暇なのも新鮮ね。まあお金があるから悪くは無いのだけれど。慎吾とリズも楽しんでいるかしら?」
「町をブラブラするのも悪くないね。まあボクに取ってはホームタウンだから新しい発見はないけど仕事に追われるよりは断然良いよ。」
「俺もリズと同意見だ。仕事よりもやっぱり休暇が嬉しい。可愛い女の子を探す暇もあるしな。」
「あら…ここには可愛い女子が二人も居るじゃない。私達じゃだめなのかしら?」
「エリー。きっと下らない事を慎吾は言い出すと思うよ。その質問は愚問だね。」
「エリー、リズ。君達にはセクハラをおいそれと出来ないじゃないか。セクハラしようものならレイジングフレアで焼かれるしさ。だからセクハラしても怒らない未知の女子を俺は探し求めているんだ。邪魔をしないでくれよ。」
「本当に下らない事を言い始めたわね。まあ良いわ。対応するのも面倒臭いし、聞かなかった事にしましょう。」
「ふひー。助かった。またレイジングフレアで燃やされるかヒヤヒヤしたよ。その点リズは優しいよな。セクハラしても攻撃してこないし。」
「ボクは優しいんじゃなくて歴戦の英雄のアーティファクトをセクハラの仕返しに使う程愚かでは無いだけさ。それにアーティファクトが刺さったらギャグ補正があるとは言え慎吾死ぬんじゃないか?」
「リズ!メタい!メタいよ!そういう発言は禁則事項に触れるから気をつけて!」
「何で駄目なんだい。実際レイジングフレアに焼かれて復活するのはギャグそのものじゃないか。」
「それは視聴者の目線だから不味いんだって。まあ説明するのも難しいけど、もうギャグ補正とか言わない事…良いな?」
「むう。よく分からないけど良いだろう。ボクには分からない中の人の事情があるんだろう。」
「だからそういう中の人って言うのが問題なんだって!」
「分かったよ。ごめんごめん。暇すぎて変な話題になったね。暇潰しに酒場に行かないかい?何か面白いネタがあるかもしれないよ。」
「それもそうね。三日間も暇だと何だか落ち着かないわ。酒場に行きましょうか。」
「了解した。俺は可愛い女の子を探すためにもう少し休みが欲しかったけどそう言うわけにも行かないか。よし行こう!」
俺達はゴロゴロしていた宿屋から酒場に移動した。扉を開けるとカウンターに着いているマスターが居た。昼間と言うこともあり他に客はいないようだ。まあ夜に来たことも無いのだが。
「こんにちは。マスターさん。何か面白い依頼は出てきたかしら?」
「ボク達は暇で仕方無くてさ。ここにやって来たというわけなんだ。何か面白いネタは無いかい?」
少し考え込むマスター。そして面を上げた。
「一つある。怪盗ヴェラクルスの逮捕依頼だ。ヴェラクルスはこの町の貴族ばっかりを狙った怪盗で強力な武器で武装しているらしい。もう五件もやられている。お宝だけではなく現金も狙うらしいな。予告をした家に強引に押し入り人を殺しながら獲物を奪っていくんだ。衛兵も手がつけられなくて困っている。どうだ?面白いだろう。危険極まり無いがな。どうする?この依頼を受けるか?報酬は一万ゴールド。あんたらに任せるよ。」
「俺は構わないが…エリーとリズはどうするんだ?」
「ボクは面白そうだと思うな。怪盗を捕まえるなんて…別に殺してしまっても大丈夫なんだろう?」
マスターが口を開く。
「向こうも殺人を厭わないからな。死体が残るなら殺しても良いらしい。勿論なるべく生捕りの方が良いけどな。」
「私も興味を持ったわ。それで次に予告されているのはどの家なのかしら?」
「サイラス家だ。古の先史文明の鉄の鳥を頂くという予告が衛兵詰所に届いている。」
「って!ボクの実家じゃないか!それにこの間捕獲した戦闘機の事か!殺人を厭わない怪盗何かの手に渡ったら大変な事になる!予告の日時は何時なんだ?」
マスターは少し思いだしているようだ。一分程待って口を開いた。
「今晩の深夜十時にサイラス家に押し入ると予告状が届いているらしい。」
「分かった。ボク達でヴェラクルスの窃盗を止めるぞ。良いね!エリー、慎吾。」
「了解した。絶対にあの娘が乗っていた戦闘機を渡すわけにはいかない。あの娘にとってはあそこが墓場みたいなもんなんだ。絶対に荒らさせない。」
「リズの実家なら絶対に護らないとね。貴女の大事な人をこれ以上失わせる訳にはいかないもの。」
「ありがとう。二人とも。ボクの家に帰って迎え撃つ支度をしよう。じゃあねマスター。根回しはよろしく。」
マスターは頷いた。
「承ったよ。ヴェラクルスを絶対に捕まえるんだぞ。」
俺達はサイラス家に向かった。リズが先に中に入り事情を説明する。勘当されていたとは言え事情が事情だけに警護が許された様だった。
「ボクの方からお父様には説明しておいた。戦闘機はこの屋敷の中庭に置いてあるらしい。しかも自動でこの間の戦闘のダメージをある程度回復したらしく…起動が出来るらしい。ヴェラクルスに押さえられたら逃げられる。と言う事でボクの案なんだけど…」
そして俺達はサイラス家で夜の十時を迎えた。中庭で全員息を潜めている。そうすると黒いマントを身に纏った男が現れた。戦闘機まで走って近寄っていく。そしてコクピットに乗り込もうとしたところで気付いたようだ。
中に既に俺が入っていることに!男…ヴェラクルスはコクピットを何度も素手で殴打してきた。しかしそんなものは戦闘機に通用しない。俺はレバーを引き戦闘機を急に上昇させた。操縦はした事が無かったのでヒヤヒヤ物だ。
ヴェラクルスは振り落とされる。地面に激突するヴェラクルス。彼は血反吐をはいた。
そこに隠れていたエリーとリズが現れる。エリーはゼオンボルグを頭に突きつけた。
「お縄に着きなさい。怪盗ヴェラクルス。貴方はもう何処にも逃げられないわ。」
ヴェラクルスが小声で呪文を唱える。
「治癒せよ。我が身体。我が血潮。そして拒絶せよ。我が結界!」
ヴェラクルスの落下のダメージは回復し、彼の周りに結界が張り巡らされた。エリーは吹き飛ばされ後退りした。
そして俊敏にアサルトライフルを取り出すヴェラクルス。そしてエリーとリズに交互にアサルトライフルを向けながら発射した。
腹と胸に銃弾を受けるエリー。その場に卒倒する。リズは咄嗟にアイギスを幻想顕現して弾を防いでいた。
「糞!エリーを殺ったな。ヴェラクルス!お前は死ぬしか無いようだな。幻想顕現!神域のアーティファクトよ!我が身に集え!決して許されない罪を背負うとしても歩み続ける!」
リズの頭上に数十の門が開きそこからアーティファクトが顔を覗かせる。その光景を見てもヴェラクルスは怯まずリズに射撃を繰り返していた。全てがアイギスに防がれているが攻撃を続けている。
「全弾発射!着弾後爆砕!いけ!奴を血祭りに上げろ!」
アーティファクトが一斉に発射された。咄嗟の事でヴェラクルスは避ける事が出来ずにアーティファクトで串刺しにされる。結界は全弾貫通。そしてアーティファクトは存在エネルギーを転換し自爆した。究極の霊爆が辺りを明るく照らした。
そこにはズタボロになって死んだヴェラクルスの姿があった。
リズはヴェラクルスの死体を横目にエリーに駆け寄る。そしてエクスカリバーの鞘を幻想顕現してエリーに与えた。致命的な傷を彼女は負っていたがこれで快方に向かうだろう。
俺は戦闘機を下降させた。今回戦闘機の中で待機して機体を上下させる以外何も出来なかったな。もしリズが居なければ俺達の敗北で終わっていたかもしれない。
俺は戦闘機から降りた。そしてリズとエリーの元に向かう。
「ありがとう。リズ。本当に死ぬかと思ったわ。」
「どういたしまして。それにしてもあの武器はなんだったんだろう?鉄の弓?それにしては弾が小さかったな。でも高速で連射して弾を叩き込んでくるなんて強力なアーティファクトだったよ。エリーが死ななくて良かった。エクスカリバーの鞘は死んだ人間は蘇生出来ないからね。」
「あれは銃と言うんだよ。リズ。戦闘機からでも見えた。先史文明では当たり前の様に使われていた対人兵器だ。この世界にも幾らか現存しているようだな。」
「そうなんだ。あれでアーティファクトでも何でもないんだ。先史文明は月の神霊と争っていたようだけど…化物みたいな武器を幾つも産み出していたんだね。まあヴェラクルスは倒せたし…良いか。死体を持って帰ろう。慎吾背負って。」
「うう…気持ち悪いし重そうだな。でも男だから避けるわけにはいかないか。分かったよ。俺が持って運ぼう。」
俺はズタボロになったヴェラクルスの死体を担ぐと衛兵詰所まで運んでいった。手足が千切飛んでいたので案外軽かった。まあそれでも重労働だったが。
衛兵にヴェラクルスの死体を引き渡す。
衛兵は口を開いた。
「おいおい随分とボロボロな死体だな。その木の棒でこんなになるまでいたぶったのか?とんでもない趣味だぜ。まあヴェラクルス本人に間違いないようだし…こちらで引き取らせて貰おう。報酬は酒場で受け取ってくれ。じゃあな勇敢な木の棒を持った旅の戦士よ。」
「今回は俺の木の棒で倒した訳じゃない。木の棒でそんなにボロボロに出来るわけ無いだろう。仲間の魔法で殺したんだ。強力な武器を持っていて加減できる状態じゃ無かったんだ。」
「そうか。まあヴェラクルスは何人も殺しているしそうなんだろうな。身柄を確保できれば問題はないさ。じゃあな。」
「ああ…分かって貰えて良かったよ。さよなら。衛兵さん。」
俺達は衛兵詰所を出た。酒場に向かって歩き出す。
「ふー。ようやく終わったな。どっと疲れが出たよ。戦闘機を操縦しただけなのにさ。」
「慣れない事をやったからじゃないかしら。戦闘機の操縦なんて地球でもした事は無かったんでしょう。」
「まあな。軍人でも無きゃ見ることも出来なかったよ。それをぶっつけ本番で操縦なんてするもんじゃないね。冷や汗掻いた。」
「ふーん。軍人専用の兵器だったんだ。通りで強力だと思ったよ。あんなものが何機もあるとは思いたくないね。」
「この世界にはまだスリープモードでさ迷っている戦闘機がある筈だ。また何時か出会うかもな。」
「そうならない事をボクは祈るよ。さあ酒場に着いたよ。」
俺達は酒場に入る。深夜なので客は少ない。
マスターはカウンターで接客していた。声を掛けてみる。
「マスター。確かにヴェラクルスを討ち取ったぞ。衛兵詰所から連絡は受けているか?」
「ああ…確かに聞いているよ。ちょっと待ってろ。約束の一万ゴールドを手渡そう。」
そう言うとマスターはカウンターの奥に入っていきまた戻ってきた。手には金貨の入った袋を握っている。
それを俺が代表して受け取った。エリーに手渡し確認して貰う。確かに一万ゴールドあるようだ。
「マスターさん。確かに一万ゴールド受け取ったわ。それではこれで失礼させて貰うわね。」
これで所持金は八万一千ゴールドだ。
俺達は酒場を出て宿屋に向かった。疲れているのでそのまま眠ってしまった。
次の旅に続く
仕事をせずにブラブラ過ごすと言うのは新鮮だった。エリーにとっても初めての事だったらしい。
「うーん。毎日暇なのも新鮮ね。まあお金があるから悪くは無いのだけれど。慎吾とリズも楽しんでいるかしら?」
「町をブラブラするのも悪くないね。まあボクに取ってはホームタウンだから新しい発見はないけど仕事に追われるよりは断然良いよ。」
「俺もリズと同意見だ。仕事よりもやっぱり休暇が嬉しい。可愛い女の子を探す暇もあるしな。」
「あら…ここには可愛い女子が二人も居るじゃない。私達じゃだめなのかしら?」
「エリー。きっと下らない事を慎吾は言い出すと思うよ。その質問は愚問だね。」
「エリー、リズ。君達にはセクハラをおいそれと出来ないじゃないか。セクハラしようものならレイジングフレアで焼かれるしさ。だからセクハラしても怒らない未知の女子を俺は探し求めているんだ。邪魔をしないでくれよ。」
「本当に下らない事を言い始めたわね。まあ良いわ。対応するのも面倒臭いし、聞かなかった事にしましょう。」
「ふひー。助かった。またレイジングフレアで燃やされるかヒヤヒヤしたよ。その点リズは優しいよな。セクハラしても攻撃してこないし。」
「ボクは優しいんじゃなくて歴戦の英雄のアーティファクトをセクハラの仕返しに使う程愚かでは無いだけさ。それにアーティファクトが刺さったらギャグ補正があるとは言え慎吾死ぬんじゃないか?」
「リズ!メタい!メタいよ!そういう発言は禁則事項に触れるから気をつけて!」
「何で駄目なんだい。実際レイジングフレアに焼かれて復活するのはギャグそのものじゃないか。」
「それは視聴者の目線だから不味いんだって。まあ説明するのも難しいけど、もうギャグ補正とか言わない事…良いな?」
「むう。よく分からないけど良いだろう。ボクには分からない中の人の事情があるんだろう。」
「だからそういう中の人って言うのが問題なんだって!」
「分かったよ。ごめんごめん。暇すぎて変な話題になったね。暇潰しに酒場に行かないかい?何か面白いネタがあるかもしれないよ。」
「それもそうね。三日間も暇だと何だか落ち着かないわ。酒場に行きましょうか。」
「了解した。俺は可愛い女の子を探すためにもう少し休みが欲しかったけどそう言うわけにも行かないか。よし行こう!」
俺達はゴロゴロしていた宿屋から酒場に移動した。扉を開けるとカウンターに着いているマスターが居た。昼間と言うこともあり他に客はいないようだ。まあ夜に来たことも無いのだが。
「こんにちは。マスターさん。何か面白い依頼は出てきたかしら?」
「ボク達は暇で仕方無くてさ。ここにやって来たというわけなんだ。何か面白いネタは無いかい?」
少し考え込むマスター。そして面を上げた。
「一つある。怪盗ヴェラクルスの逮捕依頼だ。ヴェラクルスはこの町の貴族ばっかりを狙った怪盗で強力な武器で武装しているらしい。もう五件もやられている。お宝だけではなく現金も狙うらしいな。予告をした家に強引に押し入り人を殺しながら獲物を奪っていくんだ。衛兵も手がつけられなくて困っている。どうだ?面白いだろう。危険極まり無いがな。どうする?この依頼を受けるか?報酬は一万ゴールド。あんたらに任せるよ。」
「俺は構わないが…エリーとリズはどうするんだ?」
「ボクは面白そうだと思うな。怪盗を捕まえるなんて…別に殺してしまっても大丈夫なんだろう?」
マスターが口を開く。
「向こうも殺人を厭わないからな。死体が残るなら殺しても良いらしい。勿論なるべく生捕りの方が良いけどな。」
「私も興味を持ったわ。それで次に予告されているのはどの家なのかしら?」
「サイラス家だ。古の先史文明の鉄の鳥を頂くという予告が衛兵詰所に届いている。」
「って!ボクの実家じゃないか!それにこの間捕獲した戦闘機の事か!殺人を厭わない怪盗何かの手に渡ったら大変な事になる!予告の日時は何時なんだ?」
マスターは少し思いだしているようだ。一分程待って口を開いた。
「今晩の深夜十時にサイラス家に押し入ると予告状が届いているらしい。」
「分かった。ボク達でヴェラクルスの窃盗を止めるぞ。良いね!エリー、慎吾。」
「了解した。絶対にあの娘が乗っていた戦闘機を渡すわけにはいかない。あの娘にとってはあそこが墓場みたいなもんなんだ。絶対に荒らさせない。」
「リズの実家なら絶対に護らないとね。貴女の大事な人をこれ以上失わせる訳にはいかないもの。」
「ありがとう。二人とも。ボクの家に帰って迎え撃つ支度をしよう。じゃあねマスター。根回しはよろしく。」
マスターは頷いた。
「承ったよ。ヴェラクルスを絶対に捕まえるんだぞ。」
俺達はサイラス家に向かった。リズが先に中に入り事情を説明する。勘当されていたとは言え事情が事情だけに警護が許された様だった。
「ボクの方からお父様には説明しておいた。戦闘機はこの屋敷の中庭に置いてあるらしい。しかも自動でこの間の戦闘のダメージをある程度回復したらしく…起動が出来るらしい。ヴェラクルスに押さえられたら逃げられる。と言う事でボクの案なんだけど…」
そして俺達はサイラス家で夜の十時を迎えた。中庭で全員息を潜めている。そうすると黒いマントを身に纏った男が現れた。戦闘機まで走って近寄っていく。そしてコクピットに乗り込もうとしたところで気付いたようだ。
中に既に俺が入っていることに!男…ヴェラクルスはコクピットを何度も素手で殴打してきた。しかしそんなものは戦闘機に通用しない。俺はレバーを引き戦闘機を急に上昇させた。操縦はした事が無かったのでヒヤヒヤ物だ。
ヴェラクルスは振り落とされる。地面に激突するヴェラクルス。彼は血反吐をはいた。
そこに隠れていたエリーとリズが現れる。エリーはゼオンボルグを頭に突きつけた。
「お縄に着きなさい。怪盗ヴェラクルス。貴方はもう何処にも逃げられないわ。」
ヴェラクルスが小声で呪文を唱える。
「治癒せよ。我が身体。我が血潮。そして拒絶せよ。我が結界!」
ヴェラクルスの落下のダメージは回復し、彼の周りに結界が張り巡らされた。エリーは吹き飛ばされ後退りした。
そして俊敏にアサルトライフルを取り出すヴェラクルス。そしてエリーとリズに交互にアサルトライフルを向けながら発射した。
腹と胸に銃弾を受けるエリー。その場に卒倒する。リズは咄嗟にアイギスを幻想顕現して弾を防いでいた。
「糞!エリーを殺ったな。ヴェラクルス!お前は死ぬしか無いようだな。幻想顕現!神域のアーティファクトよ!我が身に集え!決して許されない罪を背負うとしても歩み続ける!」
リズの頭上に数十の門が開きそこからアーティファクトが顔を覗かせる。その光景を見てもヴェラクルスは怯まずリズに射撃を繰り返していた。全てがアイギスに防がれているが攻撃を続けている。
「全弾発射!着弾後爆砕!いけ!奴を血祭りに上げろ!」
アーティファクトが一斉に発射された。咄嗟の事でヴェラクルスは避ける事が出来ずにアーティファクトで串刺しにされる。結界は全弾貫通。そしてアーティファクトは存在エネルギーを転換し自爆した。究極の霊爆が辺りを明るく照らした。
そこにはズタボロになって死んだヴェラクルスの姿があった。
リズはヴェラクルスの死体を横目にエリーに駆け寄る。そしてエクスカリバーの鞘を幻想顕現してエリーに与えた。致命的な傷を彼女は負っていたがこれで快方に向かうだろう。
俺は戦闘機を下降させた。今回戦闘機の中で待機して機体を上下させる以外何も出来なかったな。もしリズが居なければ俺達の敗北で終わっていたかもしれない。
俺は戦闘機から降りた。そしてリズとエリーの元に向かう。
「ありがとう。リズ。本当に死ぬかと思ったわ。」
「どういたしまして。それにしてもあの武器はなんだったんだろう?鉄の弓?それにしては弾が小さかったな。でも高速で連射して弾を叩き込んでくるなんて強力なアーティファクトだったよ。エリーが死ななくて良かった。エクスカリバーの鞘は死んだ人間は蘇生出来ないからね。」
「あれは銃と言うんだよ。リズ。戦闘機からでも見えた。先史文明では当たり前の様に使われていた対人兵器だ。この世界にも幾らか現存しているようだな。」
「そうなんだ。あれでアーティファクトでも何でもないんだ。先史文明は月の神霊と争っていたようだけど…化物みたいな武器を幾つも産み出していたんだね。まあヴェラクルスは倒せたし…良いか。死体を持って帰ろう。慎吾背負って。」
「うう…気持ち悪いし重そうだな。でも男だから避けるわけにはいかないか。分かったよ。俺が持って運ぼう。」
俺はズタボロになったヴェラクルスの死体を担ぐと衛兵詰所まで運んでいった。手足が千切飛んでいたので案外軽かった。まあそれでも重労働だったが。
衛兵にヴェラクルスの死体を引き渡す。
衛兵は口を開いた。
「おいおい随分とボロボロな死体だな。その木の棒でこんなになるまでいたぶったのか?とんでもない趣味だぜ。まあヴェラクルス本人に間違いないようだし…こちらで引き取らせて貰おう。報酬は酒場で受け取ってくれ。じゃあな勇敢な木の棒を持った旅の戦士よ。」
「今回は俺の木の棒で倒した訳じゃない。木の棒でそんなにボロボロに出来るわけ無いだろう。仲間の魔法で殺したんだ。強力な武器を持っていて加減できる状態じゃ無かったんだ。」
「そうか。まあヴェラクルスは何人も殺しているしそうなんだろうな。身柄を確保できれば問題はないさ。じゃあな。」
「ああ…分かって貰えて良かったよ。さよなら。衛兵さん。」
俺達は衛兵詰所を出た。酒場に向かって歩き出す。
「ふー。ようやく終わったな。どっと疲れが出たよ。戦闘機を操縦しただけなのにさ。」
「慣れない事をやったからじゃないかしら。戦闘機の操縦なんて地球でもした事は無かったんでしょう。」
「まあな。軍人でも無きゃ見ることも出来なかったよ。それをぶっつけ本番で操縦なんてするもんじゃないね。冷や汗掻いた。」
「ふーん。軍人専用の兵器だったんだ。通りで強力だと思ったよ。あんなものが何機もあるとは思いたくないね。」
「この世界にはまだスリープモードでさ迷っている戦闘機がある筈だ。また何時か出会うかもな。」
「そうならない事をボクは祈るよ。さあ酒場に着いたよ。」
俺達は酒場に入る。深夜なので客は少ない。
マスターはカウンターで接客していた。声を掛けてみる。
「マスター。確かにヴェラクルスを討ち取ったぞ。衛兵詰所から連絡は受けているか?」
「ああ…確かに聞いているよ。ちょっと待ってろ。約束の一万ゴールドを手渡そう。」
そう言うとマスターはカウンターの奥に入っていきまた戻ってきた。手には金貨の入った袋を握っている。
それを俺が代表して受け取った。エリーに手渡し確認して貰う。確かに一万ゴールドあるようだ。
「マスターさん。確かに一万ゴールド受け取ったわ。それではこれで失礼させて貰うわね。」
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