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七話 迎撃!空よりの襲撃者!
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リズが仲間になってから一週間が過ぎた。酒場には簡単な依頼しか来ていなかった。
ゴミ掃除…草刈り…迷子のネコ探し…浮気現場の張り込み等々。
雑多な依頼をこなして現在は五万六千ゴールドに所持金はなった。二千ゴールドのプラスだ。
退屈な毎日が過ぎていく。案外それも悪くないかもしれない。化物と闘って死にかけるよりも一歩一歩着実に依頼をこなす方が大事だ。
今は酒場の皿洗いの手伝いをしている。時給十ゴールドだが三人居るので三十ゴールドは稼げる。
「確かに仲間になるとは言ったけど、皿洗いをさせられるとはボクも思わなかったよ。あーあ。今頃はエレンと結婚してる筈だったのに。」
「はい。無駄口叩かない。家は貧乏所帯なんだから仕事は選ばないのよ。貴女が元気に仕事しないと天国のエレンさんが悲しむと思うわ。」
「そうだねぇ。ボクがのんびり過ごしている方がエレンも嬉しいと思うんだけどな。ところでボク達には休みは無いのかい?依頼が終われば新しい依頼…その次も新しい依頼で休みが見えないんだけど。」
「貧乏暇なしって言うでしょ。なにもしなくても宿代は嵩んでいくんだから働かないと仕方無いわ。」
「うへぇ。とんでもないパーティーに加わっちゃったなぁ。まだイシュタルに居るとはいえ、もう実家には戻れないしなぁ。この先どうなるんだろう。ボクは強敵と闘ってドッカンバッコンするもんだと思っていたんだけど。」
「今のドッカンバッコンの所を色っぽくもう一回言ってくれ。ムフムフ。」
レイジングフレア!ズズズ…
あっセクハラしてすみませんでした。もうしません(嘘)助けて下さい。アーッ。
慎吾は極少の太陽に焼かれた。チーン。
「まあそれはおいておいて。」
「焼かれておいて復活するのが雑になってきたわね。本気のレイジングフレアをお見舞いしようかしら。」
「それは勘弁してください。…本当に何も事件が発生しないな。」
「それは発生させるためのフリなのかい?」
「そうとも言う。そろそろエクスリボルグで敵をばったばったと薙ぎ倒したくなってきたんだ。」
「ああ…あの木の棒か。あれって敵をキチンと殺せるの?」
「いや殺した事は一度もないが機械だろうが化物だろうがメッタメタに殴ると絶対に気絶する。特に小型の敵の場合は一撃だな。人間も基本的に卒倒させられるぞ。」
「殺せはしなくても中々強力な効果みたいだね。ボクが産み出せるアーティファクトの中に似た効果の物はないよ。かなりのレア物と言って良いだろう。」
「幻想顕現だったか。空想を現実に写しとり具現化する能力。代々受け継いでいるとは言え規格外の能力だな。」
「まあボクの一族以外にも神代の英雄の血筋を引いている連中だったら使えるかもしれないけどね。産み出せるアーティファクトの数をどんどん増やしていかないとな。エクスリボルグもボクの記憶の中に加えておいたよ。いつでも産み出せる。」
「まじでか。あんなものを産み出しても良い事無いぞ。やめておいた方がいい気がする。一度装備すると外せなくなるし。」
「ボクの産み出すアーティファクトにそんな効果は付属していないよ。あくまで使い捨てのアーティファクトだからね。本物に比べて数段ランクは劣る代わりに使い勝手は良いよ。」
「俺のエクスリボルグをリズの産み出したエクスリボルグと交換して貰いたいな。いや出来ないとは思っているんだけど。」
「良いのかな?そんな事言ったらエクスリボルグが化けて出るかもしれないよ。良いアーティファクトには精霊が宿るものさ。エクスリボルグもどうやら一線級のアーティファクト。精霊が着いているかもしれないね。」
「確かに神代の英雄と闘った時声が聞こえて対星必殺奥義が発動したんだったな。」
「それが精霊の声かもしれないね。ボクは産み出したアーティファクトから声を聞いた事は一度もないんだ。真に迫れて無いんだと思う。いつかは技をもっともっと磨いて精霊の宿るアーティファクトを自在に作りたいもんだ。」
「リズ…私の持っているゼオンボルグやヴァジュラも幻想顕現出来るのかしら?」
「可能だと思うよ。まだ記憶の中に写し取っては無いけれどね。似たようなアーティファクトはボクの幻想顕現の中にもあるし。それで代わりが勤まるからわざわざ記憶に追加しなくても良いかもしれないね。」
「それは残念ね。役に立てるかと思ったんだけど…」
「大丈夫。レパートリーを増やそうと思っていた所だから特別に記憶に追加しておくよ。ありがとう。」
そんな雑談をしている時、それは起こった。
バラバラバラバラ…キャアー殺される!皆殺されるわ!
ドワォドワォドグワォドワドワドグワォ!ひえー空飛ぶ化物だー!逃げろ。殺されるぞ。
俺はマスターに声を掛ける。
「マスター。外に敵がいるらしいな。幾ら出せる?」
「最低五千ゴールド。最高一万五千ゴールドだな。旦那やってくれるのか?」
「ボクの住む町だ。好き勝手にはさせないよ。」
「住人を守るためならやぶさかで無いわ。私も闘う。」
「決まりだな。皿洗いはここまで!全員出るぞ!」
俺達は酒場の外に躍り出た。
目抜通りから人が走って逃げてくる。
俺達は逆に目抜通りを戻っていった。
vovovovovovo vovovovovovovovovovovovo…
低く鈍い音が辺りに響き渡る。
ギャアウギャギャギャバシャグチャブシャバキャ!
キャー!バシャバシャバシャグチャドバグチャ!
どうやら何かから銃で撃たれている様だ。
空からの銃撃。俺は上を仰ぎ見る。そこにはホバリングしている戦闘機の姿があった。
機銃を掃射して住人を虐殺している。一刻も早く止めなくては!
リズが叫んだ。
「何だ!あの空を飛ぶ機械は?あんなもの見たこと無い。あれと闘うのか?」
「私もあんなの見たこと無いわ。皆を一瞬で肉塊に変える空飛ぶ化物…あんなものに勝てるの?」
「リズ、エリー。あれは戦闘機と言って先史文明時代の兵器だ。中には人間が乗っている筈だ。必ず倒せる。攻撃を加えるんだ!」
戦闘機がユラリとこちらを向いた。機銃とミサイルを斉射してくる。
危ない全員死ぬ!
「禁呪!幻想顕現!血塗られた道を歩もうとも!アイギス!アイアス!召喚!」
透明な盾が俺達の前に召喚された。そこに機銃の弾丸やミサイルが叩き込まれる。盾には皹が入り爆裂した。
「糞!最強の神代の盾を使っても破られるのか!」
「敵の攻撃が止まった!押し込め押し込め!」
俺はエクスリボルグを投げ槍の様に持ち低空飛行をしている戦闘機に向かって投擲した。エクスリボルグはコクピットに突き刺さった。
特に見た目に変わりはないが攻撃が止んだ。エクスリボルグのスタン効果が出ているのか?
「エリー、リズ。今のうちに攻撃を叩き込みまくるんだ。」
「了解。ヴァジュラ…全魔力を込める…神話展開!発射!連携!詠唱破棄!トールハンマー!ウアア!ハァッ!連携!ゼオンボルグ!投擲!」
ヴァジュラの爆裂が戦闘機を焼き、トールハンマーがコクピットを叩き潰し、ゼオンボルグがエンジンに突き刺さり大爆発を起こした。
低空飛行していた戦闘機はコントロールを失い地面に墜落した。
終わったか?いやまだ何も終わっていない!
戦闘機はミサイルを発射してきた。
リズの幻想顕現が間に合わない。固まっていた俺達に向かってミサイルが飛んでくる。そして至近距離に着弾。俺達は吹き飛ばされた。
ハァハァ…腹に破片を食らった。畜生。ドクドクと血が流れている。このまま死ぬのか…横目でエリーを見てみる。彼女は右腕を破片で骨折した様だ。プラプラと血を吹き出しながら腕が垂れ下がっている。
「慎吾、エリー。よくここまで頑張ったね。ボクはまだ何も出来ていない。ボクの奥義で葬る。これを身につけて大人しくしているんだ。」
幻想顕現!エクスカリバーの鞘!二つ顕現する。エリーと慎吾に一つずつ。
急速に俺の傷が癒えていく感じがした。エリーの骨折も同様に癒えていくだろう。
「全力で行かせて貰うよ!幻想顕現!限定召喚!エクスカリバー!ガラティン!」
バチバチという錬成音と共に名高い聖剣を二振り産み出したリズ。
それをどうするというのか?その答えはすぐに分かった。
「エクスカリバー!ガラティン!神技開帳!天理!究極霊閃二連斬!」
黄金のオーラが二つの聖剣から解き放たれ戦闘機に向かって極大の閃光で斬撃を叩き込んだ。戦闘機は大爆発をし完全に沈黙した。
たが…まだ機体は原型を残している。こうなればコクピットに駆け込むまでだ。
俺の傷は完全に癒えた。戦闘機のコクピットに駆け寄りキャノピーを刺さっていたエクスリボルグで何度も殴り解放した。中には白髪赤目の少女。機体が爆発しコクピットも吹き飛んで居るというのに身体はグチャグチャになっているのにまだ死んでいない。
彼女はゆっくりと視線を上げた。
「貴方が私を止めてくれたんですね。長かった。体感五百年はさ迷い続けました。私は地球防衛軍所属…生体パーツ55684。月の神霊との戦争の為長い事スリープ状態のまま闘い続けました。でももうそれも御仕舞い。私が死なない限り…私のコアを通じて機体のナノマシンが再生を続けます。私を殺してください。これ以上闘いたくないの。お願い。殺して。私の身体は不死の呪いに犯されています。どうか殺して下さい。」
「俺には木の棒しかない。君を殺す事は出来ないんだ。」
エクスリボルグから声が聞こえる。
「いいえ…慎吾。不死人を…天界の敵を殺す機能がエクスリボルグにはあります。再び限定解除。対星必殺奥義!億劫蓬莱神獄剣!このまま胸のコアを貫きなさい。」
「エクスリボルグ…分かった。億劫蓬莱神獄剣!」
どす黒い螺旋をエクスリボルグが纏った。その木の棒の先を少女の胸にゆっくり差し込んで行った。中で硬い何かに当たる感触があった。力を込めてそれを押し潰す。
少女は苦しそうに吐血した。だが顔は安らかだ。長い闘いの末にようやく解放されるのだ。地球の為に闘い続けた少女。しかも生体パーツとして強引に組み込まれて…それがこんな最後を迎えるのか。
俺は涙をボトボトと落としていた。俺は無力だ。この子を救う事が出来ない。殺す事しか出来ないんだ。せめて安らかに天国で眠ってくれ。
少女は事切れていた。初めての殺人だった。俺は涙を見えないようにぬぐい去るとコクピットを降りた。
リズとエリーが走りよってくる。
「中はどうなっていたの?」
「人が乗っていた。俺が殺した。俺が殺したんだ。」
「君が殺さなかったらボクが殺していた。結果に違いない。気にするなよ。慎吾。」
「ああ…そうだな。」
「結局あの機械は何だったのかしら?」
「昔この惑星が地球と呼ばれていた時…月との戦争の為に作られた戦闘機だ。長い間迷子の様にさ迷っていたらしい。」
「そうか。ここは今も昔もイスワルドだと思ったけど地球と呼ばれていた時期もあったんだね。先史文明の遺産だね。完全には破壊しきっていない。ボクの実家に回収させよう。それと乗っていた人を手厚く葬らないとね。」
「それが良いわ。時空の迷い人よ。永久に眠れ。せめて安らかに。戦争も恐れも無い天界に行くと良い。」
こうして空からやって来た侵略者は長い眠りに着く事になった。酒場からは被害の甚大さから最高額の一万五千ゴールドが支払われる事となった。
所持金七万一千ゴールド。
悲しい事があっても、苦しい事があってもそれでも毎日は続いていく。せめて彼女の事は俺だけでも忘れない。一生忘れない。
一つ不信感が残る。イスワルドは本当に異世界なのか?本当は地球の未来の姿なのではないか?不安の種が俺の中に植え付けられた。
地球と月との戦争…そして文明の崩壊。イスワルドとは一体何なんだ?
答えを得られずに夜は過ぎていく。
次の旅に続く
ゴミ掃除…草刈り…迷子のネコ探し…浮気現場の張り込み等々。
雑多な依頼をこなして現在は五万六千ゴールドに所持金はなった。二千ゴールドのプラスだ。
退屈な毎日が過ぎていく。案外それも悪くないかもしれない。化物と闘って死にかけるよりも一歩一歩着実に依頼をこなす方が大事だ。
今は酒場の皿洗いの手伝いをしている。時給十ゴールドだが三人居るので三十ゴールドは稼げる。
「確かに仲間になるとは言ったけど、皿洗いをさせられるとはボクも思わなかったよ。あーあ。今頃はエレンと結婚してる筈だったのに。」
「はい。無駄口叩かない。家は貧乏所帯なんだから仕事は選ばないのよ。貴女が元気に仕事しないと天国のエレンさんが悲しむと思うわ。」
「そうだねぇ。ボクがのんびり過ごしている方がエレンも嬉しいと思うんだけどな。ところでボク達には休みは無いのかい?依頼が終われば新しい依頼…その次も新しい依頼で休みが見えないんだけど。」
「貧乏暇なしって言うでしょ。なにもしなくても宿代は嵩んでいくんだから働かないと仕方無いわ。」
「うへぇ。とんでもないパーティーに加わっちゃったなぁ。まだイシュタルに居るとはいえ、もう実家には戻れないしなぁ。この先どうなるんだろう。ボクは強敵と闘ってドッカンバッコンするもんだと思っていたんだけど。」
「今のドッカンバッコンの所を色っぽくもう一回言ってくれ。ムフムフ。」
レイジングフレア!ズズズ…
あっセクハラしてすみませんでした。もうしません(嘘)助けて下さい。アーッ。
慎吾は極少の太陽に焼かれた。チーン。
「まあそれはおいておいて。」
「焼かれておいて復活するのが雑になってきたわね。本気のレイジングフレアをお見舞いしようかしら。」
「それは勘弁してください。…本当に何も事件が発生しないな。」
「それは発生させるためのフリなのかい?」
「そうとも言う。そろそろエクスリボルグで敵をばったばったと薙ぎ倒したくなってきたんだ。」
「ああ…あの木の棒か。あれって敵をキチンと殺せるの?」
「いや殺した事は一度もないが機械だろうが化物だろうがメッタメタに殴ると絶対に気絶する。特に小型の敵の場合は一撃だな。人間も基本的に卒倒させられるぞ。」
「殺せはしなくても中々強力な効果みたいだね。ボクが産み出せるアーティファクトの中に似た効果の物はないよ。かなりのレア物と言って良いだろう。」
「幻想顕現だったか。空想を現実に写しとり具現化する能力。代々受け継いでいるとは言え規格外の能力だな。」
「まあボクの一族以外にも神代の英雄の血筋を引いている連中だったら使えるかもしれないけどね。産み出せるアーティファクトの数をどんどん増やしていかないとな。エクスリボルグもボクの記憶の中に加えておいたよ。いつでも産み出せる。」
「まじでか。あんなものを産み出しても良い事無いぞ。やめておいた方がいい気がする。一度装備すると外せなくなるし。」
「ボクの産み出すアーティファクトにそんな効果は付属していないよ。あくまで使い捨てのアーティファクトだからね。本物に比べて数段ランクは劣る代わりに使い勝手は良いよ。」
「俺のエクスリボルグをリズの産み出したエクスリボルグと交換して貰いたいな。いや出来ないとは思っているんだけど。」
「良いのかな?そんな事言ったらエクスリボルグが化けて出るかもしれないよ。良いアーティファクトには精霊が宿るものさ。エクスリボルグもどうやら一線級のアーティファクト。精霊が着いているかもしれないね。」
「確かに神代の英雄と闘った時声が聞こえて対星必殺奥義が発動したんだったな。」
「それが精霊の声かもしれないね。ボクは産み出したアーティファクトから声を聞いた事は一度もないんだ。真に迫れて無いんだと思う。いつかは技をもっともっと磨いて精霊の宿るアーティファクトを自在に作りたいもんだ。」
「リズ…私の持っているゼオンボルグやヴァジュラも幻想顕現出来るのかしら?」
「可能だと思うよ。まだ記憶の中に写し取っては無いけれどね。似たようなアーティファクトはボクの幻想顕現の中にもあるし。それで代わりが勤まるからわざわざ記憶に追加しなくても良いかもしれないね。」
「それは残念ね。役に立てるかと思ったんだけど…」
「大丈夫。レパートリーを増やそうと思っていた所だから特別に記憶に追加しておくよ。ありがとう。」
そんな雑談をしている時、それは起こった。
バラバラバラバラ…キャアー殺される!皆殺されるわ!
ドワォドワォドグワォドワドワドグワォ!ひえー空飛ぶ化物だー!逃げろ。殺されるぞ。
俺はマスターに声を掛ける。
「マスター。外に敵がいるらしいな。幾ら出せる?」
「最低五千ゴールド。最高一万五千ゴールドだな。旦那やってくれるのか?」
「ボクの住む町だ。好き勝手にはさせないよ。」
「住人を守るためならやぶさかで無いわ。私も闘う。」
「決まりだな。皿洗いはここまで!全員出るぞ!」
俺達は酒場の外に躍り出た。
目抜通りから人が走って逃げてくる。
俺達は逆に目抜通りを戻っていった。
vovovovovovo vovovovovovovovovovovovo…
低く鈍い音が辺りに響き渡る。
ギャアウギャギャギャバシャグチャブシャバキャ!
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どうやら何かから銃で撃たれている様だ。
空からの銃撃。俺は上を仰ぎ見る。そこにはホバリングしている戦闘機の姿があった。
機銃を掃射して住人を虐殺している。一刻も早く止めなくては!
リズが叫んだ。
「何だ!あの空を飛ぶ機械は?あんなもの見たこと無い。あれと闘うのか?」
「私もあんなの見たこと無いわ。皆を一瞬で肉塊に変える空飛ぶ化物…あんなものに勝てるの?」
「リズ、エリー。あれは戦闘機と言って先史文明時代の兵器だ。中には人間が乗っている筈だ。必ず倒せる。攻撃を加えるんだ!」
戦闘機がユラリとこちらを向いた。機銃とミサイルを斉射してくる。
危ない全員死ぬ!
「禁呪!幻想顕現!血塗られた道を歩もうとも!アイギス!アイアス!召喚!」
透明な盾が俺達の前に召喚された。そこに機銃の弾丸やミサイルが叩き込まれる。盾には皹が入り爆裂した。
「糞!最強の神代の盾を使っても破られるのか!」
「敵の攻撃が止まった!押し込め押し込め!」
俺はエクスリボルグを投げ槍の様に持ち低空飛行をしている戦闘機に向かって投擲した。エクスリボルグはコクピットに突き刺さった。
特に見た目に変わりはないが攻撃が止んだ。エクスリボルグのスタン効果が出ているのか?
「エリー、リズ。今のうちに攻撃を叩き込みまくるんだ。」
「了解。ヴァジュラ…全魔力を込める…神話展開!発射!連携!詠唱破棄!トールハンマー!ウアア!ハァッ!連携!ゼオンボルグ!投擲!」
ヴァジュラの爆裂が戦闘機を焼き、トールハンマーがコクピットを叩き潰し、ゼオンボルグがエンジンに突き刺さり大爆発を起こした。
低空飛行していた戦闘機はコントロールを失い地面に墜落した。
終わったか?いやまだ何も終わっていない!
戦闘機はミサイルを発射してきた。
リズの幻想顕現が間に合わない。固まっていた俺達に向かってミサイルが飛んでくる。そして至近距離に着弾。俺達は吹き飛ばされた。
ハァハァ…腹に破片を食らった。畜生。ドクドクと血が流れている。このまま死ぬのか…横目でエリーを見てみる。彼女は右腕を破片で骨折した様だ。プラプラと血を吹き出しながら腕が垂れ下がっている。
「慎吾、エリー。よくここまで頑張ったね。ボクはまだ何も出来ていない。ボクの奥義で葬る。これを身につけて大人しくしているんだ。」
幻想顕現!エクスカリバーの鞘!二つ顕現する。エリーと慎吾に一つずつ。
急速に俺の傷が癒えていく感じがした。エリーの骨折も同様に癒えていくだろう。
「全力で行かせて貰うよ!幻想顕現!限定召喚!エクスカリバー!ガラティン!」
バチバチという錬成音と共に名高い聖剣を二振り産み出したリズ。
それをどうするというのか?その答えはすぐに分かった。
「エクスカリバー!ガラティン!神技開帳!天理!究極霊閃二連斬!」
黄金のオーラが二つの聖剣から解き放たれ戦闘機に向かって極大の閃光で斬撃を叩き込んだ。戦闘機は大爆発をし完全に沈黙した。
たが…まだ機体は原型を残している。こうなればコクピットに駆け込むまでだ。
俺の傷は完全に癒えた。戦闘機のコクピットに駆け寄りキャノピーを刺さっていたエクスリボルグで何度も殴り解放した。中には白髪赤目の少女。機体が爆発しコクピットも吹き飛んで居るというのに身体はグチャグチャになっているのにまだ死んでいない。
彼女はゆっくりと視線を上げた。
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「俺には木の棒しかない。君を殺す事は出来ないんだ。」
エクスリボルグから声が聞こえる。
「いいえ…慎吾。不死人を…天界の敵を殺す機能がエクスリボルグにはあります。再び限定解除。対星必殺奥義!億劫蓬莱神獄剣!このまま胸のコアを貫きなさい。」
「エクスリボルグ…分かった。億劫蓬莱神獄剣!」
どす黒い螺旋をエクスリボルグが纏った。その木の棒の先を少女の胸にゆっくり差し込んで行った。中で硬い何かに当たる感触があった。力を込めてそれを押し潰す。
少女は苦しそうに吐血した。だが顔は安らかだ。長い闘いの末にようやく解放されるのだ。地球の為に闘い続けた少女。しかも生体パーツとして強引に組み込まれて…それがこんな最後を迎えるのか。
俺は涙をボトボトと落としていた。俺は無力だ。この子を救う事が出来ない。殺す事しか出来ないんだ。せめて安らかに天国で眠ってくれ。
少女は事切れていた。初めての殺人だった。俺は涙を見えないようにぬぐい去るとコクピットを降りた。
リズとエリーが走りよってくる。
「中はどうなっていたの?」
「人が乗っていた。俺が殺した。俺が殺したんだ。」
「君が殺さなかったらボクが殺していた。結果に違いない。気にするなよ。慎吾。」
「ああ…そうだな。」
「結局あの機械は何だったのかしら?」
「昔この惑星が地球と呼ばれていた時…月との戦争の為に作られた戦闘機だ。長い間迷子の様にさ迷っていたらしい。」
「そうか。ここは今も昔もイスワルドだと思ったけど地球と呼ばれていた時期もあったんだね。先史文明の遺産だね。完全には破壊しきっていない。ボクの実家に回収させよう。それと乗っていた人を手厚く葬らないとね。」
「それが良いわ。時空の迷い人よ。永久に眠れ。せめて安らかに。戦争も恐れも無い天界に行くと良い。」
こうして空からやって来た侵略者は長い眠りに着く事になった。酒場からは被害の甚大さから最高額の一万五千ゴールドが支払われる事となった。
所持金七万一千ゴールド。
悲しい事があっても、苦しい事があってもそれでも毎日は続いていく。せめて彼女の事は俺だけでも忘れない。一生忘れない。
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