えっ?木の棒で異世界を冒険するんですか?

八雲 全一

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十六話 医療の町!ヘルメス!

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俺達はレーニア山での修行を終えたのち、新たなる町へと移動することになった。
レンコの謎の占いによると北の方角が吉らしい。北と言うとエリーが元々やってきた方角だ。北にエリーの兄セルビアが居ると言うのだろうか、俺達は北にある医療都市ヘルメスを目的に移動し始めたばかりだった。

「レンコ。君の占いでは北が吉と出たと言うけれどそもそもどういう占いをしたんだ。俺達はただ結果に従っているだけだ。悪いが過程を知りたい。」
「ふむふむ。そう思うのは当然だろう。異世界からの転生者…ギフテッドの君なら理解できる筈だ。あたしは神世から存在する知の神と問答が出来るタブレットを持っているんだ。それをオモイカネデバイスと呼んでいる。オモイカネデバイスはあらゆる事に対する回答を過程抜きで教えてくれるんだ。エリーの兄セルビアは何処に居るのか?という問いにも答えてくれた。その答えが北に向かえと言う事だったのさ。どうだい理解できた?」
「三千年前の人間と神が発展して暮らしていた世界を生きていたんだ。そういう不思議なアイテムを持っていても大きい驚きは無いよ。俺もオモイカネデバイスに聞きたい事がある。良いかな。」
「良いよ。利用料金は出世払いで頂こう。ほらこれがオモイカネデバイスだ。知恵の神が何でもお答えするよ。」
「二つある。どうやったらレンコとムフムフ出来るのかな。」

オモイカネデバイスが音声で答える。
「ムフムフをセクハラと認定します。レンコにムフムフする事は不可能。先に殺害されます。」

「ハハッどうやら大分賢いみたいだな。よし次の質問だ。俺のエクスリボルグはどういう時に億劫蓬莱神獄剣が使えるんだ?状況を教えてくれ。」

またオモイカネデバイスが音声で答えた。
「エクスリボルグ…天界の敵と認識するあらゆる生命体に対して対星必殺奥義…億劫蓬莱神獄剣を利用可能です。機能の設定者は月の神霊…八雲です。」
「そうか…神様の敵となる生命体に発動可能なんだな。暴走している神そのものか月と地球の最終戦争の生き残りとかが対象になるのか。分かった。ありがとう。レンコ。俺の知りたい事は以上だ。」
「ああ。気にしないで。あたしにムフムフは出来ないからね。所で気になる名前が出てきたね。八雲…あたしの全ての師匠だった人だ。その人がエクスリボルグを作ったんだ。でも何のために?」
「その人は相当凄い人だったんだろう。こんないたずらみたいな道具をわざわざ作るかな?」
「あたしの師匠はそんな茶目っ気がある人じゃないよ。真っ直ぐで清廉で…でもとんでもない気迫を放てる人。まあ神様の中では取っつきやすい人だったよ。人間から神様になる訓練生のあたしを導いてくれた。最終戦争から連絡は取れていない。今はどうしている事やらね?
何でエクスリボルグを作ったのかも謎だよ。殴れば必ず気絶させる木の棒…そして天界の敵を抹殺できる究極の兵器。きっと何か意図がある筈。慎吾。エクスリボルグは大事に扱いな。きっと良いことがある筈だよ。」
「そこまで言われちゃな。分かったよ。俺も不殺の武器として気に入ってはいるんだ。まあいつもエリーかリズに殺して貰う羽目になっているんだけどさ。引き留めて悪かった。エリーとリズから大分離されちまった。追いかけよう。レンコ!」
「了解!走るよ!慎吾。」
俺達はエリーとリズの所まで走って寄っていった。彼女達も話をしているようだ。

「慎吾の事はどう思っているの?リズ?」
「セクハラ野郎。棒マスター。ププッ。」
「じゃあ全然好きじゃないの?」
「まだエレンの事を引きずっているんだ。そういう気分にはなれないさ。」
「そうなんだ。へぇー。私はあんまり悪く思ってないよ。そりゃセクハラされたら気持ち悪いからレイジングフレアで焼くけどさ。」
「エリーって結構趣味悪いよね。」
「それ酷くない?その本当に好きというよりは一緒にいて情が移ったのかも。」
「あーそれは分かるかもね。でもボクは興味ないからお好きにどうぞ。エレンの変わりになる素敵な男は何処にも居ないさ。」
「ハローエヴリワン!俺と野外ムフムフしないか!きっと爽快で気持ちいいぞ!さあさ遠慮為さらずにエリー、リズ、レンコ!皆おいで!ムフムフの新記録を作ろう!」
「あんたの事をちっとは見直す雰囲気が出来てたのに台無しよ。ここで死になさい!レイジングフレア!焼き尽くせ!」
「オーノー!アッウーイ!」

慎吾は極小の太陽に焼かれ瀕死(偽造)になって倒れたが三秒後に即蘇生した。

「熱いじゃないの。エリーさん。ふぅ毎度の事だけど死ぬかと思ったぜ。」
「全然効いてるように見えないんですけど!もう一発行っとく?」
「勘弁してくださいよ。そんでさ…何の話をしていたの。」
「えーっとそれはボクから言った方が…」
「ストップ!リズ!ストップ!何でもないわよ。ただの世間話。さあ散りなさい。」
「んーん?なーんか俺気になっちゃうな!なーにを話していたんでしょうね?教えてくれるかな?教えてくれ無いとムフムフしちゃうぞ!」
「うぐっ!この変態!っとあんなところに盗賊が!三十人は居るわ。戦闘態勢!」
「そんな冗談じゃミーは止まらないでおじゃる。おじゃ…ってまじで盗賊かい!仕方ねえ。突っ込んでくるか!」

俺は盗賊の集団三十人に向かって縮地で距離を詰めていった。距離は三百メートル程。縮地を終えるとポカンとした盗賊達が突っ立ってた。距離があったので一気に詰め寄られるとは思っていなかったのだろう。
俺は盗賊に向かって次々に袈裟斬りを叩き込んでいく。剣を構えてガードする者もいたが特訓で身に付けた怪力でそのまま押しきって頭をひっぱたく。最初は盗賊が俺を囲んでいたが十名程蹴散らした所で蜘蛛の子を散らすように盗賊が逃げ始めた。
だがそれを逃す彼女達じゃなかった。

エリーの攻撃!メテオストライク!空より飛来する隕石が個々に盗賊を追撃して撃破した。
五名死亡。残り十五名。

リズの幻想顕現!
「幻想顕現!我が血潮は幻想に満ちる!天理!限定召喚!クラウソラス!自動追尾開始!」

クラウソラスが盗賊を追いかけ切り刻み手元に戻ってくる。これで遠くに逃げようとしてしまった盗賊は全滅。後は何を血迷ったかエリー達の方に駆け出した盗賊が十名。

「あたしにもオモチャを与えてくれよ。錬成!無銘弓!魔力チャージ!無銘神射!」

ただの弓と矢に限界まで魔力をチャージして固まっている十名の盗賊に向かって放った。着弾した盗賊は上半身が吹き飛んだ。その余波だけで四人死んだ。そして矢に込めた魔力が爆裂する。究極霊爆!残りの盗賊も肉片も残さずこの世から消滅した。

俺は手を振りながらエリー達の元に走って戻った。

「いやあ。余裕だったな。十人程気絶しているだけだけど放っておくか?」
「そうね。何も出来ないと思うし、無抵抗の人間を殺すのは抵抗があるわ。そのまま放っておきましょう。」
「ボクのアーティファクト達の錆にするのも勿体ないような雑魚だしね。それにしても三十人を倒しきるのが一瞬だったね。エリーも慎吾も強くなったなあ。勿論レンコが最強だとは思うけどさ。」
「遠慮しなくていいさ。リズ。皆特訓で強くなった。今日は暇潰しで闘っちゃったけど、もし手を出さなくても今の君達なら容易に倒しきれただろう。さあヘルメスを目指して歩いて行こう。」

その後俺達はこれといった障害もなくヘルメスの町に辿り着いた。まずは宿を取り休むことにする。

「お客さん。木の棒を背負うほど貧しいんでしたら家の宿屋はちょっと高すぎるんじゃないでしょうか?」
「毎回このやり取りをしている気がするが…この木の棒はな単なる木の棒ではない。伝説のアーティファクトなんだ。俺達は強い冒険者だ。その証拠に三万ゴールドも持っているぞ!ここの宿泊費位払えるぜ!」
「はハァ!そうでしたか。それは失礼しました。一泊二百ゴールドになります…」

こうして何時も通り宿屋の主人をいなすと俺達は宿屋に泊まることにした。特訓が終わってからより強気の口上に変えたのは秘密だ。

次の旅に続く
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