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俺の使命は終わった。今は無の境地に居る。だが全てが終わった訳ではない。果たさねば成らない約束が一つある。
それは旅の道すがら交わした一言だったが、全ての目的が終わった今果たすべき目標と言える。
それは…アンジェリカの祖国…ゲーニアへの討ち入り。そしてアンジェリカの両親の救出だ。
俺の旅はその為だけに再び歩みを始めた。
ザイラスを討ち取ってから一週間は経った。ゼオン連結システムが吐き出した森から近いブライの町で俺達は宿泊していた。
今は宿屋だ。日がな一日中のんびりしていたが、ハッと俺のした約束を思い出した。全ての目標が完結した今果たすべき約束だった。
ベッドでゴロゴロしているアンジェリカに話し掛ける。
「思い出したぞ。アンジェリカ。遅くなって済まないが、ゲーニアの国へ乗り込もう。君の両親を救出するんだ。」
「わわっ!突然びっくりするじゃないか。ゲーニアへ行くか…確かに昔そんな話をしたねえ。嬉しいんだけど、父上も母上ももう死んでいるかもしれないんだ。そこについては全く分からない。それでもやるの?」
「ああ。無理は承知だ。それにどんな困難な闘いでもアンジェリカは体を張って闘ってくれたじゃないか。今度は俺が恩返しする番だ。俺とエクスだけじゃ暗黒教団やザイラスを倒すことはできなかったしな。エクスも良いだろう?」
エクスは聞き耳をそばだてていたが会話には加わろうとはしていなかったが、話を振られたので応対する。
「ええ…私達の旅は終わったわ。これからの目標も無かったし良いんじゃないかしら。まあ確かにゲーニアに討ち入るのは骨が折れそうね。でも貴方達ならきっとやり遂げられるでしょう。」
「よし。そうと決まれば善は急げだ。ゼオン連結システムを使って転移するぞ。」
「あのさ…ゼオン連結システムってイスワルドなら何処にでも行けるの?」
「そうだな。具体的な座標が分かっていれば可能だ。アンジェリカはゲーニアの座標を知っているだろう。だから即座に転移可能だ。」
「なるほどね。やはり便利ね。ゼオン連結システムは。地球にはもう行けなくなってしまったけれど、イスワルドを飛び回るには重宝しそうだわ。さあ行きましょう!紫音、アンジェリカ!覚悟を決めなさい。」
俺はゼオン連結システムを起動した。緑色のドームが回りに広がり俺達を包む。アンジェリカはここだよとゲーニアの座標をセッティングしてくれた。これで移動が可能になる。転移が始まる。
目の前が暗転し次の瞬間…町の大通りの様な場所に転移した。
「ここがゲーニアの国なのか?国というよりは大都市に思えるな。」
「私の知識によるとゲーニアは都市国家よ。大きな都市そのものを国としているの。」
「なるほどな。さてどうするか?いきなり暴れても勝ち目はあるまい。」
「ボクに着いてきて…この大通りの先の道を曲がると牢獄があるんだ。」
そういうアンジェリカに着いていく。この国で切った張ったをやって脱出した割には顔が割れていないらしい。もしかしたら時間と共に忘れ去られているのかも知れないと思った。
大通りは人でごった返している。商業が活発なのだろう。国としては相当豊かなのかもしれない。そんなことを考えながら離されないようにアンジェリカに着いていく。
牢獄の前に辿り着いた。この国の全ての罪人を納めているのだろう。巨大な監獄だった。アンジェリカは面会を装う様だ。
看守に話し掛けるアンジェリカ。俺とエクスは固唾を呑んで見守っている。
「やあ、看守さん。囚人に面会したいんだけどさ。ライジンとヘレナって言う囚人は居ないかい?」
「…何処でその名を聞いたんだ?二人とも極秘の政治犯で死刑囚だ。この情報は民生には流れて居ない筈だが…。」
「私達は彼らの娘さんから伝言を預かっているのよ。囚人の情報もその娘さんから聞いたの。一度会わせて頂けないかしら。」
「駄目だな。規則で決まっている。大体奴らの娘も政治犯として指名手配されていた筈だ。その娘とは何処で知り合ったんだ。貴様らの身柄も拘束させてもらおうか。」
「ふー。面倒臭いのは好みじゃない。アンジェリカ。もうおっ始めて良いかな。君のお父さんとお母さんが生きているのは分かったんだしな。」
「そうだね。どうせ闘いは避けられないと思ってたし、この看守をさっくり片付けて父上と母上を探しに行こう!」
「何だと!お前があの政治犯だったのか!貴様ら全員拘束対象だ!曲者だ!出会え!出会え!」
そう叫ぶと看守は笛をピーっと鳴らした。牢獄の奥からイカつい看守が何人もやってくる。
「やっぱりこうなるのね。なんというかここまで来ると感激だわ。何処に行っても荒事まみれ。私達には平和的な解決は許されないのかしら?」
「そう言うなエクス。さあエクスカリバーに憑依して…正宗も使う!一気に片付けるぞ!行くぞアンジェリカ!」
「了解!ボクの剣技で叩き切ってあげるよ。」
目の前に看守が十名。距離五メートル未満。全員アサルトライフルで武装済み。
全員がアサルトライフルを乱射し始めた。俺達は縮地で奴らの裏を取る。
アンジェリカの攻撃。朧村正の甲高い残響音が木霊する。オーラ袈裟斬り!一名両断!五連袈裟斬り!対象を変えつつ三名斬殺!一人の看守が絶叫しながらアンジェリカに突進する。
居合いの構え!半月!満月!対象即死。
残りは俺が貰う。俺も縮地を抜け対象の後側に陣取った。エクスカリバーと正宗の二刀で行く。双方の剣から霊気を噴出させる。
霊刃回転閃刃!一心不乱にアサルトライフルをアンジェリカに連射する五名を長射程の回転切りで始末した。アンジェリカはひらりひらりと舞避けて無傷だった。
これで俺達の前に敵は居なくなった。俺達は看守からアサルトライフルを回収する。今は稼ぎがないので武器を手にいれて売るのが生命線に成っている。
他にも手荷物を漁ると牢獄の鍵が出てきた。これでアンジェリカの両親の牢屋の鍵が開けられるだろう。
しかし牢獄の何処にアンジェリカの両親が居るのかは不明だ。俺達は手当たり次第に探して行くことにした。
………一階は軽犯罪者の牢獄の様だ。ここには二人とも収監されて居ないだろう。
地下一階に降りていく。アンジェリカに話し掛ける。
「なあ?アンジェリカ。ここにはお前の両親は居そうかい?あまりモタモタしていると応援がやってきそうだぞ。」
「うーん。ここの監獄は深さが有名なんだ。政治犯で死刑囚にもなると最下層に収監されているかもしれないね。ここには居ないと思う。」
「それじゃあさっさと最下層まで降りていきましょう。途中に何の障害もないと良いんだけれどね。」
俺達は最下層を目指してひたすら降りていった。
……そして最下層。そこには巨大な体格の看守がいた。図体がデカイだけだと良いのだが。
今俺達は通路の柱に身を隠している。まだ見つかっては居ないが…
「よし…アンジェリカ、エクス。俺が一瞬で仕留めるから待っていてくれ。…それじゃあ行ってくる。」
「あんな奴に殺られたら許さないよ。安全に手早く葬って!」
「私が着いているわ。任せて頂戴。アンジェリカ。」
俺は縮地して看守までとの距離を詰める。正宗とエクスカリバーを抜いた。オーラを滾らせて二刀同時に袈裟斬りを見舞った。しかし看守の肩口で斬撃が止まる。!?なぜ通らない。異常に脂肪と筋肉が分厚いのか…!?
看守はゆっくり振り向いた。手には巨大な斧剣。それを振りかぶりながら口を開く。
「いてぇ~よぉ!超いてぇ~よぉ!!」
図体に似合わない鋭い斬撃が繰り出される!直撃したら頭を潰される!エクスカリバーと正宗で剣舞を舞いなんとかいなす。
しかし看守の乱舞は止まらない。斧剣を自由自在に恐るべき速度で叩き込んでくる。防戦一方になる俺。
ただ俺には仲間がいる。信頼できる仲間が!
俺の後ろから縮地してアンジェリカが飛び込んできた。朧村正を神話展開して究極奥義を叩き込む。
「朧村正…完全神話展開!抑止力モード!極光魔神閃!」
アンジェリカは金色のオーラを放つ朧村正を看守の頭に突き刺し、その場で技を解放した。暗い牢獄を極光魔神閃の光が包む。看守は絶命した。ドシンと巨体が倒れる音が響く。
後はアンジェリカの両親を探し出すだけだ。
俺達は牢獄の最深部を目指して再び歩きだした。
牢屋の囚人を見渡しながら進んでいく。と、アンジェリカの表情が変わった。驚愕と哀しみの表情だ。見つけたのだろう。父か母を。
俺も覗き込む。向かい合わせの牢屋に痩せこけた中年の男と女が収監されていた。今にも命の炎が燃え尽きそうだ。これがアンジェリカの両親か。
アンジェリカが父に向かって話し掛ける。
「父上!アンジェリカが助けに参りました。さあこの牢屋を出ましょう。何処か別の町で暮らすのです!母上も一緒ですよ。待たせてしまって…ヒクッヒクッごめんなさい。」
「さっきの爆発音はお前達か。アンジェリカ…良い仲間を持ったようだな。俺達を連れ出してくれるのか。心の何処かで期待して待っていたよ。立ち上がるのも久し振りだ。…さあ母さんを連れてここを出るとするぞ。積もる話はあるがそれどころではないな。」
「分かりました。父上。牢屋の鍵を開けます。これで貴方は自由です。出てきて下さい。」
反対の牢屋に収監されているアンジェリカの母親がこちらに気付いたようだ。ガリガリに痩せ細った手で牢屋の格子に追いすがり声を掛けてきた。
「アンジェリカ?アンジェリカなのですか?どうしてここにいるのです?お父様を助けているのですか?ああ…これこそ神の恵みですね。この時がいつか来るのではとずっと待っていました。さあ顔を見せて頂戴。」
「母上。遅くなってしまい申し訳ありません。アンジェリカが只今戻りました。この牢獄を出て別の町で暮らして下さい。今牢屋の鍵を開けますね。…開いた。これで貴女は自由です。」
「アンジェリカのご両親ですね。俺と従者のエクスが何時も彼女には世話になっています。こんな形でしか彼女に報いる事が出来ません。もう貴方達を縛る物はありません。この牢獄からの脱出ルートも確保しています。さあ行きましょう。」
アンジェリカの父が口を開く。
「君がアンジェリカの仲間か。良い若人だな。この恩は一生忘れん。大変世話になった。礼を言う。」
「アンジェリカは貴方に導かれたのですね。静謐なオーラを感じます。アンジェリカと別れてから五年が経ちますがこんな素敵な人を連れてくるとは思いませんでしたわ。貴方に従って行くとしましょう。」
「アンジェリカのご両親が助かって本当に良かったわ。私の名前はエクス。紫音の聖剣に宿る神霊よ。アンジェリカと私の主人の紫音が貴方達を導くわ。短い間だけど宜しく頼むわ。」
アンジェリカの両親は揃って頷いた。
俺はゼオン連結システムを取り出した。辺境の町に行先をセットする。移転を開始する。
…………画面に注意マークが出て移転がキャンセルされた。
何々…地上でないと移転が出来ません。
俺はゾッとした。牢獄の襲撃はゲーニアの国中に知れ渡るだろう。そんな状況で地上に出て悠長に移転するのは不可能に近い。
しかし何とか地上に出て移転をするしかないだろう。俺は覚悟を新たにした。
それは旅の道すがら交わした一言だったが、全ての目的が終わった今果たすべき目標と言える。
それは…アンジェリカの祖国…ゲーニアへの討ち入り。そしてアンジェリカの両親の救出だ。
俺の旅はその為だけに再び歩みを始めた。
ザイラスを討ち取ってから一週間は経った。ゼオン連結システムが吐き出した森から近いブライの町で俺達は宿泊していた。
今は宿屋だ。日がな一日中のんびりしていたが、ハッと俺のした約束を思い出した。全ての目標が完結した今果たすべき約束だった。
ベッドでゴロゴロしているアンジェリカに話し掛ける。
「思い出したぞ。アンジェリカ。遅くなって済まないが、ゲーニアの国へ乗り込もう。君の両親を救出するんだ。」
「わわっ!突然びっくりするじゃないか。ゲーニアへ行くか…確かに昔そんな話をしたねえ。嬉しいんだけど、父上も母上ももう死んでいるかもしれないんだ。そこについては全く分からない。それでもやるの?」
「ああ。無理は承知だ。それにどんな困難な闘いでもアンジェリカは体を張って闘ってくれたじゃないか。今度は俺が恩返しする番だ。俺とエクスだけじゃ暗黒教団やザイラスを倒すことはできなかったしな。エクスも良いだろう?」
エクスは聞き耳をそばだてていたが会話には加わろうとはしていなかったが、話を振られたので応対する。
「ええ…私達の旅は終わったわ。これからの目標も無かったし良いんじゃないかしら。まあ確かにゲーニアに討ち入るのは骨が折れそうね。でも貴方達ならきっとやり遂げられるでしょう。」
「よし。そうと決まれば善は急げだ。ゼオン連結システムを使って転移するぞ。」
「あのさ…ゼオン連結システムってイスワルドなら何処にでも行けるの?」
「そうだな。具体的な座標が分かっていれば可能だ。アンジェリカはゲーニアの座標を知っているだろう。だから即座に転移可能だ。」
「なるほどね。やはり便利ね。ゼオン連結システムは。地球にはもう行けなくなってしまったけれど、イスワルドを飛び回るには重宝しそうだわ。さあ行きましょう!紫音、アンジェリカ!覚悟を決めなさい。」
俺はゼオン連結システムを起動した。緑色のドームが回りに広がり俺達を包む。アンジェリカはここだよとゲーニアの座標をセッティングしてくれた。これで移動が可能になる。転移が始まる。
目の前が暗転し次の瞬間…町の大通りの様な場所に転移した。
「ここがゲーニアの国なのか?国というよりは大都市に思えるな。」
「私の知識によるとゲーニアは都市国家よ。大きな都市そのものを国としているの。」
「なるほどな。さてどうするか?いきなり暴れても勝ち目はあるまい。」
「ボクに着いてきて…この大通りの先の道を曲がると牢獄があるんだ。」
そういうアンジェリカに着いていく。この国で切った張ったをやって脱出した割には顔が割れていないらしい。もしかしたら時間と共に忘れ去られているのかも知れないと思った。
大通りは人でごった返している。商業が活発なのだろう。国としては相当豊かなのかもしれない。そんなことを考えながら離されないようにアンジェリカに着いていく。
牢獄の前に辿り着いた。この国の全ての罪人を納めているのだろう。巨大な監獄だった。アンジェリカは面会を装う様だ。
看守に話し掛けるアンジェリカ。俺とエクスは固唾を呑んで見守っている。
「やあ、看守さん。囚人に面会したいんだけどさ。ライジンとヘレナって言う囚人は居ないかい?」
「…何処でその名を聞いたんだ?二人とも極秘の政治犯で死刑囚だ。この情報は民生には流れて居ない筈だが…。」
「私達は彼らの娘さんから伝言を預かっているのよ。囚人の情報もその娘さんから聞いたの。一度会わせて頂けないかしら。」
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「何だと!お前があの政治犯だったのか!貴様ら全員拘束対象だ!曲者だ!出会え!出会え!」
そう叫ぶと看守は笛をピーっと鳴らした。牢獄の奥からイカつい看守が何人もやってくる。
「やっぱりこうなるのね。なんというかここまで来ると感激だわ。何処に行っても荒事まみれ。私達には平和的な解決は許されないのかしら?」
「そう言うなエクス。さあエクスカリバーに憑依して…正宗も使う!一気に片付けるぞ!行くぞアンジェリカ!」
「了解!ボクの剣技で叩き切ってあげるよ。」
目の前に看守が十名。距離五メートル未満。全員アサルトライフルで武装済み。
全員がアサルトライフルを乱射し始めた。俺達は縮地で奴らの裏を取る。
アンジェリカの攻撃。朧村正の甲高い残響音が木霊する。オーラ袈裟斬り!一名両断!五連袈裟斬り!対象を変えつつ三名斬殺!一人の看守が絶叫しながらアンジェリカに突進する。
居合いの構え!半月!満月!対象即死。
残りは俺が貰う。俺も縮地を抜け対象の後側に陣取った。エクスカリバーと正宗の二刀で行く。双方の剣から霊気を噴出させる。
霊刃回転閃刃!一心不乱にアサルトライフルをアンジェリカに連射する五名を長射程の回転切りで始末した。アンジェリカはひらりひらりと舞避けて無傷だった。
これで俺達の前に敵は居なくなった。俺達は看守からアサルトライフルを回収する。今は稼ぎがないので武器を手にいれて売るのが生命線に成っている。
他にも手荷物を漁ると牢獄の鍵が出てきた。これでアンジェリカの両親の牢屋の鍵が開けられるだろう。
しかし牢獄の何処にアンジェリカの両親が居るのかは不明だ。俺達は手当たり次第に探して行くことにした。
………一階は軽犯罪者の牢獄の様だ。ここには二人とも収監されて居ないだろう。
地下一階に降りていく。アンジェリカに話し掛ける。
「なあ?アンジェリカ。ここにはお前の両親は居そうかい?あまりモタモタしていると応援がやってきそうだぞ。」
「うーん。ここの監獄は深さが有名なんだ。政治犯で死刑囚にもなると最下層に収監されているかもしれないね。ここには居ないと思う。」
「それじゃあさっさと最下層まで降りていきましょう。途中に何の障害もないと良いんだけれどね。」
俺達は最下層を目指してひたすら降りていった。
……そして最下層。そこには巨大な体格の看守がいた。図体がデカイだけだと良いのだが。
今俺達は通路の柱に身を隠している。まだ見つかっては居ないが…
「よし…アンジェリカ、エクス。俺が一瞬で仕留めるから待っていてくれ。…それじゃあ行ってくる。」
「あんな奴に殺られたら許さないよ。安全に手早く葬って!」
「私が着いているわ。任せて頂戴。アンジェリカ。」
俺は縮地して看守までとの距離を詰める。正宗とエクスカリバーを抜いた。オーラを滾らせて二刀同時に袈裟斬りを見舞った。しかし看守の肩口で斬撃が止まる。!?なぜ通らない。異常に脂肪と筋肉が分厚いのか…!?
看守はゆっくり振り向いた。手には巨大な斧剣。それを振りかぶりながら口を開く。
「いてぇ~よぉ!超いてぇ~よぉ!!」
図体に似合わない鋭い斬撃が繰り出される!直撃したら頭を潰される!エクスカリバーと正宗で剣舞を舞いなんとかいなす。
しかし看守の乱舞は止まらない。斧剣を自由自在に恐るべき速度で叩き込んでくる。防戦一方になる俺。
ただ俺には仲間がいる。信頼できる仲間が!
俺の後ろから縮地してアンジェリカが飛び込んできた。朧村正を神話展開して究極奥義を叩き込む。
「朧村正…完全神話展開!抑止力モード!極光魔神閃!」
アンジェリカは金色のオーラを放つ朧村正を看守の頭に突き刺し、その場で技を解放した。暗い牢獄を極光魔神閃の光が包む。看守は絶命した。ドシンと巨体が倒れる音が響く。
後はアンジェリカの両親を探し出すだけだ。
俺達は牢獄の最深部を目指して再び歩きだした。
牢屋の囚人を見渡しながら進んでいく。と、アンジェリカの表情が変わった。驚愕と哀しみの表情だ。見つけたのだろう。父か母を。
俺も覗き込む。向かい合わせの牢屋に痩せこけた中年の男と女が収監されていた。今にも命の炎が燃え尽きそうだ。これがアンジェリカの両親か。
アンジェリカが父に向かって話し掛ける。
「父上!アンジェリカが助けに参りました。さあこの牢屋を出ましょう。何処か別の町で暮らすのです!母上も一緒ですよ。待たせてしまって…ヒクッヒクッごめんなさい。」
「さっきの爆発音はお前達か。アンジェリカ…良い仲間を持ったようだな。俺達を連れ出してくれるのか。心の何処かで期待して待っていたよ。立ち上がるのも久し振りだ。…さあ母さんを連れてここを出るとするぞ。積もる話はあるがそれどころではないな。」
「分かりました。父上。牢屋の鍵を開けます。これで貴方は自由です。出てきて下さい。」
反対の牢屋に収監されているアンジェリカの母親がこちらに気付いたようだ。ガリガリに痩せ細った手で牢屋の格子に追いすがり声を掛けてきた。
「アンジェリカ?アンジェリカなのですか?どうしてここにいるのです?お父様を助けているのですか?ああ…これこそ神の恵みですね。この時がいつか来るのではとずっと待っていました。さあ顔を見せて頂戴。」
「母上。遅くなってしまい申し訳ありません。アンジェリカが只今戻りました。この牢獄を出て別の町で暮らして下さい。今牢屋の鍵を開けますね。…開いた。これで貴女は自由です。」
「アンジェリカのご両親ですね。俺と従者のエクスが何時も彼女には世話になっています。こんな形でしか彼女に報いる事が出来ません。もう貴方達を縛る物はありません。この牢獄からの脱出ルートも確保しています。さあ行きましょう。」
アンジェリカの父が口を開く。
「君がアンジェリカの仲間か。良い若人だな。この恩は一生忘れん。大変世話になった。礼を言う。」
「アンジェリカは貴方に導かれたのですね。静謐なオーラを感じます。アンジェリカと別れてから五年が経ちますがこんな素敵な人を連れてくるとは思いませんでしたわ。貴方に従って行くとしましょう。」
「アンジェリカのご両親が助かって本当に良かったわ。私の名前はエクス。紫音の聖剣に宿る神霊よ。アンジェリカと私の主人の紫音が貴方達を導くわ。短い間だけど宜しく頼むわ。」
アンジェリカの両親は揃って頷いた。
俺はゼオン連結システムを取り出した。辺境の町に行先をセットする。移転を開始する。
…………画面に注意マークが出て移転がキャンセルされた。
何々…地上でないと移転が出来ません。
俺はゾッとした。牢獄の襲撃はゲーニアの国中に知れ渡るだろう。そんな状況で地上に出て悠長に移転するのは不可能に近い。
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