異世界転生録~アヴェンジャー~

八雲 全一

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あたしは思案する。暗殺者で有ることをやめて旅人になることを選んだ。
まあ成り行きではあるけれど…
あたしが何処で生まれたのかは分からない。物心着いたら妹のツバキと一緒に山に住む暗殺者に暗殺の技術を叩き込まれていた。
毎日の生に確たる証拠等無く、ひたすら死との境界線を歩み続けた。一流の暗殺者に成るために十年は掛かった。
ある日師匠と仰ぐ暗殺者が言った。
「ツバキとボタン…お前達の力で俺が倒せるか?最後の試験だ。俺に勝てばお前達は自由だ。市生に紛れて生きていくのも良いだろう。また暗殺の道を極めるのも自由だ。行く…ぞ…」
ガクンと師匠の体から力が抜けた。あたしと同等の技量を持つツバキが背後から奇襲を掛けたのだ。全てを言い終わる前に。神代の二槍…ゼオンボルグが師匠の心臓を正確に抉っていた。師匠は何処か安心した様な顔で逝った。
私達は一度目の自由を得た。師匠が運営していた暗殺ギルド第四十四支部を引き継ぎ支部長として君臨した。それから三年…ありとあらゆる汚れ仕事を請け負っていた。師匠を倒した師匠の最強の弟子であるあたしとツバキに敵等居なかった。何時も二人で闘ってきた。
どちらかが欠けるなんて想像できなかった。それでも現実は非情だった。
ツバキはあっさりと殺された。初見の剣士に跡形も残らずに吹き飛ばされた。遠見の魔眼で一部始終を観察していた。
あたしがツバキを殺されて感じた感情は興味だった。どんな奴がツバキを殺したのか?あたしが激情に身を任せるに相応しい下衆なのか?それとも聖人か?
結局片を着けて彼を追いかける前に彼からあたしの前に現れたんだけど…
そしてあたしは再び自由を得た。暗殺者ギルドは抜けた。あたしが戻らなければ残りのメンツから支部長を選ぶように手続きをしてある。もしかしたら追っ手が掛かるかもしれないが…
あたしはツバキの死を受け入れた。受け入れられるものでは無かったけれど…この男に掛けてみたくなった。
何処か優しい気配を漂わせているが…夥しい死の匂いを漂わせる男。
あたしはこれからツバキの仇の男に一生を掛けて奉公する。闘いの果てに死ぬことしかあたしにも紫音にも許されない。許してやらない。
あたしの旅はここから始まる。彼の旅がもう終わっていたとしても…

目を覚ました…マムルークの宿屋だ。昨日新たな仲間…暗殺者のボタンをパーティーに迎え入れた。彼女は気にしていないと言っているが、彼女の妹ツバキを殺してしまった。
かつての俺と同じ目に合わせてしまった。俺はそこから這い上がり復讐を決意したが…ボタンはパーティーに端金…といっても俺達には大金だが…で雇われてこれから旅に出るという。
正直勢いでパーティーに入れたがどう接して良いかまるで分からない。
おれは天井をぼうっと見つめたままゆったりと朝の時間を過ごしていた。予定も仕事も無い。
エクスも目を覚ましてベッドから降りたようだ。
どうやらボタンも起きていたらしい。
「お早う。ボタン。」
「お早うございます。エクス。今日も良い天気ですね。」
「え…ええ。何か困った事があったり…不満な事があったら何でも言ってね。」
「大丈夫ですよ。エクス。昨日から過ごしていて特に問題はありません。今日は何処に出掛けるんですか?」
「そうね。町の屋台でもゆっくり回りましょうか?大きな仕事も終わった事だしね。元々屋台を巡ろうって話はアンジェリカとしていたのよ。」
「良いですね。楽しみです。暗殺者ギルドに居たときは観光でこの町を回る事なんてありませんでしたからね。」
俺は彼女達の会話を聞きながらうつらうつらと船を漕いでいた。
仮にも復讐の動機がある暗殺者の前で無用心過ぎるかもしれない。
どうやらアンジェリカも起きたようだった。
「ふあーあ。お早う。エクス、ボタン…紫音はまだ寝てるね。何の話をしていたの?」
「お早う。アンジェリカ。屋台を今日は回ろうかって話をしていたのよ。ボタンは屋台巡りは初めてなんですって。」
「そうなんだ。良いんじゃないかな?…そろそろおきろー!紫ー音ー!」
呼ばれちゃ仕方がない。
「お早う。皆。話は聞いてたよ。屋台巡りに出かけるとするか。」
「お早うございます。紫音。暗殺の依頼があれば何時でもどうぞ。無料で何時でも利用可能です!」
「物騒だな。ボタン。もう君は暗殺者じゃないんだ。正々堂々とした闘いの時に力を貸してくれ。分かったな?暗殺は無しだぞ。」
「そう言われては仕方ありませんね。それでは紫音屋台巡りに連れていって下さい。」
「了解した。皆…行こう。」
俺達は朝食を取らずに屋台がある目抜通りと広場を目指して出掛けていった。
屋台に到着した。皆で同じ屋台を巡る事にする。
牛焼き串をペロリ。
「んん~!堪らないね。ボクはこの牛焼き串が一番のお気に入りだよ。紫音…また後でこようよ!良いよね?」
「ああ。また後で寄ろうか。よし次の屋台に行くぞ。」
焼きそば?をパンで挟んだ焼きそば?パンの屋台に到着。
「まあ何て美味しいんでしょう。この麺類も美味しいけどそれをパンで挟むと言うのが悪魔的発想ね。幾らでも食べられるわ!」
「それあたしにも下さいよ。食べたいです!」
どうぞとエクス。ボタンは焼きそば?パンを受け取って食べた。んまぁーいと聞こえてきそうな顔をしている。
「何の食べ物かは皆目検討が着きませんが…下界ではこんな美味しい物が有るんですね。あたし…感動です。」
目を輝かせるボタンとウンウンと頷くエクス。俺もそこまで言うならと焼きそば?パンを食べてみる。
うん…学校の購買で売っている焼きそばパンを少しワイルドにしたような味付けだな。異世界で焼きそばパンを食べる日が来るとは思わなかった。
いや、焼きそば自体は有ったんだ。焼きそばパンが有っても不思議ではない。
次の屋台は焼き鳥の屋台だ。種類は一種類しか無いようだ。どの部位かは分からないが鳥を焼いているらしい。
アンジェリカが購入して頬張った。
「うーん。この鶏肉の焼き加減とタレが絶品だね。旨い!皆も食べなよ。」
俺も誘惑に負けて焼き鳥を購入する。そして食べる。
「ムム…どこの部位かは分からないが中々旨いじゃないか。ボタンとエクスも食べてみるか?」
「ええ…勿論頂くわ…うーん。この分だと夕食の分まで屋台で食べる事になるわね。でも美味しいわ。」
「頂きまーす。何ですか…このタレ?でしたっけ?美味しすぎですよ!タレだけ買って食べたい位ですね。」
「喜んでくれて何よりだ。さあ次の屋台も待っているぞ!」
その後俺達は豚の丸焼き、貝の蒸し焼き、パスタ?、野菜鍋…等の屋台を食べて回った。
数時間後…
アンジェリカは苦しそうな顔をしている。
「苦しいよ。腹が破裂しそうだ。流石に食べすぎたね。分量を弁えるべきだったよ。」
「俺も食べ過ぎたな。今日は夕飯もいらない。うっぷ。ボタンとエクスは大丈夫か?」
「あたしはまだまだ食べられますよ。暗殺者は体力勝負ですから。食べる訓練だってするんですよ。今回はあたしの勝ちですね。へっへーん!」
「いやいや…勝ち負けの問題じゃないわよ。適量食べられればそれでいいの。まあ私も今日は年甲斐もなく食べ過ぎちゃったんだけれど…まあ神霊は太ったりしないから安心ね。」
「くっそぉ。エクスずるいなー。幾ら食べても太らないなんて…ボクも神霊として産まれて来たかったよ。人の子には余りにも羨ましすぎる恩恵だね。」
「アンジェリカさん…暗殺者になりませんか?毎日鍛えるので太っている暇なんて有りませんよ。しなやかな筋肉を手にいれましょう。」
「ええ…ボクは剣士だからなぁ。遠慮しておくよ。毎日食べ過ぎって訳でもないしね。」
「残念です。あたしのパーティー全員暗殺者計画の第一歩になると思ったんですが…。」
「パーティーの主として拒否する!ボタンも暗殺者で居ても良いが他の皆を勧誘しちゃ駄目だぞ。」
「ちぇー良いじゃないですか。暗殺者。皆でしゃがみながら気配を消して剣で一突きで片付きます。カッコいい必殺技も大がかりな技も必要有りませんよ。」
「皆にはそれぞれ闘い方が有るもの。強制は出来ないわ。私も暗殺者はちょっとね。貴女の闘いの中で暗殺者の生き様を魅せて頂戴。」
「うーん。そう言われては仕方ありませんね。何処かに闘い転がって無いですかね?あたしの魅力の見せ所なんですけど。」
と、屋台の広場で雑談していると見知らぬ男が叫びながら走ってきた。
「大変だ!大変だ!エラく強い食い逃げが現れたんだ。誰か助けてくれ。報酬は支払う。五千ゴールドだ!」
うーん。これで三万五千ゴールドになるな…悪くない。ボタンの力を見せて貰おうか。
「よし!引き受けた。ボタン…初仕事だ。暗殺でも何でも良いから食い逃げを倒すんだ。なるべく殺すなよ。ただの食い逃げなんだからな。」
「了解です!あたしの実力の一端お見せしましょう!」
「ボク達はお腹パンパンだから見学させて貰うよ。すまないね。」
「私も見学ね。紫音が闘わなければ仕方無いわ。」
「どうぞどうぞ!ボタンちゃんのパゥワーを魅せます。」
叫んでいた男が口を開く。
「話は纏まったかな?それなら食い逃げが暴れている場所を教えよう。こっちだ着いてきてくれ。」
男は広場を抜けて目抜通りを駆けていく。俺達も食べ過ぎで重い体を引きずって走っていった。
現場に到着。
目の前には食べ物の屋台。そこに座ってひたすら貪っている男がいた。かなりの巨漢だ。金色の美しい剣を持っている。
「おい!食い逃げ野郎!先生を連れてきたぜ!観念しやがれ!ここでお前はお縄だ。」
案内した男が吠える。
食べていた肉塊から顔を上げると巨漢はニンマリと笑った。
「ぷふー。こんなよわっちな男と女三人で俺が倒せると思っているとは片腹痛いわ。俺はオーベル。神に祝福された勇者なんだぞ!集まれパワー。ブヒヒヒヒ!」
オーベルの回りに黄金のオーラが発生した。各種のステータスを上昇…いや改竄しているのか…正面からやるとかなり厳しい相手だな。俺でもアンジェリカでも苦戦するだろう。ボタンはどう出る?

紫音達から離れて闇に潜み、遠見の魔眼で獲物の男を観察する。所謂勇者…女神からの加護を受けているが。他愛無し。
あたしはツバキが使っていたアーティファクトを呼び出す。ゼオンボルグ…神の雷霆…霊子で構成されているエーテル体なので魔力を通せば実体化出来る。
オーベルと言ったか…オーベルとの距離は百メートル程。あたしはゼオンボルグを実体化させると神速で投擲した。空間を引き裂く音が響き渡る。
ニ槍ともオーベルに着弾。心臓と腸を射貫いた。
オーベルは地面に突っ伏した。血がドクドクと流れ出ている。あたしは両手に漆黒のダガーを握ると縮地を連続で使用した。秒でオーベルの前に躍り出る。するとオーベルはむくりと立ち上がった。
全身血塗れになっている。
「神から加護を受けた俺に傷を着けるとは許せねえ。モアザンパワー!神よ俺に力を与えたまえ!」
オーベルの傷は塞がっていく。ゼオンボルグはカランと地面に落ちた。実体化解除。もう少し遊んでやろう。
あたしは地面を蹴りオーベルの後ろに飛び上がると首に手を回してダガーで喉を掻き切った。そしてもう片手で心臓に刃を差し込んだ。追撃でゼオンボルグを召喚し首と心臓に突き刺した。雷霆がオーベルを焼く。気づくと完全にオーベルは絶命していた。勇者か…中々硬い相手だったな。
案内した男が声を掛けてきた。
「お嬢さん。凄い腕前だな。インチキとは言え仮にも勇者を一方的に倒すなんてな。これが報酬の五千ゴールドだ。ありがとうな。このままだとマムルーク中の屋台が食いつくされる所だったよ。」
「いえいえ。どういたしまして。報酬は確かに預かりました。はい…紫音。報酬です。終わりましたよ。」
「確かに受け取った。素晴らしい闘いだった。確かな腕前だな。一方的に敵を始末するのには感心させられたよ。暗殺者…悪くない戦闘能力だ。これからも頼むぞ!」
「本当に凄かったよ。ボクだったらもっと手間取るね。暗殺者についつい転職したくなったよ。」
「頼もしい仲間が加わったものだわ。貴女の実力を少し疑っていた事を謝罪しましょう。これからも宜しくね。ボタン。」
「何だか照れちゃいますね。当たり前の事を当たり前にあたしはこなしただけですよ。これからもお役に立てると思います。こちらこそよろしくお願いしますね。」
新たな戦力…ボタンの実力を俺達はまざまざと見せつけられた。まだノースメリカンにも面白い奴がいるものだ。暗黒教団を倒した事はそこら中に潜む強い奴との闘いの始まりに過ぎないのかもしれないと俺は思った。

次の冒険でまた会おう。
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