復讐のエリスルージュ~イスワルド冒険記~

八雲 全一

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シャウヤーン連合軍の中である噂が広まっていた。各地の劣勢の闘いに二人組の女が現れて、イーストリア帝国兵をなぎ倒していくという噂だ。余りにも荒唐無稽すぎるが、今信じざるを終えない光景がシャウヤーン連合軍の前に広がっていた。現在の戦場はゴトラタンだ。城塞都市として機能するゴトラタンに籠城してイーストリア帝国軍と闘っている。兵士の数は五千人。
戦況は最悪だ。ジワジワと兵士たちは嬲り殺しにされていた。こちらの武装は剣や弓矢がほとんどだが、イーストリア帝国兵は銃火器で武装している。ゴトラタンの見張り台に立つと直ぐに狙撃されて死んでしまう。勿論城門を開けて攻め入る事等夢のまた夢だ。
そんな時に伝説の二人組が現れた。金髪碧眼の少女と赤髪赤目の少女だ。
彼女達はどうやってか閉め切っている城塞の門の中に入ってきたのだ。
そしてこう言った。
「外にいるイーストリア帝国軍が全部ですか?何人います?」
衛兵は答える。
「どうやって封鎖しきっていたゴトラタンに入り込んできたんだ?それはともかくイーストリア帝国軍を刺激するような馬鹿な真似はやめてくれよ。数?一万人は下らないだろうな。」
そうですかと金髪の少女が答える。赤髪の少女はそんなもんかと頷いた。
「ありがとうございます。衛兵さん。私達行かないと。城門の外に出させてもらいますね。イーストリア帝国軍と闘ってきます。それが私達の為すべき事ですから。」
「ちょっと待った…お嬢さん。何を馬鹿な事を言っているんだ。たった二人で勝てる筈も無いだろう。あまりとち狂った事を言うもんじゃないよ。ここを通すことは出来ない。自殺志願者を見過ごせないからな。」
ハァとため息をつく少女。次の瞬間に彼女の姿は衛兵の前から消えていた。
彼らはそれが赤髪の少女の仕業だと気づくものは居なかった。
私達は今ブリジストから西に一週間程歩いたゴトラタンの町に辿り着いた。その間にもイーストリア帝国軍に襲われている町やシャウヤーン連合軍を手助けしていたのでちょっとした噂になっているようだ。曰く美しき二人の少女がイーストリア帝国軍に天誅を与えていると…
実際天誅を与えてるつもり等毛頭ないのだが、イーストリア帝国兵を見当たり次第倒しているだけだった。噂話に尾ひれがついて大事になって居るのだろう。
倒したイーストリア帝国軍も大勢ではない。精々五十人から百人単位の小隊~中隊レベルだ。
まあ悪い気分はしないんだけれどね。それにそういう噂があれば闘うシャウヤーン連合軍にも希望が湧くという物だ。
エリカは落ち着いている。もうイーストリア帝国軍を狩るのにも慣れたという物だ。
ゴトラタンの城門の外にエリカが瞬間移動した。目前に敵が視認できる。
その数…一万人は下らないという。
私のタケミカヅチで攻撃を加えても良いが…遠距離からエリカの魔法で一網打尽にするのが賢いだろう。現在の時刻は午前一時…イーストリア帝国軍は休養している。一部の見張りが辺りを観察しているが…未だ私達には気づいていない。
「敵は私達に気付いていないみたいね。エリカ。」
「そうだね。どう片付けようか…全力中の全力を使うとハウアーの時みたいに困ったことになりそうだしね。」
「力をセーブしながら一万人も倒せるものなの?疑問だわ。」
「何とか倒せるんじゃないかな。まあ射ち漏らしがあったら…その時は近接戦闘で殲滅するって事で良いんじゃないの。」
「弾避けの加護があれば近接戦闘も危なくないしね。さあ貴女の力を見せてもらいましょうか。エリカ。」
いいだろうと頷くエリカ…目の前の一万の軍勢をどう打ち砕くのか…
エリカが謳う…
「宇宙戦艦イズモ…当宙域にワープアウト。よろし?了解。ワープアウト開始。総員衝撃に備えろ。」
私の肩を掴んで地面に伏せさせるエリカ。自分も限界まで地面に体を伏せている。
奇妙な唸り声のような音が聞こえてきた。目線だけ上を追っていると時空間の歪みがはっきりと見えた。そこから巨大な船?の様な物が出てくる。五百メートルは下らない大きさの戦艦が空に浮かんでいる。これが宇宙戦艦イズモ…?闇の歴史の兵器だというの?
エリカは自慢げに語った。
「凄いでしょ。これが宇宙戦艦イズモ…私が夢想して骨格を組み立ててファンタズムオーバーロードする事で産みだした宇宙戦艦だよ。少し奴らに使うのは贅沢だけど…。宇宙戦艦イズモ…主砲及び副砲…全弾発射。断続的に補助兵装のミサイルも発射!対象はイーストリア帝国軍!撃てえ!」
そう彼女が叫ぶと宇宙戦艦イズモと呼ばれた船が光り輝く砲撃を放った。そして副砲の発砲音と思われる爆発音も木霊する。
主砲…エーテル波動砲…副砲…百センチ五連装砲…発射。
イーストリア帝国軍を光の渦と百センチ砲の弾丸に加えて断続斉射されるミサイルが襲った。
とんでもない爆音が連続で絶え間なく聞こえてくる。イーストリア帝国軍が居た場所には巨大なクレーターが開いているばかりだ。が、これで終わりでは無いだろう。
クレーターの一部から光り輝く何かが見えた。
次の瞬間宇宙戦艦イズモに光の矢の様な物が着弾し大爆発を起こした。爆轟を上げながら大地に沈む宇宙戦艦イズモ。そしてその存在は掻き消えてしまった。
「あー!良くもボクの宇宙戦艦イズモを叩き落したな。ファンタズムオーバーロードするのに依り代が必要なんだぞ!…戦艦出雲のプラモデルなんだけどさ。作るの正直めんどくさいんだよね。だからあんまり簡単に沈めて欲しくないなあ。ギフテッドさん?」
「やはり敵にギフテッドがいるの?エリカ。私が叩き潰してやるわ。ギフテッドと言えど私の復讐からは逃れることは出来ない。ハウアーと同じようにこの世から痕跡そのものを消し去ってやる。」
「まあまあ落ち着きなよ。エリス。しかしイーストリア帝国には一体何人のギフテッドがいるんだろうね。こういう軍団をまとめている奴が全員ギフテッドってオチは無いだろうね。そうだとしたら明らかに面倒くさすぎる。君が言うように存在した痕跡そのものを削る位の攻撃じゃないと消え去ってくれないしね。まあ良い。今回はギフテッド足るボクが相手をさせてもらうとしよう。早く出てくるんだね。ギフテッドさん。」
「今回は貴女が行くのね。死なないようにね。エリカ。私は傍観者に徹する事にしましょう。貴女達の闘争を見守るわ。」
またクレーターから光り輝くものがこっちに発射されてきた。私を狙ってきているようだ。ストームカリバーを取り出し、光り輝くものを弾いた。魔術で練られた光弾のようだ。直撃したら体が弾けて即死するだろう。
エリカは怒っていた。自分を無視されたからだ。だがそれも仕方が無いだろう。敵には今回闘うべき獲物は二体いる事に変わりは無いんだから。
尚も光弾を連発してくる敵。全てを刀でいなすが…何時までも持ちそうにない。そんな私を見てエリカは光弾の発射元に駆け込んでいった。
クレーターを何個も乗り越えていくとエリカの眼前に青髪金眼のローブを着た女が現れた。こいつがギフテッドか…
「名ぐらい名乗り合わないかい?ボクの名前はエリカ。君の名前は?」
女は少し逡巡すると口を開いた。
「敵に名乗る名等持ち合わせていないが…面白い。同じギフテッド同士という訳ね。私の名前はマリーゼ。イーストリア帝国の師団長マリーゼ。良くも我が部下の命を簡単に奪ってくれたな。貴様らに天誅を下す。」
「へっマリーゼ。君達こそ放っておいたら町という町を滅ぼし、凌辱しぬく軍団を引きいているくせに良く言うね。天誅を受けるべきなのは無制限に暴走しているようなイーストリア帝国の方なんじゃないかな。まあ拳を交わして語り合おうか。ボクは面倒くさい話し合いは嫌いなんだ。」
ボクはブラッドヒートで拳足を限界まで鍛えた。それこそ魂レベルの改竄で。マリーゼとの距離は五メートル程、一気に大地を蹴って駆け込む。空中からの連撃を放った。
正拳正中線三段突!廻し蹴!手刀!両手突!貫手!正拳正中線三段突!残心…!
人間を超え神武の領域に至った鉄拳を受けてマリーゼは吐血してその場に倒れた。
「どうした。この程度じゃないはずだろ!マリーゼ。立って技を撃ってこい。イーストリア帝国軍・師団長の肩書が泣いているぞ。」
「うるさいわね…その程度の拳撃じゃ私は死なない。私の恐ろしさを思い知らせてあげるわ。」
ヨロヨロと立ち上がるマリーゼ。その体を稲妻が穿った。帯電した電気がマリーゼの体を渦巻いている。
「雷を使うギフテッドか…余り遊びがある能力とは思えないね。さっさと倒す!」
マリーゼとの距離は三メートル。エリカの必殺の範疇に敵は居た。が…しかし。
雷電がマリーゼから放たれた。真っ直ぐ放射される稲妻。その早さは音速を超えており、エリカに避ける事は叶わなかった。
「ぎゃあああ…熱い…熱い…煮えたぎる。体が!」
悲鳴を上げてその場で崩れ落ちるエリカ。マリーゼは引き続き雷電をエリカに放射している。肉が煮だち破裂した。エリカの体はドロドロに焼け上がっていたのだ。
私は叫ぶ。状況が信じられずに絶叫した。私ならともかくエリカがここまで殺られるとは信じられない。
「立て!立ちなさい。エリカ。こんなものではないでしょう。イーストリア帝国を一緒に滅ぼすって約束したじゃない!お願いよ。立ち上がって…こんな所で死なないでエリカ。」
エリカの体が大きく脈打った。強制的な蘇生が始まる。エリカのみの固有能力…コードフェニックスだ。彼女に死の概念は無い。死んでも必ず蘇生するからだ。
「うるさいなあ。エリス。言われなくても分かっているよ。少し雷で焦げちゃっただけさ。ここからがボクの本領発揮だ。一度や二度死んだくらいでボクを止めることは出来ない。」
私は唖然とした。あそこまで平然と蘇生するエリカを始めてみたからだ。言葉を失う。
魔力放出をし尽くしたマリーゼが信じられないという顔つきでエリカを見ていた。必殺の一撃に全てのエネルギーを使い果たしてしまったようだ。
「さあて能力の底は見えたな。マリーゼ。その様子だと…もうあれを撃つことは出来まい。仕上げと行こうか!」
マリーゼとの距離は三メートル。必殺の一撃を叩き込める距離だ。
エリカは地面を蹴って飛び込んだ。魂をも削る一撃を伴う連撃を放つ。拳足はブラッドヒートで限界まで鍛え抜かれている。そして拳には莫大なマナが渦巻いていた。
正拳正中線三段突!足刀!下段回し蹴!中段回し蹴!上段回し蹴!八連正拳突!手刀!両手突!止め!奥義!億劫蓬莱神獄掌!
流れるような連撃を叩き込みその最後に魂をも穿つ両手突…マナを纏った龍拳を放った。
肉体が完全に破砕されて、魂のみになるマリーゼ。ギフテッドならばここから全力を尽くせば蘇生は可能だが、億劫蓬莱神獄掌によって魂をも打ち砕かれた。
これで最早蘇生する事は叶わない。

マリーゼ…今井真理…前世では漫画家を目指していたが叶わず浴室で自殺を図った。二十二歳。ニブルヘルム領に転生。その後さ迷い歩きイーストリア帝国領に入ったところで、ギフテッドと言う事が判明しスカウトされる。戦闘に自分の能力を使う事が苦手だった。

ボクの完全な勝利だ。マリーゼが全力を出しきらずに闘っていたら展開は変わっていたかもしれないが、勝負などその時の運命だ。いくらでも変わるかもしれないし、絶対に動かない物もある。
彼女のギフテッドの能力は雷電を扱う能力。ブラッドシールドを常時無意識に張っているボクのガードすらやすやすと貫通する事が出来たのだが簡単に言うと燃費の悪い能力だった。瞬間火力の代わりにすぐに魔力回路が焼き付いてしまうのだ。
そしてギフテッド同士の戦闘の経験がない彼女には仕方が無いのだがギフテッドは簡単に蘇生する可能性があるのだ。
それを考慮して能力の調整が出来なかった事が彼女の敗因と言える。
ハァハァと息を荒げるエリカ。
「ようやくくたばったね。雷電を操る能力をもっと上手く使われていたら危なかったよ。何度も殺されて魂が死んでいたかもしれない。」
私は興奮冷めやらなかった。エリカに疑問に思った事を質問する。
「貴女は死ぬ回数に制限なく蘇生できるの?」
「そうなるね。ただし魂が真の敗北を認めた時はボクも自分でも分からない内に蘇生をやめてしまうかもしれない。」
「成る程…精神による蘇生能力なのね。次にだけど使っていた拳法…あれは何なのかしら?見たこともないような技が含まれていたわ。特に最後のおっくうほうらいしんごくしょうって技は異質だったわね。」
エヘンと胸を張るエリカ。得意気だ。
「ボクが漫画をみて覚えた技を試したら使えたから使っているだけだよ。中々の威力の技達でしょ。中でも正拳正中線三段突は必殺技さ。億劫蓬莱神獄掌は闘いの中で思い付いた必殺技なんだ。肉体を破壊する事に加えて精神も破壊する必殺技さ。ギフテッドや不死の敵に対する特効効果があるんだ。」
「へえそうだったんだ。ところで漫画…って何かしら?武術の学習書?全然分からないわね。」
「漫画はこちらの世界だと子供向けの御伽草子だね。その中で格闘に関する漫画があって一回見たことがあったんだ。その技を敵にたいして使っているんだよ。」
「成る程…随分と乱暴な内容の御伽草子みたいね。子供には見せられないわ。」
「そうかなあ。前世だと男の子は小さい頃から読んで真似して遊んでたよ。身体能力が足らないからボクみたいな必殺技にならないだけさ。普通の人は真似してもとても出来るものでは無いからね。」
「やっぱり貴女の前世は何から何までこっちの世界と違うみたいね。」
まあねと言うエリカ。クレーターを見渡す。最早生きている者は私達以外何も無くなっていた。
「そろそろ行こうか…エリス。ここにはもう生存者も敵も居ないさ。ただクレーターがあるだけだ。」
「そうね。敵だけど…一応手を合わせましょう。成仏しなさいよ。」
「優しいんだね。エリス。分かった。僕も手を合わそう。もう二度とイーストリア帝国に産まれて来るんじゃないぞ。殺すはめになるからね。」

イーストリア帝国 謁見の間
一人の男が皇帝に謁見していた。全身を外骨格に身を包んだ大男だ。
「皇帝陛下。ご機嫌麗しゅう。ヘルターが参りました。」
「うむ。ヘルターか。何時も御苦労。今日お前を呼んだのは他でもない。我が軍で噂になっている二人組の女についてだ。お主も噂を知っているだろう。」
「ハッ。たった二人でイーストリア帝国軍の師団を壊滅させると…しかも師団長のギフテッドが行方不明との事。死んでいる可能性が大でしょう。実際にハウアーとマリーゼが率いる軍隊が壊滅しています。とても噂とは思えません。今このオーディン大陸にはイーストリア帝国に対抗できる軍隊等存在していませんからね。一体どんな奴やら…」
「その噂の通りだ。我が軍は壊滅的な被害を受けた。全兵力の三分の一を失っている。その為シャウヤーン連合地帯への侵略を一時停止する。バディスタ王国とニブルヘルムにそれぞれ軍隊を戻す。お前にはイーストリア帝国の首都ヘルディーンを防衛してほしい。」
「承知しました。二人組の女を警戒して守りの姿勢にはいるのですね。心ない声も上がるでしょうがお気になさらずに。皇帝陛下の決定が全てですから。」
「以上だ。下がれ。二人組の女に念を入れて闘いに備えるのだ。奴等は必ずシャウヤーン連合地帯を超えてバディスタ王国やニブルヘルムに攻めいって来るだろう。」
「ははっ承知しました。レイアとライゼンにもこの沙汰は伝えておきます。それではさらばです。皇帝陛下。」
ヘルターは謁見の間から去っていった。残されたのは皇帝と宰相だけだ。
宰相が口を開く。
「皇帝陛下。本当に二人組の女ごときにここまで警戒が必要でしょうか?我が軍はまだ三万残っています。正面から叩き潰せるのでは無いでしょうか?」
「広い戦場の中で二人組の女なぞ居ても気付くだろうか?とても我が軍の兵士達には気づけると思えない。そして一方的に殺戮されるのだ。それだけは何としても避けねばならない。故に領地に籠り護りに徹するのだ。」
「ははっ。御考えがあるのですね。いやはや何も考えてないとは思ってもおりません。滅相もない。今日も皇帝陛下は思慮深く勇敢でいらっしゃいます。」
「余はゴマスリ男が必要なわけではない。必要な行動を取れシュナイゼン。レイアとライゼンの軍にも命令を伝えるのだ。分かったか。」
「ははあ!承知いたしました。レイアとライゼンにも私から命令を下達します。それでは失礼します。」
謁見の間から宰相は去っていった。残るは皇帝のみ。ふと思案する。イーストリア帝国に仇なす未知のギフテッドが…我が軍のギフテッドが劣っているとは思えない。何が原因なのだ。私の手駒のギフテッド達に差はあれど戦闘の達人だ。正に一騎当千の強さを持っている。それを二人も破るとは只者ではない。
考えるだけで冷や汗が出ている。私は恐れていると言うのだろうか…未知のギフテッドを…神の使徒…現人神。その力に限りはなく無敵の存在に近い者…まさか私の集めた五人のギフテッド全てに勝ると言うのか…それはもうギフテッドでは無い。神そのものの領域に達していると言って良い。
底知れぬ恐怖の前に私は怯えていた。帝国そのものを滅ぼされかれない。一兵残らず刈り取る周到さ…強い憎しみを感じる。ニブルヘルム…それともバディスタ王国の生き残りだろうか?ギフテッドに国への愛国心等存在するのか?奴等は利害関係によって動く傍若無人な存在だ。私の…もう三人になってしまったが…ギフテッドの部下も膨大な給金と軍隊を任せる引き換えに忠義を誓っている。
奴等を破る策は無いのか…通常の兵士では駄目だ。ギフテッドの前には烏合の衆に過ぎない。残るはギフテッド同士の一騎討ちだが、ギフテッドの中でも武闘派だったハウアーすら破れ去っている。奴はギフテッドの中では余り強く無かったとは言え、破るには相当な強さと運、そして勝負勘が無くてはいけない。それを持ち合わせているとなるとギフテッドとしても頭一つ抜け出すわけだ。当面はその二人のギフテッドをどう処理するかに掛かっているだろう。
このまま我が軍が倒されるようでは国家の危機に瀕する。
今まで無謀な拡張政策が跳ね返ってきたか…闇の歴史のアーティファクトで武装した未来兵士とギフテッドによる二段構えで大陸に覇を唱えようとしたが、まさかギフテッドに正面から撃破されるとは…予想外も良いところだ。謁見の間から外の風景を眺めてみた。今にも降りだしてきそうな曇り空だった。首都ヘルディーンはそれでも多くの人や物が行き交っている。このままではヘルディーンは討ち滅ぼされてしまうだろう。
奴等の狙いはイーストリア帝国軍の完全な潰走だ。その後はイーストリア帝国本土に乗り込んでくるだろう。まあヘルディーンには一万の兵士を防衛に着けるがそれでは正直安心できない。
私の中を暗澹たる気持ちが押し潰していった。
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