夏祭りの約束

声

　「・・・き・・・うき」

　目を瞑ると、どこか懐かしい声がする。

　これは、夢かーーーーー？

　「・・・うき・・・こうき！」

　いきなり大きい声が聞こえたせいか、僕は目が覚めた。

　「い、今のは一体・・・？」

　僕が動揺していると・・・

　「やっと目が覚めた～」

　どこかで聞いたことのある声。

　可愛く幼い容姿、明るくてやわらかな雰囲気、長い茶色の綺麗な髪の毛、見覚えのある赤いかんざしーーーーー

　まさしく、5年前に亡くなった僕の幼馴染みだった。

　
　「・・・い、いやいや！そんなことありえない！」

　僕は自分でもびっくりするくらい大きい声を出した。
　
　「君は、僕のストーカーだよね！？それか不法侵入者だな！？警察に連絡したいけど、今は受験シーズンで色々と面倒になるのはごめんだから、黙っててあげる代わりにここからすぐ帰れよ！」

　こんな大事なときに・・・なんて僕は思っていた。

　「まってよ！！！！！」

　彼女が僕の腕を掴もうとした瞬間、彼女の手が僕の腕を貫通し、僕の腕を掴むことができなかった。

　僕は唖然とし、彼女の方を見た。

　「・・・ごめん。わたし、しんじゃったから・・・」

　暗い顔をした彼女に僕は聞いた。

　「僕は幽霊とか心霊現象とかは信じない。けど、もし本当に僕の幼馴染みなら、これが夢でないなら、僕は君を信じるよ。朱音《あかね》」

　「ほんと！？」

　そう言うと、朱音は大きな瞳でキラキラと輝かせ、笑顔で喜んでいた。

　そういえば、朱音は昔からそうだったな・・・