豪運少女と不運少女

紫雲くろの

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第1章

私の豪運はドラゴンを届ける。

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賭博場から帰宅後、洋間でクッションは涙をすすっていた。
「こ、こんなガキに・・・総資産の9割奪われたにゃ。」

「ふぇぇ。今、お茶をお渡ししますね・・・あっ」
奴隷ちゃんはお茶を落としていた。
「うぅ。」

私はというと同じくソファーですすり泣きをしていた。

まさに奴隷ちゃんの不運の一人勝ちである。

あの一時間で私は莫大なお金を手に入れたのだが、この異世界では不要の長物だった。
なぜなら、ポテチやら懐かしのゲーム等々お金があっても買えないものが多いからである。
それに高品質クッションが無くなるのは困る。

「クッション、全部返すから私と奴隷ちゃんを養って・・。」

豆鉄砲を食らったような顔でこちらを見つめてくる。
「にゃにゃ、良いのかにゃ・・・?」

「わ、私も良いんですか?」

「うん。」

少しクッションは元気が出たようだ。
「な、なら仕方ないにゃ。領主として養ってやるにゃ。」

「そういえばギルド忘れてた。」

「それは明日でいいにゃ。今日はもう遅いからゆっくりするにゃ。」

その後私達はご飯にした。
勿論いつもの料理である・・・・おのれクソ親父。

奴隷ちゃんはというと目を輝かせながら驚いていた。
「こんなに豪華な食事、私が頂いても良いんですか?」

「にゃ。」

豪華とは?それだけ貧しかったってことか・・・。
豪運のせいでクッション邸よりも貧しい飯を見たことがなかった。

奴隷ちゃんは笑顔で美味しそうにご飯を食べていた。
貧しかった割には、奴隷ちゃんから大和撫子イズムを感じる・・・・。

「奴隷ちゃん、姿勢がきれいに見えるけど・・・。」

「わ、私は、元貴族です・・・。でも途中から・・・。」
奴隷ちゃんは何かを思い出し涙目になる。

「ご、ごめん。無理に言わなくていいから。」

「あ、ありがとうございます。ご主人様。」

「私もお前のせいで、奴隷になりかけたにゃ。」

「クッションとして使ってあげるから大丈夫。」

「にゃあ・・・。」

その後、私と奴隷ちゃんは一緒にお風呂に入っていた。

「ご主人様、こんな汚い私とお風呂なんていいんですか?」

「いーの、いーの!」

私は奴隷ちゃんの背中を流していた。
「ん?」

よく見ると奴隷ちゃんに小さな尻尾がついている。
「奴隷ちゃんこれって・・・・。」

「えーっと、私・・・ハーフドラゴンみたいなんです。そこしか発現してないんですけど。」

よく見ると、ぴょこぴょこと動いている。
クッションと同様に握ってみる。

「あっ。そこはダメです。ご主人様。」

「ご、ごめん。」

ハーフドラゴンということは・・・アレが使えるはずだ。
私は立ち上がり、人を抱いたように手をかざす。

次の瞬間奴隷ちゃんは私の目の前に、後ろから抱かれたようにして出現した。
「ご、ご主人様・・・これは!?」

「おー。やっぱり使えた。」

私は奴隷ちゃんの結婚相手として、彼女のムニムニを確かめる権利がある・・・はずだ。
今まさに私の手が奴隷ちゃんのムニムニに届こうとしていた。

ごくり・・・・。

「あっ」

次の瞬間、奴隷ちゃんは後ろに転ぶ。
奴隷ちゃんのクッションになるような感じで私は圧迫された。

「うっー。」

「だ、大丈夫ですか・・・ご主人様。」

こちらを心配して寄ってくる。
やはりクッションや私よりも大きいかった。
おのれ、不運め!

「あ、暴れたい・・・」

「えぇーっ!」
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