豪運少女と不運少女

紫雲くろの

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第1章

私の豪運は最強の杖を届ける。

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私達はクソダサ火山こと、あつあつ火山に入山していた。
たしかに暑いけど・・・・もう少しいい名前があったのでは?と思った。

クッションは出てくるモンスターの処理。
レアちゃんはドワーフに作ってもらった、杖が入っている金属の箱を持っていた。


私は遠くにいる漆黒のドラゴンを目視で確認し、指を指す。
「お、もしかしてあれがカースドラゴン・・・?」

「そうにゃ。龍族最強格にゃ。」

「普通のドラゴンに見えますけど・・・。」

「即死の呪いを常時発動してるから近接職は相手できないにゃ。私は無効化できるけど・・・。」
ドワーフが報酬は前払いと言っていた意味がようやく分かった気がする。

「最強じゃん・・・。」

「それと魔法耐性もあるから大抵は無理にゃ。」

マグナ・クエーク以上の相手を討伐って・・・前よりも不運強くなってない???
そんなことを思いつつも私は不思議と行けそうな気がした。

「まぁ豪運でなんとか行けるでしょ。」

「まぁ無理に近づくこと無いにゃ。それを試すんにゃら、私はバックアップに徹するにゃ。」

私はレアちゃんにアイコンタクトを送る。

「はい、ご主人様!!」

レアちゃんが、持っていた私の背丈はありそうな箱からその杖を取り出す。

「よいしょっと。重くない?・・・・これ。」

「そうですか?10kgぐらいなので大丈夫ですよ。」

私とレアちゃんをそれをセットしだす。

「んじゃ、やりますか。」

「はい!頑張ってください!」
その杖に対し、私はうつ伏せのような姿勢を取る。

「って・・・なんでレアちゃんも!?」

レアちゃんは照れながら呟く。
「ふふっ、ご主人様のためなら、どんな所でも付いていきますから・・・。」

かわいいな、もう!!

・・・

壊れない杖がほしい・・・。

そんな私の質問に人工知能の知己が出した答えは・・・壊れるなら交換すれば良いという事だった。

つまり破壊される杖のコア部品のスフィアを、銃の弾丸のように交換すればいいのである。

今、私が手に取っているのは前世のバレットM82A1と呼ばれる対物ライフルをモチーフに作成された杖だ。
作ったドワーフは杖と言いはっていたが・・・魔法は銃口から放たれるので完全に銃であった。

箱からルビーの様な輝きを放つ弾丸を取り出した。
「それが例の・・・スフィアバレット・・・。宝石みたいできれいですね!」

「だね。」

スフィアバレットは杖の核となる球状部品スフィアを加工して弾丸のように硬めたものだ。
これ一つで高級杖1本分およそ金貨500枚、日本円にして500万円に相当する。

まさにロマン武器といった様子を呈していた。

それ弾倉に込め銃にセットし、私は勢い良く側面のボルトを引く。

セーフティ解除確認。

放たれる魔法から銃全体を保護するために銃身からは湯気のようなものが出ている。
それと干渉しないように設置されたスコープから、ひと呼吸置いて狙いを定める。

カースドラゴンの急所は頭、そこを狙えばいけるだろう。

「ふーっ・・・よし。」

ゆっくりと引き金に指をかけ、スコープでカースドラゴンの頭に狙いを定める。

「っ!」

引き金を引いた瞬間、銃口から爆音と共に凄まじい大きさの閃光が飛び出した。

それを合図に勢い良く、消費されたスフィアバレットが飛び出る。

弾丸というよりも、光に近いそれは一直線にドラゴンに向かっていく。

「おー!!」

次の瞬間、閃光はカースドラゴンの頭を完全に捉え、巨体が大きな音と共に地面に倒れた。

放たれた砲身からは熱による煙がゆっくりと上がっていた。

「や、やりましたね。ご主人様!!」

「うん・・・。だけど良かったの?」

「はい、私は途中から発現したので・・・祖先にドラゴンがいただけだと思います・・・それに・・・。」

「それに?」

「ご主人様が・・・いれば・・・何もいりませんから・・・。」

こちらに頬を当ててくる。

「かわいいすぎでは?」

私達がいちゃいちゃしていると後ろから突然声がした。
「そうやって使うんだ・・・・あらためてみると・・・すごいね・・・。」

「わっ!?」
「わわわ・・・・」

見返すとネーミングセンス皆無のこの火山の主が背後に立っていた。
「お疲れ様・・・その杖は君のものってことで・・・。なんかあったら、また力になる・・・」

「ありがとう・・・・」

正直、このサイコパスドワーフの力を借りたくないと思った・・・・。
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