幸せ隔離室。

まぐろ

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その日の夜。僕は貰ったベッドで眠っていた。ぐっすり寝ていたのに、踏まれて起こされる。でも、起こし方は前より痛くない。ふにゅふにゅ踏まれる…というか…踏み方が優しい。

「早瀬さん……?あさですか……」

目をこすりながら起き上がると、首輪にリードを付けられた。まだ寝ぼけていて理解ができないけど、ずるずると玄関まで引きずられていく。

「早瀬さん……んん?お外行くんですか…何しに?」

「散歩だよ。犬の散歩。」

この家に犬なんていない。…とすると、僕の散歩だ。え?と思って目が覚めてくる。
僕は靴も履いてないけどもう外だ。リードが引っ張られて僕は四つん這いのまま歩く。
そういえば犬みたいに振る舞うんだっけ。

「唯楽しいかー?」

「わん…」

「後ろから見たら唯のちんこ丸見えだな。」

「ぅえっ…!?ぁっ、わ、わんわん!」

そうだ、そういえば下を履かせてもらってない。明日は学校なのに。でも2人で散歩…楽しい。

「へっ…へっ…へっ…わんっ!わんわん…!」

「唯…もしかして本当に楽しんでるのか?こんなに媚びて…素質あるんじゃね?」

今の所早瀬さんは怒ってない。きっと僕は上手くできてるんだ。それに僕は凄いことに気づいた。早瀬さんが望むとおりにやれば殴られない。つまり、早瀬さんの機嫌を良くすればこっそり甘えられる。

「……唯、痛いのが気持ちよくなるように頑張ってみようか。」

「わんっ!……へ?」

あれ。おかしい。早瀬さんの興味が僕の想像の斜め上を通り過ぎていった。どこからその思考にたどり着いたんだろう。
僕は僕なりに完璧に犬を演じていた。早瀬さんは機嫌が良かった。で、この提案をした。僕はまだ犬を演じている。
どこからそうなったんだろう。

「痛いのは気持ちいい。…身体はもうわかってんじゃねえの?」

公園についた。そういえば下半身は寒いけど上半身は寒くない。この服、相当防寒性があるんだ。
とはいえ冷える。僕はついトイレに行きたくなった。

「わん…わんわん、トイレわん…」

「え?といれ?あー…じゃあここでしろ。茂みだし、穴掘って埋めときゃバレねえよ。」

公衆トイレがあるのに、と思ったが、ここでしなきゃきっと早瀬さんの機嫌を損ねてしまう。
僕はしゃがんで…

「おい唯犬。犬はしゃがんでやるのか?違うよな?」

「…わん」

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