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祐希という少年
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僕は昔から両親の顔を知らない。物心つく頃にはあの施設にいた。言葉を教えられ、礼儀を教えられ、労働を叩き込まれた。それでもしぶとく生きていた。
ただ、施設にいて傷つけられたのは身体だけ。精神だけをズタボロにされることは無かった。
毎日毎日動けなくなるまでなんの役に立つのかわからない仕事で働いて、部屋の壁を叩いて会話して。不満を吐けるような場所じゃなかったし、そもそも幸せを知らなかった。
だけど。ご主人様の所に来てからは、最初の方は幸せをたくさんもらった。
それがいけなかった。
幸せを知った僕は、ご主人様にどんどんいろんな表情、感情を持つようになり、恋愛感情まで抱いてしまった。だから、ご主人様からの攻撃がなおさら傷つくようになっていった。
僕はあの施設で何を育ててもらったんだろう?傷つかない心、我慢強い心じゃなかったのか。それとも、ご主人様は最初から僕をこうするつもりで買ったのだろうか。
「お…ぁ…」
「うん。もう薬なんか無くても大丈夫そうだね。何も怖くないよ、祐希くん。」
怖いものなんて最初からご主人様だけだ。この人がずっと怖い。何をするか分からないし、なにより僕の手足を切り取った人だから。
僕はもう抵抗しようとしても短い手足をばたつかせる事しかできない。それをしてご主人様を不機嫌にするのもいけないから、何も考えずにいるしかない。
「よしよし…いい子の祐希くんには久しぶりにお洋服着せてあげようね。…って言っても…布で包むだけだけど。」
そう言ってご主人様は白い布に少し模様がついたようなもので僕を包んだ。生まれたての子供みたいでなんだか恥ずかしい。ご主人様は上機嫌で僕を揺すったり地面に置いて、歩けと命令されて困惑する僕を見て笑ったりした。これは…ご主人様に赤ちゃんは抱っこさせちゃ駄目だ。絶対に。
「ぼ、ぼくっ…あ、あるけな、ぁ……」
「ほらほらがんばれ!ここまで来れたら手足くっつけてあげるかもよー?」
「…っ…そんなっ…!」
一生懸命身体をバタつかせたが、一向に前進できない。ご主人様は楽しそうに笑って僕を抱っこした。
「赤ちゃんなんだから無理しなくていいんだよー?ほらぬいぐるみいる?こいつ好きでしょ?…なんでここにいるんだろうねぇ…」
『祐希くん楽しそう。僕も一緒にばたばたやったり抱っこされたかったなぁ?』
ぬいぐるみが何かを話したが、ご主人様はぬいぐるみをベッドの下においた覚えはないらしい。…ということはこのぬいぐるみは…生きている…?
ただ、施設にいて傷つけられたのは身体だけ。精神だけをズタボロにされることは無かった。
毎日毎日動けなくなるまでなんの役に立つのかわからない仕事で働いて、部屋の壁を叩いて会話して。不満を吐けるような場所じゃなかったし、そもそも幸せを知らなかった。
だけど。ご主人様の所に来てからは、最初の方は幸せをたくさんもらった。
それがいけなかった。
幸せを知った僕は、ご主人様にどんどんいろんな表情、感情を持つようになり、恋愛感情まで抱いてしまった。だから、ご主人様からの攻撃がなおさら傷つくようになっていった。
僕はあの施設で何を育ててもらったんだろう?傷つかない心、我慢強い心じゃなかったのか。それとも、ご主人様は最初から僕をこうするつもりで買ったのだろうか。
「お…ぁ…」
「うん。もう薬なんか無くても大丈夫そうだね。何も怖くないよ、祐希くん。」
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「ほらほらがんばれ!ここまで来れたら手足くっつけてあげるかもよー?」
「…っ…そんなっ…!」
一生懸命身体をバタつかせたが、一向に前進できない。ご主人様は楽しそうに笑って僕を抱っこした。
「赤ちゃんなんだから無理しなくていいんだよー?ほらぬいぐるみいる?こいつ好きでしょ?…なんでここにいるんだろうねぇ…」
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