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第二章:別れの章 〜迷走するルート〜

第三十四話 トラブル

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 早く目が覚めてしまった。美野里はここだと主張するように、パジャマがはだけていた。パンダさんの顔が赤く見えるようにも思えた。朝日が差し込んでいた。

 どうしても納得のいく状態に仕上げたいという思いが頭を駆け巡った。着替えを済ませ、書置きをし、起こさないように会社に向かった。

   ***

 電車は混んでいた。学生が多い。改札を抜け、おにぎりを買い、席に着いた。
 始業前であったが、データのチェックをした。こみ上げるものがあった。一度目を閉じ、下を向き、こぶしを握ってガッツポーズをした。
 しばらくすると、徐々に出社してきた。新穂さん、早いですね。

 オンライン会議が始まり、報告を受けた。「皆様、ありがとう、お礼を」
 指示通りに行動しただけです。指示がなければ完成できなかった。

 会議から拍手が沸いていた。
「本当に、ありがとうございました」もう大丈夫だと確信した。
 心配するようなことなど、微塵もなかったのだ。ありがとう、ありがとう、何度も胸の中で繰り返していた。

 背もたれを倒し、ふうーと、息を吐いた。
 すると早苗ちゃんが、お茶をいれてくれて「先輩、どうぞ、やりましたね! さすがです」「ありがとう」と返した。

 これで本当に休める。残業はしなくても良い。
 LINEを入れようかと思ったが、英会話中に連絡するのは迷惑だろう。

 後片付けをし、会社を出ようとした。
 早苗ちゃんが、道を塞いで「お祝いに飲みに行きましょう」

 先輩は、どうして私と二人で、お酒飲みにいかないのですか……。
 今まで、一度だって誘ってくれないし、誘っても帰っちゃうし……。

 早苗ちゃんは、体を使ったアピールをしてきたが、はっきり言った。「お付き合いしている人がいる」

 早苗は泣き崩れていた。心の中で。ここの中でごめんと謝り、駅に向かった。

   ***

 早苗の大泣きに、加奈が気が付いて、一緒に飲みに行くことにした。店につくなり、お酒を大量注文した。

 加奈は、早苗に、婚約者がいることを知っていると告げると、「ふざけるな!」と大声で叫んだ。

 店内は、早苗に注目していた。
 席にすわり、日本酒、ワインを次々と頼んだ。
 焼肉屋なのに、注文はお酒とおつまみだけ。加奈は付き合ってあげるねと伝えた。
 テーブルには、空いたグラスがずらりと並んでいた。

 トイレに行こうとする早苗は、ふらふらと壁にぶつかりながら、戻ってきても、席につくと、無理にお酒を流し込んでいた。加奈も、かなり酔っていることに気が付いた。

 目の前のグラスが、二重、三重に見えた。

 かなりの時間をお酒に費やし、会計に向かった。加奈が支払ったが、おつりが財布に入らなかった。小銭が床に転がる。拾うのも面倒になり、店員さんが拾ってくれた。
 そこに三名の男の人が立ち上がり会計を済ませた。

    ***

 早苗と加奈は、壁にぶつかりながら、外に出ると
「お姉さん達、家まで送るよ、帰れないでしょう」後に会計をすませた、男性三人だった。柄が悪そうだった。「頭が悪そうだな」と、加奈がそう思ってしまうほど、ガラの悪い連中だった。

 車が目の前に停車し、強引に腕を引っ張られて、車の中に押し込まれそうになった。必死に抵抗したが、力が入らず、その場に座り込んでしまった。
 柄の悪い男性達に、持ち上げられそうになった時

 ちょうど、仕事を終えてきた、所長と営業の方。
「早苗さん、加奈さん、どうしたのかな」と所長が言った。

 まずいと思いつつも、強引に車に押し込もうとした。
「助けて」と声に出したはずが、声にならなかった。

 脇から、拳が突き刺さった。何事! 早苗と加奈は、その場に座り込んだ。
 男はひっくり返りながら、吹き飛んでいった。

 営業の方である。「うちの社員に何か用ですかね、俺と話を通してからにしてもらえないかな、クソガキども」
「うるせえー」と殴りかかってきたが、車の窓ガラスが割れるのではないかと思うほど、力強いストレートに、男の頬に、拳がめり込んだ。

「逃げるぞ」

 男たちは去って行った。

 事情を聴いた、所長。

 営業の方が、早苗ちゃんに、「俺が守るから、お付き合いください、考えてもらえませんか」

 酩酊状態の二人には、話が伝わっていないようだった。
 所長がタクシーを手配し、それぞれの家までタクシーチケットを渡したのであった。

 営業の方、所長、すみません。
「いやー良いストレートだったね。さすがだね大学ボクシングチャンピオン、でも、やりすぎたらダメですよ。今日は見なかったことにね」
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