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第1章:広がりの章 〜運命の出会い〜
5 久しぶりに八重とのお話
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新年の鐘が響き渡る、部屋は暖かく、空気も奇麗であり、深呼吸をすることが気持ちよかった。
香織は突然八重からのメッセージでスマートフォンを手に取った。
画面には軽やかな文字が浮かんでいた。
「なになになに、あけましておめでとうの返事が「おおきい」って(笑)」
……眉をひそめた。八重ならではのユーモアなのかと思いつつも、クリスマス以来連絡が途絶えたことに不安がよぎる。
「電話して大丈夫?」
すぐに返信した指先に震えが走った。久しぶりの声を待つ間、胸中に不安と期待が交錯する。
何故か、正座をして電話を耳元に、待ち構えていた。
「おひさー、あけおめ」
八重の声はいつもの明るさを保っていたものの、その奥底に潜む焦りが香織には感じ取れた。返事を済ませた直後、彼女は切り出した。
「年末忙しいのはわかるけど、何も連絡がないからどうしたのかな?山本嘉位とそのご状態はどうなの?」
そうだ、うん。息を呑みこむ。クリスマスイブ以来八重に会えていないことを思い出した。あの日、嘉位との未来を決めた時のこと。
「帰国して会えたのでしょう?」
軽やかさの中にも不思議な期待が籠もった声だった。
「学校で最後あってから、クリスマスイブの日だよね」
「楓さんと、大きい車に乗り合わせたときのことね。それ以来何も聞いてないから……」
嬉しい事の順番をどのように伝えればよいのだろう……。一呼吸終えて、明るく振舞おう。
「ごめん、言えてなくて~」
話の切り出し方から何か良いことがあったと気付いたようだった。
「クリスマスにね、嘉位からプロポーズされたの」
「えー! ちょっとそれマジで? あの山本嘉位から? 婚約者は?」
その驚きに笑った。普通はそう思うよね。八重が心配してくれているのが、ヒシヒシと伝わったよ。
「婚約者というのは、いろいろあって……一言ではお芝居で、わたしを試すためだったの」
「プロポーズは返事したよね? それも当然だけど、試すってどういうこと?」
ゆっくりと、思い出しながら、過去を飲み込むように静かに説明を続けた。
「わたしが山本家に相応しいか、忍耐というか、そういうところを試されていたの」
「つまり婚約者はいなかったの? 佐伯さんとか桜井さんとか色々あったよね?」
小さく頷きながら、「全てがお芝居で……」と呟く。
「ちょっと酷くない? わたしならぶん殴っているけどね?」
――香織は八重の言葉に笑いを浮かべた。その一瞬、嘉位が自分をどう見ていたのか考えた。
「そんな横暴なことはないわ。つまり山本財閥に相応しいか、忍耐というか、そういうところを試されていたの」
「試すとか普通なら許せない話だけど……御曹司だから世界が違うんだね」
彼の全ての仕掛け話を、思い出す。少し、返答に間があいてしまった。
「きちんと嘉位も説明してくれて、わたしは納得しているから」
電話越しに、安堵した様子だった。
「香織が納得しているなら、わたしが喜ぶべきだよ。しかし婚約かー羨ましいな」
「そんなの映画か漫画の世界だけだと思っていたよ」
笑いを交えながら話す中で、実家への招待や初詣での出来事を語る。
「それで……その後?」
「初詣の後、山本家に家族が招待されて宴が開かれたの、婚約…」
「なにそれ!凄すぎない? 早すぎない?」
「うん。5年、10年のことが数日で……」
「すげー! 山本嘉位やるんだよね。ただモノではないと思っていたけど、その範囲をはるかに超えているね」
弾けるように明るく響いた。外に声が漏れているのではと思うくらいに。
「香織、おめでとう! わたしも嬉しいよ、自分のことのように思えちゃう」
「ありがとう。心配させちゃってごめんなさい、すぐに連絡できればよかったのだけど……」
「いいのよ。羨ましいわ。わたしも恋したいな。香織の場合は確変で飛び越えていくんだから」
電話を切る前に一言。
「おっと、忘れるところだった、それは、そうと、はじめの話よ、はじめの、思い出して、おおきいって何のこと? 誤字なのか?あけおめの、返信が、おおきいだよ?わかる?」
笑い声が弾んで聞こえる。楽しそうに、詰め寄られているのがわかる。
――火照っているのがわかる、思い出してしまった。鮮明に……
「朝起きていきなり着替えを、嘉位が全裸だったの……」
「え?おおきい、もしかして、一線を越えたの?凄いぞ、香織、どうだった、どうだった?教えてよー」
一生懸命否定しようとするが、部屋の外でノックする音に慌てて電話を切り、嘉位を迎え入った。
会話の内容を知らないその者が、この先に待ち受ける運命をどう思うだろうか。
香織は突然八重からのメッセージでスマートフォンを手に取った。
画面には軽やかな文字が浮かんでいた。
「なになになに、あけましておめでとうの返事が「おおきい」って(笑)」
……眉をひそめた。八重ならではのユーモアなのかと思いつつも、クリスマス以来連絡が途絶えたことに不安がよぎる。
「電話して大丈夫?」
すぐに返信した指先に震えが走った。久しぶりの声を待つ間、胸中に不安と期待が交錯する。
何故か、正座をして電話を耳元に、待ち構えていた。
「おひさー、あけおめ」
八重の声はいつもの明るさを保っていたものの、その奥底に潜む焦りが香織には感じ取れた。返事を済ませた直後、彼女は切り出した。
「年末忙しいのはわかるけど、何も連絡がないからどうしたのかな?山本嘉位とそのご状態はどうなの?」
そうだ、うん。息を呑みこむ。クリスマスイブ以来八重に会えていないことを思い出した。あの日、嘉位との未来を決めた時のこと。
「帰国して会えたのでしょう?」
軽やかさの中にも不思議な期待が籠もった声だった。
「学校で最後あってから、クリスマスイブの日だよね」
「楓さんと、大きい車に乗り合わせたときのことね。それ以来何も聞いてないから……」
嬉しい事の順番をどのように伝えればよいのだろう……。一呼吸終えて、明るく振舞おう。
「ごめん、言えてなくて~」
話の切り出し方から何か良いことがあったと気付いたようだった。
「クリスマスにね、嘉位からプロポーズされたの」
「えー! ちょっとそれマジで? あの山本嘉位から? 婚約者は?」
その驚きに笑った。普通はそう思うよね。八重が心配してくれているのが、ヒシヒシと伝わったよ。
「婚約者というのは、いろいろあって……一言ではお芝居で、わたしを試すためだったの」
「プロポーズは返事したよね? それも当然だけど、試すってどういうこと?」
ゆっくりと、思い出しながら、過去を飲み込むように静かに説明を続けた。
「わたしが山本家に相応しいか、忍耐というか、そういうところを試されていたの」
「つまり婚約者はいなかったの? 佐伯さんとか桜井さんとか色々あったよね?」
小さく頷きながら、「全てがお芝居で……」と呟く。
「ちょっと酷くない? わたしならぶん殴っているけどね?」
――香織は八重の言葉に笑いを浮かべた。その一瞬、嘉位が自分をどう見ていたのか考えた。
「そんな横暴なことはないわ。つまり山本財閥に相応しいか、忍耐というか、そういうところを試されていたの」
「試すとか普通なら許せない話だけど……御曹司だから世界が違うんだね」
彼の全ての仕掛け話を、思い出す。少し、返答に間があいてしまった。
「きちんと嘉位も説明してくれて、わたしは納得しているから」
電話越しに、安堵した様子だった。
「香織が納得しているなら、わたしが喜ぶべきだよ。しかし婚約かー羨ましいな」
「そんなの映画か漫画の世界だけだと思っていたよ」
笑いを交えながら話す中で、実家への招待や初詣での出来事を語る。
「それで……その後?」
「初詣の後、山本家に家族が招待されて宴が開かれたの、婚約…」
「なにそれ!凄すぎない? 早すぎない?」
「うん。5年、10年のことが数日で……」
「すげー! 山本嘉位やるんだよね。ただモノではないと思っていたけど、その範囲をはるかに超えているね」
弾けるように明るく響いた。外に声が漏れているのではと思うくらいに。
「香織、おめでとう! わたしも嬉しいよ、自分のことのように思えちゃう」
「ありがとう。心配させちゃってごめんなさい、すぐに連絡できればよかったのだけど……」
「いいのよ。羨ましいわ。わたしも恋したいな。香織の場合は確変で飛び越えていくんだから」
電話を切る前に一言。
「おっと、忘れるところだった、それは、そうと、はじめの話よ、はじめの、思い出して、おおきいって何のこと? 誤字なのか?あけおめの、返信が、おおきいだよ?わかる?」
笑い声が弾んで聞こえる。楽しそうに、詰め寄られているのがわかる。
――火照っているのがわかる、思い出してしまった。鮮明に……
「朝起きていきなり着替えを、嘉位が全裸だったの……」
「え?おおきい、もしかして、一線を越えたの?凄いぞ、香織、どうだった、どうだった?教えてよー」
一生懸命否定しようとするが、部屋の外でノックする音に慌てて電話を切り、嘉位を迎え入った。
会話の内容を知らないその者が、この先に待ち受ける運命をどう思うだろうか。
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