ユニークアイテムな女子(絶対的替えの効かない、唯一無二の彼女)「ゆにかの」

masuta

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第1章:広がりの章 〜運命の出会い〜

7 1月2日目の始動

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  満足のいく食卓を終えた二人は、食後の甘い疲労感に包まれていた。

「お腹いっぱい。目が覚めたよ」嘉位の言葉に、香織はくすっと笑った。
 自分も同じだった。

 腹の底から満ちてくる満足感が、体を心地よく重くする。

「食材のことをこんなに考えながら食べるの、初めて。本当に……素晴らしかった」
 嘉位は少し照れたように目を逸らした。でも、その口元にはかすかな笑みが浮かんでいる。

「いや、たまたま。食とお酒は切り離せないって、昔から教えられてきたから」謙遜しているのに、どこか得意げな響き。香織は頬が熱くなるのを感じた。
 こんな風に褒められるのは、慣れていない。

「ごちそうさま。おいしかったよ、香織。」

 千佳さんに屋敷を案内してもらって。僕はちょっと体を動かしてくる」──千佳に案内されながら廊下を歩いていると、ふと気になったことが口をついて出た。

「千佳さんたちメイドさんは……ご結婚されてるんですか?」千佳は足を止め、温かく微笑んだまま、何も答えなかった。

 香織は慌てて話題を変えた。
 聞いてはいけないことだったのかしら。「この先が奥様のお部屋でございます。廊下の絵画も素晴らしいので、ゆっくりご覧くださいませ」そうか、そういうことね。

 香織は心の中で頷いた。今度、時間をみつけて聞いてみよう。広大な廊下を進むうち、突然壁のモニターに映像が映し出された。
 U-15の大会。ユニフォーム姿の嘉位が、グラウンドを駆け抜けている。香織は思わず立ち止まった。
 あの力強い走り。
 夢中になった表情。

 この人が、私の──嘉位なんだ。
 胸が熱くなった。目頭がじんわりする。
 嬉しさなのか、感動なのか。

 涙が勝手に頬を伝った。「どうして……こんなに泣きたくなるんだろう」独り言が漏れた。

「香織様、それは嘉位様から直接お聞きください」千佳の優しい声に、香織は慌てて涙を拭った。



   ***



 練習場に着くと、中は暖かく、嘉位が一人でストレッチをしていた。

 香織は扉の陰から、息を潜めて見つめた。
(体、柔らかい……すごい。あの体が日本一なんだ)集中した横顔。私だけが見ている。この人が、私の旦那様になる人。
 優越感みたいなものが、胸に広がった。

「香織、来てたんだ。声かけてくれればいいのに」嘉位に気づかれ、香織は少し慌ててドリンクを差し出した。

 嘉位は一気に飲み干す。

「まだまだだよ。もっと徹底的にやらないと、怪我の元だから」その真剣な目に、香織はまた胸が熱くなった。「野球、見てても面白いよね?」問いかけに、香織は試合でハラハラした話を始めた。

 二人は自然と野球の話で盛り上がり、時間が経つのを忘れた。




 ──お風呂から上がると、嘉位は正座してタブレットをいじっていた。



 香織が入ると、すぐに渡してきた。ストレッチの詳細なメモ。個人用とチーム用、両方がびっしり。


「すごい……細かい」「当然だよ。野球は真剣勝負だから」その言葉に、香織は改めて彼の姿勢に感動した。夜食を共にしながら、また野球の話。




 ***




 食事が終わり、ベッドに横になる頃には、もう遅い時間だった。

「明日はお昼前には出るよ。由良と八重を迎えに行こう」「明日は……何するの?」嘉位は少し視線を逸らして、曖昧に笑っただけ。



 香織はため息をつき、アラームをセットした。「おやすみなさい」嘉位の唇に人差し指を当て、軽くキス。
 でも、離れる前にふと思い出した。

「お風呂上がりに、ストレッチのメモ以外に何してたの?」嘉位は当たり前のように答えた。

「世界情勢、経済、科学の進展。日本政治の現状と未来。あと瞑想」

「えー!」香織は目を丸くした。
 財閥の跡取りって、すごい……。
 私も頑張らないと。

 そう思っていると、嘉位の視線が自分の胸に注がれていることに気づいた。

「明日、早いんだから」
「ね、な、さ、い」香織は威嚇するように睨んだが、頬は赤くなっていた。
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