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第1章
出会い 1
しおりを挟むキーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴った。
「ほら、出席を取るぞ!座れ」
前のドアから先生が入ってきた。
「出席の前に、今日から2―℮の担任になる桜井晴輝だ。よろしくな。君らが1年の頃もクラス担任をしてたから知っていると思うけど、魔法技術を担当している。」
晴輝は高身長でルックスも良く、教え方も上手なため女子生徒を中心に慕われている。愛称は晴ちゃん。ちなみに、ひさきと葵の前担任であり、2人が所属している魔法道具部の顧問でもある。
「それと、転校生を紹介する。入っていいぞ。」
ガラガラガラ
2人の少年が入ってきた。少年たちは晴輝の横に立ち生徒の方をみた。
「初めまして。南雲灼(なぐもあらた)といいます。こっちは、弟の帝人(みかど)。生まれはこの国なんだけど、7歳から海外に行っていて昨日帰国してきました。分からないことが多いので、たくさん教えて下さい。」
パチパチパチ
女子生徒たちは顔を赤らめて、2人を見つめていた。無理もない。美少年の双子なのだから。しかし、性格は全く違うようだ。自己紹介をした灼の方は、人当たりが良さそうだが帝人のほうはそうでもない。今すぐ帰りたそうな顔をしている。
「二人は、あそこの席に座って。」
「はい。」
「・・・。」
灼は葵の帝人はひさきの隣の席だった。
(朝からいなかったから、欠席かと思ってたけど、まさか転校生が座るとは・・・。)
ひさきがそんなこと思いながら二人が席まで歩いてくるのを見ていると灼と目が合った。
「俺、灼。よろしくね!君、名前は?」
「工藤ひさきです。こちらこそ、よろしく。」
「私は梶葵!よろしくね。」
灼「ひさきちゃんと葵ちゃんだね。」
葵「呼び捨てで良いよ、私も灼って呼ぶから。」
葵と灼が笑いながら話をしていた。その時、ひさきの中にある何かの蓋が開き始めているきがした。
(え?何だろう?今、初めて名前を呼ばれたはずなのに前にも呼ばれたきがする・・・。痛い・・・。まただ。頭がズキズキする・・・。)
ひさきが頭を片手で押さえながら考え込んでいると
「おい・・・。どうした?顔色が悪いぞ?」
帝人がひさきの顔を覗き込み肩をゆすった。
葵「え!ひさき、大丈夫?具合、悪いの?」
葵と灼も心配そうにしていた。
「大丈夫、少し疲れただけ。」
ひさきは心配をかけまいと笑った。
葵「少し保健室で、寝た方がいいよ。」
晴「おい、そこ。転校生がイケメンでテンション上がるのはわかるが、今は静かにな。」
出席確認をしていた晴輝が笑いながら注意してきた。転校生にちゃんと友達ができたようで安心したのだろう。
葵「違うよ。晴ちゃん、ひさきが具合悪いって。私、ひさきと保健室に行ってくる。」
葵は立ち上がり、ひさきの手を引っ張った。
晴「何?大丈夫か?工藤」
ひさきは葵に引かれて立ち上がった。
(そんなに心配されるほどじゃなかったんだけどな。頭痛いの治ったし。)
「大丈夫です。」
どうしようと思いつつ、ひさきは答えた。
晴「そうか、念のため保健室で休め。梶にもついていってもらえ。」
晴輝は少し安心したように笑った。
(葵も灼君も帝人君も先生も心配している。今更もう治ったっていう方が余計心配かけるよね。)
ひさきと葵は教室を出た。保健室の先生からは、ただの疲労で安静にしておけば、じきに回復するだろうと言われた。ひさきは、保健室の一番奥のベットで寝ていた。飲み物を買いに行ってくれた葵が帰ってきた。
葵「はい、お茶。さっきよりは顔色、よくなったね。」
葵はベットの横にある椅子に腰を掛けた。
「ありがとう。だいぶ、楽になったよ。」
ひさきはベットから起き上がってお茶を一口飲んだ。
葵「そういえば、帝人!よく気が付いてたよね。ひさきが具合悪そうだなんて。初めて会ったのにね。」
「そうだよね。私も、突然のことだからびっくりしちゃった。でもね、灼君から“ひさきちゃん”って呼ばれたとき懐かしいって思ったの。なんでかな。初めて呼ばれたはずなのに・・・。」
ひさきはペットボトルを握りしめて、うつむいた。葵は少し考えながら答えた。
「前にも会ったことがあるのかもね。ほら、幼いころの記憶が無いんでしょ?そのころとか?」
そう。ひさきには7歳以前の記憶がない。幼いころの記憶は鮮明に覚えていなくて当然だ。赤ちゃんには幼児期健忘というものがある。脳が未発達で記憶の保持が出来ず、ほとんど何も覚えていないことである。しかし、それは3歳までの話。脳の発達が遅い子でも4歳以降は記憶の保持が可能になる。逆に、4歳以降の記憶が全くないひさきは記憶喪失ということになのだ。
「うん・・・。」
ひさきは少し考えつつベットから立ち上がった。
「よし!もう大丈夫。今からなら、少しは1限に出れるよね。行こう、葵。」
(気のせいかもしれないし、これ以上心配かけられない。あとで考えよう。)
ひさきはベットをきれいに整えた。
葵「え、戻るの?1限目は、魔法技術だよ?」
葵は心配そうに夕姫を見た。魔法技術の授業とは魔力を使うのでものすごく体力を奪われるのだ。
「うん、大丈夫。ありがとう、葵。」
葵「そっか。ひさきがいいならいいけど。でも無理しないでね。」
ひさきと葵は保健室を後にした。
全ての授業が終わり、ひさきと葵はスーパーで買い物をしていた。
「そういえば、灼君と帝人君、すごかったね。私たちのクラスって特進だから優秀なのはわかってたけど、あそこまでとはね。」
ひさきはしゃぶしゃぶ用の肉を選びながら言った。
葵「そうだね。うちらのクラスの中でもトップクラスだろうね。魔力、知力、判断力全てを持ってる。私たちもうかうかしてられないね。」
葵は真面目な顔で話しながら、高級黒豚をそっと買い物かごの中に入れた。
「葵さん・・・?それ特売品じゃないんだけど?」
ひさきは葵をじろりと見つめた。
葵「あ、ばれた。見えてないと思ったんだけどな。」
葵は渋々黒豚を戻した。ひさきは少し笑って飲み物コーナーに移動した。
「葵、何飲む?」
葵「私は、コーラがいいな。500mLの缶のやつ。最高においしい!あ、最後の1本だ。ラッキー!」
葵がコーラを取ろうとしたが、横から誰かが先にコーラを取った。
葵「あー!私のコーラ!」
葵が呆然としていると後ろから声がした。
?「あれ?葵じゃん」
ひさきと葵は後ろを見て驚いた。
今回はここまで。読んで下さり、ありがとうございます。さて、コーラを先に取ったのは誰だったんでしょうか?次回、お楽しみに❕コメントなども、お待ちしております。
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