最後の魔法使いはただ幸せになりたい

Hkei

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第2章 16歳

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リリーナは16歳になっていた。エヴァが亡くなった後も残してくれた本を読みあさり、力を増やすための努力も続けている。

あれほど嫌がらせをしてきたイーリアも何をやってもリリーナがダメージを受けないので、嫌味を言うくらいに落ち着いてる。

今は常に身体に魔力を纏わせているので、髪は黒から金髪に変わっている。瞳は黒色のままだが大量に放出する時は金色に変わる。
小さい頃から顔立ちは整っていたが、歳を重ね美しいと表される少女になっている。だが感情を封じ込め一切変わらない表情から、近づきにくい雰囲気を醸し出していた。

長く伸びた髪を耳にかけながら本を整理してたら、ジェイドが入ってくる。


「リリ、父上が呼んでる」

ジェイドは教育係として来るだけでなく、暇があればこの部屋に入り浸っている。リリーナがずっと相手する訳ではないが、時期国王として期待を背負う毎日の中、唯一落ち着いていれる場所として気にいってるらしい。

「かしこまりました」

「歩く?」

まさかと1人先に王宮に移動する。



◇◆◇

「リリーナ。よく来た」

「国王陛下に、ご挨拶申し上げます」

「うむ、実はその横にいる者だが…」

リリーナが横を見ると子供とその父親だと思われる二人が立っていた。

「…」

「うちの息子は予知の魔法が使えます!夢で見たことが現実でもおこるのです!」

──感は鋭そうだけど…

リリーナがその子の前に行き、手をとる。


「…」

国王を見て頭を横に振る。立ち上がり去ろうとするリリーナに父親はなおも言う。

「そんな!!だって私がケガをしたり、火事がおこったり…全ていい当てております!」

「ではそのケガ…どれ程のケガで部位やケガした場所も言っていたか?火事も場所や時間、規模など正確に言っていたか?今王都で起こってること全てをいい当てたか?」

「それは…ですが!!」

「残念ながらこの子からは何も感じない。普通に過ごした方がいい」

がくっと頭をさげる父親を見て何がそんなに残念なのか…


──我が子を私のようにさせたいのだろうか


「リリーナ。ご苦労だった下がって良い」

「はい。失礼いたします」


扉の前にジェイドがいた。俺を置いて行ったなと顔が文句をいっている。

「帰りは歩きだ!!」

とリリーナの手を取るので、なぜ?と問いかけるのも無駄な気がしてそのまま従う。

王宮の中を歩くのは久しぶりだった。広い中庭を横目に廊下を歩いていると、中庭の先に人が集まっていた。

あれは何かと尋ねたら、兵士になるための選別テストを受ける人たちだとジェイドが言う。

「使える者がいればいいけどな」

ふーんと何気なくそちらを見る。顔などは全く見えない…




ピクっと身体が反応して、


目線を動かせなくなった。













──



「リリ?」


長年見てきた。近年特に感情を出さず表情も変わらないリリーナの、ほんの一瞬、微かな目の動きを見逃さなかった。

ゾワッと何かを感じ
素早い動きでリリーナと中庭の間に移動して、視線を自分に向けさせる。

「ジェイド様?」

「もっ戻ろう!リリ送ってくれ」


急かして移動魔法で外れの屋敷まで戻る。
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