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第2章 16歳
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「今日の志願兵のリストを見せろ!」
出身地のチェックはさせていた。リリーナと同郷の者は王宮に入れないようにさせている。何度見ても当てはまる人物はいない。では何があのリリーナを動かしたと言うのか。
──なんだ…なんだこの…
──大丈夫だ…リリは俺から離れることは出来ない
ジワジワと襲ってくる不安を払うため、離の屋敷の警備を強めることにした。
◇◆◇
リリーナは戻ってきてから少し落ち着かない。
──懐かしい感じがした…懐かしい?
自分の感じてるこの感覚を言葉で表す事ができずモヤモヤする。
飛ばせるかな…昔エヴァが自分に見せてくれたように遠くを見るのは可能だ。その間自分を守ることが出来ないのが難点だが…
──まだやってるかな…
窓を開け椅子に座って目を閉じる。自分を上から見る感覚を研ぎ澄ませると視界がふっと変わる。よし行ける。窓から出ようとした時、無理やり連れ戻される。
「…ジェイド様?」
「何をやってる?」
肩を捕まれ押さえこまれる。
「っ痛い」
力は抜かれるが手は肩に置いたままで
「何を…やろうとした?」
再度聞かれる。
「別に…」
「今後意識飛ばすのは俺の許可なしにはするな。絶対に」
「この屋敷の中は自由にできるはずですが…」
それでなくても制限の多い生活をしている。この屋敷の中まで口を出されたくない。
「今後はダメだ。庭も出るな。俺の許可なしに外に出るな」
「…」
「命令したくないんだ…聞いてくれ…」
何故か苦しそうな顔をするジェイド。言葉でそう言っても命令に変わらない。
「分かりました」
前と比べて誓約の力は落ちている。いざとなれば破るのは容易い。今ここでジェイドと揉めても意味がない。いきなり制限する意味も分からないが1度引くことにした。
◇◆◇
「合格者はこちら側に、声かからなかった者はお疲れ様でした」
たくさん集まった人の中で声がかかったのはひと握りだった。
「今回すごいの来たな!」
「団長自ら相手してたし若いのにな」
中でも飛び抜けて才能ある若者がいたようで、団長が声をかけ自分の班に入れようと必死になっていた。
今兵士を募ってるのは隣国のフォークランドとの戦いが本格化しそうなほど関係は悪化していた。後々の事を考え早めの募集をかけたのだ。
「ジェイド殿下!」
「オットー団長今回はどうだ?」
「はい…1人逸材がおりました。我隊に入ることは決定しましたので…」
と赤い髪、青い目をした1人の青年をジェイドに紹介する。
「ソルと申します」
「剣は私でも危ういですが、足も速く、馬の扱いも上手いです」
「ベタ褒めだな団長。ソルと言ったか」
「はい」
「1度手合わせしてくれ」
いつでもお受けしますとその青年は頭をさげる。
その数日後、兵舎の実技練習所にジェイド、オットー、ソル、その他団員が揃っていた。
「よろしく頼む」
「はい」
2人が剣を構える。オットーの合図がかかると同時ジェイドがソルの胸元に走り込み剣を伸ばすが完全に受け止められる。払われて1度後ろに引いてまた間合いを詰める。ソルは剣先を動かさずジェイドの動きを見ている。一瞬ジェイドが唾を飲み込んだ時、踏み込むと同時にソルが剣を払う。体制崩れたジェイドの背後に素早く動き首に剣先をあてる。
「まいった…すごいなソル。本気出してないだろ」
「ありがとうございます」
周りからわーと歓声があがる。手を引かれジェイドが立ち上がる。
「我が国の為に今後もよろしく」
出身地のチェックはさせていた。リリーナと同郷の者は王宮に入れないようにさせている。何度見ても当てはまる人物はいない。では何があのリリーナを動かしたと言うのか。
──なんだ…なんだこの…
──大丈夫だ…リリは俺から離れることは出来ない
ジワジワと襲ってくる不安を払うため、離の屋敷の警備を強めることにした。
◇◆◇
リリーナは戻ってきてから少し落ち着かない。
──懐かしい感じがした…懐かしい?
自分の感じてるこの感覚を言葉で表す事ができずモヤモヤする。
飛ばせるかな…昔エヴァが自分に見せてくれたように遠くを見るのは可能だ。その間自分を守ることが出来ないのが難点だが…
──まだやってるかな…
窓を開け椅子に座って目を閉じる。自分を上から見る感覚を研ぎ澄ませると視界がふっと変わる。よし行ける。窓から出ようとした時、無理やり連れ戻される。
「…ジェイド様?」
「何をやってる?」
肩を捕まれ押さえこまれる。
「っ痛い」
力は抜かれるが手は肩に置いたままで
「何を…やろうとした?」
再度聞かれる。
「別に…」
「今後意識飛ばすのは俺の許可なしにはするな。絶対に」
「この屋敷の中は自由にできるはずですが…」
それでなくても制限の多い生活をしている。この屋敷の中まで口を出されたくない。
「今後はダメだ。庭も出るな。俺の許可なしに外に出るな」
「…」
「命令したくないんだ…聞いてくれ…」
何故か苦しそうな顔をするジェイド。言葉でそう言っても命令に変わらない。
「分かりました」
前と比べて誓約の力は落ちている。いざとなれば破るのは容易い。今ここでジェイドと揉めても意味がない。いきなり制限する意味も分からないが1度引くことにした。
◇◆◇
「合格者はこちら側に、声かからなかった者はお疲れ様でした」
たくさん集まった人の中で声がかかったのはひと握りだった。
「今回すごいの来たな!」
「団長自ら相手してたし若いのにな」
中でも飛び抜けて才能ある若者がいたようで、団長が声をかけ自分の班に入れようと必死になっていた。
今兵士を募ってるのは隣国のフォークランドとの戦いが本格化しそうなほど関係は悪化していた。後々の事を考え早めの募集をかけたのだ。
「ジェイド殿下!」
「オットー団長今回はどうだ?」
「はい…1人逸材がおりました。我隊に入ることは決定しましたので…」
と赤い髪、青い目をした1人の青年をジェイドに紹介する。
「ソルと申します」
「剣は私でも危ういですが、足も速く、馬の扱いも上手いです」
「ベタ褒めだな団長。ソルと言ったか」
「はい」
「1度手合わせしてくれ」
いつでもお受けしますとその青年は頭をさげる。
その数日後、兵舎の実技練習所にジェイド、オットー、ソル、その他団員が揃っていた。
「よろしく頼む」
「はい」
2人が剣を構える。オットーの合図がかかると同時ジェイドがソルの胸元に走り込み剣を伸ばすが完全に受け止められる。払われて1度後ろに引いてまた間合いを詰める。ソルは剣先を動かさずジェイドの動きを見ている。一瞬ジェイドが唾を飲み込んだ時、踏み込むと同時にソルが剣を払う。体制崩れたジェイドの背後に素早く動き首に剣先をあてる。
「まいった…すごいなソル。本気出してないだろ」
「ありがとうございます」
周りからわーと歓声があがる。手を引かれジェイドが立ち上がる。
「我が国の為に今後もよろしく」
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