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夫婦以上、恋人未満(1)
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私を部屋まで送るというギルと、手を繋いで廊下を歩く。
ギルの腕に捕まるか手を繋ぐかの二択を迫られ、こうなった。
そして『キスの時間』を含むこういった触れ合いは、ミアさんがシナレフィーさんに吹き込んだということが判明。人間の恋愛はこうだと言えば何でもやってくれるのが楽しくて、乙女の夢を詰め込んだとこっそり話してくれた。
私も、こてこての恋愛物語は嫌いじゃない。寧ろ好き。
しかも相手のギルは好みの男性だ。最初は戸惑った『キスの時間』が、二回目は既に嬉しかった。果敢にもシナレフィーさんに仕込んだミアさんの勇気には、敬意と感謝しかない。
「ここを曲がれば、サラの部屋がある廊下に出る」
ギルが飾られた花瓶に軽く触れて、私を見る。
目印ということだろう。覚えておかないと。ギルと違って、私は瞬間移動なんて出来ないし。
「明日から好きに見て回るといい。覚えるまではリリを連れて行けば迷う心配もない」
「ありがとうございます」
ギルを見上げて、礼を言う。
その際に、壁掛けランプが突然点いたのが目に入り、驚いた。
「ああ、それか? 辺りが暗くなったら点くんだ。魔王城は気の利く奴だからな」
城の方で点けてくれるなんて。部屋の用意といい、ランプといい、何て理想的な住居だろう。
「魔王城のランプだからでしょうか。イスカの村で見た灯りとは、全然違いますね」
魔王城のものは青白い光を放っている。村で見たものは、黄色味がかった白だった。
それに一定の明るさを保っているという点でも違う。村のは蝋燭の火のようにゆらゆらと揺れていた。召喚から息つく間もなく森に運ばれたので、じっくりと見たわけではないけれど。
「それは多分……夜光蝶を硝子に閉じ込めたものだな。あれも同胞だから、命が尽きる前に助けたいとは思っている」
ギルが顔を顰める。
「人間の集落には、殺された同胞の血肉が衣類や家具になっているものが、そこかしこにある。気分が悪くなる、長居したくない場所だ」
「う……」
私は思わず口を手で押さえた。
ギルの言葉が胸に突き刺さったが故に。
(あああ……素材集めてアイテム作るゲーム好き! 実は全ジャンルの中で一番好き! ごめんなさい!)
その手のゲームで出て来る素材は、植物や鉱石も勿論あるが、モンスター素材の種類も多い。言われてみれば、モンスターから手に入れるためには戦って倒すわけで。んで、落とすアイテムも毛皮とか爪とかなわけで。つまりそれはそういうことだ。
「悪い、血なまぐさい話をしたな」
「いえ……」
どちらかと言えば、血なまぐさいのは私の方かと。うきうきで狩りに狩ってました、はい。
この秘密は墓場まで持って行こう。心に決めた。
ギルの腕に捕まるか手を繋ぐかの二択を迫られ、こうなった。
そして『キスの時間』を含むこういった触れ合いは、ミアさんがシナレフィーさんに吹き込んだということが判明。人間の恋愛はこうだと言えば何でもやってくれるのが楽しくて、乙女の夢を詰め込んだとこっそり話してくれた。
私も、こてこての恋愛物語は嫌いじゃない。寧ろ好き。
しかも相手のギルは好みの男性だ。最初は戸惑った『キスの時間』が、二回目は既に嬉しかった。果敢にもシナレフィーさんに仕込んだミアさんの勇気には、敬意と感謝しかない。
「ここを曲がれば、サラの部屋がある廊下に出る」
ギルが飾られた花瓶に軽く触れて、私を見る。
目印ということだろう。覚えておかないと。ギルと違って、私は瞬間移動なんて出来ないし。
「明日から好きに見て回るといい。覚えるまではリリを連れて行けば迷う心配もない」
「ありがとうございます」
ギルを見上げて、礼を言う。
その際に、壁掛けランプが突然点いたのが目に入り、驚いた。
「ああ、それか? 辺りが暗くなったら点くんだ。魔王城は気の利く奴だからな」
城の方で点けてくれるなんて。部屋の用意といい、ランプといい、何て理想的な住居だろう。
「魔王城のランプだからでしょうか。イスカの村で見た灯りとは、全然違いますね」
魔王城のものは青白い光を放っている。村で見たものは、黄色味がかった白だった。
それに一定の明るさを保っているという点でも違う。村のは蝋燭の火のようにゆらゆらと揺れていた。召喚から息つく間もなく森に運ばれたので、じっくりと見たわけではないけれど。
「それは多分……夜光蝶を硝子に閉じ込めたものだな。あれも同胞だから、命が尽きる前に助けたいとは思っている」
ギルが顔を顰める。
「人間の集落には、殺された同胞の血肉が衣類や家具になっているものが、そこかしこにある。気分が悪くなる、長居したくない場所だ」
「う……」
私は思わず口を手で押さえた。
ギルの言葉が胸に突き刺さったが故に。
(あああ……素材集めてアイテム作るゲーム好き! 実は全ジャンルの中で一番好き! ごめんなさい!)
その手のゲームで出て来る素材は、植物や鉱石も勿論あるが、モンスター素材の種類も多い。言われてみれば、モンスターから手に入れるためには戦って倒すわけで。んで、落とすアイテムも毛皮とか爪とかなわけで。つまりそれはそういうことだ。
「悪い、血なまぐさい話をしたな」
「いえ……」
どちらかと言えば、血なまぐさいのは私の方かと。うきうきで狩りに狩ってました、はい。
この秘密は墓場まで持って行こう。心に決めた。
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